-------


   アコード・ハイブリッド その次は?
      06.30.2013
        エコカーの未来図




 アコード・ハイブリッドの性能には興味津々である。今回、エコカーの未来図を見極めるために、最近の新車の動向をチェックすることにした。

 これまで、プリウス初代、二代、三代、プラグインとプリウスばかり4台を乗り継いだ。それは、そのときどきの燃費技術のチャンピオンだったからである。現時点で所有しているプラグイン・プリウスは電池寿命の検証をするために、最低でも7年間使用する予定なので、しばらく新車を買うつもりは全く無いが、技術的にいささか気になるハイブリッド車が出てきた。しかも、プラグイン化が可能な、本格的ハイブリッド車である。

 それはホンダ・アコードハイブリッドである。いくつかの比較記事は、すでに自動車評論家が書いていて、すでにネット上でも読むことができる。しかし、自動車評論家は、ハイブリッド車の見方をほとんど知らない。自分でハイブリッド車を買っているのは、多分、国沢光宏氏だけではないか。それに、最近の評論家は、どうもメカ音痴が多いように思える。

 ということで、まずは、ハイブリッド車の動向をメカ・マニア的に記述してみたい。


1.ホンダ・アコードハイブリッド

 ホンダ初の2モーターハイブリッドである。

 国沢氏が「なんちゃってハイブリッド」と命名したこれまでのホンダ式1モーターハイブリッドシステムは、インサイトやフリード・ハイブリッド、フィット・ハイブリッドなどに使われたが、これらとは全く違うシステムである。

 その構造は、
http://www.honda.co.jp/ACCORD/ 別ウィンドウで開く
を見ていただきたいが、2モーターシステムであるところが同じだが、プリウス方式とは、全く異なる方式である。

 その差を二項目で表現すると、

プリウス方式:
分担:すべての速度で、エンジンとモーターが任意の割合で力を出す。
共存:モーターだけで走行可能な速度には上限がある。通常モデル60km/hまで、プラグインだと100km/hまで。

アコード方式:
単独:70km/h以下ではモーターのみで走る。
共存:70km/h以上で巡航あるいは加速状態になるとエンジンと車軸が直結し、エンジンが主役になる。


1.1 ライバル比較

 ライバルはトヨタ・カムリ・ハイブリッドである。

       アコード      カムリ
価格    365万〜     304万〜 オプションを揃えるとほぼ対等
米国価格 $30000    $27000
燃費    30.0km/L  23.4km/L
米国燃費 47mpg     41mpg
エンジン  2.0L      2.5L
出力    105kW     118kW
モーター  124kW     105kW
電池    リチウム     ニッケル−水素
容量    1.3kWh    1.3kWh
車重    1620kg    1550kg

 アコードとカムリの違いの第一点は、モーターとエンジンの出力の大小。

 アコードはエンジン<モーター  理由は、発進時はモータのみだから
 カムリはエンジン>モーター   理由は、発進後にエンジンがすぐ始動するから

 ちなみに、「なんちゃって」ハイブリッドは、
 エンジン>>モーター(1/10〜1/20ぐらい) 理由はエンジンで走行、モーターはアシスト

 モーターの出力を高めれば高めるほど、低速トルクのないエンジンにすることができる。アコードのエンジンも、カムリのエンジンもアトキンソンサイクルと呼ばれる高膨張サイクルのエンジンで、低速トルクは無い変わり、高効率にできる。

 プリウスの燃費が良かった理由はいくつかあるが、最大の要素は「エンジンが普通の車と違う」からであった。それがアトキンソンサイクルである。

 ハイブリッド専用のエンジンは、低速トルクが低いため、同じ排気量でも相当軽量である。

 アコードのエンジンの特性を調べると、最大出力は105kW@6200回転であるが、トルクは、3500〜6000回転の範囲でほぼ一定の165N・mである。その代わり、3500回転以下の低速トルクは減らすという設計になっている。こんなエンジンでは、普通車は走らない。ハイブリッド化してやっと車になる。

 モーターとエンジンの回転数比は、2.450:0.803ということなので、エンジンが3500回転しているときには、モーターは1万回転という計算になる。70km/hでエンジンは変速機なしで車軸と直結になるが、そのとき大きな駆動力が必要ではないので、エンジンは3000回転より低回転で直結状態になると考えた方が良さそうである。

 さて、アコードはどのように走るのだろうか。

 停止時にはエンジンは止まっている。アクセルを踏めば、モーターの力のみで発進する。普通のプリウスであれば、時速10km/hぐらいになったところでエンジンが掛かって、モーターとエンジンで加速する。カムリは乗ったことが無いが、恐らく、同じようなものだろう。

 しかし、アコードであれば、エンジンが掛かることはない。モーターだけで走リ続ける。しかし、電池には限りがある。なんといっても105kWというモーターである。1.3kWhというのが電池の容量であるから、もし全力で走れば、約0.012時間しか持たない。1分未満である。実際には、数分はもつだろう。そこで、走れなくなってしまう。

 そこで、エンジンの出番である。エンジンがスタートし、発電機(二台目のモーター)を回す。そして、電気を駆動モーターに供給するので継続して走ることができる。

 この方式をエンジン→モーター→走行という連結をしているので、シリーズ型ハイブリッドと呼ばれる。スバルなども開発するとプレス発表をしながら、完成できなかった難物である。

 モーター自体は124kWが最大出力なのだが、エンジンの出力が105kWしかないので、継続して走行のために使えるパワーは、エンジンの出力に発電効率を掛けた値になる。もしも90%であるとすれば、94.5kWである。これで車としての最高出力が決まり、その結果として、最高速度が決まる。

 日本やアメリカのように、法定最高速度が低く、高速追い越しのときだけパワーが必要な国では、こんな設計でも問題ないのだが、ヨーロッパの一部のように、制限速度が無い、もしくは、高い国では、この設計はあり得ない。これが、シリーズ型ハイブリッドの弱点の一つである。

 そこで、アコードの場合は(他のシリーズ型でも、シボレー・ボルトなど最近のモデルでは同様の機構がある)高速になるとエンジンを直結して、車を動かすことになる。急加速をするときなどには、同軸にあるモーターも数分間だけは駆動力を出す。そのために、バッテリーへの充電が常時必要なために、エンジンの出力の一部は、発電機の駆動にも使われ続けることになる。これで、最大出力は、効率を無視すれば、瞬間的には249kWとなる。これなら、通常、不自由はない。しかし、ドイツなどのように、常に180km/hといった速度で走るとどうなるのか、いささか心配ではある。

 一つの弱点が価格である。エンジン105kW+モーター124kW=229kW分の動力装置を搭載して、連続して無限に使える出力は94.5kWまでしかないことになる。大きめのエンジン、モーターを搭載することになるため、価格が高くなる。

 カムリ方式でも状況は似ていて、223kWの合計出力のすべてが使用可能な訳ではない。電池の容量が小さいために、アコードと同様、エンジンは走行用と発電用の出力を供給し続けるからである。ただし、エンジンが低速時から、場合によっては停止時から、駆動力として使えるので、モーターの出力は、シリーズ方式の場合に比べると低くてもよい。そのため、プリウス方式の方が駆動機構の重量を軽くすることができる。

 アコード式にとって、もっともつらい条件が、エンジン直結になるほど高速でなく、かつ、連続登坂のような高負荷条件だろうか。一方、プリウス方式には、特に苦手といった使用条件はない。ほぼ万能である。


1.2 勝負はどうなる

 まずは、トヨタ側のハイブリッド車の記述から始める。

 さて、トヨタのハイブリッドはすべての同じなのか。すべてプリウス方式ではある。しかし、燃費を重視しているモデルと、そうでもないモデル、全く燃費を無視しているモデルの3種類がある。それはエンジンが違う。

 プリウスとアクアだけが「燃費を重視したモデル」であり、カムリと新しいクラウン・ハイブリッドは「そうでもないモデル」に分類される。クラウンハイブリッドの前のモデルや、多くのレクサスハイブリッドは、「走りのためのハイブリッド」であって、燃費のためのハイブリッドではない。それは、高価な車に乗る人は、ガソリン代を自分で払うことはなく、どうせ会社の費用なので、燃費などはどうでもよいが、見かけ上、環境配慮をしているというスタイルだけは欲しい、という人が買うからである。「環境なんちゃってハイブリッド」なのである。

 これを前提に、燃費競争の結果を予想すると、米国の燃費データから見ても、カムリ・ハイブリッドは、恐らくアコードに負けるだろう。しかし、売れるかどうかは別で、カムリが勝つチャンスはある。それはコスト競争に持ち込むことである。コスト的には、ニッケル−水素電池を使っていること、方式がこなれてきているなどのために、カムリの方が安いだろう。米国での価格がその証拠である。

 一方、アコードは、恐らく値引きが難しいと思われる。カムリが値下げし、もし300万円以下で販売されて、かなり売れたとしても、アコードの追従は難しい。米国でカムリの価格が低いのは、米国では普及車トヨタの最高峰車にすぎないからである。すなわち、レクサスではないので、高ければ売れないからである。

 ただ、カムリの値下げは、排気量が100cc少ないSAIとLexus HSの価格に影響すると思われるので、どうなるだろうか。特に、SAIの存在が、カムリの価格競争力の障害になりそうな気がする。

 それなら、カムリの燃費を向上させるという改造が行われる可能性は無いのか。ニッケル−水素電池をリチウム電池に変えるだけで、エネルギー回収などが効率的になり、燃費は向上する。

 通常のプリウスよりも、車重が重いプラグインプリウスの方が、駆動系は同一なのに、燃費が良いことからも分かる。

 しかし、現時点でのトヨタの問題は、リチウム電池の調達コストが高いことではないだろうか。トヨタ・パナのリチウム電池は、NEC日産製よりもかなり高いと言われている。

 ということで、カムリは、しばらく、ニッケル−水素電池のままのような気がする。結論として、値下げ競争に入るかどうか、に着目していれば良さそうである。


1.3 まとめ

 最後に、アコード方式に対する最終的な評価の視点を挙げたい。(1)このシステムで燃費が本当に良いのか。(2)もっとも苦しい条件だと思われる箱根ターンパイクの登り、碓氷峠の旧道の登りなどをドライブしたときでも(エンジンが直結されず、モーターで走る程度の速度での長時間の登坂)、燃費が稼げるのか。

 レンタカーを借りて、テストをしてみたい気分である。


2.三菱アウトランダープラグイン

 この車は、昨年の12月末に発売されているが、その後、リチウム電池が発火事故を起こしてしまった。電池を作っていたGSユアサでの製造プロセスで、重い電池を落っことしたとのことだが、それをそのまま出荷するということが考えられるのだろうか。

 さて、この車の成り立ちは、アコードハイブリッドとほぼ同じである。4WDであるので、モーターは駆動用だけで前後2台搭載しているところは違うが。

 この車の燃費は、アコードほど良くはない。重いからであり、エンジンがその圧縮比から判断すると、アトキンソンサイクルのエンジンではなく、普通のエンジンだからである。

 しかし、12kWhの電池を搭載していて、電費(正式には電力消費率)が5.90km/kWhなので、カタログ上は電気だけで60km走る。これなら、多くの人が通勤は電気だけで済むだろう。

 その割には、実用モデルが約360万円と比較的妥当な価格である。

 この手の車が欲しい人は、考えても良い次世代エコカーの一つのようである。


3.米国の状況

 国沢光宏氏のブログから無断で引用すると、米国でのハイブリッド車の販売台数(2013年4月)は、次の通りである。

Toyota Prius 普通版   12,432
Ford Fusion Hybrid    3,625
Toyota Prius C(アクア) 3,486
Toyota Prius V(プリウスα) 3,372
Toyota Camry Hybrid   3,257
Ford C-Max Hybrid    3,197
Chevrolet Malibu Hybrid 1,551
Hyundai Sonata      1,447
Toyota Avalon Hybrid  1,423
Lexus ES Hybrid      1,237
Lexus CT200h       1,171
Kia Optima Hybrid     1,000
Lincoln MKZ        884
Lexus RX 400 / 450 h  688
Buick Lacrosse Hybrid  662
Honda Civic Hybrid    569
Toyota Highlander Hybrid  495
Honda CR-Z         405
Honda Insight         391
Buick Regal Hybrid      389
Volkswagen Jetta Hybrid  353
Acura ILX Hybrid       152
BMW ActiveHybrid 3 (335ih) 125
BMW ActiveHybrid 5 (535ih) 98
Audi Q5 Hybrid         86
Cadillac Escalade Hybrid   47
Porsche Cayenne Hybrid   46
GMC Yukon Hybrid      37
Infiniti M Hybrid        35
Lexus GS 450h        34
Chevrolet Tahoe Hybrid   32
Mercedes E400H       17
Lexus LS 600h        15
GMC Sierra Hybrid      14
Chevrolet Silverado Hybrid  13
Mercedes S400HV Hybrid  7
Volkswagen Touareg Hybrid  7


 トップのプリウスから、Ford C-Max Hybridまでの6車種は、実は、プリウス方式である。

 Chevrolet Malibu Hybridは、164馬力のエンジンに、わずか5馬力のモーターを使った、いわゆる「なんちゃんてハイブリッド」の代表格である。

 Hyund SonataのHybridは、初代が燃費過大表示で問題になった車であるが、車本体としてもかなり評判が悪かった。2013年版のモデルでは、かなり良くなっているとされているが、売れ行きは多少回復したぐらいである。このモデルのエンジンは159馬力、モーターは49馬力で、出力の大きめな1モータータイプである。

 その下にあるBMWのActive Hybridや、さらに下にある「なんちゃってハイブリッド」タイプの車は、評価が最悪で、国沢光宏氏によれば、巡航状態からアクセルを踏み込んでも、2秒以上反応しないと記述している。BMWの名前が泣く性能のようである。

 そのため、BMWはハイブリッドに関しては、プリウス方式を採用することを決めて、トヨタと提携をすることになった。

 トヨタも自慢はできない。Lexus GS450hは34台、Lexus LS600hは15台と全く売れていない。その理由は燃費が悪いからである。すでに記述したように、高価な車に乗る人は、ガソリン代を自分で払うことはなく、燃費などはどうでもよいが、外見上、環境配慮をしているというスタイルだけは欲しい人だある。ところが、環境配慮をしている振りをするために車種を決めるアメリカ人はいない。だから売れない。

 米国で売るには、Lexus Hybridの燃費を通常のLexusの2倍にする必要があるだろう。


4.電気自動車

 米国での電気自動車の販売数が発表された。
http://response.jp/article/2013/05/15/197952.html  別ウインドウで

 それによれば、リーフは、4月に1937台売れた。前年実績の5.2倍であり、3ヶ月連続で前年実績を上回った。

 それは、始めての大幅マイナーチェンジを行ったためと、米国生産に切り替えたために価格が下がったからである。$29650と3万ドルを切った。この価格は、Mitsubishiのi-MiEvよりも325ドルも安い。

 リーフの優位性は、やはり、使用しているNEC日産製電池の価格にあるように思える。

 米国の年間自動車販売数は、2012年実績で、1449万台である。1ヶ月の平均が120万台である。こんな自動車市場で、リーフが2000台売れたということをどう評価すべきだろうか。

 米国は、大都会でもない限り、一人一台以上の車がある家庭が多い。そのため、近所への買い物など用に、電気自動車を買うことは有りうる。いくら米国のガソリンが安いといっても、西海岸ではガロン$4近くになり、ディーゼル用軽油の価格は、ガソリンよりも高い。

 一方、電気代は日本の半分ぐらいなので、自動車の燃料としては安価である。しかも、近所をチョロチョロ運転するだけだと、ハイブリッド車でも燃費は稼げない。エンジンを温めるためのガソリン消費がバカにならないからである。電気自動車が良い。寒いけど。

 しかし、こんな用途であれば、リーフでは立派すぎる。電気自動車はもっと小さくても良い。特に、日本では、神奈川県が導入を決めた超小型モビリディーが丁度良いのではないだろうか。


5.新車がスバルから

 スバル XVハイブリッドは、IMPREZAベースのSUVである。

 分類から言えば、1モーターで、国沢氏のいう「なんちゃってハイブリッド」に属する。ところが、このスバルは、燃費の向上を狙っていない、と最初から述べてる。パワフルな加速、ロングツーリングの快適性のために、ハイブリッドを採用したという主張のようである。

 それならそれも良い。エンジンの110kWに対して、たった10kWというモーターではなく、ヒュンダイ・ソナタなみに、せめて50kWぐらいのモーターを積んで、徹底的に走りを極めて貰いたい。

 やはり、中途半端な性能、中途半端な燃費の「なんちゃってハイブリッド」のように思える。

 Web上の評判を調べてみた。

 日経トレンディーの解説記事(Web)をみれば、メーカーの意図を100%良いと決めつけている大々的提灯記事なので、これでは日本の車は良くならない、と思った次第。オートックワンの評価も全く同様。Allaboutやカーセンサーも同様。

 Responseの記事は、協調回生を行っていないことを明らかにしている。比較的辛口なので、良い。

 SubaruのWebサイトに文句を付けたい。他のメーカーの場合もそうなのだが、諸元表の書き方が悪い。ハイブリッドに関しては、電池の容量をAhで書いても意味がない(実際には、5.5Ahとなっている)。古いメーカーであれば、他の情報もあるので、電池の電圧が分かるので十分な情報になるのだが、スバルの場合には、初めてのハイブリッドなので、何Vの電池なのか。これが重要な情報である。

 自動車評論家も、一応、日経トレンディーに解説記事を書くのであれば、せめて、そのぐらいのことは書いてほしい。

 そこで調べてみた。

 米国のCar and DriverのWebによれば、13.5-kW nickel-metal hydride battery packということだが、これはなんだろう。

 さらに、こういう仕様書もあるようだ。
http://subarumedia.iconicweb.com/.../specs/2014XVCrosstrekHybridspecs2.pdf  別ウィンドウで
このPDFによれば、バッテリーは、0.6kWh, 100V nickel-metal-hydride batteryとなっている。これなら、1モーター・ハイブリッドとしては、まあ、普通と言える数値である。


6.未来予想

6.1 大勢は?

 アコード・ハイブリッドは、燃費競争で、世界で始めてプリウス型のハイブリッドに勝てるかもしれないハイブリッド車である。これまで、このような設計の車はいくつも試作されたが、どのメーカーも燃費を稼げなかった。それは、すでに述べたように、重量増というデメリットがあるからである。当然、コストも高くなる。

 もしもアコードがこの難点を克服した車であれば、これはすごいことである。将来、高級品はアコード方式、安価な車はプリウス方式ということになる可能性もある。

 さらに、アコード・ハイブリッドは、電池だけ積み増せば、プリウスと同様に、簡単にプラグイン・ハイブリッド車になる。

 このアコードの出現で、次のプリウスの性能アップが楽しみになってきた。予想としては、リチウム電池に変わり、モーターの出力を若干増強することが行われるのではないだろうか。これで、エネルギー回収効率が高くなる。さらに、複雑な変速機構の伝達効率の改善が行われることだろう。加えて、搭載するリチウム電池の量は、オプションで選択できるようになるのではないだろうか。ミニマム量であれば、これまでのハイブリッド、3倍積めば、近距離用プラグインになり、6倍積めば長距離用プラグインになる。制御用のプログラムを若干変えるだけで、このようなことが実現できる。

 普通サイズの車では、このようなプラグイン・ハイブリッドの時代が当分続くことだろう。当分といっても、相当長い間、多分、2040年ぐらいまでではないか、と予想している。

 その次は、CNGを燃料とするプラグイン・ハイブリッドかもしれない。


6.2 VWのエンジンダウンサイジングはやマツダのSkyactiveは?

 VWは、加給技術を組み合わせて、エンジンを小型化している。この方法で、大体10%ぐらい燃費が稼げる。一方、Skyactiveの燃費が本当に良いのかよく分からない。

 いずれにしても燃焼技術の改善による燃費向上は必要不可欠である。なぜならば、途上国向けの車は、価格が問題で、ハイブリッドを採用して燃費を倍にしても、高価では買ってくれないからである。もし、途上国向けの車を目指すのなら、このような方式の開発が不可欠である。VWやルノー、さらに、GMは途上国をターゲットとしている。日産は? そして、マツダは?

 これらの技術は、それ以上でもそれ以下でもない。


6.3 ディーゼルは?

 ディーゼルはどうなるのか、と聞かれそうだが、ディーゼルは究極のエコカーにはなり得ない。そこまでの燃費を稼ぐことはできないことと、どんどんと厳しくなる排気ガス規制をクリアーするのが大変であること、それに軽油が安いのは、先進国では日本ぐらいなものだからである。

 ディーゼル・ハイブリッドはもっと良さそうに思える。フォルクスワーゲンの未来車、XL1はディーゼル・プラグインハイブリッドではないか。

 しかし、モーターのトルクは、無回転状態が最大であり、高速になると減少する。ディーゼルの特徴は低速トルクの強大さにあるが、モーターと特性が似ている。

 ハイブリッドは、特性の異なる複数の装置を組み合わせることによって、より高い性能を目指すことができる。そのためには、アトキンソン・サイクルエンジンのような低速トルクの無いエンジンが適している。選択肢が、ガソリンエンジンになることを意味している。


6.4 軽自動車・超小型モビリディーは?

 電気自動車は、すでに記述したように、超小型モビリティーが普及するが、軽自動車の全体を代替するには役不足である。一家に一台という場合には、やはり、小型のハイブリッドが普及するかもしれない。ところが、小型エンジンをハイブリッド化しても、燃費上のメリットが出にくい。さあ、どうするのだろう。

 アコード式のハイブリッドの方が、自由度がありそうだが、重量増と価格増という宿命があるので、軽自動車には向きそうもない。やはり、小型は、ワンモーターの簡便型ハイブリッドになるのではないだろうか。すでに、軽のエンジンはかなり燃費が良いので、その燃費を5割増しにする程度でも、充分に魅力的な車になるのではないだろうか。


6.5 水素燃料電池車は?

 最終形は燃料電池車なのか。これは、多分違う。なぜならば、水素の性格が悪すぎるからである(軽い気体であること)。水素を700気圧まで圧縮して、車のタンクに入れることが考えられているが、この圧力まで圧縮するためのエネルギーが実に莫大で、エネルギー大消費車になってしまうのである。

 国沢氏も同じ指摘をしていて、「水素を700気圧タンクに充填しようとすれば、電気自動車だと150km走れる電力を使う」、と記述している。

 水素燃料電池車が普及するシナリオは、エネルギーがタダで、なおかつ、環境負荷ゼロで入手できることが条件になる。そんなことは有るわけ無い。いやそうとも言えない。それは、2050年以降、日本が再生可能エネルギー大国になっていて、ほとんどすべての電力が風力と太陽電池によって賄われているとすると、水素燃料電池車は有望である。

 なぜなら、そのために設置される風力と太陽電池の量は、最適な条件だと、必要量の4倍の電力を発電してしまうからである。タダの電力が大量に入手可能な時間帯が出現する。タダの電力で水の電気分解によって水素を作り、高圧にしてタンクに入れておく。電気を貯めるのは大変だが、水素なら比較的簡単に貯めることができる。

 そんな時代になると、水素燃料電池車が走っていることだろう。しかし、2050年でも難しいような気がする。


7. 最終結論

 最終結論である。ハイブリッド車の次もハイブリッド車である。ただし、本格派はプラグイン化されている。超小型の電気自動車も普及しているが、水素燃料電池車の普及は2050年でもまだまだであろう。

 すなわち、先進国における乗用車は徐々にではあるが、駆動用モーターをもったものばかりになるだろう。

 社会システムも変わり、徐々に、燃費の悪い車の税金は高くなるので、純粋ガソリンエンジンのスポーツ車などは、一種のステータスシンボルになるかもしれない。「フェラーリよ永遠なれ!」なのか。いや、レーシング車がハイブリッド化しているので、それはどうだろうか???