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  脱温暖化アクションリスト3 個別編その2 07.23.2006
     



 前々回に引き続いて、ここ2年以内ぐらいに、検討を開始しないと、手遅れになるかもしれない様々な具体的施策を考えてみたい。

 前回、脱温暖化そのものと、水関係についての記述を行ったが、今回は、その続きで、エネルギー・資源関係、世界の貧困問題と人口問題、そして、最後に、すべてに関わること、という順番で行きたい。


C先生:まずは、エネルギー・資源関係。脱温暖化とは言っても、直接的な対応策は、省エネ・省資源ということになるのだから、これは当然。

A君:こんな項目が挙がっていたのですが

3.エネルギー・資源関係
◎化石燃料税の創設
◎都市交通でのロードプライシング
◎高環境負荷車への大気税の課税
◎燃費反比例型自動車税の導入
◎資源の過剰利用を抑える国際的システムの構築(含む国際的リサイクルシステム)
◎無駄な資源利用の撲滅(使い捨て品への環境負荷主張の強制)
◎バイオマスをアジアから調達するための国際関係構築検討

まず、「◎化石燃料税の創設」ですが、温暖化とは言うものの、その根本的原因は、化石燃料を使うということにある。化石燃料であれば、長期的に見れば、実のところ、何を使っても大差ない。天然ガスのように、温暖化への影響が少ないものを先に使ったとしても、そのうち、石炭に切り替えざるを得ないのだから、長期的に見れば、余り変わらない。

C先生:なんでも増税という批判が来そうに思うので、その説明から。

B君:この化石燃料税だけではないが、ここで提案されている税の使途は、世界最高の省エネ技術の開発や再生可能エネルギーのさらに有効な使用法の開発とか、インセンティブ制度の導入など、省エネ・省資源対策にのみ使う。そして、税負担は、ガソリン税などとあわせて適切に設定する。

A君:ガソリン税などの道路財源を、環境目的税にシフトする。

C先生:日本全体で税収不足であることは事実。そのために、日本の財政バランスが完全に崩れている。政治家はそれを認識しながらも、参議院選で勝てないからという選挙対策が優先されて、課税がどんどんと遅れる。政府を小さくすることに国民が本当に同意するのなら、無駄の削減は当然として、あらゆるサービスを減らして、社会保障も減らして、減税を実現することも良い。しかし、日本人のマインドは、未だに大きな政府(=良い義務教育、交番の充実など)を求めていることも事実。さらに、所得税の上限を36%に下げたのは大失敗だったと思う。やはり60%ぐらいで良かったのではないか。

A君:ややテクニカルな話になりますが、化石燃料税も、二酸化炭素発生量によって課税するのではなく、あくまでも、一次エネルギー消費量で課税するべきだと思われます。

B君:ただ、現状の企業のマインドなどを観察すると、温暖化対策だけを対象に見すぎている。

A君:もっと長期的な視点が必要不可欠。温暖化の様子を見ながら、本当に厳しいということになったら、石炭に対しては、二酸化炭素の隔離技術が必要になるかもしれない。しかし、だからといって、天然ガスなら無罪という訳ではない。

C先生:以前もブログの方で問題にしたが、電力の二酸化炭素排出の原単位が問題にされている。環境省が規制とか報告の枠組みを作ると、一次エネルギー消費量なるものを中心にすえた規制・枠組みには絶対にならない。出来ないのだろう。

A君::一次エネルギー使用量という言葉は、経済産業省のもの。それが縦割り行政。

C先生:日本も、再度省庁の再編をもう一度行って、いよいよ「持続可能省」を作る時期になりつつある。これは、3年以内に検討開始、10年で実現といった課題か。

A君:日本の行政は、やることは悪くは無いのですが、動きが遅いのが最大の難点。

B君:次は「◎都市交通でのロードプライシング」。これは自治体の積極的参画という点から必須だろう。ここで肝心なことは、燃費別、乗車人数別の仕組みを導入することだろう。燃費の悪い車を一人で運転していたら高い課金になって、燃費の良い車を例えば4人で載っていたら、課金を相当に低くする。

A君:今なら、ETCみたいなものに、カメラを連動させれば、いくらでも可能。

B君:ここでも、技術的な開発を刺激するために、電気自動車の場合には、課金ゼロといった思い切った対応が必要ではないか。

A君:トヨタが開発中のプラグイン・ハイブリッド、すなわち、コンセントに繋いで電気を貯めて走るハイブリッド車は、どうするのでしょうかね。

B君:そんな問題は、今後、いくらでも起きるETCに持たせる情報をもっと拡大しておけば良いだけなのでは。

A君:「◎高環境負荷車への大気税の課税」は、むしろ、トラックのようなものへの課金を考えている訳で、排気ガス対策の古い車へは、なんらかの課金をというもの。これも自治体の仕事。

B君:乗用車でも、年間走行距離が多い車については、適用した方が良いのではないか。

A君:となると、それぞれの車の年間走行距離までETCに持たせることになって、プライバシーの侵害だとか、色々と問題になるのでは。それに自治体の枠組みだけでは難しいかもしれない。

B君:それなら、「◎燃費反比例型自動車税を導入」すれば良い。軽自動車の税金優遇は、もはや時代遅れだ。

A君:それは誰も文句が言えない。しかし、長距離ドライブする車にもなんらかの対応が必要。

C先生:車ばかりを対象にするという非難が聞こえそうだが、一人当たりのエネルギー消費量にすると、車が対策が絶対的に必要不可欠なのだ。

A君:次が、◎資源の過剰利用を抑える国際的システムの構築(含む国際的リサイクルシステム)

B君:これは、現在の中国のような資源を暴飲暴食している国の存在を考慮した上で、国際的な資源の有効利用の枠組みを狙う。

C先生:ただし、これもなかなか難しい。日本国内のシステムを構築しても、現状だと、リサイクルすべき廃製品が日本国内に留まらない。

A君:国際的な枠組みにいきなり行くと、そのときに起きる問題は、日本国内に折角できたリサイクル産業が潰れて雇用確保が難しくなること。

B君:さらに、日本国内での処理ならば、なんとかなるものが、国外だと不法に処理され、環境破壊の原因になる。

C先生:それに、日本国内ならば、リサイクルされることを前提として、様々な戦略を作ることが可能。しかし、海外でリサイクルされることになると、環境汚染を第一に考えた「RoHS的古さ」をもった枠組みにならざるを得ない。

A君:RoHSも始まったばかりなのに、もう古いですか。たしかに、有害性対策のみを優先しすぎていて、何が適正な利用法なのか、という議論をさせない古さに問題がある。

B君:その話は、繰り返し本HPで主張してきたが、鉛という有害物質を例として考えてみても、過去のひどい状況を考えたら、リサイクルが可能になっている現時点で、電気電子機器にのみ厳しい規制を掛ける理由は見当たらない。

C先生:しかし、海外の状況を考えると、ある程度、有害物質の使用停止も仕方が無いとも言えるが、それは、逆に言えば、中国などの状況を改善するのが先だとも言える。

A君:次が、◎無駄な資源利用の撲滅(使い捨て品への環境負荷主張の強制)

B君:これは、割り箸や紙、あるいは、植物性の油の過剰使用などに象徴されるもので、これも難しい問題は含むものの、徐々に使用量を下げる必要がある。

C先生:割り箸など使い捨て商品は、有料化を義務化すべきだろう。食事の際、塗り箸ならタダ、割り箸にも色々あって、国内産の間伐材を使用した高級品だと、割り箸一膳50円、輸入品なら5円とメニューにあってそこから選択するなど、どうだろう。

A君:政府系の委員会での紙の使用量が多いと文句をいうC先生なら、会議室に無線LANを設置して、その場で資料を受信できるシステムを推奨ですか。

B君:電気の環境負荷と紙の環境負荷。これを比較するとどうなるか、という議論が出そうだ。

A君:それは比較的簡単。例えば、A4の紙1枚が3.5gとすれば、30枚弱あったとして、総重量は約100g。これによって排出される二酸化炭素は、化石燃料起源で150g、バイオマス起源で150gぐぐらいでしょう。75%再生紙を仮定しての話ですが。

B君:ノートパソコンの消費電力が25Wだっとしたら、150gの二酸化炭素の排出までに、まあ10〜20時間程度は使える。会議が2時間だとしたら、確実に排出量削減にはなる。まして、バイオマス起源の二酸化炭素量まで考慮すれば、ますます有利。

C先生:しかし、まあ望み薄。

A君:最期に、◎バイオマスをアジアから調達するための国際関係構築検討

B君:これは、最近の自動車燃料などの動向を眺めての話。ブラジルがエタノール車を使っているのは周知の話。しかし、世界中でエタノールに移行できるほど、バイオマスというものの量がある訳ではない。

A君:毎回述べているように、エタノールの原料は、ある種の食糧ですからね。今後、最低でも2050年までは食糧の消費量は増える。現状の25%増しぐらいを想定すべきだろう。となると、果たして、トウモロコシは足りるのか、大豆は足りるのか。

B君:食糧危機は、車がエタノール化することによって、到来時期が早くなるのは確実。

C先生:そんなとき、アジアのどの国に依頼ができるのか、それだけの国際関係が構築されているのか、という話。日本という国がどんな国だと思われているのか、すぐにばれてしまいそうな話題。個人的には、ラオスとの関係維持をお奨めだが。

A君:それにしても、食糧系でない材料を使ったエタノール合成の研究は面白そう。

B君:確かにエタノールがトウモロコシの茎とか葉っぱとか残りかす、サトウキビのかすであるバガスなどから作ることができれば良い。

C先生:そんなこともあって、最近では、セルロースを分解する菌の研究が盛んに行われている。一つの候補が、木を食べるシロアリ。シロアリの本体ではない。その中に住む細菌。さらに、担子菌などのキノコ類。しかし、これらも果たして旨く行くのか、という疑問もある。さらには、反芻動物の胃に住む細菌。

A君:事情は、生分解性のプラスチック(バイオプラ)でも同様で、原料の供給に限界がある以上、簡単に良いと評価すべきではない

B君:ただし、石油の枯渇が現実のものとなりつつある現在、なんらかのバイオマスの供給先が欲しい。スウェーデンなどは、2020年までに脱化石燃料の実現を早々と宣言。それも、水力とバイオマスという強い味方があるから。

A君:しかし、スウェーデンの鉄鋼業は、本当に木炭でやるのだろうか。

C先生:それはそれとして、水力とバイオマスと原子力で電力を、そして、エタノールで移動用エネルギーというシナリオなのだろう。

A君:スウェーデンも原発を止めるという宣言はしているものの、エネルギー需要が許せば止める、という条件付き。

B君:原発だと、ドイツの状況が見もの。寿命一杯一杯使って廃止といいう方針だが、余りにも現実的過ぎる方針なのだ。

C先生:そのあたりは、政治的な状況の変化でいかようにでも動くだろう。

A君:スウェーデンの脱化石燃料が可能なのは、鉄鋼業を例外として、重工業の無い国だから。ボルボはあるが、あれは組み立て産業。例えばセメントをどうやって作るのか、と言われると石炭無しには難しい。バイオマスではねえ。

C先生:日本で鉄やセメントの製造を完全に止めることは難しい。しかし、無理やりに止めて、食糧を100%自給する。エネルギーの使用形態は平安時代まで戻す。それでなんとか食べ繋ぐというのならそれはそれでなんとかなるかも知れないが。

B君:エネルギーの輸入と食糧の輸入は必須というこの日本という国が何で食べていくのか、その合意がもっとも重要な話なのかもしれない。車を世界に売るのも、まあ、30年ぐらいは売れるだろうが。

C先生:残念ながら、もっと行くだろう。少なくとも、人口がピークになる2050年の20年後の2070年程度までは、車の需要は増える一方だろう

A君:車産業も、電気自動車に行けば、単純な産業になって、ドイツ、日本、といった状況ではなくなるでしょう。

B君:いやいや、電気自動車になれば、すべて日本製になるとも言える。それは、磁石、電池などの基本的な製品が日本製になるという意味なのだが。

C先生:たしかに電池が鍵なのだ。なかなか良いものが無い。究極の電池と言えば、リチウムと空気を活物質として作動する二次電池か。原理的には、リチウムとフッ素の方が有利なのだが、ちょっと実現不能だろうから。

A君:リチウム−空気でも無理なのでは。

B君:確かに。充電するとき、どんな化合物も破壊されそう。

C先生:まあ良いとして、次に行こう。

A君:話題が変わって、

4.世界人口問題(含む貧困問題)
◎世界人口自然減を目指すODA方針の策定
◎地球環境税のための課税システム(航空機利用、為替取引、資本の国際間移動、などに課税)
◎アフリカにおける教育システムへの直接貢献のための全く新しい提案
◎世界的な地球生態系の適切な保全策

A君:まず、◎世界人口自然減を目指すODA方針の策定から。

B君:この話は、非常に重要なのだが、日本の外交では、この話の重要性が全く無視されている。

C先生:日本の政治家には、いまさらODAか、という意識が強すぎる。

A君:中国などへのODAがやはり国民の支持が得られていないから。

B君:中国はODA卒業で良いのでは。中国には、別の形を考えないと。

C先生:それは、中国へは技術移転を条件に、ポスト京都議定書の枠組みへの参加を要請するといった形だろう。

A君:その他の地域へのODAは、人口が自然減するような条件を満足させること。

B君:貧困、初等教育、子どもの死亡率低下、女性の権利拡大、妊婦の健康、などが実現できれば、それなりに人口は減る

A君:こんな重要なことが日本の新聞に出ることは無い。

C先生:ところが、先日、アフリカからの国連大学国際コースへの参加者にその話をしたら、「それはどうかな」、という。何故だ、と聞いたら、古いアフリカの世界では、子どもの数が男の偉さの象徴だからだという。それだけ子どもを教育しなければならないのだから大変だろう、と言ったら、子どもを育てるのは母親の責任で、父親側の責任ではない、と言う。

A君:ありそうな話。

B君:しかし、まあ、20年もたつと、相当変わっているのではないか。

C先生:ODAへの貢献には、国際的にある約束があるのだ。
 例えば、外務省の文書を読んでみて欲しい。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs/hokoku_gai.html

A君:GDPの0.7%のODAを実施するという約束があって、2015年までにはそれを実現しなければならない、はずなのである。

C先生:その約束は、1970年に最初にできたものであり、その後繰り返し確認され、しかも1992年のリオ・サミットのアジェンダ21にも書かれている。

A君:ということも、日本政府から余り説明されることはない。メディアがこれをタネに政府を攻撃することもない。

B君:駄目なのは、米国、日本、ドイツ、イタリアなど。米国が0.15%、日本が0.2%、ドイツが0.3%、イタリアは0.1%程度に留まっている。

A君:要するに、全く責任感を持っていない国だと見なされている。

B君:一方、軍事費の方は、ODAの何倍も支出している

C先生:例えば、米国が25倍、ギリシャが20倍、イタリアが10倍、日本ですら4倍

A君:軍事費は、どこかの先進国の産業に繋がるから、先進国内で経済効果がある。

B君:ODAは、半分以上は、砂地に撒く水みたいな感じだ。しかし、それでもやらないとならないものは、やらないと駄目なのだ。

C先生:小泉首相も、昨年のグレンイーグルサミットあたりでは、景気の良い援助話をしていたのだが、実際には、財務省の力には負けた。というよりも、言いっぱなしだった。さすがに、パフォーマンスのみの首相なのだ。
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2005/04/23press.html

A君:この話、そのうち、ジェフリー・サックスの本の紹介のときに詳しく議論できるのではないですか。

B君:次に行く。◎地球環境税のための課税システム(国際線航空機の利用、大型船による世界クルーズの利用、為替取引、資本の国際間移動、などに課税)

C先生:これが、財源を見つけなければ、という課題に対する答えなのだ。

A君:先進国が主として経済的な価値を得ている仕組みに対して課税し、得られた税を地球レベルの環境保全と援助に回すという仕組み。

B君:援助としての枠組みなら、すでに、シラク大統領なども提案している。参加国はフランスだけではない。税収は、UNITAIDという国際的な枠組みを通して、医薬品の購入にあてる。金額は大したことはない。フランス発の航空券に、欧州圏内のエコノミークラスなら1ユーロ、それ以外の地域なら4ユーロ。

C先生:最近、飛行機の国際線は結構満員。長距離便のエコノミーで2000円ぐらい、ビジネスで1万円、船の世界一周なら5万円ぐらい地球環境税が取られても、払う側には、あまり影響は無い。この国際的な税金は、色々と試みる時期に来ている。

A君:金持ち国や、個別のお金持ちからお金を取るというのはまあ、当然。しかし、それだけでは不十分では。

C先生:中国・インドなども、その一部の経済活動、特に、資源大量使用型の経済活動に関しては、そろそろ援助側に回ることを考えるべきで、それには世界的に鉱物資源移動税のようなものを課す必要があるように思えるのだ。

A君:残りを急いで。◎アフリカにおける教育システムへの直接貢献のための全く新しい提案

B君:これは、難しい。初等中等教育は、ユネスコがかなりやっているが、難しい。

C先生:アフリカの高等教育の最大の問題は、卒業後、自国内に職が無いこと。ある種の知的産業を創出しないと、駄目なのだ。

A君:知的産業と言えば、例えば、インドのソフトウェア産業を真似するとか。

B君:あとは、アフリカであれば、その地域の植物・動物の遺伝的な資源の特定と活用などが良いのでは。

C先生:工業にはやはり順番があって、いきなり半導体にスキップして作る訳には行かない。インフラの整備が大変だからだ。工業に比較すれば、生命科学分野はまだまだ歴史が浅いので、スキップが可能。ソフトウェアも同様。

A君:バイオとなると、◎世界的な地球生態系の適切な保全策、と絡めた政策を探る可能性もある。

B君:以上で、4.が終わり。そして、

5.以上すべてに関わること
◎大量消費型経済価値観からの完全なる離脱(教育の開始)
◎ゼロリスク社会が存在しないことの教育開始
◎日本産業の向う50年間のビジョン策定(日本は何で食うの?)
◎持続可能な社会構築のための教育カリキュラムの中等教育への導入
◎子どもを社会全体として育てる意識の共有とそのシステムの導入
◎欧米型経済理論の不完全さを全面的な指摘(経済学全体、特に、成長理論の再構築)
◎公平な税制(特に、所得税の最高税率の60%への復帰)

A君:これを議論するのですか。

C先生:そろそろ終わりたい。それぞれ極めて重要。どれもこれも、議論をし始めたら、無限に文字数が必要となりそうだし、すでに、色々と本HPでも主張をしているので。