| クボタによるアスベスト被害 07.03.2005 ![]() |
| クボタが作っていたアスベスト補強セメント水道管製造工程でのアスベスト粉塵が原因と思われる中皮腫なる特殊ながんによって、79名もの死者がでていること。さらに、会社関係者以外にも、周辺住民に発病者がいることが分かった。 日本で、アスベストの被害がこれほどまでに明確な形で出たのは、はじめてなのではないかと思う。少々調査を要するが。 C先生:アスベストの発がん性問題は、やはり1970年代の環境問題ではあるのだが、まだ問題が無くなった訳ではない。 A君:今回のニュースですが、Googleを使って、「クボタ アスベスト」で検索しますと、スポニチに至るまで、ほとんどすべてのネットニュースが取り上げていることが分かります。 スポニチ:クボタ アスベスト問題で見舞金 大手機械メーカー、クボタのアスベスト(石綿)被害問題で、旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民で治療中の患者3人が30日午後、同市内で記者会見し、クボタから見舞金として1人200万円ずつを受け取ったことを明らかにした。 同席した民間団体の「関西労働者安全センター」は「新たな被害相談が寄せられている」と指摘。環境省や厚生労働省も実態調査を始めており、石綿をめぐる被害実態が今後、クローズアップされそうだ。3人は、同県伊丹市の主婦土井雅子さん(57)、尼崎市の会社経営前田恵子さん(73)、尼崎市の自営業早川義一さん(53)。同工場近くで20〜50年程度住み、いずれもがんの一種「中皮腫」を患っているという。 A君:続いて、Asahi.com。長い。 兵庫のクボタ旧工場、石綿疾患で78人死亡 79年以降 大手機械メーカー「クボタ」(大阪市)の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の従業員や出入り業者計78人が、アスベスト(石綿)が原因で胸膜や腹膜に起きるがん「中皮腫(ちゅうひしゅ)」などで死亡していることがわかった。工場では54〜75年、毒性の強い青石綿を大量に使っており、作業中の吸引が原因とみられる。工場の近くに住んでいた住民5人も中皮腫を発病、2人は死亡しており、同社は29日、治療中の3人に見舞金を出すことを明らかにした。 クボタによると、旧神崎工場は、年間540〜7669トンの青石綿を使い、石綿で強度をあげた水道管をつくっていた。当時は危険性に関する認識はなかったという。70年代初頭から有害性が問題となり、同社は75年に青石綿の使用をやめた。 同工場では79年に3人(うち出入り業者1人)が石綿じん肺で死亡したのをはじめ、これまでに78人(同4人)が石綿関連疾患で亡くなった。水道管製造に携わった、在籍が1年以上の従業員は626人で、1割以上がこれらの病気で死亡している。死亡者のうち43人が中皮腫だった。現在、18人の退職者が治療を受けている。78人はほとんどが労災認定されている。 一方、住民被害については今年4月、3人がクボタに健康異常を訴えて初めて発覚した。住民の相談に乗っている民間の「関西労働者安全センター」(大阪市)によると、3人は50〜70代の男性1人と女性2人で、15年以上、同工場の半径1キロ以内に住んでいた。 見舞金は1人あたり200万円。クボタは「発病について、当社の法的責任は現時点では不明と考えているが、中皮腫は石綿を吸ったことが原因で起きるとされ、工場との関連性を正面から否定できない気持ちもある。長年、操業をしてきた地域の住民が苦しんでいる現実に対し、支出を決めた」と話している。 亡くなった患者への弔慰金支出についても内規を決めており、相談があれば検討するという。 神崎工場は98年に撤去が始まり、現在は同社阪神事業所となっている。 同社は同工場以外に全国4カ所の工場で石綿を使っていたが、いずれも毒性が比較的弱い白石綿のみを使っていた。これらの工場で働き、石綿疾患で死亡した元従業員は小田原工場(神奈川県小田原市)で働いていた1人という。
A君:毎日新聞が、こんな例を出しています。 アスベスト: 同社によると、39〜79年、秩父市の「秩父第一工場」(既に閉鎖)と「同第二工場」で、青石綿と白石綿を使った水道管やセメント管、煙突を製造していた。死亡した16人のうち6人は石綿特有のがん「中皮腫」を発症していた。同社は「近隣住民からの被害の申し出はない」と話している。 石綿をめぐる被害では、大手機械メーカー「クボタ」の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)で働いていた関連会社員を含む78人が石綿関連病で死亡し、周辺住民5人(うち2人死亡)が中皮腫にかかったことが明らかになっている。【青島顕】 毎日新聞 2005年7月1日 13時20分 B君:今のところ、他にもありそうだ。 A君:同じく、毎日ですが、小池環境大臣が、こんな記者会見をやったようです。 アスベスト: 毎日新聞 2005年7月1日 13時16分 B君:その老朽化した建物の解体が大問題だから。過去からの負の遺産の例の一つだが。 C先生:アスベストというものが、そもそも何で、何に使われていて、どんな規制があるのか。そして、曝露経路として何があって、そして、どんな結果が予想されるのか。その基本的な道筋を解説しよう。 A君:本性、用途、規制、曝露経路、予想される影響ですね。了解。 B君:アスベストは、いわゆる毒物とは違う。舐めたら毒、触ったら毒、という訳ではないことをまず理解する必要がある。 A君:そろそろ用途の議論になっていませんか。 用途表 B君:ブレーキ用のアスベストは、なかなか面白い存在だ。ブレーキが利かなくては、人の命が失われる。しかし、アスベストを使うと、これまた人の命が失われる。果たして、どちらをどのぐらい考慮すべきなのか。 A君:(3)規制の話に行きます。関連しますので。 もともと平成7年から、アモサイト:茶石綿、クロシドライト:青石綿を製造、輸入、譲渡、提供、使用することが禁止されていました。しかし、クリソタイル:白石綿、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの使用はOKでした。 平成15年10月16日、労働安全衛生法施行令の一部改正によって、平成16年10月1日から、以下の10製品について、石綿(クリソタイル:白石綿、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライト)を1%以上含むものは、製造等が禁止されました。 1.石綿セメント円筒:今回問題になったのが、これ。 B君:そうか。平成16年の10月からブレーキパッドも石綿無しと見て構わないのだ。代替品が開発されたということなのだろう。 C先生:最近、高性能なブレーキパッドは、カーボン繊維とカーボンとの複合材料とか、金属とカーボン繊維を接着剤で固めたものなどが使われているのではないか。価格は高いのだろうが、コスト削減よりも、健康が重視される社会になったということだろう。 B君:この規制が、労働衛生関係の規制であるところが、意味深い。例えば、ブレーキパッドにしても、ブレーキを掛ければ当然その中に含まれていた石綿は環境に排出されるのだが、そのときには、すでに形状が変わっていて、毒性物質だとは見なされない。 A君:ただし、建設材料の場合には、やはり石綿への曝露を注意しないと。特に平成7年以前に建築された建築物には、使用されている可能性が無いとは言えないので。 C先生:そろそろ曝露経路の話になったぞ。 A君:(4)曝露経路 B君:簡単だな。水道管に使用されていた石綿補強のセメント管は、もう無くなったのか。 A君:まだ20%ぐらいの水道管は石綿補強のもののようですね。 B君:まあ、水中にアスベストがただよっていても、それを飲んだからといって、何が起きる訳でもない。 A君:それが、 B君:一部の超心配派は、水道水中のアスベストが肺に入ると言うかもしれない。 A君:実際、浄水器メーカーでは、そう言っています。浄水器、特に、逆浸透膜法の浄水器メーカーは、「水道水1リットル中に多い所で実に180万本、平均でも92万5千本ものアスベスト繊維が含まれていました。アスベスト繊維は直径の平均が0.036ミクロンと言う極めて小さなものであり、最も小さなものでは0.02ミクロンしかありません。この様な針状結晶体は、従来の浄水器では除去不可能です。0.0001ミクロンの逆浸透膜を採用しているXXXX浄水器なら微小なアスベストでも除去できます」、といった宣伝をしています。 B君:これに騙される人もいるだろう。口から入ったこのような無機物は、まず、そのまま対外に排泄される。問題無い。 A君:飲料・食物中のアスベストが引き起こす人体影響は、疫学で結果が出せるほどのものになるとは思えない。 B君:まあ、屁理屈を言っている浄水器にはご注意を。そんな嘘をつくようなメーカーのものだと、浄水器としての基本性能そのものが怪しい可能性があるので。 C先生:日本で、青石綿:クロシドライトの使用量がもっとも多かったのが、1974年のことらしい。となると、40年間の潜伏期間だとすると、2014年ぐらいまで、悪性中皮腫なる病気は増える可能性がある。 A君:短期高濃度曝露の場合には、潜伏期間がもっと短いのではないでしょうか。 B君:今回のクボタの事件、小野田セメントの報告などをもう少々解析しないと分からない。 C先生:この他にも、イグサを染色する泥、しかも熊本県八代産の染土の中に、石綿が混入していてうという話があって、その染色業には、中皮腫が多いとか。 A君:読みました。しかし、畳屋には別に中皮腫が多いということは無い。 C先生:アスベストの話は、かなり特殊な病気がでることが特徴なので、比較的因果関係が分かりやすい。そのためもあって、今回、クボタは、住民にまで多少の見舞金を出すことにしたのだろう。本HPの読者の中に対象者が居るとは思えないが、もしも、悪性中皮腫なる診断を受けた場合には、なんらかの原因追求を行った方が良いかもしれない。 |
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