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       脱炭素、世界的に加速 01.31.2021
       
  日本でも!、自動車でも!



 世界中のコロナ禍で、人間はなんとなく元気がないのですが、経済関係の『COゼロ』の方向性は、『加速一途』のようです。
 これまでも述べておりますが、脱炭素を加速するには、金融が動くのが理想的。日本の金融界は、それほど脱炭素が必須という考え方を持っていないと思っていましたが、
1月26日(火)の日経のトップ記事が、次のようなものでした。
 脱炭素で企業選別
  野村アセット 300社を評価

 やはり、金融が動き始めているということのようです。トランプ大統領自身はCO
削減などを全く考える素振すら見せませんでしたが、米国ブラックロック社、世界最強の投資ファンドが動いたことで、米国産業界は、すでに、大きく方向性を変えたのだと思われます。
 野村アセットだけでなく、すべての日本の金融関係企業が、CO
ゼロの方向性を取るのも、それほど時間が掛かるとは思えない状況になったと思います。
 
金融がある方向性を取ると、当然、すべての産業がフォローすることになります。CO削減となると、重要な産業の筆頭となるのは、自動車産業です。1月30日(土)の日経に、日本の話ではありませんが、次のような記事が出ました。
 
GM「ガソリン車35年全廃」。そして衝撃的なことには、ハイブリッド車ではなく、すべて純電気自動車 (以下、EV)にするという意志の表明でした。こうなると、世界各国の自動車メーカーは、同様のことを言い出さないと『負け』となりそうです。電気自動車だからといって、COゼロでは必ずしもないのは事実でして、その国の電力の状況に依存する話です。日本での2019年のデータによれば、発電量の内、自然エネルギーが18.5%だったとのことですから、日本における電気自動車化は、CO発生量を大幅に減らすことには、なりそうもないのです。ちなみに、日本における2030年における自然エネルギー導入目標は、24%です。今にしてみると、かなり少ないと言えそうです。そろそろ、この値を増やさないと。


C先生:またまた衝撃的な発表が出た。
GMのメアリー・バーラCEOが発表したようだ。名前から見ると、女性だね。その内容だけれど、完全なCO2ゼロエミッション車にするとのことで、ディーゼルも、ハイブリッドも作らないということのようだ。というと、全車EV(電気自動車)だということになる。まだ、今年から勘定すれば、15年ぐらいあるので、まあ出来ない訳はない。しかし、様々な問題が起きる可能性がある。

A君:その
記事によれば、日本勢は「現実路線」なので、孤立する可能性が高い、という感じの論調になっています。なぜなら、日本は、トヨタにしても日産にしても、ハイブリッド車で当分行けると思っていたから。

B君:
すべてをEV(電気自動車)にするということになるのだけれど、技術的には、それほど難しいことではない。EVなどは、実は、大昔から存在していたので。勿論、様々な問題はあるけれど。

C先生:本日の議論としては、日経の
その記事の『小見出し』に、「現実路線」日本勢孤立も、とあって、危機感を煽っている「車のすべてをEVにすること」が、副作用が出ることはないのか、さらに「EVが必ず勝者になるのかどうか」、そんな議論をすべきではないか、と思う。

A君:そうですね。
EVだけにするとどのような問題があるか。どのような状況になると考えられるのか、それを視野をできるだけ広くして議論するのでしょうね。

B君:
EVというと先進的だと思う人が多いかもしれないけれど、実は、1828年にハンガリーのアニオス・ジェドリックが発明した。一方のガソリンエンジン車は、カール・ベンツが1886年に発明した。電気自動車の方が歴史が長いのだ。

A君:確かに歴史はそうなのです。日本人だと余り感じないとは思うのですが、
このところの欧米の感覚としては、COを出す技術を使うことは、すべて”『正義』でない=『罪悪』である”。これは、パリ協定が『気候正義』という言葉で縛りを掛けたからそうなったとも言えるのですが。

B君:パリ協定の
『気候正義』は、地球上の人口の過半数である一神教徒(キリスト教、イスラム教、ユダヤ教)を縛るために『正義』という言葉を使ったことが、ある意味で大正解だったのだ。一応、キリスト教徒であったトランプ元大統領のような考えを持つ人も存在していたけれどね。

A君:
トランプ元大統領を支持しているキリスト教徒は、福音派と呼ばれる人々ですが、しばらく前の話ですが、福音派の大手誌「クリスチャニティー・トゥデイ」のマーク・ガリ編集長が、トランプ氏元大統領の罷免を求める社説を発表して、大騒ぎだったらしいです。

B君:ガリ編集長が、これまで熱烈にトランプ氏を支持してきた福音派の信者を批判したら、
アメリカのキリスト教徒の間で激論が起きた。結果的に、ガリ編集長の社説に沿って、今後トランプ氏の支持をやめると宣言する人々、その反対に、ガリ編集長を批判しトランプ氏の擁護をさらに強める人々、に分裂したらしい。

A君:トランプ親派と言う存在は、ほぼ福音派から構成されていると思うけれど、それがどのような集団だ、と聞かれても、
そう簡単に説明ができない集団だったと思いますね。なんといっても、福音派は、福音書、すなわち、旧約聖書と新約聖書に書かれていることしか、事実として認めない。従って、進化論などはトンデモナイ理論で、自分の祖先はアダムとイブだと心から思っていますからね。まあ、ある意味で、米国人は、守旧派の代表ですね。

B君:まあね。『アメリカFirst』を何の疑問もなく支持できる人々だ。
 
話を本論に戻すけど、日経のサブの見出しが、『乗用車、全車種電動化の目標〜ハイブリッドも手掛けず』となっている。これは事実を報道しているとは思うが、実は、ハイブリッド車の完成形を作るのには、相当の技術の変化が不可欠で、恐らく、GMにしてもFordにしても、ハイブリッド車で完成品と呼べるようなものは、すぐには作れないと思う。トヨタのハイブリッドだって、最初のモデルが公開されたのが1995年。プリウスとしての販売開始は1997年12月から。

C先生:
個人として初代プリウスを買ったのが、1998年4月だったと思う。その前まで乗っていたのが、日産のマキシマなる3リットルの中型車だったもので、「随分小さな車にしましたね」と良く言われた。大排気量の車が「カッコ良い」時代だったのだ。そのころから、文科省の環境学を作るプロジェクトに関与していたもので、車も環境対応にする必要があったということもあってプリウスに変えたのが実態。
 しかし、
初代のプリウスは、当たり前とも言えるけれど、かなり完成度が低かった。ディーラから保守が必要です、と言われて持って行くと、実は、保守といいながら、実は、電池の交換を2回ぐらいやったような記憶がある。その当時は、ニッケル水素なる電池だったが、現時点では、リチウムイオン電池が主力なのではないだろうか。もっとも、最新の4代目プリウスでも、ニッケル水素版とリチウムイオン版があるようだ。その理由は、使い分けが行われているからのようだ。例えば、雪国が主な対象となる4輪駆動のモデルは、低温特性が良いニッケル水素電池を使っているようだ。

A君:プリウスも完成形になるまで、結構、時間が掛かったのですね。

C先生:そうの通りだ。
初代は、かなり問題があったと思う。しかし、第二代からは、完成度が急激に向上した。そして、第三世代でほぼ完成したと言えると思う。と言うことは、現時点で、GMが電動化を始めるときに、ハイブリッドから始めることは、あり得ない。なぜなら、プリウスのような複雑怪奇なハイブリッドシステムを作ることは、時間が掛かってとてもやっていられない。それに比べれば、純粋のEVは構造がシンプルで、設計もかなり楽だから。

A君:まあ、電池が多少難しいですけどね。

B君:それはそうだ。
EVというと作るのが難しいと思うのは、大間違い。性能が良く、寿命の長い電池を、普及できる程度のコストで作るのは難しいかもしれないけれど、先ほど述べたように、ガソリン自動車よりEVの方が歴史的に古いぐらいなのだ。

A君:それに、
必要なパーツもEVの方が圧倒的に少ないですしね。モーターの回転数は、例えば、日産のリーフだと、3283〜9795回転だそうで、通常のガソリンエンジンは、まあ、アイドリングだと700回転ぐらいで、最高出力が出る回転数は6000回転以上ぐらい。しかも、低回転だとトルクが出ないので、ある程度、回転数を上げてスタート。一方、モーターの場合には、回転数ゼロのときに最高トルクが出て、最高回転数だと、トルクはゼロに近くなる。発進時にトルクが必要な自動車用としては、モーターが適正があります。

B君:要するに、
EVとガソリンエンジンでは、トルク特性が全く違う街中の運転が主な用途の車であれば、排気ガスがゼロという特性に加えて、トルク特性から言っても、EVが適している。しかし、旅用の車としては、充電時間が長いEVは向かない。ドイツでは、充電電圧を800Vにして、急速充電が可能なようにしているとのことだけれど。それでもガソリンスタンドの方が満タンまで時間が短いだろうが、CO2を出すので、水素にするのが妥当かもしれない。

C先生:
話を電池に戻すと、大分前のことになるけれど、JSTの研究プロジェクトに関連して、いくつかの大学の研究室を訪問したことがある。そのころから、電池の未来形は、全固体電池だろうということが共通的理解だった。

A君:固体電池の弱点は、イオンの移動速度が遅くなること。となると、大出力の電池を作るのが難しい。しかし、大きな経済的な価値を持つであろう固体電池の研究者は多いですから、そのうち、実用化されるのでは。

B君:現時点で固体電池というキーワードでWebを検索してみると、色々な記事があるね。
『「全固体電池」の容量倍増に成功! EV搭載で航続距離大幅アップに期待かかる』
https://newswitch.jp/p/25702
『次期型「プリウス」は超絶進化? トヨタが「全固体電池」に全集中する訳とは』
https://kuruma-news.jp/post/328618

『ついに「全固体電池」が実用化へ? EV普及の鍵となる研究成果から見えてきたこと』

このサイトをアクセスするとメンバーになる要請が出ますので御注意を!
https://wired.jp/membership/2021/01/15/quantumscape-solid-state-battery/

A君:
将来は全固体電池になるのが、既定路線でしょうね。従来型ともっとも性能的に異なるのことが、安全性が高いことでは。特に、火災発生の可能性が低いこと。

B君:
電気自動車のもう一つの弱点が、ガソリンなどの液体燃料より、エネルギー補給に時間が掛かること。ガソリン満タンなら、ほぼ空の状況からでも、数分で終わる。しかし、電気の充電となると、バッテリー・スワップ(バッテリー交換)が普通になれば全く状況は違うけれど、将来でも15分で満タン状態にできるとは思いにくい。30分ぐらい見なければと思う。

A君:現状だと例えば、
テスラに搭載されている100kWhの容量を持つバッテリーを240VのAC電源でゼロから充電すると、14時間かかるのが常識。夜に充電する以外にないけど、14時間というと、夜8時に宿泊地に到着したとして、翌日のスタートは10時になる。

B君:現在、
充電器の分類があって、レベル1,2、3と呼ばれている。
 
レベル1は、アメリカだと120VのAC、ヨーロッパでは230〜240VのACの家庭用コンセントを使うもので、充電速度は最低。

A君:
レベル2は、充電ステーションで、240VACか400VACを使う。そして、レベル3は、400V3相AC電源を使う。すなわち、工場の電源と同等になる。これで、やっとガソリン並の時間で満タン。しかし、この装置は、なかなか複雑なものになるらしいです。

B君:
さらに高圧の充電器も考えらえていて、650V,950Vなどがあるらしい。

A君:
日本の場合どうなるか。自宅では200Vまででしょうね。となると、自宅用、充電ステーション用とコネクターが2種類ある形にしないと。

B君:最近、
電車などの制御には、Siではなくて、SiCの半導体がすでに使われているようだ。必要となれば、進化する未来のプリウスの半導体は何を使っているのだろう。

A君:
『トヨタがSiC半導体によって、次期型プリウスの燃費を10%向上させる』、という記事が、2014年5月に出ています。ただし、2世代先のプリウスや次期型アクアに採用ということなのです。

B君:
ところが、2018.12.17の日経XTECHの記事に、『トヨタがパワー半導体戦略を転換、SiCから新型IGBTへ』というものがある。2020年ごろから変えるとのことだった。しかし、実際にはSiCウエハーが不足して、採用は見送られたという。

A君:
IGBTは、Insulated Gate Bipolar Transistorの略でして、ある種のトランジスターです。日本語で本名を書くと、絶縁ゲート型バイポーラトランジスターで、チンプンカンプンですね。

B君:兎に角、
電圧定格で400〜2000V,電流定格で5〜1000Aの製品が実用化されているとのこと。IH炊飯器にも使われているとのことです。

C先生:そろそろまとめに行こう。

A君:了解です。
ガソリン車を全部電動車にすると言っても、そう簡単ではないですね。SiCの半導体がウエハーが足らないからできない、などという状況が起きるようでは。

B君:しかし、
総体としての動向は、確実に電動車両に向かうのではないだろうか。それは、CO排出量ゼロを考えると、社会全体としては、風力などの自然エネルギーを大量に導入して、その電力をバッテリーに蓄えて使っているのが、未来社会において、各企業や家庭のやっていること。そして、自動車も、バッテリーにその電力を蓄え、そして走行用に使っている。これ以外の解は無さそうに思えるのだ。

C先生:ただし、
各家庭にバッテリーが設置されるには、まだ少々先のことになりそうに思う。まず、まだかなり高価。しかも、相当に重たいので、設置場所も自由自在とはならない。そこで、電気自動車がバッテリー代わりに使われるという状況が起きるような気がしている。今、所有しているプリウスも、実は、非常時に、出力はたった1500Wではあって、また、エンジンを回す必要があるが、発電機として使えるということも、所有している理由の一つなのだ。非常事態への対応として、各家庭がEVを持っていると言う状況が実現すると、非常事態におけるエネルギーにも有効に使えると思える。例えば、日産リーフであれば、40か62kWhのバッテリーを搭載しているが、1500Wぐらいの電力を使い続けたとしても、丸一日は持つ
 ということではあるけれど、
ガソリンエンジンがすべて電動になると、心配なこともある。それは、何らかの元素資源が枯渇しないか、ということ。どの元素がもっとも危ないのか、それは、本日現在は未検討だけれど、いずれ、そのような視点での検討もしなければならないと思っている。
 ということで本日は終了。