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  食品リスクと思い込めば「健康」に?   03.22.2009
     



 最近の新聞、健康食品やサプリメントの広告が増えたと思いませんか。さる新聞記者に聞いたところ、大企業からの広告が減って、そのために、これまでだと掲載されなかった健康食品の広告が出てしまうのだそうで。

 しかし、健康食品やサプリメントですが、有効とされている成分の中身を皆さんどのぐらい知った上で買っているのだろうか。

 ちょっと調べてみただけでも、大変な種類のサプリメントがあるが、その効果の本当のところは一体どうなっているのだろう。


C先生:今日のテーマは、思いこむことで「健康」になれるかという話。
 しかし、その前に、若干の追加をしたい。先週のHPでは、子どものぜんそくにも、親の思い込みが利いているのではないか、という推測について述べた。
 まずは、その続きで、リスク感覚あたりから行くか。まず、リスク感覚は思い込みで支配されているかどうか。

A君:市民のリスク感覚は、どうみてもメディアの報道によって大きな影響を受けているということは確実なのではないでしょうか。

B君:なんとなく怖いという感覚を得ることは出来るのだら、しかし、何が本当に怖いのか、それは多分分からない

A君:水道水を飲まない人が増えたのも、やはりメディアの報道が原因だったのでしょうね。

B君:しかし、小島正美氏の「危ない話」の本でも明らかなことは、メディア情報だけでは、なかなか本当のところは分からないということだ。

A君:一方で、不安な報道はどんどんと増える。食品に関する事件が多数起きる。特に犯罪そのものである中国製ギョーザ事件、さらには、中国国内では相当な被害がでたメラミン事件などなど。

B君:その中国関係の事件を犯罪だというのは、もっと正確に述べれば、実は傷害罪=健康被害という意味で犯罪。それ以外にも犯罪はあって、それは、食品偽装。産地はもちろんのこと、どのような肉を使っているかのか、といったことも偽装してしまう。

A君:それから、三笠フーズの農水省事故米の食品への転換といったこともあった。これは、当然犯罪ではあるのですが、傷害罪とみなすほどの危険性はなくて、農薬のポジティブリスト化が行われたために不合格になった米に関する不正なので、リスクが増えているということではなかった。

C先生:事故米に関するコラムは、日経エコロミーに2008年9月17日に掲載されている。リスクがあるとしたら、むしろ、農薬のメタミドフォスではなく、メディアがほとんど問題にしなかったアフラトキシンの方だろうということだったのだが、かなりの反発を招いたようだ。その理由は、「農水省はけしからんのだ。それを弁護するとは何事だ」。

A君:弁護をしているようには読めなかった。不正は不正。しかし、メタミドフォスが基準値の5倍も6倍も超えているという報道があったが、だからといって健康リスクがあるという量ではなかった。基準値を超していたのは事実なのだが、基準値そのものが、リスクの有無を検証して決められたものではないのだから当然なのですが。

B君:いずれにしても、食品の安全性情報というか、その反対の危険性情報といった方がよいかとも思うのだが、次のように分けるべきだろう。そして、それぞれについて、検証を進める。
(1)故意の有害物混入による障害罪に相当するような食品の危険性
(2)農薬がポジティブリスト化されたために、事故と判定される食品の危険性
(3)産地偽装のような食品偽装にともなって付随的に発生する食品の危険性
(4)残留農薬や食品添加物のような人為的に使用された物質による食品の危険性
(5)細菌やウイルスによって汚染された食品の危険性
(6)自然界のメカニズムによって有害物質を含む食品の危険性
(7)健康食品として有効と思われる成分を含むゆえに生じる食品の危険性
(8)ダイエットを促進する機構があると思われているが、その機能のために生じる食品の危険性
(9)ヒトの消化メカニズムとの関係で生ずる食品の危険性
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(10)上記以外の食品で完全に安全なもの。

C先生:そんな分類で良いと思うが、ここで重要なことは、すべての食品は、少数の例外を除いて、実は(1)〜(9)に分類されるものばかりで、上の(10)に該当する食品は、ほとんど皆無ということだ。

A君:これもこの手の話題になったときの毎回の主張なのですが、食物は人類のために作られた特別の生命を食べているのではなくて、人類よりも先に存在している生命を勝手に若干改良して食べているだけ。だから、完全に無害な食物などは無い。

B君:しかし有害な食物であっても、少量であれば、かえって逆に良い場合もある。

A君:食物を植物性だとすると、植物にとってもっとも迷惑なのは、虫が寄ってくること。その被害を防ぐために、葉っぱに毒性のある物質を用意するのが普通。酸の類であることが多い。例えば青酸。シュウ酸とかカフェ酸とか。

B君:植物にしてみれば、虫には受粉などでお世話にもなっている。だから、甘い蜜などを用意することもある。さらに、種子などは、動物に食べてもらって、いろいろなところに運んでもらうことが必要。したがって果物は食べることができることが多い。

A君:種子そのものも食べることができる場合が多い。たとえば、穀物がそれに相当する。

B君:種子の場合には、わざわざ防衛のために有害成分を加えるといった細かい芸を出す余裕が無いのだとも言える。

A君:こんな考察から第一原則とでも言うべき原則が出る。
 すなわち、食物はヒトにとって理想的なものなどは無い。どの食物も大量に食べれば毒性があり、逆に有害な食物でも、少量ずつ食べれば、なんらかの栄養面での効果があることが多い。

B君:同じ食物を大量に食べるとその毒性がでてしまうことがある。食品起源のサプリメントを摂取するというは、その有効成分とされるものを含む同一の食品を大量に摂取することと同じこと。

A君:だからリスクがある。しかし、最近の市民のリスク感覚は、ほとんど機能しない程度に落ち込んでしまったため、それが理解できない。

B君:最近の傾向として、なんでも○×という考え方がある。ところが、真実を多少とでも調べれば、何事も○×ではなくて、良くても70点、悪いと30点ぐらいであって、100点などということもなければ、0点だということもないことに気づく。

A君:これに気づかない理由の一つは、すでにかなり前からゼロリスクの状態に近いにも関わらず、さらにゼロリスクを求めるためだと考えられる。

B君:さらに、商業主義的な広告などに慣らされていて、疑うことを知らない。

A君:それが不思議。メディアが疑いを掛けると、初めて、疑うべきだことに気付く。そして、バッシングに走る。

B君:それもこれも真実を知ろうという努力が足らないからだ。

A君:しかも、真実はテレビにあるとでも思っている。

B君:テレビの放送がいかにいい加減なものか、それは、あるある大事典などでもう分かっているはずなのに。

C先生:そろそろそんなところで良いだろう。それでは、思いこみで「健康」になれるか、という検討に移ろう。

A君:まずは、サプリメントでしょうね。信じて摂取していれば、本当は効かないのかもしれない。あるいは、実は危ないかもしれないし、逆効果かもしれないのですが、場合によっては思い込みの効果が強くて、健康になったと思える人がいる。

B君:プラセボ(偽薬)効果。これが結構強いもので、厄介なのだ。ヒトというものは、思いこみで相当変わるのだ。ダメだと思えばダメになり、良いと思えば良くなる。

C先生:本当なのだ。人間の発がんにストレスが非常に大きく利くことは良く知られた事実だ。ストレスをうまく解消できる人はがんになる確率が低い。もっとも体質の方がもっと利くかもしれないので、ストレスが全くなければがんにならないというものでもない。

A君:酒の効果は、かなりの部分がストレス解消なのでは。酒の有害性は、誰が調べても有りということになる。もっとも有害性はタバコの方が強いだろうが。

B君:それにしても、サプリメントを買う人は、どういうメンタリティーなのだろう。

A君:それは、美しくなりたい、健康でいたい、老化を防止したい、といった願望でしょう。

B君:まあ、プラセボだと知っていて使っている人もいるのかもしれない。

A君:多分そんなところでしょう。有効成分がどのような作用を持っているのか、その詳細までしっかり調べて買っている人は、一体何%ぐらいあるのでしょうか。調査してもらいたいぐらい。

B君:本当だ。健康食品が場合によっては危険であるという主張をわれわれはしているので、リスクをしっかり調べてから購入して欲しいと思う。

C先生:そんなことを書くと、どこで調べたら良いのだろう、という話になる。どこにも報道されていないではないか。

A君:健康食品の有効性を科学的に検証している機関が実はある。それが国立健康・栄養研究所。日本人がどのような食品を摂取しているかといった研究を続けている機関だ。


最近の健康食品のリスト
http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv.html#Jw06


ヒアルロン酸
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail573.html

コンドロイチン
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail580.html

コラーゲン
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail23lite.html

カルニチン
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail603.html

α−リポ酸
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail714.html

ノコギリ椰子エキス
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail70.html
 

DHA
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail32.html

アラキドン酸
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail555.html

グルコサミン
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail24.html

ゴマ(セサミン)
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail95.html

バナジウム
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail724.html

プロポリス
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail135.html

アルギニン
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail601.html

イチョウ葉エキス
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail116.html


C先生:さて、この文章だが、もう少々なんとかならないのだろうか。分かる人には分かるが、分からない人が多いだろう。

A君:もっと噛み砕く必要がありますが、どうも、このデータベースは引用禁止なので、記述がやりにくいですねえ。

B君:やはり、多少の一般則を考えて、それでまとめとするのが良いのではないか。

C先生:日経エコロミーのコラムに、多少気を使った文章を書いた。物質名を隠して、こんな記述があったら買いますか? という表現をしてみた。

A君:これですか、これもかなり苦しいですねえ。

B君:しかし、同じことをこちらにも書くのはさらに気が引ける。

C先生:ということにして、日経エコロミーにつかった理解法をこちらにも掲載しておこう。

サプリメント理解のための最低限の知識

(1)通常の薬などは、口から摂取したままの形で吸収されるが、それは、腸壁などを通ることができる小さな分子だからである。

(2)タンパク質は、アミノ酸という小さな分子に分解されて吸収される。

(3)でんぷんなどは、糖が数多く結合したものであるが、これは糖に分解されてから吸収される。

(4)脂肪類は、脂肪酸に分解され吸収される。

(5)サプリメントには食品に近いもの、例えばコラーゲンのようなものと、そのまま消化されるアミノ酸のようなものがある。

(6)アミノ酸や糖類のように50〜100個ぐらいまでの原子からなる分子であれば、そのまま吸収される可能性が高い。

(7)しかし、多糖類と呼ばれる物質や、タンパク質は、分解されてしまうので、単に原料を供給する役割しか果たせない。合成して元の物質に戻せるかどうか、それは人の合成機能に掛かっている。老化していれば、その機能も老化している。

(8)若い人が、サプリメントを長期間摂取し続けると、有用物質を合成する能力が低下してしまう危険性がある。

(9)妊娠中、授乳中は、サプリメント類を避けるべきである。

(10)食品というものは、単一の食品を大量に、しかも、そればかり摂取すると、害が生ずることが普通である。
 サプリメントを摂取し続けるということは、これをやっていることと同じである。

(11)食品は、大量に摂取すると有害なものでも、少量ずつ摂取するのであれば、かえって有用であることも多い。すなわち、多種類の食品をバランスよく摂取すること、これが、食に関するほぼ唯一の正解である。

(12)ダイエット系のサプリメントも、機能は限られている。
 なぜなら、体重は次の量で決まるからである。
 体重増加=摂取した食物の栄養量−排泄によって体外に出る栄養量−体温維持・運動によって消費した栄養量

(13)ダイエット系のサプリメントの機能としては、排泄によって体外に出る量を増やすものが多い。すなわち、下痢症状を引き起こすという効果である。