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  大画面テレビ 環境買い物案内2 12.23.2006
     



先日、エコプロダクツ展で講演をすべく東京ビックサイトの会議棟に出かけたとき、国際展示場駅のそばのパナソニック館に入って、103インチのプラズマテレビを拝んできた。まあ、恐るべき大きさである。

これを買う日本人は居るのか。600万円ぐらいらしい。買うだけなら、なんとかなっても、これが居間における家に住んでいる人は日本に何人いるのだ。

話はさておいて、最近の大画面テレビの環境買い物案内を。



C先生:本HPで薄型テレビを取り上げたのは、自宅のテレビを47v型のリアプロジェクション型に変えた2005年5月。
http://www.yasuienv.net/EcoPremium/EPFlatTV.htm

A君:そのモデルは、ハイビジョン対応ですが、いわゆる720pというモードです。縦走査線が720本、それを一方向に操作していくタイプ。プログレッシブと言う。

B君:その当時、三菱から縦方向画素数1080本のフルハイビジョンモデルが出ていたが、それは特異な存在だった。ところが、現時点では、ほとんどすべてのメーカーが1080iあるいは1080pというモードに対応している。iはインターレース、すなわち、一本おきに走査をしていくタイプ。540本まず走査し、そして、次にさきほど描かなかった間の540本を走査する。

C先生:720pと1080iだが、画質としてそれほど違うのか、と言われると、それが分かる人はほとんど居ないと思うのだ。しかし、シャープが、「フルスペックハイビジョン」という名前を使って縦1080本を売り出して、他のメーカーの製品がいかにも中途半端なスペックであるかのごとき名前を使った。これには他のメーカーも参って、1080本モデルを続々登場させているような状況。

A君:シャープは、除菌イオンエアコンでも他のメーカーを怒らせた。今度は、本業の液晶テレビでまたもや怒らせた

B君:プラズマテレビは、以前は、画素数が余り多くなかった。縦の画素が、パソコンのXGAと同じ768画素のものが多かった。それ以下のもあった。それでもそれなりにキレイだった。

C先生:日本人は、なぜか実質よりもスペックで製品を買うという習性があるように思えるのだ。人間の感性など、それほど微妙な違いが分かる訳ではない。特に、テレビの場合のように、送られてくる元の画質が必ずしも完璧ではないので、そんなに気にするほどもない。

A君:普通のDVDだと、480pという画質ですからね。DVDは画質が良いなどと思っている人が未だに多いのですが。

B君:これまでの普通のテレビだと、解像力も、300本程度。400本は苦しい。そんな品質がテレビの絵だと思っていると、最近のハイビジョン画像は、どれを見てもすごい。

A君:まだまだ放送局側のソースの質が追いつかないので、受信側の機器のスペックばかり問題にしても仕方が無い。ただ、5年後には、放送そのものが相当良くなっているでしょうから、機器は先行している必要があるとも言えますが。

B君:NHKのBS−Hi(ときに他の民放のBSも)、その画質は、DVDの画質を圧倒的に凌駕している。その他の地上波デジタルでは、本当に良い画像だと思えるのは、スタジオからの中継ぐらいなもの。

A君:ハイビジョン対応については、現時点では、DVDレコーダがもっとも遅れている。HDDレコーダはかなり1080本対応になったけれど、BlueRay−DVDの製品が数種、HD−DVDの製品が1種程度しか市場に出ていない。

B君:価格も20万円は覚悟しないと。

C先生:ハイビジョンの画質は、すでに古いとも言えるエプソンのプロジェクションテレビの場合でも、ソースが良ければ、単にそれを見ているだけで本当に楽しくなるぐらいの画質。47インチの画面でも小さすぎたか、というぐらい。だから、この映像を録画して手元に保存して置いておきたい、と極く自然に思うことが多い。特に、世界の遺跡とか、国立公園とかの画像は素晴らしい。
 ところが、現時点では、DVDに落とすと、圧倒的な劣化が襲って来るので、ioデータのHDDレコーダRec−POTの250MBのものを使っているが、これだと永久保存は不可能。はやく、10万円ぐらいで買えるBR−DVDかHD−DVDレコーダが欲しい。

A君:まあ、それはそれとして、まずは何にしてもテレビがハイビジョン対応で地上波デジタルでないと。

B君:画面のサイズは?

C先生:ハイビジョンの映像だけを楽しむのなら、やはり大きい方が良い。6畳間でも長辺の距離で見るのなら40インチがミニマムか。しかし、地上波デジタルでも、普通のTVカメラで撮った絵が放送される。このような場合には、カメラワークが乱暴であることが多いので、大画面だと酔う。気持ちが悪くなる。民放のバラエティー番組などを見ることが多い方は、そのような番組は一般に非常に乱暴なカメラワークなので、小さめの画面をお奨め。32インチか。一方、ハイビジョンの映像しか見ない、と決めたら、部屋に入る範囲内で、できるだけ大きい画面の機種をお奨め。勿論、後で述べるようなもっと重要な選択要素があるが。

A君:要は、何を見るかですか。野球・サッカーなどの中継もハイビジョンはキレイですよね。このようなスポーツ番組でも、ハイビジョン中継は、本当のカメラワークが違う。落ち着いた撮りかたをしている。

B君:映画も、DVDで見るよりは、ハイビジョン放送で見る方がキレイ

C先生:画質というもののもつ価値が活かせる番組、活かせない番組があるということ。画質の違いは、と言えば、まあ、一眼デジカメの画像と、携帯電話の画像ぐらいの差があると思えば良いだろう。

A君:さて、最近の動向を見てみますか。
 まず対象メーカーですが、一応、大画面ということに限定して、まあ40インチ以上を基準に、例外的に37インチを。

プラズマ軍団:パイオニア、日立、松下
液晶軍団:シャープ、ソニー、東芝、ビクター
リアプロ軍団:ビクター、ソニー、エプソン

通常のスクリーンを使うタイプのプロジェクタもあるのですが、まあ、マニア向けということで、今回は対象外。

B君:インターネットで最新機種の仕様を集めて、それで集計。

A君:一応、36機種集めました。



図1 大型テレビのデータ。価格は、価格.C0Mの最低価格。量販店での実売価格はこれよりも多少高いものと思われる。

C先生:こうやってみても、余り良く分からないが、まず、解像力のところが要説明だ。

A君:このような大型テレビは、どの方式にしても、液晶、あるいは、プラズマのセルの数が決まった数です。パソコンのディスプレイがその良い例ですが、普通のノートパソコンが、1024×768。これをXGAと呼びます。縦に768個の画素が並んでいて、横には、液晶、PDPともに1024×3個の赤、青、緑の画素が並んでいます。これで色を出す訳です。全体としての画素の横縦比は4:3になっています。
 しかし、大型テレビは横縦比が16:9。縦の素子数で比較する場合が多いのですが、パソコンと違って、動画を出すものなので、物理的な画素数と画面としての解像力とは、若干自由度があります。昔、液晶は、縦は720素子だったのですが、現時点では、主力が1080素子になりました。
 PDPは、768素子、720素子のものが多かったのですが、最近になって、1080素子のものが出てきました。
 リアプロは、液晶は、基本的にモノクロの液晶でして、これを3枚つかって、赤、青、緑に分けた光をそれぞれ制御しています。素子数は縦720か、1080のいずれかです。

C先生:多少追加すると、液晶、PDPについては、3色の画素があって、それをヒトは様々な色だと認識している。拡大鏡で見ればそれが良く分かる。しかし、リアプロの画素は、最初から多色がでる方式なので、画素数が少ない場合には、リアプロの方式がキレイに見える可能性が高い。もっとも、すでに述べたように、画素数が問題になるような絵が放送局から送られることは希だし、DVDの画面は解像力が低いので、余り問題にならない。

A君:液晶とPDPとの比較では、動きが激しい画面では、PDPの方が追従が良くて、液晶は残像が出ると言われてきました。最近では、液晶も改善されてきました。ただ、テレビゲームをやるには、PDPの方が現時点でも良いという話があります。

B君:リアプロも液晶板を使ってはいるが、もともとモノクロなこと、さらに、非常に小さいために、応答が気になるようなことは無いだろう。

C先生:それで、古くは、静止画を見るなら液晶、スポーツはPDPと言われてきた。液晶でスポーツが美しいかと言われると、それは、デジタル処理上手さ、下手さによって決まると考えた方が良い。それだけは、実物を見ないと駄目だろう。リアプロも同様。

A君:そろそろ環境に関わる性能比較をしますか。

B君:まずは、消費電力。図2に、3種類のタイプ別の消費電力を示す。LCD=液晶、PDP=プラズマ、RPRO=リアプロ。



図2:消費電力のサイズ依存性。

A君:これから直ぐ分かることは、
(1)液晶、PDPが、画面の面積に比例する。2次曲線。
(1’)リアプロは、ほとんど直線的な関係である。しかも、大型の消費電力は相当少ない。
(2)液晶が環境にやさしいというほど、消費電力が低くは無いこと。
(3)PDPの場合、機種依存が高いこと。

B君:PDPの場合、消費電力へのこだわりの強いPioneerの場合を見ても、縦1080本のモデルが410W、768本のモデルが343Wと、1080本にすると、どうしても多少消費電力が多くなり勝ちのようだ。

A君:Panasonicの最新のPDPは、どうも画質重視らしくて、特に、1080本のモデルの消費電力は相当に多いことを覚悟しないと。

B君:同じ50v型のPDPで、330Wぐらいから600Wまであるのだから、これは、相当慎重に選択されることを望みたい。現時点だと、むしろ、縦768本モデルを選択して買うことだろう。PDPがどうしても欲しいなら。

A君:一方、液晶は、機種依存が少ない。しかし、省電力とも言えず、パイオニアの省電力型PDPとの差は、ほとんどな。当然ながら、リアプロよりは、消費電力は大きい。

C先生:液晶が環境に良いという話は、吉永小百合さんがシャープの広告で話していること。実態は、どうも違うのではないか。PDPの一部と余り変わらないし、リアプロよりも負荷が大きい。

A君:液晶だとプロセスエネルギーが非常に大きいはずで、PDPよりも製造時のエネルギー消費量は高いはず。

B君:PDPの弱点は、ガラスに鉛ガラスが使われていて、有害物だということ。

C先生:もっとも、最新のPanasonicの製品は、鉛ガラスの使用を止めて、ビスマスに切り替えたようだ。勿論、ビスマスも毒物ではあるが。

A君:ビスマスは、しらべても毒性が良く分からないですね。データが無いのでしょうか。

C先生:ビスマスは、昔は、活版印刷なるものの活字に使われていたようだから、もしも毒性が非常に高ければ、労働環境問題が出ていただろう。

A君:となると、多分、液晶のプロセスエネルギーの大きさが利くか、ということですね。

B君:半導体1gをプロセスするのに、ざっと1000倍の重さのCO2が出るとすると、さて、よく分からないが、50v型の液晶に、一体、何グラム分の半導体をプロセスする必要があるのだろう。

A君:52v型ですが、画面サイズが115.2cm×64.8cm。厚みが10ミクロン、シリコンの比重を2.3とすると、大体20gぐらいという計算になります。

B君:となると、20kgCO2か。全く大したことは無い。年間消費電力が300kWhにもなろうとするような機器だから、年間、120kgぐらいのCO2が出ている。

A君:なるほど。大したことはないのかもしれない。

C先生:結論としては、環境負荷は、その95%以上がやはり消費電力ということだな。

A君:さて、何を買うか。消費電力の少ない機種を買うのが、まあ環境行動だと言える。

B君:ただ、画質が悪くてはしょうがないし、価格だって問題だ。

A君:価格とサイズの関係を示しましょう。図3のようになりますが、やはり、リアプロが多少安いようです。液晶とプラズマはややプラズマ優位。



図3:大型テレビのサイズと価格の関係

B君:消費電力も費用に効く。極端に違ったとして、例えば、65v型のPDPとリアプロのように、720Wと270Wだったとして、年間、2000時間見たとする。その差の電力が、900kWh。1kWhを25円で買ったとすると、2万2千円違い。10年間使えば、22万円の違い

A君:10年は使わないとしても、プラズマは5〜10万円以上安くなければ、結果的に電気代でトータル費用が高くなる機種もある。

B君:逆に言えば、リアプロなら、5〜10万円高いものを買っても、お財布への負荷は同じ

C先生:それでは、こんな風に考えよう。「TVの購入に20万円、30万円、40万円出せるとして、画面の大きさは?」 、という考え方。ただし、消費電力も若干考慮する。

A君:図3そのものから読めばよい。
 20万円なら、液晶だと37v型、プラズマだと42v型、リアプロだと47v型が買える。しかし、消費電力を考慮すると、リアプロなら50v型も買えると言える。この違いは大きいですね。
 30万円だと、液晶だと40v型、プラズマだと50v型、リアプロだと57v型が買える。消費電力を考慮すると、リアプロなら62v型も買える。
 40万円だと、液晶なら52v型が、プラズマだと55v型が、リアプロだと、62v型が買える。消費電力を考えても、製品の種類が少ないので、余り変わらない。

B君:40万円というのは、値段が下がった今では設定価格が高すぎる、ということだろう。

C先生:やはり、20〜25万円程度までだろうか。この価格帯だと、消費電力の大小による維持費の違いを考慮して、結論的には、液晶だと37v型かちょっと無理して40v型、プラズマだと42v型、リアプロだと、47v型から62v型まで、自由自在に選択可能

A君:それぞれの画質の問題ですが、最近の価格.comあたりの評判を読んでいただきたいのですが、リアプロはキレイだという評価になりつつあるようですね。
http://kakaku.com/sku/pricemenu/rearprojection.htm

C先生:ただ、見る角度の範囲が狭いのが難点。もっとも、見る角度を狭くすることによって、無駄な方向への光の放散を止め、結果的に光の利用効率を高めているのだから、消費電力を下げるためには、こうならざるを得ないと考えるべきなのだが。特に、上から見下ろすのが駄目。これが店で見るときには、注意を要する点。

A君:問題は、販売店の店員の知識の無さ

B君:ネットなどでも良く言われることだが、店員には自分の売りたい製品があると思わないと。それ以外の製品は、全否定して、自分が売るべき商品を薦めてくる。

C先生:量販店というものには、メーカーからの派遣といった店員も居るので注意を。消費者が自分でしっかり調べる以外に方法は無い。大型テレビは安い買い物ではないので、しっかりと調べるべきだ。

A君:最後に、設置などを考える上で、重さのデータを出しますか。リアプロは比較的軽いですよ。



図4: 大型テレビのサイズと重さ

B君:最終結論に行く前に、消費電力以外に、何か考えるべき要素はあるのか。

C先生:それは、画質が何年持つか。液晶の弱点は、冷陰極管の明るさが徐々に暗くなること。交換するのは、費用的にも、運搬を考えても現実的ではないので、我慢することになる。プラズマは、蛍光体の劣化でやはり暗くなること。これは我慢以外に方法は無い。大体6年から暗くなると思えば良いか。リアプロは電球が切れること。大体1万5千時間ぐらいが寿命。価格も1万5千円ぐらいする。しかし、交換すれば、明るさは戻るはず。反射鏡も時間とともに汚れてくるので、完全に戻ることは無いが。

A君:電気代以外に、リアプロだけは、2万円程度の電球代を考えておく必要がある。

B君:ただ交換すると明るさが戻るのは、利点とも言える。

C先生:そろそろ結論に行くか。こうしてみると、2年ほどで状況はかなり変わった。価格が安くなった。性能は上がった。
 放送の方の画質がまだ追いついていないのが問題だが、映像の美しさを純粋に楽しむには、ハイビジョン規格が絶対的に必要。特別に作られた、美しい映像を送ろうという意図がある番組は、本当に美しい。20万円程度なら、出す価値もあると考えてもよいのではないか。

A君:選択肢の範囲を繰り返します。液晶だと37v型だけど無理して40v型まで、プラズマだと42v型まで、リアプロなら、47v型から62v型から自由に選択可能。

C先生:自由に選択可能というリアプロでも、エプソンの1080タイプの製品は、消費電力が大きいので、お奨めしにくい。
 大きさの選択だが、部屋が最大の要素。もしも、ハイビジョンで放送されている番組しか見ない、というのなら、ちょっと大きすぎるなあと思う機種を買うことをお奨め。すぐに慣れてしまう。しかし、リアプロは比較的軽いと言われても、大きい機種はそれなりに重い。
 ところで、イントロで話題にした、Panasonicの103v型PDPだが、重量345kg、200V仕様で、1450Wという大迫力。うーーん。産油国で売れているのが分かるような気がする。

追加:もしもEPSON製品を買われるのであれば、保証期間の延長をお奨めしたい。なぜか修理代が非常に高額なので。