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  大型テレビの買い物案内その2 04.01.2007
         仕様の読み方 年間消費電力量 省エネ基準達成率
     



 昨年の暮に、大型テレビの買い物案内なるページを作成した。そこで、使ったデータは、製品の消費電力に基づく検討であった。
 http://www.yasuienv.net/BigTVChoice.htm
 最近、電化製品には、様々なラベルが付いている。ある研究者によれば、この世の中に存在している環境ラベルと呼べるようなものは、90種類以上存在しているらしい。
 今回の話題は、大型テレビに関連するラベルの見方。加えて、前回の議論では使用しなかった、「年間消費電力量」、「省エネ達成率」なるものの多少の検討結果である。
C先生:最近の家電は難しい。先日、エコミシュランで「お掃除エアコン」を検討したが、カタログを集めてきても、同一メーカーの機種同士であれば、なんとか比較は可能だが、異なったメーカーの製品の比較は、相当、カタログを読み込み、しかも、かなりの予備知識がないかぎり、正確な比較は難しい。

A君:ということになると、販売店に出かけていって、販売員の助言を仰ぐことになるが、販売員の知識は残念ながら相当怪しい

B君:しかも、この製品は「仕様が良い」から、という推薦を受けるが、それがまた難しい。

A君:最近のテレビだと、1080フルハイビジョン、フルスペックハイビジョンなどといった言葉が使われている。しかし、最新のスペックが本当に必要かどうか、現物をしっかり比較してから判断してもらいたいものが多い。まず、見た目では区別はできない。しかも、多くの場合、一つのスペックの向上のために犠牲になっている部分があるが、その情報は提供されない。

B君:販売員は、それぞれ、どの機種を売りたいか、という意思を持っていると考えた方が良くて、もともと使う側の条件などをよく考えてアドバイスをするという立場の人間ではない。

A君:それはそうでしょう。その販売店の店員である場合もありますが、メーカーからの派遣された販促員である場合も多いので、例えばS社から来ていれば、やはり、S社のテレビを売りたがる。

B君:S社とは??

C先生:しかも、最近の量販店の市場支配力は相当なもので、製造メーカー側が、量販店に遠慮しないと、という状況ができている。例えば、我が家のエプソンの47V型リアプロテレビは、平均的に1万5千時間ぐらいで、ランプが切れる。だから、予備の球が必要。最近の製品には予備が付いているが、家のものは、初期型だから付いていない。青山にエプソンのショールームがあるので、そこで買えるかと思ったら、通販でしか買えない。なぜか。どうやら量販店からの圧力らしい。そもそもこのエプソンの製品は、インターネット通販が基本。これが普通になってしまうと、量販店が不要になってしまう。だから、インターネット通販を行っているメーカーには、量販店から圧力が掛かるらしい。その中身は、「お宅の他の製品を売ってやら無いぞ」、ということらしい。

A君:最近、流通が横暴だ、という話はよく聞く。このあたりをなんとかしないといけない。

B君:もしも、通販を行うことに対して、量販店から文句が付くということが本当ならば、消費者にとってマイナス。公取の介入を期待したいぐらいだ。レジ袋に介入するよりも、その方が社会的な効果が大きい。

C先生:話を戻すが、どの製品の環境性能が良いか、などという観点は、販売員を含め、販売店そのものにほとんど無い。しばしば行くビックカメラの渋谷店には、省エネ製品を売ったために、表彰を受けたといったポスターが張ってあるが、あれは、どうやって判定しているのだろうか。

A君:いずれにしても、消費者は、知識を増やして、自分にぴったりの製品を選択できるようになる必要がある。

B君:エコライフを実践するには、商品知識が必要なのだ。しばらく前なら、無駄な電気は消しましょう、水道水は節約しましょう、冷蔵庫を開けっ放しにしない、電気製品はコンセントから抜きましょう、などなどの簡単な標語を実行することがエコライフだったが、今や、待機電力なども1Wを超す新製品などは無いし、コンセントから抜いておくと、最近の大型テレビのように困るものもある

A君:これは丸秘情報なのかもしれないですが、最近の大型テレビは、実体としてはコンピュータに近い。そして、Windowsがそうであるように、ソフトにはいつでも欠陥があって、完璧な製品などはありえない。そのため、ソフトをアップデートすることが必要。インターネットに接続している機種の場合には、夜中に自動的にテレビのスイッチが入って、アップデートのデータが送られてくると聞いた。これが本当だとしたら、夜中にコンセントを抜いて置いたら、いつまでたっても欠陥ソフトで動くことになってしまう。これは本当なのだろうか。皆さまの情報は???

C先生:そろそろ本題に入ろう。分からないラベルや指標などがいくつもあるのだが、今回、検討するのは、省エネ達成率、年間消費電力量の2つの項目

A君:まず、消費者向けに書かれたパンフレットを見ていただきますか。
http://www.eccj.or.jp/catalog/2006w-h/index.html
ここからテレビに関するパンフレットをダウンロードしていただきたい。
 最初にテレビの上手な選び方として、次のような条件が出ている。

■画面の大きさ(テレビサイズ) 画面が大きいと、見やすく、迫力がありますが、画面が大きすぎると、圧迫感があり目が疲れやすくなります。部屋の大きさに合わせてテレビサイズを選びましょう。一般に、視聴距離はブラウン管テレビの場合、画面の高さの5〜6倍、液晶・プラズマテレビの場合、画面の高さの3〜4倍程度が推奨されています。
■年間消費電力量  一般的に、テレビサイズが大きくなるほど、複数の機能を備えるほど、年間消費電力量は大きくなります。
■機能  VTR、DVD、HDD内蔵のものや、デジタル放送受信対応のもの、画面をはっきり見やすくする機能など、さまざまな機能があります。


B君:画面の大きさだが、まず分からないのが「画面の高さ」か。大体テレビは、CRTならば29インチとか呼ばれていた。最近のものだと、32V型とか呼ばれている。この読み方を知る必要がある。加えて、ワイドとスタンダードがある。

A君:この説明書にも、多少それは書いてあるのですが、「画面の高さ」というものの数字がその後、どこにも出てこない。極めて不親切。せめて、後で、具体的な製品の比較が出てくるのだから、そこ、「画面の高さ」を表示すべきですね。

B君:例えば、スタンダードの20Vという液晶テレビだと、対角線が20インチ。画面の高さは、20*3/5=12インチ。と簡単に計算可能。しかし、ワイドだと計算式が面倒になったり、ブラウン管の場合は、実際に見える画面とブラウン管サイズには、誤差がある。

A君:スタンダード20Vだと、「画面の高さ」は12インチ。その3〜4倍が視聴距離だとすると、36インチから50インチまで。中間を取って40インチだとしても、100cmぐらいだから、かなり近いとも言える。ワイド40Vの画面の高さは、19.6インチ。視聴距離は、150〜250cmとなる。だから、ワイド○○V型であれば、○○の数字を4〜5倍した距離(cm)が視聴距離になる。

B君:となると、もし「画面の高さ」の3倍でも良いとすると、6畳間の長辺に置く場合でも、視聴距離は2mぐらいは取れるだろうから、ワイド50Vでも良いことになる。

C先生:実際のところ、それでも良いだろう。実際には何を見るかによるのだ。実際、映画をDVDなどで見る場合であれば、できるだけ大きい画面の方が良いかもしれない。

A君:これで、部屋の大きさで、必要なサイズが分かる。どうも、ワイドタイプの場合には、皆さんが普通に考えているサイズよりも、2段階ぐらい大きいものでも良さそう、という結論になるのではないか、と思います。

B君:しかし、普通にバラエティー番組などを見るのなら、画面が大きすぎると「船酔い現象」を起こすので、注意が必要。

A君:そして、次が、年間消費電力量に注意し、そして、省エネ達成率を使って上手に選択して下さい、というメッセージが出てくる。

買い替えの時には、★の数が多いもの:省エネ基準達成率の高いものを選びましょう!

★★★★★と★のテレビ(液晶テレビ32V型、デジタル放送受信対応)の年間消費電力量と年間電気代の比較

製品A ★★★★★ …年間消費電力量:131kWh 
製品B ★ …年間消費電力量:228kWh

B君:そこで、問題は、この星印がどうやってつけられたか。これが実に、非常に難しい。

C先生:テレビには、サイズだけではなくて、様々な機能が付いている。例えば、VTRが付いている場合もある。しかも、現時点では、アナログ放送だけでなく、デジタル放送もあり、しかもダブルチューナの機種もあり、また、録画用にHDDが付いているものもある。
 そのため、比較する対象をかなり狭く設定してあるのが現実であり、その区分の総数は、かなり多い。

A君:かなり多いといっても、どのぐらい多いか、というと、その決め方を読まないと。
http://www.meti.go.jp/committee/materials/g50602cj.html

 ここに、平成17年6月2日付けのテレビの省エネルギー基準について、議論した、総合資源エネルギー調査会の報告書があります。

B君:これはなかなか読みにくい。72区分のように見える事業者が公平だと思える区分数になっている。消費者向けでは無いようだ。

A君:すごく細分化されているようにも見えるのですが、不思議なことに、液晶テレビだと、画面サイズの一次関数で基準が決まっている。プラズマの場合には、43V未満と43V以上の2つで一応分けてはあるのですが。

C先生:当然ながら、その理由は説明されていて、大型テレビについては、厳しい基準をを適用したいから、ということらしい。それはそれで、妥当だとは思うが。

A君:たしかに、対象となるような超大型製品は少ないのですが、画面面積で検討するのが、理論的には正しい。

B君:社会的には政策が反映していることも正しいので、むしろ、経産省の見解を支持したい。

A君:もう一つ問題だと思うのですが、どんな画面の設定、すなわち、どんな明るさとコントラストで年間消費電力量を決めているのか、というところ。どうやら、各メーカーが標準とかスタンダードとかいった設定を勝手に決めることが可能で、それに基づいて、年間電力消費量が測定されるらしいですね。

C先生:実際のところ、そこが最大の問題のように思える。テレビの場合、やはり、設置の状況やユーザの好みによって、様々な画面の状況が選択されているはずだ。消費電力の大きさは、液晶テレビであれば、バックライトの明るさをどのように設定するかが決定的。プラズマの場合にも、明るさが消費電力のかなりの大きな要因になる。

A君:さらに問題だと言えるのは、量販店での展示状況。画面の輝度を最大にして、しかも、コントラストも最大にして、ギラギラ派手な画面に設定している。この状態は、家庭内で使用される状況とは大きく異なる。

B君:商品の展示は、年間消費電力量を測定する「標準あるいスタンダード」の状態で行わなければならない、といった規定が必要なのかもしれない。それが家庭で実際に見る状態だとすれば、だが。

A君:いずれにしても、年間消費電力量は、測定値みたいですね。それと、消費電力というものとの関係は当然ある訳で、解析をしてみますか。

まずは、年間消費電力量(kWh/年)の定義式です。先ほどの報告書では、t1の次に、もう一つ×があるのですが、これはミスですので、訂正してあります。

E={(PO−PA/4)×t1+PS×t2}/1000

E :年間消費電力量(kWh/年)
PO:動作時消費電力(W)
PS:待機時消費電力(W)
PA:節電機能等による削減電力(W)
t1:年間基準動作時間(h)1642.5(365日×4.5時間)
t2:年間基準待機時間(h)7117.5(365日×19.5時間)

B君:一日、4.5時間動作して、19.5時間は待機している、ということ。これなら、待機電力は分かっているし、状況によってほとんど変わらないだろうから。

A君:年間消費電力から待機電力を引き算して、動作時間で割った電力。これは、上記の式で、(PO−PA/4)に相当する電力と、カタログ上における消費電力から待機電力を引いたものとの比較図を示しましょう。


図1 年間消費電力測定の際の設定(標準もしくはスタンダード)による消費電力とカタログ上の消費電力の比較(%)。しかし、この設定は、かなり暗くぼんやりした設定のようだ。すなわち、この数値が妥当かどうか、実際にユーザからデータを集める必要があるだろう。日本ビクターの値は、正直なものが入っているようにも見える。

A君:少ないものだと、なんと、50%ぐらいということになります。しかし、ユーザは本当に標準状態で視聴しているのかどうか。さらに、PA/4というものは、どうやって測定されているのか、それとも単なる計算値なのか。

B君:なるほど、確かに、PAというものが一つのミソのように思える。しかも、4で割っているが、その理由は何だろう。

A君:少なくとも、報告書に詳しい記述は無いですね。しかも、節電という機能がユーザによって使われているものなのかどうか。

C先生:以前のCRTの受像機には、節電機能があった。それだろうか。コントラストが下がって、ぼんやりした画像になったが。

A君:いずれにしても、省エネ達成率だけで、機種を選択するというのも難しい。

B君:省エネ達成率を見る前に、何が本当に必要な機能なのか、それを見極めることが最も重要
 例えば、HDDによる録画機能ぐらいは、必要な不必要かすぐ分かるのだが、ダブルチューナーは必要なのか。はたまた、先ほどから述べているように、1080のフルハイビジョンが必要なのか

A君:データをつくづく眺めると、やはり、フルスペックハイビジョンにすると、消費電力が高くなるですね。どのぐらい、というのも難しいのですが。

B君:スペックをしっかり見て必要なものだけをもっている機種を選定し、そして年間消費電力量を眺め、さらに、消費電力も眺め、そして選択をしなければならない。だから、難しい。

C先生:日本人の特性、「性能が良いものを買って置けば、想定以下の使用法の場合にもちゃんと動くだろう」、は駄目で、今後は、「特性の良いものを買うと、不必要な機能のために、無駄な電力を消費している」、に変わる必要がある。これが、エコライフを送るための条件である。

A君:加えて、ヨーロッパのEuP指令のように、かなり哲学的な規制を作って、最終的には、資源採取時から製造時、そして、廃棄時に至るまでのすべての環境負荷がラベルとして見えるという仕組みが必要ですね。

B君:液晶テレビの製造のためのエネルギーは、プラズマの10倍という説もある。本当かどうか不明だから、是非とも開示していただきたい。→各液晶テレビメーカへ。

A君:最後にどれを選ぶかの議論をしますか。

B君:液晶とプラズマがまず対象。32V型までなら液晶。これはほぼ無条件。40V型になると、プラズマでも液晶でも変わらないのでは。液晶の方が環境にやさしい、ということは無さそう

C先生:しばらく前まで、SEDなる方式のテレビがキヤノンと東芝から売り出されると思っていたが、どうもかなり難しい状況になったようなので、このサイズまでだと、液晶、プラズマからの選択になる。

A君:45V型とか50V型になると、どちらも相当な消費電力になってくる。そろそろ、他の形式のテレビも選択肢に加えていただきたい。

C先生:今だと、(1)リアプロ、(2)プロジェクター、この2種を選択肢に加えることになる。リアプロは、実は、画像として液晶よりも、かつ、プラズマよりも綺麗だし、解像力も必要にして充分以上。見事な絵がでる。もう少々経つと、液晶、プラズマと厚さも違わない機種も出現するはずなので、一つの選択肢になりうる。

A君:プロジェクターも良いのですが、今のものだと、やはりスクリーンを出して、部屋を暗くして、ということになる。いつもは、23V〜26Vぐらいで見ていて、これは、というときには設営。音も充分に凝ったスピーカで5.1サラウンドを、というマニアには、最良かもしれない。

B君:そのうち、プロジェクターとスクリーンが一体化して、厚さも非常に薄いというものができる可能性がある。かなり急角度で下から投影するものか? そうなると、まさに、部屋の壁にスクリーンが張り付く形になるので、液晶よりも、プラズマよりも部屋の大きさを有効に活用できることになる。

A君:どうせ、HDDレコーダとかを置くことになるので、機器は、壁から部屋の方に出っ張ることになる。画面の位置が壁から何センチとなると、液晶でも、プラズマでも、足が付いているもので、結構前に設置されてしまう。

C先生:そして、リアプロにしてもプロジェクターにしても、最終製品は、レーザーテレビになると思っている。3原色を発するレーザーを使って映像を作る。その最大のメリットは、消費電力。50V型以上だと、液晶の半分以下の電力で動作する可能性を秘めている。しかも、リアプロなら80V型ぐらいまで行けるから、液晶の1/3以下の消費電力になるだろう。プロジェクターだったら、150V型でも行けるだろう。しかし、果たして、そんな製品はできるだろうが、発売されるだろうか。米国では、三菱電機がすでに発表したのだが、どうやら商品にはならないとの判断が下されたようだ。理由は、消費者が買わないだろうということ、さらに、レーザーは危険という固定観念
 21世紀は、メーカーが良いものを自信をもって導入し、消費者をリードすると同時に、固定観念を一切振り払って、可能性のある技術は、どんどんと発表すると同時に、社会的受容性を高めていかないと駄目なのだが。


付録:自宅のサブテレビでの検証

モデル ソニー KDL-20S2500
カタログ値
消費電力    82W
待機電力    0.5W
年間消費電力量 86kWh

待機電力と年間消費電力量から計算される消費電力=50.2W

実測値:実際に測定された消費電力(システムアートウェア製 SHW3A を使用)

画面ダイナミック 輝度最大 73.6〜77W かなりギラギラした画面

画面スタンダード 輝度2 57.4〜58.0W かなりぼんやりした画面

(明るさセンサーはONになっているはずだが、室内の明るさはほとんど影響しない。理由は不明)

感想:画面スタンダード 輝度2という画面は、かなりぼんやりしていて、これで使う人は少ないのではないか、という程度のもの。こんなものだろう、という画面設定は輝度7で、消費電力が大体68Wぐらいだった。

これが全てのメーカーの「標準あるいはスタンダード」というものであれば、カタログの年間消費電力量は、かなり少なめの値となっていることが予想される。ユーザからの実消費電力を集める必要があるのではないだろうか。そして、多くの場合、カタログの消費電力よりも、15〜20%低い値が実際の消費電力だろうか。

ちなみに、メインテレビであるEPSONのリアプロジェクションテレビ Livingstation ELS−47P2(47V型)の消費電力は、どのような設定にしても一定で188Wである。カタログ値は最大280W(付属のプリンター動作時)。マニュアルをひっくり返すと出てくる余分なものを使わないときの消費電力は、198W。