| | 地球温暖化対策待ったなし 05.22.2005 |
|
| このところ、個人的な温暖化対策の話はしたものの、国全体としての温暖化対策のまとめをやっていなかった。 国全体の状況は、次の文書に良くまとまっている。 果たしてこれが実現可能なのだろうか。もっと何かやらなければならないことはないのだろうか。 C先生:2月16日に京都議定書が発効し、その後、個人的な温暖化ガス削減対策などを検討していた。しかし、国全体としての対策の検討は、温暖化対策大綱が出てからと思っていたが、どうも誤解していたようだ。次の大綱は2007年に出るみたいなのだ。そこで、3月末に発行された経済産業省からの報告書が良く出来ているので、遅ればせながら、この文書を元にもう一度検討をしてみることにする。 A君:その文書ですが、発行日時は、3月16日になっていますが、当然のことながら、こんな長い文書が2月16日以降の検討期間でできる訳もない。大分前からやっていたのでしょう。 C先生:当然のことながら、2004年11月のロシアの批准のときには、検討が行われている。実際には、それをはるかに遡って、2004年の1月からやっていたようだ。 A君:この文書の妥当性を裏付ける文書として、2030年エネルギー需給展望なる文書があります。 B君:その文書の後に、首相官邸から京都議定書目標達成計画なる文書がでている。 C先生:エネルギー需給の話は、多少話題が違うので、また次回ということにして、経産省の温暖化対策の文書と、首相官邸からの文書の二つを検討対象としてみよう。 A君:全体的な印象としては、やっと日本も本気になった。 B君:まあそんなところだ。 C先生:日本の対応の歴史を振り返ってみると、1997年12月の京都議定書の採択を受けて、1998年6月には地球温暖化対策推進本部(本部長は首相)において、「地球温暖化対策推進大綱」が取りまとめられている。ところが、余り有効な対策が実現できないまま、2002年3月には、推進大綱の改定が行われて、かなり細かいところまで記述が行われ、そして、それを元にというのだろうか、2002年6月に、京都議定書を批准(締結)した。 A君:といえば、何かかなりまじめに取り組んできたようにも見えますね。 B君:ところが、やはり日本全体の無関心が大きいのだろうが、二酸化炭素を中心とする温暖化ガスの排出は削減されるどころか、どんどんと増えた。産業界の排出量は、直接コストに関わるものだから、また、かなり不景気が続いたこともあって、比較的よく制御されていた。しかし、オフィスなどの業務部門、さらには、家庭部門、これら二つをあわせて民生部門と言うが、それと運輸部門、とりわけ、自家用車からの排出の増加は全く抑えることができなかった。 C先生:もう一度、具体的に何トンの削減が必要なのか、その復習をやってから、話を進めよう。 A君:了解。京都議定書で基準にするのは、1990年。その年での排出量は12億3700万トンCO2であった。まず、温暖化ガスとしては、6種のガスを定義していますが、それを二酸化炭素に換算して表現します。さらに、二酸化炭素の排出量は、ときどき、二酸化炭素の量ではなくて、炭素量で測定されることもあります。その場合には、12/44倍する必要があります。 B君:12万3700万トンのマイナス6%相当量が、2008年から2012年までの5年間平均での目標値。これが11億6300万トンCO2。 A君:そして、2002年度の総排出量が13億3100万トンCO2。これは、基準年比でプラス7.6%。 C先生:2003年の速報値では、13億3600万トンだ。基準年比でプラス8.0%になった。 A君:目標値との差が、13億3600万トン−11億6300万トン=1億7300万トンCO2 B君:一人あたりにすると、年に1.5トンもの二酸化炭素を減らす必要があることになる。現時点では、個人的に排出している二酸化炭素量は、1.3トンぐらいだと考えられているので、個人的努力のみで達成できる量ではない。 A君:問題になっている増加要因ですが、 B君:各セクターの義務量のようなものが出た。それを図に描くと、次のようになる。まず、どれだけの削減をしなければならないか。12%削減する場合を示している。基準年を今にすれば、これよりも実際には多い。 A君:大きいのが省エネ強化の7%。この7%をどこが分担するか、となると、それが次ぎの図。
B君:産業界が作る製品を使って、大量のエネルギーを使っているのが家庭と業務部門。だから、産業界の責任でもあるという考え方もありうる。 A君:その責任を充分に理解しているのが産業界で、これまでの日本の温暖化対策は、主として機器の効率向上を活用して推進してきたところが大きいと思うのです。 B君:ところが、これらの改善は主として家庭用の機器を対象として進められてきていて、例えば、業務用のエアコンだと、その改善率は低い。いずれにしても、そろそろ限界のように思える。テレビなどは、大型化するから、かえって逆行するだろう。 A君:その通りですね。待機電力の削減なども猛烈に行われてきたけど、もう削減の余地無し。だから、これからは家庭部門、業務部門ももっと節約を進めてもらわないと。 C先生:次の要素が建設物。建物ということであれば、断熱も重要な要素。省エネルギー性能係数なるものがあるが、それによればまだまだ向上するだろうとのこと。そして、家庭用については、2001年度の0.9という性能指数が、2010年には9%改善されて0.82になると予測されている。 A君:給湯も大きいですね。家庭用だとエネルギーの1/3は給湯関係。業務用は残念ながら、余り効果的とは言えない。 B君:照明にもかなりのエネルギーの消費を伴う。高効率照明の導入によって、一世帯あたり、エネルギー消費量が0.3%減るという予測。しかし、これは、もっと進めないと。白熱電球を全部電球型の蛍光灯に替えるぐらいの勢いが必要だろう。 C先生:このHPでも、家電がIT化して細かい電力消費量を消費者に知らせるようになるべきだ、と主張している。国の温暖化対策では、これらは、HEMSと呼ばれている。Home Energy Management Systemの略。この活用で、家庭でのエネルギー消費量が0.8%削減するとしている。 A君:業務部門でも、BEMS=Building Energy Management Systemなるものの導入が予定されていますね。これで、業務部門のエネルギー消費量が2.3%程度改善することになっています。 B君:家庭で0.8%、業務で2.3%というのは、普通だったら考え難い。これは、導入量の差だろうか。 C先生:そのようだ。導入すれば、10%近い改善が期待できるとしている。しかし、この10%という改善量も、もっと行けるはず。どのようなマネジメントシステムを導入するか、それが鍵。消費者あるいは、社員のインセンティブを刺激するようなシステムにしなければ。 A君:そろそろ運輸部門。このところ、自動車の燃費改善が進んでおり、2010年までには、6.8%改善するとしています。 B君:電気自動車、ハイブリッド車、天然ガス車のが189万台まで普及することによって、2010年度で0.5%改善する。 A君:さらに、交通の円滑化、物流の効率化などによって、2010年度における運輸部門のエネルギー消費量が7.9%改善される。 C先生:この交通の部分は、かなり保守的な数値だと思う。現時点での自動車税は、車の大きさで決まっていると言えるが、これを燃費で決まるようにすれば、恐らく、ハイブリッド車などの普及が一気に進んで、0.5%どころではなくて、10%近い改善が望めるのではないか。 A君:我々の主張は、「軽自動車の税金が何故優遇されているのか、理屈が良く分からない」。小さいことが何が価値があるのか。燃費が良い車は、京都議定書発効後、誰にとってもメリットがある。だからそれを優遇すべき。 B君:スズキ、ダイハツが大反対しそうだ。 C先生:スズキのツインという軽自動車は、ハイブリッドでもなんでもないのに、非常に燃費が良い。それは、二人乗りで軽いから。小型軽量車両を作らせたら、スズキ、ダイハツが有利なのではないか。 A君:しかし、軽自動車という法律的な保護柵は消滅しますから、やはり不利でしょう。 B君:日本の企業は、どうも法律的な柵を作ってもらって、自分達を守って欲しいと考えている。自主的な努力でその柵を取り除かないと、本当の意味で強くはなれない。 C先生:これらのような既存技術以外に、革新的な温暖化対策技術があるとしている。例えば、家庭部門だと、以下のような技術が上げられている。 同じく、業務部門では、 A君:運輸部門だと、効きそうな技術として、 C先生:ディスプレイ関係が家庭用としては大きい値になっている。これは、先日、HPに掲載したが、大型テレビがプラズマでも液晶でもない第3、第4の技術が普及することが条件。とりあえずは、リアプロジェクション型、そして、SED型に期待できる。 A君:このあたりの技術の効果が本当ならば、それこそ、薄い環境税を掛けて、税収でこれらの技術の開発を支援すべきですね。 B君:その通り。排出量取引に金を使うのであれば、その金をそんな方向に使うべきだ。 C先生:これまで述べてこなかったことでもっとも重要なことが、国民意識の変革だ。 A君:国民的努力という言葉ですが、これで2%の削減を図る。かなり難しいのではないでしょうかね。やはり、目に見える何か結果を示さないと。 B君:ダイエットをする最善の方法は、コンニャクでも唐辛子でもなくて、実は量を食べないこと。減食。その固い意志を保つには、毎日、同じ時間に体重計に乗って、そのグラフを付けること。 A君:省エネでも同じはず。ところが、省エネをいくらやっても、毎日の効果が見えない。一ヵ月後の電力代で初めて分かるのでは、努力を続けることが難しい。これをとにかく見える形にすることが、もっとも重要。 C先生:ということで、「情報を提供する家電」、「情報を提供する自動車」を義務化することが重要なのではないか。これが我々の意見。 A君:第一段階としては、個々の家電・自動車の液晶表示画面に、その日の消費電力やエネルギー、さらにはその費用が出る。電気製品だけでなくて、ガス機器にもこれを義務化する。自動車は当然燃費、走行距離。それだけではなくて、さらにエアコンのための燃料消費、停止時のアイドリングのための燃料消費、走行のための燃料消費などが別々に出る。 B君:その次の仕組みとしては、家電に関してはすべてをネットワーク化して、テレビを消そうとすると、そのときに、その情報が出てから消える。 C先生:そんなIT家電を開発しておくと、それが世界標準になる可能性もある。世界をリードする省エネ国家になりうるかもしれない。 |
| | |