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    COP19の文書と記事  
   12.01.2013 
           発表文書と記事、そして社説




 ポーランドで行われていた気候変動枠組条約のCOP19が終わりました。2020年からの新しい枠組みが、一応決まりました。しかし、途上国vs.先進国の対立だけでなく、途上国間、あるいは、先進国間の亀裂も激しくなったようです。

 本日の記事は、記録としてまとめたものです。個人的見解は、まだ、事実確認などが必要な段階で、まとまっておりませんので、次回以降とさせていただきます。

 土曜日には、早稲田大学大学院で、集中講義だったもので、今週末は時間不足。しかし、自腹人のサイトには、「日本流の英語発音からの離脱法」を書きました。



日本政府の公式要約
http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kankyo/pdf/131126-01.pdf

国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)
京都議定書第9回締約国会合(CMP9)等の概要と評価
平成25年11月23日
日本政府代表団

1 全体の概要と評価
(1)11月11日から23日まで、ポーランド・ワルシャワにおいて、国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)、京都議定書第9回締約国会合(CMP9)等が行われた。我が国からは、石原環境大臣及び外務・経済産業・環境・財務・文部科学・農林水産・国土交通各省関係者が出席した。
(2)「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」及び2つの補助機関会合における事務レベルの交渉を経て、11月19日以降のハイレベル・セグメントにおいて閣僚間でさらに協議を重ねた結果、最終的に以下の一連の決定を含むCOP及びCMPの決定等が採択された。
@ ADPの作業計画を含む COP 決定
A 気候資金に関する一連の COP 決定
B 気候変動の悪影響に関する損失と被害(ロス&ダメージ)に関する COP 決定

(3)2020年以降の枠組みについてすべての国が、自主的に決定する約束(contribution)のための国内準備を開始しCOP21に十分先立ち約束草案を示すことや、約束草案を示す際に提供する情報をCOP20で特定することなど、議論の前進につながる成果が得られ、COP21におけるすべての国が参加する将来枠組みの合意に向けた準備を整えるという我が国の目標を達成することができた。

2 日本政府の対応
(1)日本政府は、COP17のダーバン決定で決まった、2020年以降の新たな法的枠組みに関する2015年までの合意に向け、将来枠組みに含まれる要素の検討の作業と2015年までの作業計画の明確化を進めることを目指し、交渉に対応した。
(2)ハイレベル・セグメントでの石原環境大臣による演説等において、京都議定書第一約束期間の削減実績は8.2%が見込まれ、6%削減目標を達成すること、2020年の削減目標を2005年比3.8%減とすることを説明するとともに、安倍総理が掲げた美しい星に向けた行動「Actions for Cool Earth: ACE(エース)」に取り組むことを表明した。具体的には、さらなる技術革新、日本の低炭素技術の世界への応用、途上国に対する2013年から2015年までの3年
間に1兆6千億円(約160億ドル)の支援を表明した。また、ADP 閣僚対話に出席し、将来枠組みに関する我が国の考え方につき発言を行い、交渉の進展に貢献した。
(3)石原環境大臣は、会合期間中に各国と二国間会談を行い、日本の目標等に関して説明し理解を求めると共に、会合の成功に向けた連携を確認した。 また、二国間クレジット制度(JCM)に署名した8カ国が一堂に会する「JCM署名国会合」を開催し、JCM のプロジェクト形成を精力的に推進していくことを確認するとともに、経団連や日本政府主催のサイドイベントに出席し、日本の気候変動への取組をアピールした。

3 今次会合の成果
(1) ADPに関しては、ワークストリーム1(2020年枠組み)では、すべての国が、2020年以降の約束について、各国が自主的に決定する約束のための国内準備を開始してCOP21に十分先立ち(準備ができる国は2015年第1四半期までに)、約束草案を示すこと及び約束草案を示す際に提供する情報をCOP20で特定すること等の今後の段取りが決定した。ワークストリーム2(2020年以前の緩和の野心向上)では、高い排出削減可能性のある行動の機会に関する技術専門家会合の開催や、都市・地方の経験・ベストプラクティスの共有に関するフォーラムの開催等が決定された。来年は、3月10−14日に会合を開催すること、来年後半の追加会合の可能性を検討すること、6月及び12月(COP20)の会合においてハイレベル閣僚対話を開催すること等のスケジュールが決定した。

(2) 資金については、COP18以降に先進国が行った資金プレッジの認知、2014年から2020年までの間の隔年の気候資金に関するハイレベル閣僚級対話の開催、気候資金拡大のための戦略・アプローチ等に関する会期中ワークショップの開催、COPと緑の気候基金(GCF)の間のアレンジメントへの合意等の決定が採択された。途上国は、2020年1,000億ドルに向けた中期目標の設定や、GCFへの拠出時期・金額について具体的数字を書き込むことを主張したが、最終的にはこれらの記述は決定に盛り込まれなかった。なお、先進国全体に対して短期資金期間(2010年から2012年)より高いレベルで公的気候資金の連続性を維持するよう求めた。また、先進国に対して、2014年から2020年までの間に気候資金を拡大するための更新した戦略・アプローチについて隔年のサブミッションを用意するよう求めた。

(3) 気候変動の悪影響に関する損失・被害(ロス&ダメージ)については、COP22 で見直すことを条件とし、カンクン適応枠組みの下に「ワルシャワ国際メカニズム」を設立することに合意した。具体的には、条約下の既存組織の代表により構成される同メカニズムの執行委員会の設立(暫定措置)、同メカニズムの機能(データやベストプラクティス等の知見の共有、国連を含む条約内外の関係機関との連携、資金・技術・能力構築含む活動と支援の強化)、機能の実施のための 2 カ年作業計画の策定や執行委員会の構成や手続きの検討(2014年12月に検討)、COP22での同メカニズムについて見直し等を決定した。

(4) 途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+)について、技術ガイダンス、資金、組織を含む支援の調整に関する枠組みを決定した。

(5) 今回は日本政府として初めてイベントスペースを設置し、国、各種機関・組織、研究者等の取組の紹介や議論を行うイベントが多数開催され、盛況だった。

(6) なお、次回のCOP20はペルーが議長国を務め、リマで開催されることとなった。また、COP21はフランスが議長国を務めることが決まるとともに、セネガルがCOP22の議長国を務める意志があることを表明した。



農水省関連の議論の内容
http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kankyo/131126.html

今次会合では、京都議定書第二約束期間における先進国の森林・農地等吸収源の温室効果ガスインベントリの計上、報告ルール等について、SBSTAにおいて議論され、その結果がCOP及びCMP に報告されました。また、途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+※6)については、REDD+の技術指針についてSBSTAにおいて議論されるとともに、REDD+における資金や支援の調整のあり方について、COPの下のワークプログラムやSBSTA/SBI合同会合において議論され、その結果がCOPに報告されました。農業分野の取扱いについてはSBSTA で議論が行われました。これらの議論等を踏まえ首脳・閣僚級で更に協議を重ねた結果、COP及びCMP の一連の決定が採択されました。
主な議論の内容は、以下のとおりです。
※6 REDD+ : Reducing emissions from deforestation and forest degradation and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries

(1) 先進国における森林・農地等吸収源の取扱い
京都議定書第二約束期間における温室効果ガスの計上、報告に関する細則を定めた文書が改訂されました。また、先進国のインベントリ報告に使用する報告表の様式が改訂されるとともに、算定方法のガイドラインの改訂版が採択されました。我が国は、京都議定書第二約束期間には参加しませんが、森林経営参照レベル及び伐採木材製品の取扱いなど第二約束期間の森林・農地等吸収源のルールに則して、今回決定されたガイドライン及び報告表を用い、2013年以降の吸収量を報告することとなります。
(2) 途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+)の取扱い
REDD+の技術指針及びREDD+における資金や支援の調整のあり方について議論され、COPにおける一連の決定文書の採択によりREDD+の実施に必要な技術的課題等について一定の成果が得られました。
(3) 農業に関連する事項
農業に関してSBSTA会期中にワークショップが開催され、適応策及び適応策の相互便益等について議論を行いました。合意文書として、ワークショップの内容及び各国が同様のテーマについて提出した意見の内容を事務局がまとめ、次回のSBSTA40(来年6月開催予定)において検討を行うことが決定されました。
注) COP20は、リマ(ペルー共和国)で開催されます。



環境省や外務省の発表

国連気候変動枠組条約第19回締約国会議(COP19)及び京都議定書第9回締約国会合(COP/MOP9)について(結果概要) (お知らせ)平成25年11月25日

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17426
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page3_000562.html

 政府全体の発表と同じ。





新聞発表の例

COP19:温室効果ガス削減…日本に宿題待ったなし
毎日新聞 2013年11月24日 20時36分(最終更新 11月24日 20時44分)

 ポーランドで開かれていた国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)は23日(日本時間24日)、2020年以降の温室効果ガス削減目標について、各国が自主的に決めた上で、早ければ15年3月末までに国連に提出するよう求めた合意文書を採択し、閉幕した。これで日本も早急に対応を迫られる。今月15日、20年までの新目標「05年比3.8%減」を決定したばかりだが、国際社会ではさらに先の目標を論議しているからだ。20年以降の新枠組みづくりが主要議題だったCOP19では、日本の取り組みが遅れている印象を与える結果になった。

 20日、COP19の閣僚級会合で演説した石原伸晃環境相は、日本の従来の目標「1990年比25%減」を撤回したことを世界に表明した。新目標は、エネルギー政策が定まらない中、稼働原発をゼロと仮定した暫定的なものだが、京都議定書の基準年の90年比にすると3・1%増。石原環境相は「低い値に映るかもしれないが、これは野心的な目標だ」と説明したが、環境団体や途上国だけでなく、欧州連合(EU)や英国など先進国からも厳しい批判を浴びた。

 20年以降の新枠組み交渉でも、日本への風当たりは強かった。ある日本政府の交渉官は、温暖化の影響を受けやすい小島しょ国の代表から「日本の目標後退が、新興国に居直る口実を与えてしまった」と言われたと打ち明ける。排出が急増する中国やインドなどの新興国は、自国の削減強化を約束させられるのを避けるため、これまで大量に排出してきた先進国の責任を強調して交渉の進展を阻む場面が多かった。

 新枠組みの削減期間は、「20年から30年まで」が有力視されている。日本では、30年には運転開始後40年を過ぎる原発が増え、原発に頼れない状況が到来する。20年以降の高い削減目標を打ち出せなければ、再び世界の失望を招きかねない。

 現地で交渉を見守ったNGO(非政府組織)「気候ネットワーク」の浅岡美恵代表は「日本の新目標は、各国の後ろ向きな態度を誘発してしまった。原発に頼れないことを前提に、20年までの目標引き上げと、20年以降の目標の決定という、COP19で出された宿題に今すぐ取り組む必要がある」と指摘する。【大場あい、ワルシャワ阿部周一】




社説 

読売、毎日、日経、産経。ちなみに朝日は社説で取り上げていないようだ。特定秘密保護法関係者に、社説のスペースを独占されたためだろうか。それとも、気候変動にコメントすると、原発との関係をどうするかについて触れなければならないが、それを避けたのか。



読売新聞/2013/11/25 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131124-OYT1T00875.htm

COP19閉幕 国際協調で温暖化対策を前へ

 先進国と、新興国を含む途上国の利害がぶつかり、議論が進まない。地球温暖化対策の現状が如実に示された。

 ワルシャワで開かれていた国連気候変動枠組み条約の第19回締約国会議(COP19)が閉幕した。会期を1日延長し、決裂だけは回避した。

 京都議定書に代わる新たな枠組みは、2020年に発効予定だ。各国は温室効果ガスの20年以降の自主的な削減目標をいつまでに提出するか。最大の焦点について、「15年に提出することを奨励する」との最終案が合意に達した。

 新たな枠組みへの具体的な道筋を着けようとする先進国に対し、途上国は時期の明示に反発した。ぎりぎりの線での合意だったと言えよう。新たな枠組みを巡る交渉の前途は多難である。

 巨大台風の頻発など、このところの気候異変は、地球温暖化に起因しているとも言われる。台風30号による甚大な被害を受けたフィリピンの交渉団が「すぐに行動を」と温暖化対策の前進を訴えると、各国の共感を呼んだ。

 温暖化の危機感は共有しつつ、途上国側は、先進国が資金力に乏しい途上国を積極的に支援すべきだと主張し続けた。温暖化を招いた責任は、生産活動で温室効果ガスを大量に排出してきた先進国にあるとの理由からだ。

 環境対策に手が回らない途上国に、一定の支援は必要だろう。

 一方で、途上国全体の排出量が今や、先進国を上回っていることを忘れてはならない。途上国にも主体的に排出量を減らす姿勢が求められる、とする日本など先進国側の主張はもっともだ。

 特に、世界一の排出国である中国など新興国は、排出削減に応分の責任を負う必要がある。

 石原環境相はCOP19で、新たな枠組みについて、「公平で実効性があり、すべての国に適用される内容でなければならない」と強調した。この方向性を堅持していくことが肝要である。

 日本政府は「20年度までに05年度比3・8%削減」という目標を表明したが、各国から「削減率が低すぎる」との批判を浴びた。

 しかし、「3・8%減」は、発電時に二酸化炭素を排出しない原子力発電所が一つも稼働していない現状での数値だ。

 政府は、原発の将来的な比率を明示したエネルギー基本計画の策定を急ぐべきだ。その上で、20年までの削減目標の上積みと、20年以降の現実的な目標の設定を着実に進めることが重要である。

(2013年11月25日01時17分 読売新聞)



日本経済新聞/2013/11/26 4:00
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO63139850W3A121C1EA1000/

半歩進んだ国連温暖化交渉

 ポーランドで開かれた国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP19)は、2020年以降の温暖化ガスの排出削減について、米中を含むすべての国が自主的な目標を掲げる方向で合意した。会期を1日延長して合意文書を採択し、ぎりぎりの決着だった。

 会議の目的は2つあった。まず20年以降の国際協力の枠組みづくりである。15年にパリで開く会議(COP21)で最終合意をめざし、今回は各国の意見をどこまで集約できるかが焦点だった。

 この点では、米中を含むすべての国が自主目標を掲げる方向で一致し、前進したといえる。

 ただ先進国と同様の削減目標を嫌う中国やインドなどの主張で、合意文書の表現は義務的な意味合いが強い「約束(コミットメント)」から「貢献(コントリビューション)」に弱まった。今後の交渉に波乱要因を残したといえ、前進は半歩にとどまる。

 会議のもうひとつの目的は、20年までの先進国の削減目標の上積みだったが、こちらは進展がなかった。日本は1990年比で3.1%増えることになる新たな目標を示した。これが各国から対策の後退との批判を招いた。

 先進国はどこも景気や財政などの事情から温暖化対策を加速できずにいる。しかし温暖化が原因とみられる異常気象は世界で頻発傾向にある。地球の平均気温の上昇を一定の限度内に抑え込むため、対策を早く強める必要がある。

 ここでも米中の責任は重い。いまの京都議定書の枠組みでは削減義務を負わないが、世界全体の温暖化ガス排出の約4割を米中が占める。米中の努力なしでは地球温暖化を防ぐのは困難で、責任の重さを自覚してほしい。

 日本も同じだ。排出量は世界の約4%だが、国・地域別では第5位だ。日本が示した20年までの目標は原発の稼働ゼロを前提とした暫定的な数字とはいえ、世界の努力に逆行する形になった。政府は中長期のエネルギー戦略を早く決め、目標を上積みすべきだ。



産經新聞/2013/11/10 6:00
http://sankei.jp.msn.com/column/topicslist/../../politics/news/131110/plc13111003160003-n1.htm

COP19/技術貢献で存在感を示せ

 地球温暖化防止を目指す第19回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP19)が11日からワルシャワで開幕する。

 京都議定書に代わる、温室効果ガス排出削減の新たな枠組みを2020年に発足させるための協議前進を期待したい。

 「ポスト京都」の国際条約を20年までに発効させるには、15年までに世界が合意に達することが必要だ。

 新体制を実効あるものとするには、2大排出国である米中の参加が不可欠だ。インドなど現状のままでは排出量が増えていく発展途上国ももれなく加わる仕組みとしなければならない。

 現行の京都議定書の下では、中国などの発展途上国は削減義務を負わず、米国を除く日本とEU(欧州連合)など一部の先進国のみの取り組みとなった。これでは温暖化の進行を止められない。

 COP19では、多くの国から20年までの削減目標が示される。日本は「05年比3・8%減」。民主党政権時代の「90年比25%減」を現実的に修正した。

 福島事故を境に、日本のエネルギー事情は一変した。COP19では、今後の電源構成も決めるに至っていない現状を世界に説明し、高いとはいえない目標値3・8%に対する理解を得るべきだ。

 COP19での重要事は、二酸化炭素の排出が少ないシェールガスを手にした米国が後ろ向き姿勢を変えて、新枠組み作りを主導しようとしている点だ。中国が呼応すれば枠組みの構造は大転換を遂げる。この流れを読み誤らないことが肝要だ。削減基準年を従来の90年から米中と同じ05年に改めたことは、その意味でも正しい。

 加えて、日本は世界に誇れる数々の環境技術を持っている。例えば途上国の石炭火力発電に、日本のクリーン技術を提供するだけでも大幅な削減が可能だ。

 2国間協力による高効率の貢献である。すでにモンゴルやベトナム、ケニアなど8カ国との間で低炭素技術の普及に向けて動きだしている。先進国が自国内での対策に軸足を置く手法はもう古い。世界に視野を広げるべきである。

 2国間協力の導入には、日本の目指すところと、その効果を各国に認知してもらうことが必要だ。COP19では、20年までの削減目標に引け目を感じることはない。20年以降の新枠組みにおいてこそ日本の存在感を示したい。



毎日新聞/2013/11/30 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20131130k0000m070102000c.html

温暖化会議合意/実効性に懸念残した

 ポーランドで開かれていた気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)は、会期を1日延長する難産の末、合意にこぎ着けた。

 焦点だった2020年以降の温室効果ガス排出削減の新枠組み作りについては、各国が自主的に目標を決め、早ければ15年3月末までに国連に提出することになった。15年末の新枠組み採択を目指し、国際社会が歩みを進めたことは評価できる。

 京都議定書は先進国にだけ排出削減を義務付けていた。今回の合意により、新枠組みは、途上国も含めたすべての国が自主目標を掲げ、それが十分かどうかを多国間で検証する方式になる見込みだ。

 COP19でも、フィリピンを襲った台風30号が地球温暖化との絡みで関心を集めたように、温暖化対策に猶予はない。各国は交渉の促進に力を尽くしてもらいたい。

 自主目標方式は京都議定書から離脱した米国が提案し、日本や欧州連合(EU)が賛同していた。

 世界の温室効果ガスの排出量は、途上国が先進国を上回る。中国やインドなど新興国と米国が参加しなければ、温暖化対策は成り立たない。

 京都議定書のように交渉で削減目標を決めるより、自主目標の方が各国を巻き込みやすい。新方式への移行はやむを得ない選択だ。

 ただし、各国の自主性に任せるだけでは削減目標が甘くなり、世界の気温上昇を2度未満に抑える国際合意の達成も危うくなる。中国やインドは目標提出に最後まで抵抗し、合意文書案の削減を「約束」するとの言葉は「貢献」という緩やかな表現に変わった。対策の実効性に懸念を残す結果で、多国間の検証制度がうまく働く仕組み作りが不可欠だ。

 各国の20年までの削減目標の引き上げと先進国から途上国への資金支援も会議の焦点だった。大きな進展はみられず、交渉紛糾の火種となる恐れがある。独自の対策が難しい最貧国などに対する先進国の支援拡大が求められるだろう。

 日本は、20年までに「1990年比で25%削減する」との目標を「05年比で3・8%削減」に引き下げることを表明した。稼働原発をゼロと仮定した暫定値だったが、先進国からも批判を浴び、新興国が居直る口実になったとも言われた。3年間で1兆6000億円の途上国支援も打ち出したが、批判はかわせなかった。

 政府は「50年に8割削減」という長期目標自体は維持している。15年には新枠組みによる削減目標を提出しなければならない。原発頼みを脱し、長期目標の実現につながる温暖化対策の道筋を描かなければ、各国の利害が絡む国際交渉の舞台で、日本の存在感は薄れるばかりだ。



中日/東京新聞/2013/11/30 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013113002000132.html

温暖化対策/日本よ、責任を果たせ

 気候変動枠組み条約ワルシャワ会議(COP19)は、すべての国が参加する温室効果ガスの削減ルールを作ることに合意した。だが日本が示した低い削減目標は、世界をがっかりさせたままである。

 先進国により重い責任を求める途上国、途上国にも応分の義務を課したい先進国。両者を隔てる溝はいまだに深く、そして暗い。

 昨年のカタール会議(COP18)で二〇二〇年までの延長が決まった京都議定書では、先進国だけが温室効果ガスの削減義務を負う。しかし削減義務のない中国が今や世界一の排出国だし、インドは第三位。一昨年の南アフリカ・ダーバン会議(COP17)は、一五年までに、途上国を含むすべての国が削減に参加する新たなルールを作ることで合意した。

 一五年のパリ会議(COP21)に向けて可能な限り交渉を進展させるのが、ワルシャワの課題だったと言っていい。

 COP19では、一五年に決める二〇年以降の新しいルールについて、京都議定書のように、削減義務を各国に割り振るやり方ではなく、各国が自主的に削減目標を提示して、全体でそれを評価、検証しながら、削減を進める方式への転換を決めた。京都議定書から早々と離脱した米国提案の国別決定目標方式に基づくものだ。

 次のルールにすべての国が参加する、という合意はできた。だが、参加の仕方はあいまいなままである。途上国側の強い反発で、すべての国が目標や義務を持つのではなく、削減に「貢献」するという表現にとどまった。

 自主的な削減活動にも、実効面での不安は残る。メキシコ・カンクン会議(COP16)の合意に基づいて、先進国は二〇年までの削減目標を提示している。しかし、全部足しても、温暖化の被害を食い止めるには、八十億から百三十億トン不足する。米国の年間排出量に近い量である。

 地球と人類の危機回避のために埋めなければならない溝は、南北問題だけではない。

 日本は、途上国が気候変動の「損失と被害」に対し、三年間で一兆六千億円の支援を表明した。しかし、追随する声はない。

 来年恐らく会議の動きは加速する。日本が発言力を強めるには、原発停止を口実にするのはやめて、技術大国にふさわしい、野心的かつ責任ある削減目標を世界に提示するしかない。南北ともに、それに異存はないはずだ。