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     COP25と日本の石炭   12.15.2019
         未来を決められない国、それが日本

               



 12月2日から、当初チリで開催されるはずであった気候変動枠組条約=UNFCCCのCOP25が、マドリッドで開催された。そのロゴには、議長を務めているチリという国名と開催地のマドリッドという地名の両方が書かれている。

 13日金曜日までということだったが、いつものことながら、延長戦に入った。予定通り終わることはないようだ。その結果だが、最終的にどうなったのか、その詳細や全体感については、しばらく時間をおいてまとめたいと思う。

 本日の主題であるが、小泉環境大臣が出席をしていたようだが、COP25という場でも、「石炭発電を止めると言えない日本と言う国」について見解を示した、とされているようである。本当にそうなのか、と言われれば、必ずしもそうではない。本来、もっと様々なことを提案すべきなのである。その一例が、原子力発電の再稼働の推進。しかし、そのような方向性を示すことは、小泉進次郎の人気を大きく落とすことにつながるし、原子力反対論者である父親の立場も無くなるので、それが言えない。このような事実や背景について、様々な観点から再検討してみたい。


C先生:なんと言っても、正式の政府代表だけで、恐らく1000名以上。その他に、数1000人レベル。非常に大きな会議なので、全体像が分かることはない、とも言えるが、どのような雰囲気だったのか、などについては、様々なソースを集めてみて、その平均値と分布を把握しないと、間違った結論を出してしまう。そこで、今回は、小泉環境大臣が11日の閣僚級会合で3分間演説した内容などについてチェックしてみて、日本と石炭との宿命的な関係がどうしてできてしまったのか、などにちょっとでも近づければよいかと思う。
 まずは、小泉進次郎環境大臣の演説について、もう少々、詳細な解説をして欲しい。

A君:最近、ネット上の新聞記事が有料なので、全文を探すのは難しいですね。割合とまともだったのが、短いですが、このNiftyニュースのトップ。
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-1211m040285/
 こんな内容でした。
(1)第25回締約国会議(COP25)の閣僚級会合で演説した小泉進次郎環境相は、石炭利用を進める日本政府の政策について「世界的な批判を認識している」
(2)「脱炭素化に向けて具体的な行動を取り、結果を出している」と強調した。
(3)石炭火力発電所の輸出制限など、利用を見直す具体的な方策については触れなかった。
(4)2日の開会式でのグテレス事務総長による、世界で進む石炭火力の建設を「石炭中毒」とした批判したことに対して、「日本へのメッセージとして受け止めた」とした上で、「COP25までには石炭施策について新たな展開に至らなかったが、日本は脱炭素化を必ず実現する」と述べた。


B君:ここからは、様々な人々のCOP25に対する見解。まずは、竹内純子さんが書かれた記事からいくつかのポイントについての抜粋です。竹内さんは、勿論、COPに出席されていますので、是非、本文をお読みください。
https://comemo.nikkei.com/n/n5ebf150ee477

【“化石賞”の実態】
 化石賞とはそもそもどのようなものなのでしょうか。NHKニュースの言葉を借りれば「化石賞」は世界各地のおよそ1300の環境NGOでつくるグループ」が「温暖化対策に消極的な国に贈る賞」だとされています。国際的な批判に敏感な日本の皆さんがこのニュースを聞けば、「あぁ日本は情けない」「やはり日本は孤立しているのか」となるのは当然のことでしょう。中略。
 温暖化は基本的に先進国の責任と考えられているので、先進国がやり玉に挙がることが多いのですが、とは言え、環境NGOの多くは欧州orientedなので、欧州の国が入ることは少ない。勢い、アメリカや日本あたりが頻繁に受賞することになります。もちろん新興国や産油国も批判の対象ではありますが、中国のように批判されても動じない国は批判されづらいようです。
 そして実は日本は2018年度まで5年連続でCO2排出量を減らしています。2018年は前年比なんと▲3.6%の減少です。欧州などより、足元の削減はよほど進めています。小泉演説でもその点も言及されていましたが、環境NGOも、メディアも、誰も取り上げもしません。長期的な、しかも大幅な削減が必要な事はもちろんですが、足元を軽んじていきなり減らせるわけでもないでしょう。

C先生:化石賞については、この程度のもの。それが真実。

【日本にはイメージ戦略がない
 今回のCOPでつくづく感じたことは、気候変動問題においてイメージ戦略の重要性がますます増してきているということ。
COPの場は、すっかりPR合戦の場になっています。
 これまでもそうでしたが、若者や金融分野の方という、CO2削減という観点からはニューカマーが増えたこともあり、(言葉が適切ではないかもしれませんが)「素人受けするブランディング」が必要になりました。過去どれくらい減らしたかや現状をデータに基づいて評価するのではなく、「どれだけ前向きなことを言うか」で評価されてしまうという、「政治ショー」になった感があります。

C先生:まさにその通り。なんでもっと先端的な主張ができないのか。毎回言っていることだけれど、日本語の「目標」という言葉には、二つの英語が対応する。GoalとTarget。多くの外国人は、この二つを使い分けている。しかし、日本でゴールと言っても、それは、ターゲットを意味してしまう。日本に欠陥があるためか、当然、適切なイメージ戦略はない。

【日本の石炭に対するスタンスの何が問題なのか】
 日本の石炭利用に対する批判としては、大きく、国内のエネルギー供給のために利用していることへの批判と、海外へのプラント輸出に対して公的支援を行っていることへの批判の2点があります。
 まず前者ですが、石炭の使用量について言えば、中国やインドの方が日本とは比較にならないほど多いです(エネルギー白書2013を見ると、2011年のデータですが世界の石炭の6割をこの2か国で消費していることがわかります)。

C先生:その通りだけれど、先進国の、しかも、技術的な最先進国の日本と中国・インドを比較するのは、中国は確実に成長したことを考えてに入れても、まだ無理。パリ協定の際に要求された、自国の達成目標の表現が、中国と日本でも全く違うレベルだから、というのが理由。

【原子力について】
 そして原子力の活用を言えば国内からの反発を受けることは自明です。
 そのため、政治家としては、言えない。しかし、言わないのであれば批判されても仕方のない部分はあったでしょう。とは言え、それは小泉演説の問題ではなく、日本のエネルギー供給の課題です。

C先生:小泉(親)の反原発も、どうみてもポピュリズム

【途上国への石炭発電の輸出について】
 後者の海外にプラント輸出をすることへの批判についても、真剣に議論されるべき課題ですが、どのような技術を欲するかはそれぞれの国が決めること。日本が押し売りしているわけではありません。日本がその技術を売ることをやめたら、その途上国は石炭火力発電の代わりに、再生可能エネルギーを導入するでしょうか? もしそうなるのであれば、日本が石炭火力発電の輸出をすることに私も断固反対しますが、現実的には他国がその技術を売るだけです。中国の技術が代替する可能性が高いでしょう。現在、海外に石炭火力発電の技術を最も多く売っているのは中国であり、石炭火力発電技術の輸出に対する公的支援も中国が最も多い訳です(ちなみに、2013年までのデータですが、ドイツも海外への石炭火力発電技術輸出への公的支援で世界4位なんですね)。
 「日本もやめるから、中国もやめようよ」と抱きついて説得することでもしないと、結局、日本のレピュテーションは守られたとしても、温暖化には何の効果もない、ということになるでしょう。

C先生:その通りですね。この抱きつきを誰がやるのか、それが最大の問題。実は、竹内さんが最有力候補。それには、まず、日本国総理大臣にならないと。

【小泉演説の残念なポイント】
 私が小泉演説について残念に思ったのは、日本がイノベーションで貢献しようとしていることに一言も言及がなかったことです。イノベーションに期待することを、ある種の逃げのように感じておられるのかもしれません。でも、これから大幅なCO2削減を進めるためにはイノベーションが必要不可欠であることはパリ協定にも、パリ協定の下に各国が提出した長期戦略にも多く言及されているところです。そして、ただ口を開けてイノベーションを待つのではなく、昨日Japan Pavilionで開催された「Innovation Challenge towards Net Zero-Carbon」のように、どうすればイノベーションを引き起こせるか、近づけるかも真剣に議論しています。
 日本の貢献は、やはりイノベーションとテクノロジーだと考えている立場からすると、その点は残念ではありました。ただ、全てを3分の演説の中に入れ込めるものでもなく、これから引き続き、日本のスタンスの発信役を担っていただく中で、イノベーションにも積極的にコメントをいただけるよう期待したいと思います。

C先生:余りにもその通りなのでグレタさんの発言に関して、我々が考えている未来のイノベーションについて、後述しよう。

A君:ということで、次へ。COP25に参加している人以外にも批判的な意見がいくつか見られる。例えば、これ。部分的なご紹介ですので、是非本文をお読みください。


舛添要一氏 2019年12月03日 21:07COP25開催:地球温暖化にどう対応するか
https://blogos.com/article/421480/
以下要点だけ。

 12月2日、マドリードでCOP25が始まった。
 秋の台風15号、台風19号は各地に甚大な被害をもたらした。
 台風の勢力強大化の原因は、地球温暖化による海水温度の上昇である。海面水温が高いと、台風に水蒸気が大量に供給され、エネルギーが増す。それが最大風速60mを超える暴風となり、また1日で1ヶ月分を超える降雨量となる。

また、地球温暖化による気圧配置の変化は、台風の進路にも影響を与え、日本を直撃する回数も増える可能性がある。また、北海道に上陸する台風も出てくる。

 電気文明の脆弱さも認識する必要がある。である。台風15号に直撃を受けた関東地方、とくに千葉県では数週間に及ぶ停電で、多数の県民が大きな苦痛を味わった。電気が止まると、水の供給にも支障を来すことになり、生活が成り立たなくなる。

 大型台風に対応するには、電柱の地下化を進めねばならないが、コストと住民の反対が問題である。後者については、地上部分になどの変圧器機器を置かねばならないが、自宅の前の歩道には設置を許さないという住民エゴである。 

 ロンドンやパリは無電柱化率100%であるが、東京23区ではわずか8%である。景観のみならず、防災という観点からも、迅速に地下化を進めるべきである。

 地球温暖化を前提にして、生活の仕組みを変えねばならない状況になっている。

C先生:極めて真面目な指摘だと思いますね。


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191213-12130096-sph-soci

2019年12月13日 12時38分
元大阪府知事の橋下徹氏が13日、自身のツイッターを更新。

 小泉氏は、日本の石炭火力発電政策に「新たな展開を生むには至らなかった」と述べ、「しかし、これだけは言いたい。私自身を含め、今以上の行動が必要と考える者が日本では増え続けている。こうした批判を真摯に受け止めつつも、日本は脱炭素化に向けた具体的なアクションをとり続けているし、結果も出していく」。

C先生:今回の小泉大臣の演説に対して、橋下氏は「国連において気候変動問題で日本が世界をリードする!」と気勢を上げ、「原発はなくしていく」と言い、そして「石炭火力も減少させていく」との発言。そして、小泉大臣の発言の評価は、「誰からも批判はされないが、何も実行できないこの小泉大臣の摩訶不思議な論理をまず整理する必要あり」とつづった。どのようなエネルギーを使うのか、そこまで指摘できないと、何を言ってもほとんど無意味なんだけどね。それなら、現状を考えたとき、実際にどのエネルギーが使えるのか、と問われたとき、A、B、Cの3名の結としては、水素の大量輸入で耐える以外にない。しかし、それには、かなり時間が掛かる。


A君:当然、今回もグレタさんは演説をしています。
 グレタ・トゥーンベリさんが11日演説した内容で、かなり悲観的なので気になる部分を極々一部だけ引用します。

 『しかしながら、多くのモデルは、現在は存在しない技術を用いて、数千億トンもの大気中のCO2を吸収することができるようになることを想定しています。おそらくそのような技術は決して出てこないでしょう』。


C先生:この発言には、各人、いくつか気になることがあるだろう。それをちょっとだけ議論したい。

A君:そうですね。それでは、グレタさんの指摘から行きますか。「大気中からCOを吸収する技術」を「現在は存在しない技術」として否定的に見ているようですが、それはすで技術的には可能であることが分かっています。DAC:Direct Air Captureと呼ばれます。問題は、使うエネルギーのコストと、大気から分離したCOの最終処理の方法。この2点。

B君:エネルギーコストは、砂漠のようなところに太陽電池を大量に設置することでなんとでもなる。

A君:COの最終処理も、CCS以外に方法はないので、かつて油田として使われていた地域で地下にCOを注入することになるでしょうね。最終的には、宇宙(大気圏外)に運んでも良いのですが。

B君:今年のICEFのTop10イノベーションの一つに選ばれたスイスのETHなる工科大学の技術だと、『太陽光と空気からカーボンニュートラル燃料を製造』というやり方で、大気中のCOを循環利用する方法を提案している。言わば、人工植物のような考え方だ。

A君:Top10の今年の傾向として、COの活用に着目した研究課題がかなりあったと思います。恐らく、科学の一つの方向性が明確に見えたからだと思いますね。
http://www.yasuienv.net/Top10Science2019.htm

B君:なぜなら、世界の石油確認埋蔵量は、2016年末時点で1兆7067億バレルあるのだ。すでに採掘した石油の総量は、2011年のデータがあるが、それによれば、約77億3000万バレル。すごい量だ。

A君:COを地下に戻すという可能性も容量だけを考えれば十分に高い。

C先生:他の話題は何かあるかな。

B君:やはり日本の場合、原子力発電の再稼働をもっと進めないとダメなことが100%分かっているのに、政治家がそれを言わないこと。

A君:橋下さんは、原発再稼働も指摘しているようですね。しかし、政治家の常として、反対。

B君:福島第一の事故が原子力の安全性の本質だと思ってしまうと、原発反対ということになる。しかし、福島第一の事故は、完全な人災だった。

C先生:確かにその通り。再稼働している原発では、現時点で、構内の至る所に、給水車と電源車が待機している福島第一に給水車と電源車は有ったのか。残念ながら、無かった。しかも、あんな事態でありながら、『もし海水を注入したら、原子炉がダメになって使えなくなる』といった判断をしていたようだ。後、何年も寿命のない原子炉だったのに。いずれにしても、東電が数10億円(多分、20億円ぐらいか)をケチったために起きた事故、それが福島第一事故だ。

B君:さらに言えば、外部からの電力供給についても、不完全だった。2回線の電力線が外部から入っていたのに、それをなぜか、最後に1本の電柱にまとめてあった。それが倒れたら、外部からの電力は来ないことが明らかであったにもかかわらず、そんな設計になっていたし、それを改善しようという気持ちも沸いていないようだ。恐らく、福島第一が作られたその時代、より正確には、「電源開発調整審議会」で審議されたのが、1966年4月4日。こんな時代の安全感覚で作られた原発を、2011年まで東電はそのまま使い続けたのだ。1966年という時代がどのような時代かというと、1968年9月26日に、厚生省および科学技術庁は、政府統一見解を発表して、熊本で発生した水俣病については、チッソ水俣工場の「アセトアルデヒド酢酸設備内で生成されたメチル水銀化合物」を原因物質と正式に認めた。そんな時代だ。

A君:要するに、技術や対応策は進化したのに、原子力を導入した側の意識に問題があった。東京電力には、原発に対する安全意識が無かったと思う。それに加えて、もともと、GEが作った原発であって、一切の設計変更などが許されないというきつい縛りがあったらしい。米国の原発は、内陸に作られるのが当たり前。なぜなら、平地がいくらでもあるから。日本だと平地は海岸にしかないので、しかも、関東平野のような人口密度の高い平地には、原発を作るのもなかなか難しいとなると、あのような立地のところになってしまう。それなのに、GEは設計の変更を一切認めなかったので、非常用の発電機が、海側の地下に設置されていた。もし、津波が来れば、非常用の発電機が水没して動かなくなることなどは、誰が考えてもすぐに分かるのに、東電は、その対応をしていなかった。その理由だけれど、これまたトンデモナイのだけれど、もし、「安全性の強化しました」、と言ったら、「原発は100%安全だとこれまで言っていたではないか」、と反原発派に「嘘つき」と言われるから。福島第一の事故発生の責任の一定の部分は、反原発派にある。

B君:それに比べると、現時点での原子力規制委員会の指針は、過剰だと思うぐらいの安全性重視。特に、安全性がどのぐらい向上するかが最大の問題なのは当然として、それにはどのぐらいの費用が掛かるかをほぼ無視して指針が決まるので、福島第一の時代の原発と再稼働する原発とでは、安全性のレベルが違う。

A君:当然そういうことなので、それを確率的リスクアセスメントという方法を使ってリスクアセスメントでしっかりと表現して、発表すべきだと思うのですが。

C先生:当然のことだ。もっとも、それを出せばすべての日本人が納得できるか、というと、残念ながら、確率というものをしっかりと学習しているのは、理系の人間だけなのではないか。

B君:Googleで確率論的リスクアセスメントを検索すると、最初に出てくるのが原子力委員会による記事なので笑える。

A君:いや、検索の最初の11件のうち、9件が原子力関係。

B君:このあたりを分かりやすく説明するのは、原子力規制委員会は、現時点では、環境省の外局になっているので、やはり、小泉環境大臣の責任なのではないか。

A君:いや、別の強い法的制約があって、小泉大臣でも何も言えないのかも。それは、『第五条 原子力規制委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う』。八方塞がり状態かもしれないですね。

B君:だから原子力規制委員会の出す規制は、ほぼ安全100%になっている。もし、規制を満足した設備に万一のことが起きれば、完全に原子力規制委員会の委員長および委員の責任なので、当然、そうなる。

A君:良く原子力村などという言葉があるけれど、現時点での規制委員会は、確実に反原子力村と言える。

B君:だから、再稼働の条件は非常に厳しくて、例えば、東電の柏崎・刈羽原発も、動かせる台数はかなり少ないと考えられているらしい。

C先生:CO2を出さないで発電ができる装置というと、太陽光発電、風力発電、水力発電、原子力発電が主なもの。地震国日本の地熱は結構苦しい。海洋エネルギーも余りあてにならない。水力は、ほぼ開発済みなので、残りはとなると、要するに、太陽光と風力と原子力しかないのだ。最終的には、核融合が完成すれば、そのエネルギーが人類が使う究極のエネルギー源になるのだけれど、今世紀末でもどうだろう。完成しないのではないか。
 当面の問題は何か。それを端的に表現すれば、やはり、原子力に対する反感が非常に強い国である日本では、その理解を求めることに政治家は取り組まない。いや、取り組めない。地球温暖化問題は、長期的な問題であるが、原子力を応援すると落選するリスクが大きいこと、それは、現時点の問題だからだ。こんな状況もあって、現時点での日本の政治家は、エネルギーの未来像を描こうとしないのだ。本気で原発に反対するつもりなら、オーストリアのように、憲法に原子力は利用しないと書き込むべきではないか
 それに加えて、パリ協定がそうであるように、2050年はまだまだ近い未来、今世紀後半のどこかまでにNet Zero Emissionを、と最初の合意文書に書かれているように、かなり遠い未来の問題で自分の問題だと思っていない日本人が多いこんなにも温暖化によって強化された台風にやられているのに。温暖化(具体的には海面温度)で強化されたという認識がないのかもしれない。それではなぜEUが熱心なのか、と言えば、それは、パリ協定が「気候正義」という言葉で、しばりを掛けたから。この「気候正義」という言葉だが、アブラハムの神を信じるキリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒には、「正義」とは何かを理解することが必須の条件みたいなものだ。ところが、日本では、「正義」という言葉を述べる人間は危ない人種だから、できるだけ近づかない方が良いという社会だと思う。それも当然。歴史がその判断の妥当性を述べているとも考えられる。
 となると、困った結論になる。世界でもっともパリ協定対応が難しい国が日本であること。しかも、ほぼ唯一の先進国であること。中国の温暖化対応は、パリ協定の一応のターゲット年である2030年まではかなり緩くても良いことになっている。ということは、2030年までには、なんとか世界の同意を得られる日本独自のスタンスを見出して、乗り越えなければならない。それには、「日本において利用可能なエネルギーの限界について、もっともっと細かい知識まで、全ての日本人に共有されることが最大の条件」になるのではないだろうか。