リストマーク What's CREST?...CRESTとは?

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CRESTとは、
Core Research for Evolutional Science and Technology
の頭文字をとったもので、科学技術庁の「戦略的基礎研究」の略称です。


事業の趣旨

 「科学技術創造立国」 を目指し、明日の科学技術につながる知的資産の形成や新産業の創出を図るため、国公立試験研究機関、大学、特殊法人、企業等に所属する研究者が、その研究機関の研究ポテンシャルを活用しつつ基礎研究を実施するもので、いずれその研究成果が国民や社会に還元されていくことを期待するものです。
 詳しくは、こちらを御覧下さい。

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リストマーク CREST 安井チームの研究内容


(研究課題)

「社会的受容性獲得のための情報伝達技術の開発

1.研究の背景

 環境研究は、他の先端科学技術の研究とは全く異なった性格を有しています。通常の科学技術が基礎・応用・実用化の3つの研究フェーズに分類し理解されるのに対し、環境研究の場合には、第4フェーズとして、「社会への適用」が存在するために、社会的受容性の獲得が必須条件となります。すなわち、環境問題は市民社会との距離が非常に近いために、他の先端的科学技術研究が市民社会からある程度隔離された状況でも、それ自体意味を持ちうるのに対し、環境研究の分野においては社会的受容性が得られない科学技術をいくら研究しても、無用の長物となってしまいます。
 しかし、得られた結論を社会に伝達し、これを実現させようとしても、例えば大学人が通常所持している一般社会への情報伝達手段は、単行書の刊行、講演会の開催といったものであり、数としては数千人程度を対象としているに過ぎません。社会にある程度の変革が行われるには、人口の1%を超す有識者の意識が変革されることが必要であるとされていますが、日本に当てはめてみれば1%は100万人以上になり、これに比べると大学等の持つ一般社会への伝達能力は、問題にならないほど小さいと言えます。
 一方、テレビ・新聞を初めとするマスメディアの情報提供能力は非常に大きいと言われていますが、環境報道に関して言えば、センセーショナリズムが支配的な世界であるため、時には真実とはかけ離れた報道となることもあります。特に、環境問題の解決に絶対的条件となるトレードオフの存在を一般市民に伝達する努力がなされることは、皆無に近いものがあります。
 一般社会の現時点での環境観を一言で表すと、「リスクゼロ」「予防原則」になるのではないでしょうか。1990年代の日本では、大量の物資とエネルギーの投入により、環境リスクは極限まで低い状態であったと思われますが、21世紀には、資源・エネルギー供給限界が現実のものになると考えられることから、資源・エネルギーを無条件に投入してリスクゼロを実現することは不可能であると考えられます。すなわち、一般社会に対して環境観の変更を求めないことには、わが国の21世紀の環境維持は困難に直面するものと考えられます。
 そこで、市民社会がどのような環境観を持てば、今後社会が使用すべき環境技術に対する正当な評価をもたらし、結果的に持続可能な社会を実現できるのでしょうか。そのためには、「リスクゼロ」思想から「トータルリスクミニマム思想」への変換、さらには「総合リスクパフォーマンス」、すなわち資源・エネルギー型環境負荷と汚染型環境負荷を加えた総合環境負荷当たりのベネフィットを最大にする考え方に移行を求めることが必要であると考えています。


2.研究目的

 CREST安井チームでは上記「研究の背景」のような思想の上に立って、一般市民の環境観の移行を促していくにはどのような情報伝達手段があるのかを検討し、その技術を開発・検討することを研究目的としています。
 それには、以下の2つのポイントを満たす必要があります。

市民社会の環境観を対象として、

(ポイント1)
「リスクゼロ思想」が、資源・エネルギー限界の境界条件では正当な思想ではないことを認識するよう促す。規範としては、当面トータルリスクミニマムを提示し、その理解のためにはトレードオフを明示的に意識することにつながるような情報を提供する。

(ポイント2)
マスコミによって報道される情報は必ずしも絶対的な真実ではなく、環境を正しく把握するには、情報にある種の環境価値観に関わるフィルターを掛ける必要があるとの意識の確立を目指す。

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リストマーク 具体的な方法論

具体的な方法として、以下の6つを考えています。

(a)トレードオフデータベースの作成と、
  ライフサイクルインパクトアセスメント手法の開発

(b)モノに環境負荷を割り付けた、簡易型ライフサイクル
   アセスメント法の開発

(c)市民の環境観を直接把握するための、
   インターネット技術とLCAとの結合

(d)「環境を見る際の原則」等を、
   市民社会に分かりやすい形での提供

(e)情報伝達とそれによる環境観の変化の検証

(f)総合評価:本研究活動の効果の判定

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リストマーク CREST 安井チームの考える「将来的な社会への貢献」

 本研究の基本思想は、「市民レベルでの正しい環境理解が進まないのは、正しい情報が伝達されていないからである」というところにあります。このような状況は、環境関係のみに留まらず、自然科学の領域などでも同様の事態を招いていると考えられます。例えば、臓器提供や遺伝子治療、あるいは遺伝子組み替え食品などといった分野では、自然科学の進展は著しい反面、これらの領域における正しい情報が、広く市民レベルにまで正確に伝達されているとは考えられません。哲学的理解、論理的視点などからの評価が未だ定まらないということも事実ですが、このような新しい領域の科学技術情報を正しく市民レベルにまで伝達する手法を開拓することは、今後の社会環境を考えていく上で必須と考えられます。

 本研究は、ある領域の科学を格段に進歩させたり、あるいは、新規産業の形成に直接貢献できるような知的所有権を生み出すような知的資産の形成に寄与する研究ではないかもしれません。しかし科学的知識の正しい伝達手法が確立されれば、市民レベルにおける科学技術の正当な評価が行われる社会が実現され、少なくとも非科学的、あるいは反科学的な動向に歯止めを掛けることができ、より健全な知的資産の社会蓄積を助けるだけでなく、市民による技術の選択が正しく行われる可能性が高まるものと考えます。このようなことを通じて、社会貢献に大きく寄与していきたいと考えています。

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