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 止まるかブラウン管ガラスのリサイクル   10.18.2009
      



 今、家電リサイクル法が危機的状況である。法律全体が、という訳では無くて、ブラウン管(CRT=Cathod Ray Tube)方式のテレビのリサイクルが、である。この方式のテレビの重さの半分以上はガラスである。そのガラスのリサイクルができなくなっている。そのため、今後、家電リサイクル法で決められたリサイクル率が達成できなくなることがほぼ確実である。

 その理由は簡単。世界的にブラウン管方式のテレビを作っているメーカーが無くなりつつあるからだ。現時点、マレーシアにCRTガラスを引き取ってくれるメーカーがまだ存在しているが、そろそろ生産を止める状況だ。

 となると、このCRTガラスをどうすべきなのか。

 この問題は、大分以前から必然的に起きることが予測されていた。それは、2011年7月のアナログ放送停波が分かっていたからである。しかし、今年問題になったのは、例のエコポイントがテレビの買い換え促進に一役買ったからだとも言えるのかもしれない。

 根本的なところから考え直してみたい。



C先生:この問題は、ガラスの問題。ということは、我が個人的な専門分野だとも言える。実際、困った問題で、決定的な解があるとも思えない。環境問題だから決定的な解が無いのも当たり前とも言えるが。

A君:何を基礎データとして出しますか。

B君:まずは、ブラウン管の構造とガラス関係のデータ。さらには、鉛が有害物質なのだから、過去の鉛の有害性に関する問題がどのように起きて、どのように解決されてきたか、という歴史的考察。

A君:その話、すでにこのHPでやったことがあるように思いますね。

B君:割合と最近のことだ。2006年5月だった。
http://www.yasuienv.net/TetraEthylLead.htm

C先生:鉛のリスクについては、中西準子先生がセンター長を務めていた産総研のリスク管理研究センターから発行されたリスクの詳細評価書がある。
http://unit.aist.go.jp/riss/crm/mainmenu/1-13.html
 鉛のヒトへのリスク、さらに今回取り上げないが、生態系リスクがかなり詳細に解析されている。この本を完読すれば、リスク評価はこうやるのだ、ということが分かるだろう。
 概要は、インターネットからダウンロードが可能だ。もっとも概要を読んだところで、すべてが分かると言う訳ではないのが残念なところ。英語でも良い、という人であれば、評価書の英語版は概要版ではなく、本体すべてをダウンロードが可能。

A君:この詳細評価書から必要なデータを加えて、より広範なデータを整備するということにします。

B君:この書籍は全部を理解しつつ読むのは大変だとは思う。しかし、まず、詳細リスク評価というものを実施しようとしたら、どのような要素を検討すべきなのか、その基本的な方法が分かるだろう。
 加えて、結構面白いことも記述されている。例えば、EUのRoHS規制で世界的に使われなくなってしまった鉛入りのハンダだが、ハンダを鉛フリーにしたところで、ほとんどリスク削減の効果は無いということなどが記述されている。

A君:RoHS規制は、EUの規制の中でも哲学性がない代表例ではないですか。どう考えてもある種の非関税障壁として始まったとしか考えられない。

B君:EUの最近の発想は、むしろ27ヶ国に拡大してしまったEU加盟国に対して、EUとしてポジションを明確にするという狙いが主なものではないか、と思われる。

A君:別の見方もあるのでは。日本の家電リサイクル法のように、リサイクルコストを掛けて、手分解などで精緻にやるのは経済的に見合わない。だから、何も気にしないで適当にやりたい。となると、有害物をできるだけ含まない製品が望ましい。だから、鉛フリーにした。

B君:残念ながら、鉛フリーハンダの使用を止めたところで、鉛が全く含まれないなどという製品になることは無い。鉛は電子部品の重要な構成物なので、鉛を全く使わないで、携帯電話を作れと言われても困る。

A君:だから、例外措置の表が長く長くなる。

C先生:そろそろブラウン管のガラスの説明をしてくれ。
 まず、今後、何トンぐらいのブラウン管が問題になるのだ。

A君:そのデータは手持ちにはありません。そこで、環境省の資料に家電リサイクル年次報告書から引用し追加したデータを次ぎの表に示します。




表 家電リサイクル法で処理されたブラウン管テレビからの資源量 http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0319-05/mat05.pdf


B君:2007年度で7万トン程度か。そのうち、ガラス全体のうち、鉛ガラスは半分ぐらいだろうか。

A君:まあ、そんなものだと考えれば良さそうです。

B君:となると、今後10年間排出されるとしても、35万トンぐらいの処理が必要か。

A君:別の資料ですが、
http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0319-02/mat04-1.pdf
では、2013年以降は激減するという予測のようですよ。




図 廃テレビ排出量予測

B君:そうだとすると、2010年、11年、12年の3年で20万トン、その後、10万トン。とすると、30万トン。そのうち半分が鉛ガラスとすれば、全部で15万トン程度だろうか。

A君:15万トンですか。比重を考えると、それほどの体積ではない。

C先生:詳しい議論に行く前に、まずは、ブラウン管がどのようなガラスからできているかの説明をするか。

A君:CRTすなわちブラウン管は、高圧で加速した電子を飛ばして、蛍光体にぶつけて光らせる。そのため、電子がぶつかったところからX線が発生してしまう。そのため、安全性を確保するためには、X線を透過しないガラスを使わざるを得ない。
 そこで選択されたのが鉛ガラス。ところが困ったことが起きた。鉛ガラスに電子をぶつけると、鉛が還元されてガラスに色が付いてしまう。カラーテレビなどには致命傷。そこで、蛍光体を塗る前面ガラスは、別のガラスにした。X線を止めるためには、重いガラスが必要で、バリウムとかストロンチウムとか言う原子番号の大きな元素が使われることになった。
 しかし、成形のやりやすさなどを考えると、鉛ガラスの良さはある。そこで、どうせカラーブラウン管ならシャドウマスクを入れることになるので、前面(パネル)とファンネルと呼ばれる後部は別々につくって、後から接合しなければならない。とうことで、ブラウン管の全体としての構造が決まった。

B君:組成を示すか。



表 パネルガラスとファンネルガラスの組成 http://www.hokkaido-iri.go.jp/book/reports/301/301-2-5.pdf


A君:鉛ガラスは、歴史的に非常に古いガラスでもあるのです。屈折率が高いので、工芸品に使われてきた。高級ガラス器であるクリスタルガラスは、鉛ガラス。25%ほどのPbOが入っていると、最高級品のクリスタルガラスだ。これにワインを注いで飲むというのが伝統文化というべきこと。

B君:鉛ガラスは食器にも使われてきたぐらいなものなので、ガラスになってしまえば、猛毒という訳では無い。鉛を廃棄するとき、どうやって捨てるか、と聞かれれば、それはガラス化してから捨てるのがもっとも安全だと答えるのがもっとも妥当なぐらい。

A君:ブラウン管用の鉛ガラスの鉛含有量は15%程度。25%も含まれているクリスタルガラスよりもかなり安定なガラスだと思われます。

B君:鉛をもっとも安全に処理してあるとも言える。

C先生:そんな鉛ガラスだが、このところ鉛という言葉が入っているだけで、なんとなく気持ちが悪い、と言われるようになった。

A君:鉛は、人体に必須な元素ではないもので、毒物扱いになっているという面もある。亜鉛とかヒ素は毒物だけど、必須元素ではあるので、なんとか言い訳が利く。

B君:鉛については、すでにこのHPで議論したように、四エチル鉛をガソリンの添加物に使ったことは、やはり間違いだったと言えるのではないだろうか。

A君:その当時は、鉛の血中濃度が高かった。しかも、ある確率で、血中濃度が危険レベルにあった子どももいたのではないかと思われます。

C先生:そのあたりが難しいところで、全員の血中濃度が同じということにはならないのだ。それは、人に様々な個性があるからだ。何を食べるかも全く違うし。

A君:ところで、鉛は昔は腎臓機能に障害を引き起こすとか、貧血になるとか、言われていました。番町皿屋敷のお岩のスタイルは、鉛中毒者の姿を写したものと言われています。

B君:その時代には、相当の濃度でなければ、そのような症状がでないので、まあ無視をされてきたのが実態。ところが、最近になって問題にされるようになったのが、小児の神経系の発達に遅れが出るというものがあって、IQにも悪影響を与えかねないという指摘がなされるようになってからだろう。

A君:どのぐらいIQが下がるか。10報の論文を集めて、サンプル数を増加させて統計的な確実性を高めるという方法論を用いて得られたデータだと、
「血中濃度が10μg/dLから20μg/dLまで増加した場合に、IQが2.57低下する」
という程度です。

B君:しかし、その後、血中濃度がどこまで下がれば低下が見られないか、という検討を続けたところ、その結果、IQは血中濃度が5μg/dL程度でも、まだ低下するのではないか、という結論になった。

A君:ただし、オリジナルの10報の論文のデータに、社会経済的な地位の差などをきちんと除外したかどうか、それが問題とされた。

B君:米国では、壁に塗る白色の塗料は、鉛を含むペンキだった。これが何年も経つと剥がれ出す。その破片をなめると甘い。そのため、低所得層のように、壁が剥がれるような家に住んでいると、どうしても鉛への暴露が高くなる。

A君:日本の場合には、このような問題はない。鉛入りのペンキは使われていない。

C先生:米国だと、子どもの鉛への暴露は今でも続く問題。しかし、日本の鉛中毒の現況だった四エチル鉛が禁止されたのが、1975年。やはりすべての環境問題が最悪だった70年代なのだ。ダイオキシンの排出ピークの70年代。多くの有害物についても同様だ。

A君:次の図に、米国での値ですが、血中濃度の推移を示します。日本では同様の図が見つからないもので。



図 鉛の血中濃度(μg/dL)の推移と四エチル鉛添加ガソリンの生産量との関係


B君:明らかにガソリンに四エチル鉛が添加されていたときが異常に高い。しかも、相関関係が明瞭。

A君:血中濃度は、最近かなり低くても問題だという主張もあるのですが、大体のところは、10μg/dL以下(dLはデシリットル)ならば大きな問題はないということで良いと思います。

B君:最近の日本の場合はどんな数値?

A君:詳細リスク評価書によれば、2μg/dL以下であると報告されています。

B君:それなら、全く問題の無い濃度だ。

C先生:四エチル鉛は使用を止めた。水道管も鉛管が消滅しつつある。しかし、血中濃度がゼロにならない理由を説明して欲しい。

A君:それは簡単で、まだ摂取しているからです。鉛の摂取経路は、大気からの呼吸器経由と食物飲料水などからの経口摂取があって、それ以外にも、土壌を吸い込むことによって、鉛を摂取してしまうということもあります。

B君:ガソリンに四エチル鉛が入ってたときには、かなりの量を呼吸器経由で摂取していた。しかし、それが無くなったら現在は、何が主なものなのだろうか。

A君:その結果は、やはり詳細リスク評価書が推定を行っています。表を示します。




図 幼児・小児の年齢別の鉛摂取量の割合。産総研の詳細リスク評価書の値から作成。大気からの鉛摂取はほとんど無くなった。そして、現状だと70%程度が食品、残りがほぼ土壌から。大人だと、食品からが80%程度。

C先生:大体の様子が分かったようだ。となると、もしも、ブラウン管ガラスをそのまま埋め立てたら、果たして血中濃度は上がるのか、を推定して欲しい。

A君:となると、経路を推定しなければならなくなる。オランダでは、ブラウン管を全部一気に粉砕して、ガラスの粒を路盤材として使用している。

B君:もしもそれをやれば、どうなるのだろう。もしも鉛ガラスの粒が道路の表面に出てきて、削られて粉じんになって舞い上がることを仮定すれば、呼吸器からの摂取が増えそう。

A君:金属鉛よりも鉛ガラスなだけに、溶け出す量が少ないのでは。

B君:それは同じ重さの金属鉛粒と鉛ガラス粒を考えれば当たり前だろう。

A君:ただ、前面ガラスとファンネルを接合するために使うガラスフリットという一種のガラスの粉からは、鉛が溶け出しやすい。

B君:しかし、接着剤的な使い方なので、量的には極めて少量だ。

A君:そこを無視すれば、胃の中で胃酸に浸っていたとしても、鉛ガラスからは、金属鉛と比べて、それほど多くの鉛が溶け出すとは思われないですね。

C先生:しかし、なんらかの実証が必要なのは事実だろう。大体、道路に使われ、すり減ったガラスは本当に呼吸器に入って、鉛が呼吸器から吸収されるのかどうか。

A君:このような議論のときには、常にベースラインの検討が必要ですね。食品からの摂取が多いということは、食品、特に農作物には鉛がかなり含まれているということ。

B君:データを示したら。

A君:了解。いくつかの食品中の鉛の含有量の表です。




図 食品中の鉛濃度をいくつか示した表。


B君:土壌汚染が進んだら、農産物の鉛濃度は高まるのだろうか。

A君:産総研の詳細リスク評価には、「植物による鉛の取り込みは,根からの吸収と,大気から植物表面への沈着の2つの過程があるが,鉛は不溶性の無機塩類を生成し,種々の陰イオンと錯体を形成して土壌と強固に結合する傾向があるため,根を経由する過程の生物利用能は低いと考えられている(ATSDR 2005)」とありますね。土壌中で、鉛はかなり安定なので、まず大きな問題は無いという認識のようで。

B君:ということは、鉛ガラスを埋め立てたとしても、食品経由の摂取は増えない。

A君:次の問題が土壌から舞い上がるか。深く埋められてしまえば、大丈夫ですが、路盤材ですからね。

B君:いつか工事などが行われる可能性もある。

A君:そのときの作業員が鉛入りの粉じんを吸う可能性がある。

B君:それなら、セメント固化でもして管理型の処分地に入れるのか。

C先生:この問題は、後ほど再検討。次は、飲料水の検討を。

A君:飲料水というと表層水と地下水。

B君:それでは土壌汚染が進んだら、地下水が汚染されて、飲料水からの鉛摂取量はどのぐらい増えるのだろうか。

A君:鉛の水への溶解度は、pHと共存する陰イオンによって決まるのは常識ですが、少なくとも飲料水になるような中性の水への溶解度は相当に低いです。そうでなければ、水道管に鉛管を使うなどということはできなかったはずですから。

B君:鉛と鉛ガラスだったら、当然鉛ガラスの方が溶け出すのに時間がかかる。鉛と鉛ガラスで溶出の平衡濃度が大幅に変わるとは思えないが。

A君:鉛ガラスと接触している水の平衡鉛濃度というものを測定することは、理論的に不可能ですよね。平衡状態になるのに、恐らく、数年といった実験になりますから。当然、ガラスをどのぐらい細かく粉砕するかによって測定値が違ってくる。

B君:ということは、飲料水に含まれる鉛は、土壌汚染のひどさとは関係が無いと考えて良いという結論になる。

C先生:一般的な少々常識とかなり違っていて、土壌中の鉛は、土壌に含まれている様々な陰イオンや有機酸などが鉛と強く結合するようで、どうやら安定な状態になるというのが、どうも本当のようだ。

A君:となると、鉛成分が飲料水から摂取されるというのは、鉛が懸濁状態で水に含まれていて、それを飲むと胃酸で溶けて体内で吸収されるという形だということですね。

B君:鉛が懸濁状態で水に含まれているということは、表層水にはあり得て、直感とはかなり違うが、地下水の方が少ないのだろうと考えられる。
 産総研詳細リスク評価書では、「その大部分は土壌中の有機物に強く吸着されるため,溶脱(土壌水に溶解した状態での地下水への輸送)はほとんど起こらないが,鉛が吸着した土壌粒子が浸食されることで,表層水に移動する可能性がある(U.S.EPA 1986;NSF 1977)」、とある。

A君:土壌汚染も同様で、鉛を含んだ土ホコリを吸い込むことが問題。

B君:それが呼吸器の中で溶けて、そして体内に取り込まれるというのが最悪シナリオ。

C先生:そろそろ鉛全体のフローの把握に行こう。

A君:鉛の国内供給量が、1991年ぐらいをピークとして、1976年ごろから徐々に増えていた。その間、年間30〜40万トンだった。その後、徐々に減って、2005年での推計値が20万トン以上。

B君:その中には、リサイクルされている鉛を含む。

A君:リサイクルの実態の把握が必要になりますが、これは、詳細リスク評価書にあるデータを揃えておきます。

C先生:もう一つのベースラインデータが必要。それは、金属精錬業などから、鉛がどのぐらい環境中に移動しているか。

A君:そのデータも、詳細リスク評価書にはあります。結構すごい量です。
 PRTRデータの2003年度版で、大気へ50トン、公共水域へ27トン、とここまでは比較的少ないのですが、埋め立てに9880トン。
 ただし、金属鉛という訳では無くて、「鉛およびその化合物」という形態。

B君:もしも今後の鉛ガラスの排出量が15万トンというのが本当だったら、現在の15年分か。

C先生:さて、こんなところで大体の資料が揃った。鉛ガラスの処理をどのように考えるか。何がベストの方法なのか。

A君:もっとも美しい再利用法が、鉛精錬の原料に使うこと。そのために、15万トン程度の鉛ガラスを使って貰えるかどうか。

B君:やはり詳細リスク評価書によれば、用途別の廃棄量の推定というグラフがあって、1993年には、年間合計で40万トンもの鉛が廃棄されていたとされている。そのうち、50%強がリサイクルされていて、50%弱が埋め立て、もしくは、焼却されていたと推計している。もっとも焼却は少ないが。

A君:50%がリサイクルということですから、現時点でも年間10万トン以上の鉛の新地金が供給されていることになる。

B君:いやいや、こんな資料があって、日本での鉛生産量は、2004年で28万トンもあるぞ。
http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/NORMDB/PDF/2607.pdf

A君:直感的にはこれまで述べてきたデータと合わない。生産量が多すぎるように思う。

B君:まあそんな感じだけど、これが本当ならば、15万トンの鉛ガラスを全量鉛地金にすることが可能なのではないだろうか。

C先生:そうも行かないだろう。これまでの原料と違う原料を使ったとき、プロセス全体がどう影響を受けるか、かなり問題だろうから。

A君:日本でも昔は鉛鉱石を産出していたのですが、現時点では、ほぼ輸入しているので、自前の資源として、備蓄し、未来に備えるというのが最善ということに間違いはない。

B君:年間5000トン程度でも使ってくれることを前提にして、なんらかのシステムを構築するのが一番。

C先生:もしもそれを本気で実現するとしたら、鉛ガラスをどこかにまとめて蓄積するという考え方を取ることになる。

A君:どんな形態で蓄積するか。雨が掛かる状態だと、鉛が溶け出す可能性もなきにしもあらず。対策コストが問題になりそう。

B君:15万トンが本当なら、比重2だとして、体積が8万立米弱。100×100mで深さ8mに過ぎない。

C先生:一ヶ所にため込むデメリットは、濃厚な暴露が起きる可能性が高まることか。

A君:となると、やはりかなり注意を払った遮断型の施設でしょうか。

B君:それもリスク管理の考え方次第。リスク管理を高度にすれば、コストが増える。

C先生:100×100mで厚さ8mとなると、もしも、10000m×100mなら厚さ8cm。すなわち、太い道路を20km。

A君:それが路盤材の考え方。オランダがブラウン管ガラスを破砕して路盤材として使っているという。

B君:路盤材も、もしも未来永劫掘り返さなければ、それなりにリスクは低いかもしれない。

A君:やはり真剣にリスク評価をしているのでしょうね。

B君:ヨーロッパは、鉛との付き合いが古い。食器として使われていた。日本は、木と陶器の国だが、ヨーロッパは、大昔から鉛を結構使っていた。だから、いまでもローマ時代の鉛の土壌汚染がある。

C先生:歴史的にそれほど重大なことは起きないということを知っているのかもしれない。いずれにしても、ブラウン管テレビの鉛ガラスは、どのような合理的な判断がなされるか、という見本みたいな問題だ。今後の有害物に対する環境対応がどうなるか、どうすべきか、多くの識者による議論が必要不可欠だろう。なんとなく気持ち悪いから厳重に、という考え方だけでなく、資源としての再利用まで考慮した総合的なリスク管理法が臨まれる。