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  環境教育・消費者教育のあり方 12.10.2006
     



 11月25日のことになるが、神奈川県教育委員会からの招きで、高校の先生と生徒および一般参加者を対象として講演を行った。これは、高校生の環境活動に対して表彰を行う会場での基調講演であった。
 その後、目黒区の廃棄物減量等審議会があって、目黒区の廃棄物基本計画の議論を行った。そこでも、環境教育・住民教育の必要性が議論された。
 環境教育の重要性は、ほぼすべての人々にとって共通認識となっているのではあるが、それなら、誰を対象に、そして、何をどのように教育したら良いのか、その具体的な方策については、相変わらず手探り状態である。


C先生:神奈川県教育委員会主催の第二回環境シンポジウムというものだったが、その内容は高校生環境活動と今後の環境適合型校舎のあり方の集会で、なかなか面白かった。
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/ed_zaimu/sinpo/annai.pdf

A君:まず神奈川県みたいな環境活動に対して表彰が行われているのかどうか、Googleで「環境活動 表彰 高校生」と検索してみると、いくつか表彰が行われていることが分かりますね。

高校生の環境活動に対する表彰の例 googleで検索

1.鳥取環境大学の第三回環境論文TUESカップ。地球環境問題について、高校生の意見を発表してもらうことを目的に、全国高校生環境論文「環境問題−未来へのメッセージ−」を募集した結果、全国から1,088件の応募を頂きました。厚くお礼申し上げます。10月8日(日)には、第3回全国高校生環境論文TUESカップ論文発表会。

2.コカ・コーラ環境教育財団(所在地:東京都渋谷区 理事長:縄 英明)は、8 月6 日(日)に屋久島にて「第13 回コカ・コーラ環境教育賞」表彰式を開催。

3.環境省:平成10年度から、地球温暖化対策を推進するための一環として、 毎年度、地球温暖化防止に顕著な功績のあった個人又は団体に対し、その功績を 称えるため、地球温暖化防止活動環境大臣表彰を行っています。

こんなところでしょうか。もっとも3.は温暖化に特化していますから、環境全般ではないですが。

4.アサヒビール 四国の高校が対象で、『日本の環境を守る若武者育成塾』というものを行う。

というものもあるのですが、これは今年からのようです。

B君:鳥取環境大学の表彰は、どうも毎年テーマが変わるようだ。昨年は、自然保護系のテーマだったようだ。

C先生:神奈川県の場合には、特に、ジャンルは無さそう。高校生が実践しているということが条件で、高校を表彰するのか、個人を表彰するのか、そこのところはよく分からなかった。
 いずれにしても、今回表彰されたのは、
(1)県立相原高校 生ゴミを飼料に
(2)県立神奈川総合高校 環境教育カリキュラム
(3)高津養護学校 身近な環境活動
の3件。細かいところは資料が配布されていないので、記憶が頼りで怪しい。また、各高校のHPには、まだ記載が無い。

A君:環境教育カリキュラムを高校生が作ってしまうというのはすごい。

C先生:これはなかなかなもので、そのままでも、もしも現在の高校で可能ならば、すぐにでもやりたいようなカリキュラムだった。高校の環境学習のカリキュラムに「自動車」などというものは普通でこないが、この高校生が作ったカリキュラムにはしっかりと「自動車」が入っていた。

B君:それは先進性がある。しかし、問題は、現在の高校の先生では、講義ができないことだろう。やはり、出前講義が必要不可欠。しかし、自動車の講義を神奈川県だと日産があるが、メーカ任せにするのは、大問題。もっと大きな視点が無いと。

C先生:自動車メーカは製造業なので、まだマシ。最近の損害保険とか生命保険、さらには、自治体と建築業界の癒着などを見ていると、最近の事業者のモラルというものがどうなっているのか、極めて疑問。

A君:県立相原高校の生ゴミを飼料にというのは、市民活動として、よく有りそうな活動ですか。

C先生:いやいや全然違う。この相原高校には畜産科学科というものがあって、生徒とは言えプロだ。小学校の給食の余りを、鶏の飼料にしようとしたのだが、最初は失敗。卵を産まなくなった。理由は、生ゴミはそのままだとカロリーも低く、水分も多くて飼料には適していないため。しかも、すぐに腐る。そこで、通常は熱風で乾燥して保存が利く形にする。それにはエネルギーが相当消費されるし、装置も必要。そこで彼女達は考えた。何か良い方法は無いだろうか。試して見出したものが、ビニールハウスの中で乳酸菌で処理すること。バケツに入れて堅く固めて処理すると、1ヶ月ぐらい腐らないで持つようになる。カルシウム分なども加えて、飼料にした。卵の生産も十分に回復。生ゴミを出している小学校に、卵の形で返す。

B君:まさしくプロでないとできない。

A君:これは本格的。環境適合型の生ゴミの処理の優先順位は、1に飼料。2,3がなくて4が堆肥、5が乾燥して焼却といったところ。

C先生:普通だと堆肥ということになりがちなのだが、それがプロの判断で飼料になった。

A君:韓国は生ゴミを飼料として使っているらしい。焼却が嫌だということで。

B君:伊豆稲取温泉では温泉旅館からの生ゴミが飼料になっているという発表を聞いたことがある。

C先生:いずれにしても、飼料化がプロの判断によって行われた。このプロという言葉が最近の環境活動のキーワードになりつつある。要するに「身近な発想」の限界だ。身近なところには、表彰されるようなことがほとんど何も無くなったのが日本の環境の状況なのだ。

A君:環境優良企業などは、すでに、電気の使用や紙のリサイクル、ゴミの減量などすべて実施済み。

B君:家庭ではどうかとなると、無関心な家と、非常に厳密にやっている家とがあるが、もしもある程度以上にやっていると、有効性もそろそろ限界だろう。

C先生:そうなのだ。プロにならないと有効な活動ができないという現象が起きている一方で、全く無関心な層が増える。スペクトルが広がった。だから、対象を分けた活動が必要不可欠になっている。
 まず、環境NPOには環境面でプロ化をすること以外に方法論はないことを自覚してもらいたい。日本のNPOには、「思いの強さ」だけで動いているところがあるが、それでは限界だ。自治体には、レベルの低い人々にどこまで自覚をして貰えるかを目的とした環境教育を実施し、例えば、廃棄物の分類なども、そのような現状の住民意識を組み込んだ上で行う。同時に、程度の高い人のためのメニューを組み込む必要がある。

A君:無関心層、普通層、高関心層と3種類の層があったとしたら、自治体がゴミ収集のルールを決めるのは、無関心層と普通層の間ぐらいの層がどのような意識を持っているか。この層にどのようにしたら、きちんとした対応をして貰えるか、という発想を持つ以外にない。自治体は、最低の目標をカバーするのが役割だから。

B君:となると、高関心層のニーズを満たすことができなくて、不満が高まる

C先生:先日、目黒区の審議会では、まさにその通りの議論が行われた。矛先になったのは、ペットボトルの回収方法。
 目黒区のルールは、
http://www.city.meguro.tokyo.jp/gomigenryo/haisyutsu/shigen2.htm
すなわち、
(1)キャップを外して中をすすぐ。
(2)水気を切ってつぶす
(3)回収協力店に設置してある回収ボックスへ入れてください。

という要請をしている。

A君:周囲のシュリンクラベルはそのままで良いのだ。蓋は不燃ごみとして捨てるみたいですね。

B君:自治体によっては、シュリンクラベルを取り除くことを要求するところもある。しかし取ってみると分かるが、結構取り難いものもある。

C先生:ところが、目黒区には、エコプラザというところがあって、そこでの回収では、キャップは別途回収している。シュリンクラベルを取るという要請はない。
http://park15.wakwak.com/%7Emeguro.3r/shigen2.htm#pet
 これに対して、委員が文句を付けた。「同じ区なのに、何故、収集方法が違うのだ。こんな混乱を招くようなことをやってはいかん」

A君:エコプラザのようなものは、昔なら外郭団体。しかし、最近だと随意契約ができないから、一般競争入札で運営するのが普通。ということは、目黒区とは関係があるような無い様な。

C先生:その通りで、建物などは区の所有物だし、運営も区の費用で行われているが、その運営主体は別なのだ。しかし、そのような議論は不毛なだ。当方からの回答は、全く視点が違う。
 「エコプラザにペットボトルを持ち込んでくれるような人は、高関心層あるいはマニア層。マニア層であればきちんとやってくれる。もしも、無関心層にキャップは別途回収します、といった瞬間に、キャップはしたまま、中身も入ったままで排出されてくる。だから、キャップは捨てる方が、資源的には無駄でモッタイナイのだが、収集側にとっては、作業上は楽になる」。

A君:勿論、キャップはポリプロ(PP)だろうから、集めれば、それなりにリサイクル可能。シュリンクラベルの方は、材質様々あるけど、ペットボトル用は多分ポリスチレン。印刷されているので、回収してもマテリアルリサイクル用としては難しいところ。

B君:最近、分別技術が進んでいるから、混じっても問題は無いのだろう。ポリスチレンなら比重は1.05ぐらいで、ペット樹脂は1.38もあるから、比重で分けることも可能。

A君:ポリプロだと比重が0.9ぐらいですから簡単。そこに、ポリスチレンが混じると、多少面倒ですね。

B君:2段階に比重選別をやることになるのかもしれない。あるいは、フィルムは破砕しにくいから、風力で飛ばしても良いのかもしれないが。

A君:調べてみたら、一般には、手作業で分別しているようですね。
http://www.eic.or.jp/library/g-guide/sample/lecture/petbottle.html#m01

B君:それなら、リサイクル価値も無さそうなので、シュリンクラベルは消費者に分別して貰うべきなのだろう。

C先生:全員にそれをやってもらうのは、結構難物だ。適当なところで妥協しているのが現状だと言えるだろう。
 A君が調べた同じ資料にも、有害物が入っていたボトルが混じらないように、ラベルはつけたままの方が判別が容易で、したがって安全でもあるという意見もあるようだ。

A君:なかなか難しい話ですが、消費者に理想的な対応を求めるという考え方でもないような気がするのですね。なぜなら、リサイクル処理をやっている施設が備えている装置に大きく依存するのも事実で、例えば、潰すかどうかにしても、最近の足立区の実例のようにトムラの回収機
http://release.value-press.com/detail/4e7ed9f71/index.html
を使っている場合には、そのままの方が良いかもしれない。

B君:それもその通りだが、回収時に潰すかどうかも自治体によって違うらしいが、運搬効率を考えたら、是非とも潰すべきだが、潰さないという前提でシステムを作ることだってできない訳ではない。

C先生:リサイクルだけでなくて、リターナブル容器の普及も、現在のシステムを前提としていると、なかなか困難なのだが、全く新しいスタンスで可能性を検討すれば、なんとでもなる。ガラス容器(ジャムだとかピクルスだとか小物のガラス)を共通化して、それ以外使えないような社会システムを導入してしまえば、それなりに機能はする。しかし、製造側は瓶詰め装置をかえる必要もあるかもしれないし、相当なコストが掛かるし、しかも輸入品にまでそれを強要するのは難しい。

A君:生協の通販のような方式だと、いくらでも可能ですよね。小物の容器を数種類決めて、それらには、ICタグを付けておく。帰ってきたら、自動的にそれをチェックする。各顧客ごとの返却率も分かるから、マイレージ的なポイント制でも導入して、優良者には、高いポイントを上げれば良い。

B君:ICタグというものは、これを消費社会に組み込むと、これまで均一な対応しかできなかったものが、個別対応ができるようになるから、面白いことが可能。

C先生:生協の通販に限らない。例えば、スーパーでも買い物にカード(現金支払いの場合にも提示)を発行するか、あるいは、クレジット会社のカードを判定するかして、そのカードの持ち主の買い物情報を寄せることにすれば、複数のカードを個人が使っていても、どうにでもなる。場合によっては、リターナブル容器をこれまでいくつ買って、いくつ返したか、ということだって、データ化できるかもしれない。
 もちろん、それをやることは、消費者側からの申し込みが有った場合にのみ、という前提だ。最近、個人情報がうるさいので。個人情報については、行きすぎの部分もあるようには思うが。
 そうやってインセンティブをつけることで、消費者環境教育がかなり加速できる。

A君:これはかなり高度な話。しかし、考えてみれば、家庭内での消費行動についても、結構高度な知識がないと、適切な買い物ができない状態になっている。

B君:それは事実だ。どんな商品を選択するか。これが消費の環境適合性の最大の鍵だったりする。

A君:エコキュートを買うと、それだけで給湯の環境負荷は最低でも半分にはなる。プリウスを買えば、これは乗り方次第だが、負荷が2/3になるのは堅い。

B君:もしも洗濯についても、毎回乾燥機を使うようなら、ヒートポンプ付きの洗濯乾燥機にすれば、負荷は半減近いところまで行くだろう。

A君:しかし、ヒートポンプとは何か、それを知らない人も多い。

C先生:もっとも大きいのが、家を建てるときかもしれない。どれほど知識があるか、それは決定的に違う。家は、30年以上使うから、20年後ぐらい先を見越してどんな対応をしておくか、これが非常に重要だ。

B君:今なら、給湯、太陽光発電、太陽熱利用、断熱(二重サッシあるいは複層ガラス)ぐらいだろうが、将来を考えておくと、天然光利用を考えた照明システム、エネルギーマネジメントシステム、地中熱を利用したエアコンシステム、といったところが必要。

A君:家電にしても、当面のキーワードはヒートポンプとエネルギーマネジメントシステムでしょうが、将来を見越すと、やはり自然光利用、自然通風利用、といった方向がそのうち出てくるのではないでしょうか。

C先生:現在心配なのは、何も考えないで大型の平板テレビを買う人々の行動。これはなんとかしないと。

A君:自動車についても教育が必要不可欠。軽自動車は燃費は良い訳ではない。安くつくことは間違いないですが。

B君:オートマ仕様の軽自動車を買うなら、車重800kgまで。マニュアルの車なら、もう少々重くても良いが。そして、せめてCVT車を買うのが、環境に対する礼儀というものだろう。

A君:CVTというものが何か分からない人が多かったりしないでしょうか。

C先生:そのうち、軽自動車について、本HPで買い物案内を作ってみよう。

A君:そろそろ結論ですか。まあ、自治体が行うべき消費者環境教育というものは、無関心層と中間層の間ぐらいを対象として、ルールをお守り下さいといったものにならざるを得ない。そこで、出番がNPOあるいは、自治体の外郭団体のようなもの。こちらは、様々なメニューを作って、同時に、それらが実施できるようなメニューを作って、上級向け、あるいは、マニア向けの教育と実践を進める。

B君:そして、重要なのが、なぜ、それが環境負荷的にみて良いことなのか、しかし、なぜそれが一般向けにはできないことなのか、といった情報の伝達が必要。

C先生:その通りなのだが、消費者環境教育を目指しているNPOというものの活動は、かなり限定的だ。GPNのように非常に大きな団体がある一方で、中規模で情報の開示伝達に特化したようなNPOがあっても良さそうなものなのだが。

A君:「消費者教育 NPO」と入れてグーグルを検索したら、多重債務者向けのNPOでした。

B君:国民生活センターで消費者教育を調べたら、悪徳商売撃退法だった。

C先生:たしかにそのようだ。消費者教育というと、トラブルの未然防止とかいうことが主な題材になっているようだ。消費者を対象として持続型消費に関する教育をやっているNPOは無いのかもしれない。もしそうならば、これは由々しき事態だ。どうやって消費財を選択するか、そんなことをきちんと教育できるNPOを作るべきなのかもしれない。とりあえず、このHPでも、もう少々頻繁に取り上げてみよう。