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  エコミシュランのフォロー 04.22.2007
          デジタルビデオ編



 お手元に日経エコロジーの5月号がお有りかと思う。5月のエコミシュランはデジタルビデオ編で、どのメディアを選択するか、ということについて、議論をした。
 そこで、本題とは余り関係ないのだが、「現状では、ハイビジョンのビデオカメラは、お奨めできない」、との見解を表明した。
 その後、DIMEの08号、4月17日発売に、「わが子の映像だけは、フルHDムービーで取るべき理由」なる記事がでた。確かに、そうとも言える。しかし、内容には、かなり異論があるので、ここでフォローをしたい。
 ちなみに、DIMEのお奨め機種は、以下の3機種だった。(カッコ内はメディア)
*ビクターエブリオ GZ−HD7(HDD)
*キャノン iVlS HV20(ミニDV)
*ソニー ハンディカム HDR−HC7(ミニDV)

C先生:エコミシュランで、「現状ではハイビジョンビデオをお奨めできない」とした理由は、極めて簡単な話で、普通の方法でDVDに落としてしまったら、ハイビジョン画質ではなくなってしまうから。それなら、初めからもっと軽量な機種で撮ればよい、というものだった。

A君:テレビをハイビジョン対応にした人は多いでしょう。しかし、ブルーレイやHDなどのハイビジョンDVDレコーダを持っている人は極めて少ないはず。今でも、20万円の上の方まで覚悟する必要があるから。

B君:ハイビジョン用のDVDレコーダ/プレイヤーをもたない人が、どうやってハイビジョン画像を見るのか、といえば、これはカメラから直接見るしかない。しかし、ムービーには、必ず失敗画面がある。そこを取り除くぐらいの編集機能は欲しい。

A君:DIMEでは、WindowsVistaの標準的動画編集ソフトである「ウィンドウズムービーメーカーHD」を使って、編集が非常に簡単にできる、と言っているが、まず、なぜ動画関連では後手後手に回っているマイクロソフトのソフトが選ばれるのか。さらに編集後の動画をどうやって見るのか。ここに落とし穴がある。

B君:結局のところ、普通のDVDに落として、悪い画質で見るしかない。

A君:相当できる人ならば、また元のカメラに戻して、そこからハイビジョン画面で見ることも不可能ではないけど、これも相当に面倒。

B君:大体、そんなことはやらない。面倒だし。

A君:編集は、失敗画面を切るために、是非とも必要になる。となると?

C先生:そこで、我々のお奨めは、DVD、SD、HDDメディアを備えたビデオカメラ。それなら、カメラに簡単な編集機能がある。すなわち、失敗画面を消すことが可能。ただ、消すことができるのは、シャッターを押して録画を開始し、そして止めたところまでが一つのまとまり(チャプタ単位)。失敗したチャプタ内の一部だけを消すのは不可能。

A君:これがかなり重要で、だから、ミニDVテープは基本的にお奨めしないというのが、基本だと思う。特に、素人が使う場合では絶対に必要。

B君:もう一つミニDVテープをお奨めしないのは、重ね撮りをやりかねないから。特に、素人はやりがち。テープは頭だしが大変。しかし、たった今撮ったばかりの動画を見てみたいのが素人の心情。そこで、まき戻して見るが、次とのつなぎが旨く行かない。さらに最悪な状況が、まき戻したのを忘れて、前の動画を消しながら、次を撮影してしまうこと。

C先生:それが、ミニDVをお奨めしない最大の理由かもしれない。

A君:ここまででDIMEの提案の問題点を一応整理しますか。
「まず、ミニDVを使う機種は薦めるべきではないのに、それを薦めている」。理由は、
その1:画像をそのまま見るなら良いが、多少でも手を入れる必要があるとすると、見るのは普通の画質になってしまう。
その1’:特に、ミニDVでは、編集後の動画を再びミニDVに書き出すことをやらないのが普通なので、高画質が生きない。
その2:素人がやりがちな決定的な失敗、重ね撮りの可能性の高いミニDVを薦めていること。

C先生:さて、これから先は、さらに深刻な問題だ。生まれたばかりの赤ちゃんが結婚するまでの20年余、動画をどのようにして保存するか。これは、非常に深刻なのだ。2つの問題がある。一つは、メディアとして何がもっとも耐久性があるか。もう一つは、そのメディアが果たして20年後に使えるか。

A君:まずはメディアの耐久性の問題。永久にもつと考えられていたCD−ROMだって劣化を始めている。DVD−Rで染料を使っているタイプは、太陽の光というか紫外線に弱くて、すでに劣化を経験した人もいる。最近のDVD−Rは多少改善されているようだが、ブルーレイやHDのDVDがどうかは不明。
 ミニDVは、寿命は多分大丈夫だとは思うが、それでも、磁気テープは、機械的に不安定なのが心配。ワカメ状態になったら読めない。さらに、ミニDVという規格はそのうち消える。小型のテープの規格だった8mmテープはもうとっくに消えた。1985年に世界共通規格として売り出されたものだ。今再生することはかなり難しい。不便なものは、消えるのも早い。当然、ミニDVを再生する機器も消えるだろう。

B君:結局、デジタルデータを残す方法になかなか良い方法が無い。恐らく最善なのが、USB接続の外付けハードディスクに残しておくこと。できれば、複数台に。そして、ときどき、バックアップを作る。パソコンの規格は、そのうちどんどんと変わるだろうから、次の接続法が出来た場合には、新しくハードディスクを買いなおして、バックアップする。

C先生:結局のところ、これが最善の方法のように思える。SDメモリーのようなフラッシュメモリーも、本当のところ、消えない保証は全く無い。

A君:ハードディスクのような機械駆動系を含む情報機器に残すよりも、独立したテープのような、あるいは、なんらかのディスクのようなメディア単独のものに残すことが重要だと思うのですが、どうも、適当なものが無い。

C先生:映画ダビンチコードに出てくるスイスのどこかの銀行の鍵が、レーザーで読む金属製の棒になっている。あのような形式で、強化されたガラス板上に、ドットを書いていくような方法でも標準化されれば、非常に高価な機器になるだろうが、未来永劫データを残すことが可能になる。強化ガラスなら、まあ、数千年は持つだろう。どんな金属よりも良いだろう。そして、どのようにデータを書いたかを別途記録しておけば、将来、そのデータを読み出す装置はいくらでも作ることが可能だろう。

B君:いずれにしても、現時点では、USB接続の外付けハードディスクに記録を残しておいて、そして、メディアも保存することが良さそう。メディアは、それぞれの段階で、良さそうなものを選択する。ミニDVは、向こう数年の寿命だろう。

A君:となると、現時点でどのビデオを選択するのか。

B君:われわれのスタンスは、今は、「まだ待ち」が妥当という見解だった。

A君:しかし、来週にでも赤ちゃんが生まれるとなったらどうします。

B君:やっぱりハイビジョンのビデオを買うべきかもしれない。

C先生:そのとき、どれを選ぶかなのだが、DIMEは、HDMI端子付き、長時間録画、編集しやすいの3拍子が選択理由と言いながら、編集したら、通常のDVDになってしまうことを問題にしていない。むしろ、ミニDVテープを使うことの経済性を主張している。どうみても、ミニDVテープで画像を残すことを考えているようだ。

A君:ミニDVテープは、いずれ、といっても10年以内ぐらいに、何かに移すしかない。

B君:また画像の圧縮形式にしても、HDVという古めのフォーマットを推薦しているが、やはり、AVCHD(=H.264)という新しいものが主流になるだろうと思われる。まあ、パソコンで再変換すれば良いのだが。マイクロソフトは、動画については、Appleに置いていかれていて、そのうち、Appleテレビにしてやられることがみえみえ。それも、H.264を無視しているからではないだろうか。

A君:となると、AVCHDの方が圧縮率も高いので、将来有利では。

C先生:実は、圧縮形式については、余り大きな問題ではないかもしれない。本気で20年以上残すことを考えた場合には、画質の方が重要かもしれない。ミニDVを使ったハイビジョンだと、パソコンにダウンロードしたとき、1分間何MBになるのだ?

A君:データレートは、動画が約27Mbps。バイトに直すと、音声を入れて〜200MB/分ぐらいでは。

B君:ビクターが300分で60GB。丁度そんなものだ。

C先生:だとすると、画質的には、ビクターようなHDDかミニDVかということになるのだろうか。もしもDVDやSDメモリーの画質がそれほど悪くはないということならば、200MB/分というのは、ハンドリングだけで結構大変そうだから、やはり、DVDかSDメモリーを選択することになるだろう。

A君:どこかに旅行にいっても、60分も撮ることはかなり希ですよね。だとすると、SD4GBを2枚持って行って、80分は撮れる。それで大体は充分。最近は、8GBのSDもトランセンド製なら比較的安価に(一時期は1万円を切った価格で)売っている。

B君:子どもの運動会などでどのぐらい撮るのか、想像も付かない。

C先生:まあ、全くその人次第。

A君:いずれにしても、ビクターを買ったら、パソコンをかなり大容量のものにしないと駄目でしょうね。なんといっても、ビデオのHDDが60GBもあるのですから。パソコンのHDDは最低でも500GB以上でしょうか。

B君:そろそろ結論ですかね。個人的には、もしも画質を最大限に問題にするのであれば、ビクターでしょうね。でも、665gのビデオカメラは買いたくない。重くて使わない。だから、SDのモデルにするかもしれない。特に、サンヨーのXacti DMX−HD2は、軽量コンパクトなのが魅力。まあ、サンヨーというメーカーだから買わないかもしれない。パナソニックのSDモデルも良さそうだけど、次のモデルは、もっと軽量になるに決まっている。ということで、迷って結局買わないのではないだろうか。現状のビデオで行く可能性が強い。正直、もう少々待ちたい。

C先生:それも一案。ハイビジョンでないと画質が悪いとか言うが、最近の機種であれば、普通のMPEG2、すなわち、720×480程度の分解能でも、それほど悪いとも思わない。25年後に結婚式を挙げるときに、自分の子ども時代の動画がややぼけた画像で出ることも、味のうちなのではないか。

A君:もしもどうしても買うとなったら。。。。。8cmのDVDを大量に買い込んで撮りますかね。1枚で27分撮れるということは、結構充分では。ただ、画質を見てから選びたい。個人的には、今、買う理由は無いので、買わないですが。

C先生:なるほど。妥当な選択なのではないか。ビデオというものは、撮るのは楽しいのだが、実のところ、テレビに映して見ることは余りしないのも事実なのだ。個人的には、むしろ、パソコン画面で見ることを前提とした撮り方で良いのではないだろうか、と思っている。だとすると、それほどの分解能は不必要のようにも思える。


追加:こんな記事を用意しつつあるところに、DIMEの09号が出てきた。この号のエディターズチョイスがなんと、パナソニックのSD版ハイビジョンビデオカメラ。前号でミニDVかつHD規格の機種を良い良いと薦めておいて、次の号では、もうSDかつH.264の機種を薦める。DIMEも相当にいい加減な雑誌だ。