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      「ドローダウン」なる書籍のご紹介
        
ポール・ホーケン氏編著の書籍 03.14.2021
 



 2021年の1月5日に初版第1刷発行ではあるが、購入した書籍は、2月1日の初版第2刷であった。これからご紹介するが、内容的には、かなり硬い書籍でありながら、ここまで売れているのは大変なものだと思われる。
 その理由だが、副題が魅力的なためではないか、と思われる。
「地球温暖化を逆転させる100の方法」が副題であり、何か、具体的な方法論が満載されている書籍にように思われる副題である。
 著者は、ポール・ホーケン氏である。しかし、本書のp400以降に、16ページに渡る協力者のリストが掲載されている。総数を数えた訳ではないが、仮に1ページに15名とすれば、240名もの知識と知恵が詰まっている本であることになる。
 しかも、内表紙の前にあるスタッフ、リサーチフェローなどのリストにある人数もすごい数である。
 内容としてカバーしている範囲は、目次によれば、次のようになっている。
 1.エネルギー       58ページ
 2.食            63ページ
 3.女性と女児       9ページ
 4.建物と都市      39ページ
 5.土地利用       45ページ
 6.輸送          37ページ
 7.資材          21ページ
 8.今後注目の解決策 121ページ
 そして、本日のご紹介は、1.エネルギーのみである。


C先生:なかなか凄い本ではある。とりあえず、
ポール・ホーケン氏の紹介から始めて欲しい。

A君:
カリフォルニア生まれの75歳のようです。カリフォルニア大学バークレー校とサンフランシスコ州立大学に通ったとのこと。仕事としては、コンサルタントのようで、その対象は、「生態学的ビジネスの創設」、「「環境政策」に関して、企業や政府のコンサルティング」などを行ってきた。

B君:「
エコロジーオブコマース」なる本がビジネスと環境に関する大学のテキストとして、第1位に選ばれたとのこと。

A君:
1975年から著書を出版。そして、8冊目が、今回ご紹介する『ドローダウン:地球温暖化を逆転させるためにこれまで提案されたもっとも包括的な計画』で、英語版は、2017年に出版された。それが、今年になってやっと、日本語版が1月5日に初版第1刷発行となったということのようです。

B君:
431ページもある本なので、どういう形式で紹介すべきなのか、かなり難しい。

A君:まあ、
序文は2ページのみで、ジョナサン・フォーリー博士が記述しているので、まずは、そこのご紹介だけでも。

B君:ちなみに、
ジョナサン・フォーリー博士は、米国ミネソタ大学環境研究所の所長で、世界の食糧問題を解決するために、様々な研究ならびに、著作を行っているとのこと。

A君:了解。極一部のご紹介になります。
 フォーリー博士による序文の一部。
『気候変動の話は暗く、悲観的な話になってしまい、人を否定、怒り、あきらめの気持ちささせます。しかし、「ドローダウン」のおかげで、私は別の視点を持てるようになりました。地球温暖化を逆転させるもっとも確実は100の解決策を研究し、モデル化さらました。エネルギー、農業、森林、工業、建築、輸送などの多くの分野に渡る有効な解析でした』。

B君:このようなフォーリー博士に対して、本書の序文としては、「はじまり Origins」という3ページほどの記述がある。

A君:「2001年、私は気候変動や環境分野の専門家たちに、こう質問しました。
『気候変動を食い止め、逆転させるのに何をしなければならないか、分かっているのですか』。私は、てっきり『買い物リスト』を貰えるものと思っていました。しかし、そんなリストは存在しない、という答えばかりでした。

B君:まあ、確実な解決策はあるはずだから、それを見出そう、というマインドの研究者は少なかったということだな。
地球レベルで、余りに、大規模な話なので、解決策がそう簡単に見つかるとは思えなかったのが、現実なのだろうね。

C先生:そろそろ
最初の項目である「エネルギー」に取り掛かろう。

A君:了解です。まず、序文があって、このような記述になっています。
『化石燃料からのエネルギー生産に取って変わる技術と戦略にスポットを当てます。かつてエネルギービジネスの「骨折り損」とされたいたもの、特に風力と太陽光は、予測をしぶとく裏切り、今や、石炭、ガス、石油に匹敵するまでになっている。再生可能エネルギーのコストは年々下がり続けている』

B君:続き。
『新しい採掘源からの石油、ガス、石炭の採掘はかなり難しくなり、今後は炭素系燃料のコストは上昇するでしょう。カナダ、フィンランド他4ヶ国は、すでに石炭を禁止しており、その準備を進めている国は、もっとあります。ライターのジェレミー。レゲットの言葉を借りれば、私達は史上最大のエネルギー玄関の真っただ中にいるということです。クリーンエネルギーは高くない、となれば、経済学の原則で、その新時代はいずれ必ずやってきます』

A君:という訳でやっと、エネルギーの各論に入ります。最初の話題は、洋上風力ですが、これは、本サイトでもいくつか取り上げているので、ちょっと省略。

B君:現時点だと、すでに報告済みだけれど、どうも
イギリスの洋上風力が熱いようだ。82メートルのブレードからなる風車が一回転すると、1世帯が1日で使用する電力が発電される。

A君:紹介されているのは、
英国であることは同じなのですが、リバプール沖。ということは、アイルランドとの間でして、北海側ではないですね。どうやら、おもちゃのレゴが所有するプロジェクトらしいです。

B君:すでに
洋上風力のコストは、石炭発電のコストを下回るのが常識的になっているとのことだ。

A君:しかも、
米国であれば、カンザス州、ノースダコタ州、テキサス州の3州だけで、全米の電力需要を満たせるほどの発電量が期待できるとのこと。

B君:しかも、
風力発電の風車は、土地の1%ぐらいしか占拠しないので、放牧、農業、レクリエーション、自然保護との共存が可能

A君:しかし、
日本だと、風力発電もいくつかの問題があるとされていますね。一つは、騒音。もう一つが、鳥への被害でしょうか。

B君:このあたりは、本来であれば、
化石燃料による地球環境への悪影響を考慮して、広範囲なスタンスで比較検討しなければならないのだけれど、日本だと住民が直接受ける騒音の被害、鳥のような他の生命種が直接受ける被害との比較論が出てきて、それが問題になってしまう。

A君:
化石燃料を使うことによって、地球環境が悪くなるような重大な問題は、余り、問題にされないのが日本という国だと言えるのでしょうね。

B君:そうだね。パリ協定のときにも思ったのだけれど、
日本人にとって、パリ協定のどこが難しかったのか、というと、それは、「気候正義」という言葉だったと思うのだ。その理解に必要不可欠なマインドが、地球レベルで物を考えることだったのだけれど、それがなかなか難しかったようだ。特に、正義という言葉にアレルギーを示した例が多かったのでは。

A君:
日本の宗教には正義は出てきませんからね。

B君:ちょっと話題を変えて良いかな。よくよく見ると、この本には、「ランキングと2050年までの成果」という言葉の後に、2位とか22位とかいう順位が出てくる。

A君:
「数字について」というページが有って、それによれば、「その解決策によって回避または大気中から除去できる可能性のある温室効果ガスの総量についてランキングをした」ということだそうで。

B君:ということは、
陸上風力が2位ということは、陸上風力を導入すれば、温室効果ガス削減効果が非常に大きいということだね。

A君:やっと
1位を探し出しました。なんとなんと、「冷媒」でした。その理由は、古い冷媒は、オゾン層を破壊することで、新しい冷媒に代わったけれど、この新しい冷媒でも、温室効果が非常に大きい。COの1000〜9000倍だから。冷媒を何か別のものに変える必要があるということですね。

B君:確かにその通り。1位が当然の順位だということだ。

A君:最近の冷媒は、古い冷媒と比較すれば温室効果が下がってはいるのですが、やはりそれでもまだ大きすぎるのですね。

B君:このことは、もともと分かっていて、
日本の法律では、冷媒は回収し廃棄処理をしなければなければならないことになっている。「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」というもので決まっている。もしみだりに放出すると、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられる。しかも、2020年4月1日施工の改正フロン排出抑制法によって、さらに厳しくなった

A君:ついでに、
3位は、食品廃棄の削減。そして、4位は、植物性食品を中心とした食生活5位が、土地利用と熱帯林保護、6位が女児の教育機会、7位が家族計画、8位がソーラーファーム、9位が林間放牧、10位が屋上ソーラー

B君:屋上ソーラーですが、C先生は、かなり前に廃棄処分にしましたね。

C先生:その通りで、3階建ての屋上に設置してあったのだけれど、
コントローラーがいかれ、17年間使ったもので、パネルも動作しないものが多くなってしまったので、廃棄した。実を言えば、さらなる本音があって、それは台風などの強風によって、屋上からパネルが飛ばされるのが怖くなったからなのだけれど。今後、台風はより狂暴化する傾向が強くなると思ってのこと。

A君:話をランキングに戻しますが、
3位の食品廃棄の削減は、まあ当然のこと。今後、地球上の人口は増える方向なので。

B君:そして、
4位の植物性食品を中心とした食生活だけれど、その根拠として、動物性タンパクを食べる良し悪しをどう考えるのか。最近、どうもベジタリアンが増える傾向のようだけど。

A君:まあ、人によって判断は違う見たいだけれど、
動物性タンパクを止めるという人が徐々に増えているような気もしますね。個人的にはちょっと寂しいですけど。

B君:この本でも、
今後、ノンミート市場が急速に拡大するという見解のようだ。

C先生:どうも、この書籍のスタンスは、相当に先行型のような印象なので、なかなかついていけない。
ちょっと1週間の時間を置いて、少々じっくりとその主張を玩味してみたい。ということで、ちょっと早いけれど。今回は終了としたい。

A君:ちょっと珍しい終わり方になったけど、実際のところ、この本のインパクトは相当に大きいので、その方向に賛成です。

B君:そういうことで、今回は、本当に終わり。
こんな終わり方をするのも、この本の影響だとしたら、なかなか珍しいほどのインパクトのある本だということになりそう。