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    オフィス・家庭の省エネ 07.16.2016
             その2 オフィスの省エネ徹底




 現在の勤務先である(一般財団法人)持続性推進機構のように、貸しビルの一部屋をパーティションで分けて使っている場合には、省エネをやろうにも、その限界は明らかです。

 本年度の目標が、「それでもなんとかする」ことでして、担当者を決めたのですが、なかなか動けないようなので、そろそろ自ら乗り出すか、という状況になっています。

 自宅の場合、ほぼ省エネはやりつくしましたので、これ以上は不可能といったところです。その状況は、次回以降、家庭の省エネの一例編、でご紹介する予定ですが、今回、その経験をオフィスでも活かすのも目標の一つです。



C先生:通常のオフィスの場合、環境負荷を下げるといっても、紙・ごみ・電気と良く言われるように、それ以外の対策はなかなか取れないのが現実だ。今回は、省エネの話なだけれど、「電気」しか対応が取れないので、あらゆる節電対策を行うことになる。

A君:オフィスビルにおける節電対策だと、いつ作成されたものか分からないけれど、環境省が恐らく予算を出して、どこかが作成した節電ナビというサイトの中に「オフィスの節電」というページがありますね。作成日時が書かれていないものは、政府系のサイトであれば、それなりの更新がなされていると思うのですが、スーパーCoolBizやCoolChoiceが出てこないので、数年前のものかもしれないですね。
http://www.setsuden-navi.com/s-office

B君:まあ、完璧という訳ではないだろうが、検討用の材料としては良いのでは。

A君:「オフィスビルにおける節電行動計画の詳細」という記述があって、そこに次のような記述があります。
(1)5つの基本アクション
 照明は2つ:間引きと消灯
 空調も2つ:28℃、使用しないところは停止
 OA機器:長時間席を離れるときは電源OFFあるいはスタンバイ


B君:これらは当たり前なのでは。実は、C先生のオフィスでは、まだ、「間引き」を実施していないので、これが多少利く可能性がある。

A君:それでは、次です。
(2)さらに効果の大きい節電アクション
 空調1:換気ファンの一定時間の停止(CO2モニターが必須)、または、間欠運転によって外気取り入れ量の調整
 空調2:日射を遮るために、ブラインド、遮熱フィルム、ひさし、すだれ
 空調3:冷凍機の冷水出口温度を高めに設定し動力削減【セントラル空調の場合】
 その他:複数の事業者で交代で休業


B君:これは、空調2を除けば、自社ビル用なので、C先生のオフィスでは無理。空調2のブラインドなどだけど、北向きのオフィスでは、効果は少ないし、すでにブラインドは付いていて、断熱ように一応活用中。もしも、南向きのオフィスであれば、ブラインドはもっと気にしなければならない。外に設置できるような状況であれば、ひさし、すだれも悪くない。

A君:同じく、空調2:にある遮熱フィルムも自社ビル向けですが、実は、年間のエネルギー消費に繋がるかどうかは、そのフィルムの特性に依存して、夏季と冬季の実証をしないと、分からないのです。

B君:その通り。環境省事業として行っているETV=環境技術実証事業というものがあって、そこでは、かなり長い間、建築物外皮による空調負荷低減等技術として、遮熱フィルムの評価をしている。

A君:反射率の高いフィルムによって、太陽光による室内温度上昇を避けることができるので、夏季は省エネになるのですが、冬季には、そのようなフィルムを貼れば、太陽が入射することによる部屋の暖房効果が無くなるので、地域によっても違います。トータルでマイナスになる可能性もあります。

B君:最新の報告書は、実証番号051−1502で、平成28年3月に発表されているが、
http://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/list/h27/051-1502b.pdf
これだと、年間通した空調で若干プラスになるようだ。東京都のオフィスだと年間で、17.6%の省エネになるとのこと。冷房負荷だけだと、35.8%もの省エネになるのだけれど、暖房負荷は、逆に−153.0%の削減、すなわち、大量増加になっている。オフィスの場合だと、ビルのサイズが大きな場合には、暖房負荷はもともとかなり少ないので、割合としてはマイナスになっても、トータルでは17.6%のプラスになっている。

A君:このようなフィルムが利く地域というのはどこでしょうかね。

B君:正確には分かっていない。夏が暑いところでは有効であることは、まず確実と言えるだろう。地域的には関東地方までか? 仙台になるとやや疑問といったところかと想像する。

A君:それでは、次です。
(3)メンテナンスやその他日々の節電努力
 照明1:昼休みの完全消灯
 照明2:従来型の蛍光灯を高効率蛍光灯やLED照明
 空調1:フィルターを定期的に清掃、2週間に1回
 空調2:電気室、サーバー室の空調設定温度最適化
 空調3:室外機周辺の障害物を取り除き、直射日光を避ける
 空調4:電気以外の方式もあれば、そちらを優先
 空調5:朝の涼しい時間帯から設備を起動して、ピーク電力上昇を抑制
 コンセント動力1:エレベータやエスカレータ停止
 コンセント動力2:電気式給湯器、給茶器、温水洗便座などのコンセントを抜く
 コンセント動力3:自動販売機も一時停止
 その他1:デマンド監視装置を導入し、契約電力をマイナス15%
 その他2:コジェネを所有していれば、発電優先で運転。


B君:あれ、やはり、この項目は、東日本大震災の影響が相当に残っている。ピーク消費電力を下げて、契約電力を下げるのは極めて効果的かつ究極の費用節約対策ではあるので、一応、活かしておいても良いけれど、
現在の状況で活用すべきな項目は、
 照明1:昼休みの完全消灯
 照明2:従来型の蛍光灯を高効率蛍光灯やLED照明
 空調1:フィルターを定期的に清掃、2週間に1回
 空調2:電気室、サーバー室の空調設定温度最適化
 空調3:室外機周辺の障害物を取り除き、直射日光を避ける

ぐらいか。
しかし、C先生のオフィスでは、
 照明1:昼休みの完全消灯
 照明2:従来型の蛍光灯を高効率蛍光灯やLED照明
 空調1:フィルターを定期的に清掃、2週間に1回

のみが対象となる。
 ところが、C先生のオフィスでの完全消灯は、昼休みに社員がお弁当を食べるので、消灯は無理。蛍光灯はすでにHfタイプなので対策済み。フィルターの定期的清掃は、清掃会社がやっているのかどうなのか。調査が必要。

A君:ということで、C先生のオフィスで絶対にやるべきことは、結局、このリストの中には余りないことになりますね。
(1)5つの基本アクション
 照明は2つ:間引きと消灯
は必須ですが。

B君:まあ、これからスタートだろう。しかし、照明の間引きについては、科学的に進めるべきで、最低でも、社員のデスク上の照度は、基準値を守るということが必須。となると、照度計ぐらいは備える必要がある

C先生:先日、照度計はすでに購入した。これを使って、各人の最低照度は確保するという条件を満足させることができると思う。もっとも私自身のデスクだが、やや白内障気味なもので、余り明るくない方が良いのだ。この条件も満足することができる照明の配置になってはいる。

A君:各人のパソコンの省電力は、すでに実行中のようですが、さらに進めるには、各コンセントの消費電力を計るということから始めるのが良さそうですね。機器を全部をOffにしたときと、運転時の両方ですが。

B君:待機電力の削減は、まず副作用が無いので、もっとも最初に手掛けるべきこと。これが、先ほどの節電行動計画に書かれていないのは、ちょっと問題。待機電力をゼロ化すると、ほぼ確実に効果がでると言われているのだけれど。

A君:待機電力の削減ですが、以前に自宅のテレビの消費電力について、このサイトで実験結果を報告をしたことがあるのですが、
http://www.yasuienv.net/TV2014.htm
カタログ値の350倍になってしまうケースがあることが判明しました。ですから、オフィスにもテレビはあるところが多いと思うので、そのチェックは重要です。

B君:そうだった。複雑な構成にするとそうなりがちで、特に、テレビにBDレコーダを繋ぎ、テレビに直接接続するUSBディスクからのダビングを可能にしようと思ってLANでつなぐと、それぞれの機器単独の待機電力はテレビもBDレコーダも0.1W程度なのだけど、一式で、26Wぐらいの待機電力になってしまった。これは、非常に大きい。なぜか増えるのか、と言えば、機器が常に、交信をしている状態になってしまうから。

A君:待機電力はバカにできないですね。なんといっても、年間24時間×365.25日=8766時間動いていますから。待機電力が例え1Wであっても、年間になると8766Wh=8.8kWhとなって、1kWhが30円だっとしても、264円になります。

B君:26Wの待機電力だとすると、6837円か。本当にバカにできないね。家族でお寿司でも食べた方が良い。

A君:最近だと
ルーターの電力が無視できない。IT系の機器は、消費電力を余り公開しないのも大問題。高々数〜10数Wだからといっても、24時間動かしていると直感をかなり超した消費電力になりますね。

B君:C先生のところの無線ルータは、
CATV会社から支給の特殊品で、いわゆるケーブルモデムと無線ルータが一体になったものですね。

C先生:そうなんだ。その消費電力だが、なんと12Wもある。そこで、かなり前からなのだけど、タイマーをセットして、25時になると切れて、朝7時までの6時間は、OFFという設定にしている。1/4の節電という訳だからたった3W分に過ぎないのだけど。


写真1: 24時間タイマーと消費電力計 ケーブルモデム+無線ルータは、12Wの消費電力

A君:OFFの間にインターネットが必要になることは、めったにないでしょうが。

C先生:そのときには、ほぼ常時持ち歩いているSIMを入れたiPadMiniの出番だ。まあ、Webサイトをいじったり、ファイルをダウンロードして加工するといったようなことをしなければ、それで充分。

A君:OA機器の一つの問題点は、常時ONになっているサーバーやルーターなどの消費電力が、かなり支配的であることですね。だから、この対策は良く良く考えないと。

B君:待機電力対策を行うには、やはり、「元から絶たなければダメ」、が原則だと思う。そのためのお奨めは、スイッチのついたテーブルタップなどを活用すること。

A君:商品で言えば、こんなものを活用して、電源を元から断つ。ヨドバシのWebサイトからの引用です。

写真 スイッチ付きコンセント、 個別スイッチ付きテーブルタップ

C先生:ここまでは、単純な話で、どこのオフィスにも適用可能だった。しかし、もっと高度な話もある。
 先日、クール・ネット東京:東京都地球温暖化防止活動推進センター(公益財団法人 東京都環境公社)の会議に参加したのだけれど、今回、はじめて知ったこととして、最近では、クラウドサービスへの移行に補助金を出していることが分かったのだ。
http://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/cloud/
 実は、我々の事務所は、すでにデータは、すでにクラウドに上がっている。そのため、常時サーバーが動いているという必要は必ずしもない。
 勿論、ルーターなどのネット系の装置は24時間動いているし、夜間にバックアップを落としているので、そのための機器は動いているからタイマーを設置しての省エネは可能とも言い難いが、不可能ではない。ただ、ハードディスク系の機器は、止めない方が長持ちするという都市伝説があって、業務用の場合、省エネを余り重視しない方が良いのかもしれないのだが。

A君:クラウドにシステムを移行すれば、確かに、ハードディスクの消費電力分は無くなりますね。費用的には高くなる場合が多いでしょうけど。そもそも、移行のための様々な変更には、ソフトの改良などが必要なので、相当な手数料のかかるでしょう。

B君:このサイトを見ると、どのクラウドを使うかによって、助成の範囲が違うようだけれど、環境配慮型データセンターに移動する場合には、1/3まで最高1500万円まで助成されるようだ。平成29年の1月まで、申請が可能。お得かもね。

A君:自社のサーバーを運転している場合には、セキュリティーやバックアップなどの手間が大変だけれど、クラウドに上げると、一安心という気分にはなれますね。

C先生:大体の話題は出たようだ。まあ、そんなところかもしれないな。
 オフィスの省エネというと、紙・ゴミ・電気以外にやることはないとされるのだけれど、結構、やり方の工夫はあると思う。紙・ゴミの話は別の機会にやることにして、電気だけでも、最終到達点は、待機電力のゼロ化ということになるだろう。
 そして、最近になって、クラウドを使うといった節電技が現実味がある方法になってきた。極限まで考えれば、クラウドのデータの在り処は、セキュリティーの問題がなければ、世界中どこでも良いとも言えるので、それほどのセキュリティーが必要ではないデータであれば、例えば、アマゾンのクラウドにアップすれば、ひょっとすると、世界のどこかのサーバーに保存されていて、日本での消費電力はゼロということも実現されてしまうかもしれない。勿論、地球全体レベルでの省エネには、海底電線などを通してのネットの電力消費が増えるから、現時点では、明らかに逆効果だけど。
 しかし、そもそもサーバーの置き場としては、寒冷地が良いに決っているので、近い将来、ストレージに使う機器が進化して、メンテナンス不要な形式になってしまえば、そのうち、カナダとかシベリアがデータセンターの置き場になるかもしれないのだ。この地域なら電力が水力発電から供給されるだろうから、二酸化炭素排出量もほぼゼロにみなすことができるといった状況になって、大変に望ましいのだ。勿論、ゼロエネルギーでデジタルデータを保存しアクセスすることができるようになれば、またまた状況は変わってしまうのだけどね。