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  替えエコの具体的お奨め策 09.07.2008
     



 福田首相が退陣を発表し、自民党の次期総裁のもとで総選挙が早々に行われる見通しとなった。

 福田首相の低炭素社会にむけた行動計画は、単に温暖化対策ではなくて、日本という国の環境技術の強化策を含んでいるので、全体的な方向性は間違ってはいない。

 前回、行動計画そのものの裏にある社会的な変革の必要性などを若干説明したが、まだまだ議論の余地が非常に多いのも実際のところである。

 しかし、最近、「個人として何をやったらよいですか」、と問われ、実のところ一般解は余りないのですよ、といった中途半端な対応をせざるを得ない状況がしばしばあって、それをもう一度考え直してみようということで、本日の話題は、「替えエコ」と「けちエコ」


 ところで、前回に丸山氏の本のタイトルはなんという商業主義だと講談社からの出版を含めて批判したところ、その本が書かれたきっかけとなった学会、すなわち、「一方的温暖化」かどうかのアンケートが行われた日本地球惑星科学連合に実際に出席していたと言われる吉村氏から「ブログに書いた」との連絡を受けた。ブログのアドレスをご紹介。

http://blog.livedoor.jp/climatescientists/archives/401015.html

 講談社をなぜ非難しないというふざけた意見もあったが、講談社の単行本が、新書を含めて売れること最優先の商業主義であるこは事実。しかし、講談社ぐらいの本屋になると、さまざまな本を出している。各種の雑誌もある。最近、あまり買わないが、ブルーバックスのような歴史的な貢献をしたシリーズもある。まとめて評価できるような対象ではない。

 ということで、本論へ。


C先生:しばしば「地球温暖化が大変そうだから、個人として何をやればよいのですか」、と問われて困る。「誰にでも共通の、これは、といった答えは無いのですよ」、とか答えている。

A君:ただ、これまでも本HPで議論をしてきたように、「けちエコ」と「替えエコ」の両方が必要。

B君:どこまで「けちエコ」で行けて、どこからか先は「替えエコ」に行かざるを得ないのだが、その境目が難しい。

C先生:これまで、「プリウスに替えるか?」 「電球型蛍光灯に替えるか?」 などなどの議論はしてきている。これらは比較的簡単に議論ができるものだったのだが、「冷蔵庫を替えるべきか?」、と質問されても、答えに窮する。また、「待機電力が大きいからコンセントからプラグを抜いたほうが良いのですよね?」、と問われても、なんとも答えられない。これらをなんとか統一見解を作るのが本日の目標。

A君:「けちエコ」と「替えエコ」の境界、これが本日の本当の話題。

B君:それだけではない、やるべき「けちエコ」やらなくてもよい「けちエコ」の境界も本日の話題。

C先生:そんなところだなあ。

A君:まず、やるべき「けちエコ」やらなくてもよい「けちエコ」の境目を明らかにしますかね。

B君:本当のことを言えば、境目もここだ、という条件がある訳ではないので、まず、その大体のところを議論しなければ。

C先生:家庭からのCO2排出量は、一人あたり、一年あたり、2200kgという値あたりを基準にしてなんとか考えてみよう。

A君:その1%ぐらいでしょうかね。となると、20kg/年。

B君:キリよく10kg/年でやったらどう。

C先生:無意識で無駄に使っているというのがどんなところかを調べてからにしよう。

A君:待機電力は、最近の機種だと、1Wを超すものは珍しくなってきた。しかし、昔のものだと、10W近いものもある。10Wで計算してみますか。

 10W*24時間*365日/1000=87.6kWh

 電力の二酸化炭素発生の原単位が、このところの刈羽原発が止まっているために上がっていますね。0.5kg/kWhとでもすれば、CO2=43.8kg

B君:これは多い。滅茶苦茶多い。個人の2%に相当する。やはり1%ぐらい、すなわち、20kg−CO2ぐらいの節約を目指すべきなのだろう。となると、24時間365日運転している機器については、5Wぐらいの精度で対応するかしないかを決めることになりそうだ。

A君:5Wですか。待機電力5Wというと、実は、なかなか測定ができない。
 しばらく前のHPで、エコワットの新旧比較をしたのですが、実は、新エコワットだと、5W以下の待機電力が測定できない

B君:サンワサプライのワットチェッカーが最低限必要。この機器でも、測定できる待機電力は3Wまで??。それ以下になると、さらに高級な電力計が必要になる。
 このあたりの詳しいところは、
http://www.yasuienv.net/ElecConsumption.htm

ですでに議論しているので、ご参照いただきたい。

C先生:結論はと言われると、やはり自分で測る以外には明確な結論は出ませんということになってしまう。

A君:とにかく、ここでのお勧めは、一家に一台消費電力計をエコワット(¥3000)でも良いし、できれば、ワットチェッカー(¥7000ぐらい)。もしマニアックにやりたいのなら、ワットアワーメーター(¥3万円以上)

B君:各コンセントの消費電力を測る。エコワットの場合、測れなければ、良いとするか。とにかく、測ることをお奨め。

A君:しかし、一般論ももう少々議論すべき。

C先生:24時間ONになっている機器について、もっと神経を使うべきだとう結論は出せる。

A君:24時間ONの機器。
(1)冷蔵庫
(2)トイレの洗浄便座
(3)ファックス
(4)コンピュータ関係、ネットワーク関係


B君:24時間ONにする必要はないが、しばしばそのような使い方がされてしまうもの
(5)保温型電気ポット
(6)充電器

C先生:製品の劣化を考えると、とにかく一度測定をされることをお奨めしたい。特に、冷蔵庫、電子ポットの2点。なぜならば、最近の冷蔵庫も電子ポットも、真空断熱という方法を使い始めた。真空は、いわば究極の断熱法ではあるが、真空を何10年もの長期間にわたって保つことは極限的な高等技術であって、民生用の断熱材では難しい。最近の真空断熱を謳う冷蔵庫、電子ポットは、劣化「=真空漏れ」を伴うものと思った方がよい。

A君:もっとも電気ポットですと、動作しているときに手で触ってみて、どこかが温かく感じるようなら、断熱が不良になりかかっていると判断できますね。買ったばかりのときに試してみて、その温度を記憶しておくとよいですね。

B君:電気ポットも、最高級品の場合に限るが、新品の仕様を本当に保つことができるのであれば、利便性と省エネのバランスがなんとか取れる。

C先生:電気ポットを使うのが良いか、それとも、他の方法でお湯を沸かすのが良いか、という検討を自宅で行ってきたが、最近は、他の方法をテスト中で、どちらかというと、そちらに固まりつつある。それは、T−falの電気ケトル
 ヨーロッパなどのホテルの部屋に設置されていることがあるのだが、コーヒーカップ2杯分ぐらいだと、1分程度で沸く。やはり100Vの電源とは違うなあと毎回感心していたのだが、日本の100Vでも結構速いという話を聞いて、テスト的に導入してみた。
 結論は、カップ2杯なら3分程度では沸く。まあまあ健闘だが、1450Wといった大消費電力なので、他の電気製品との同時使用を相当気をつけていても、ブレーカーを落としてしまうことがある。
 欠点はと言えば、日本茶を入れる場合には、どうしてもお湯の温度が高すぎる。それに、どうしても沸かしたお湯を全部使うとは限らない。沸かす量を厳密に管理すれば、省エネ度は高いと思うが、無神経に大量のお湯を沸かしてしまうと、むしろ、保温の良い電気ポットで、夜は省エネモードぐらいの方が良い可能性もある。

A君:いずれにしても、24時間常時ON型の製品については、一度、消費電力を測ることが省エネを本気でやろうと思ったら大前提になる。

B君:そして、5W刻みでの消費電力の節減を狙うべき。

C先生:これが「けちエコ」の必須条件で、もしも、冷蔵庫がどうしても消費電力が多い、あるいは、トイレ便座の消費電力が多いということになったら、それこそ大決断をして「替えエコ」をやるしかない。

A君:考慮すべき替えエコの対象としては、
(1)白熱電球→電球型蛍光灯
(2)普通エンジン車→ハイブリッド車
(3)ヒートポンプ機器 旧式→新製品
 *冷蔵庫
 *エアコン
(4)トイレ便座 普通型→センサー型


B君:(1)の白熱電球の置き換えは、こんな感じでよい。
「1日30分以上点灯される場所なら白熱電球よりも電球型蛍光灯。それ以下なら白熱電球を継続して使用」

A君:(2)ハイブリッド車にすべきかどうか、取りあえず、こんなことでよいのでは。「ハイブリッド車と普通車との価格差、その車を何キロ運転するか、そのときのガソリン代が車保有期間内にいくらになるか、を考えて、価格的に見合えば買うことでよい」

B君:ガソリン代は、多少下がり始めたようだが、大幅に下がることはないだろう。

A君:(3)のヒートポンプ利用機器の問題は、大変に難しい。まあ、冷蔵庫からやりますか。

B君:その難しさの原因は、冷蔵庫の場合、消費電力は、室温によって違う。だから、その家について、1年間通して、測定しないとなんとも言い難い。

A君:それに、冷蔵庫のピーク電力は、(1)モーターと(2)結露防止用のヒーターで決まる。小型の冷蔵庫だと、モーターも小さいのだが、年間消費電力になると、実は、小型の冷蔵庫の方が多かったりする。それは、大型だと断熱の効果が大きいからだ。内容積は3乗で効き、断熱効果は2乗できく表面積が決定するからだ。

B君:たとえばナショナルの場合、大型の530Lの NR-F530XV の年間消費電力が470kWhなのに、中型279Lの NR-B281B の年間消費電力は570kWhと逆転している。モーターの消費電力は、大型の方が136W、中型だと96Wと小さいのだが。

A君:ということは何を意味するのかと言えば、中型冷蔵庫は、モーターが運転している時間が長いことを意味する。電熱装置がどう運転条件によって変わるか、これは結露防止なので、よくわからない。冬季に、しかも、なにか煮込み料理でもやっていて台所の湿度が高くなったときに、もっとも結露するだろうから、どんな料理をするかによっても、消費電力は変わってしまう。

B君:それでは困る。そこで、目安として何か無いかを考えることにする。

A君:キーワードはモーターとヒーターの運転時間でしょうか。

B君:まあそうだ。たとえば、年間消費電力が500kWhという値だったとする。もしも、24時間365日動く装置の年間消費電力が500kWhなら、

 500*1000/365/24=57W

 要するに、たったの57Wしかないのだ。
 1日あたりの消費電力にすると、
 500*1000/365=1.37kWh

 冷蔵庫にエコワットでもつけて、1日の気温変化を考えると24時間か48時間が良いと思うが、消費電力を測定し、この値の何倍ぐらいになっているかを測定することになる。

 冷蔵庫は、設置条件や使い方によって消費電力が大きく違う。特に、冷蔵庫の周囲にどのぐらいの空間を取って、風通しを良くしてあるか、これが大きく利く。旧JISでは、なんと30cmもの空間をとって測ることになっていた。新JISでは、現実的な5cmになったのだが。
http://www.jema-net.or.jp/Japanese/kaden/reizou/knowledge7.htm
 使い方は、どのぐらいドアを開けるか、どのぐらい詰め込むかである。 という訳で難しい。

A君:エアコンは、実測をしようとするともっと難しい。条件を揃えることなど不可能に近いからです。

C先生エアコンは、これまたエイやの世界だが、「1995年以前のエアコンは、買い替え」といった結論でも損はしないのでは。

A君:エアコンの場合には、測定などを考えるよりも製品年齢で決めることでしょうか。

B君:エアコンは、冷蔵庫よりもリサイクルの優等生で、資源の9割以上は回収されて有効利用されると思ってもよいだろう。となると、材料の問題も製造エネルギーの問題になって、エネルギーだけを、あるいは、排出されるCO2だけを考えればよいから、比較的単純になる。

C先生:そして、消費エネルギーならば、COP(効率係数)の値が目安になって、1994年ぐらいから、効率係数が突然急上昇を始めたので、それ以前のエアコンは、そろそろ15年近い使用年数にもなっていることだし、替える妥当性が高い。

A君:COPが急上昇したのは、トップランナー方式のため。

B君:この方式を世界的に広めることが本当のところ大切。それには、セクター別アプローチのような考え方を普及する必要があるのだが、日本政府の提案が、先日のガーナ・アクラで行われたUNFCCCの事務レベル会議でも、途上国やEU・アメリカから叩かれてさんざんだったようだが。

C先生:日本政府は、セクター別アプローチの理論的な正しさを強硬に主張すべきだ。EU諸国の本音、排出権市場の中心地をロンドンなどにすることによって、金融利潤を上げようということに対して、別の考え方があることを世界に示す必要がある。

A君:それには、途上国に対する技術移転。これをできるだけ無償に近い形で行う工夫が必須。

B君:排出権(ホットエア)を買う金があれば、それで国内のやや古くなった省エネ関連特許を国有化し、その無償使用権を途上国の企業には認めるというやり方がベストだというのが、本HPの主張。

C先生:話題がずれた。あと(4)トイレ便座の検討が終わっていないのだが、これは簡単。もしも、25Wといったトイレ便座の消費電力であったら、センサー付き急速加熱タイプの製品に替えてしまうのも一案。我が家もそうしたいのだが、色の選択肢がないのが難点で、まだ手を付けていない。

A君:以上まとめます。

「けちエコ」:待機電力については、測定するのがやはり一番。しかし、それには、ワットチェッカー程度の機器(アマゾンで6953円)が最低でも必要で、エコワット(楽天などで3000円以下)では不可能な場合もある。

 「コンセントあたり5W以上の待機電力があるようだったら、製品にもよるが、スイッチ付のテーブルタップを利用して、節電を図る意味がある」。

 古いコンピュータ関係の周辺機器は、場合によると待機電力が大きい。DVDレコーダなども要注意。

「替えエコ」:以下のような結論。
(1)白熱電球→電球型蛍光灯
「1日30分以上点灯される場所なら白熱電球よりも電球型蛍光灯。それ以下なら白熱電球を継続して使用」
(2)普通エンジン車→ハイブリッド車
「ハイブリッド車と普通車との価格差、その車を何キロ運転するか、そのときのガソリン代が車保有期間内にいくらになるか、を考えて、価格的に見合えば買う」。
(3)ヒートポンプ機器 旧式→新製品
 *冷蔵庫
 一度、消費電力を測ることが必要だが、測ったからといって判断は難しい。
 *エアコン
 1995年以前の製品かどうかで、大体の判断は可能。1994年製までなら、まだ動くようでも替えることを検討。
(4)トイレ便座 普通型→センサー型
 おそらく替える意義はあるのだが、まだ、今後の検討対象か。もう少々多様な製品が出てくることが望ましい。


C先生:ということで終わりにしたい。