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  3種類のエコライフ 09.18.2005
    



  財団法人 日本環境衛生センターが主催する第49回全国環境衛生大会が10月26、27日の両日、新潟県の「朱鷺メッセ」で行われる。特別企画シンポジウムの課題が、「暮らしの中からの環境への挑戦」なるもので、そこで、基調講演をやらせていただくことになっている。ちなみに、この特別企画は、10月10日まで申し込み可能で、先着400名とのこと。もちろん無料。

プログラム http://www.jesc.or.jp/conferen/05.html
申し込み方法 http://www.jesc.or.jp/conferen/49moushikomi.html

 その後、パネルディスカッションがあって、経団連から井上隆氏、環境省から小林光局長、NPOから崎田裕子さん、富士常葉大学の松田美夜子教授、新潟県環境部長の渡邉平八郎氏という豪華メンバーなので、是非、お申し込み下さい。


C先生:「暮らしの中から環境への挑戦」ということになると、やはり、いかに「エコライフ」を実践するかということが重要だろう。

A君:これまで、このHPでエコライフなるものが何かを検討したことは無いのでは。

B君:そう言えばそうかもしれない。相当な手落ちだな。

C先生:エコプレミアムなる概念を提唱しているが、これがエコライフとどのような関係にあるのか、となると、これまでいささか浮いた議論をしていたような気がする。

A君:となるとエコライフですか。まず、一般社会が何をエコライフと考えているか、調べてみますか。

 エコライフを真正面から取り上げているサイトとしては、
 EICネットのエコライフガイド。
http://www.eic.or.jp/library/ecolife/

 中部電力のエコライフ倶楽部
http://www.chuden.co.jp/ecolife/

 環境省のエコライフフェアー
http://www.env.go.jp/guide/ecolife-fair/

 東京ガスのエコライフカレンダー
http://www.tokyo-gas.co.jp/ecolife/

 自治体としては、滋賀県のエコライフ推進課
http://www.pref.shiga.jp/d/ecolife/

B君:個人のサイトとしては、いくつもあるようだ。いくつか見たが、どうも議論すべきかどうか、考えた方が良さそうな感触だ。

A君:それでは、まず、EICのエコライフガイドから。エコライフの定義としては、「自分の生活がが環境や自分自身に及ぼしている現状を認識し、少しずつでも行動を起こせるような生活」だとしていて、具体的には、「エネルギー編」、「水編」、「ごみ編」に分かれている。

B君:その定義自体は、われわれの定義と似ている。人間活動がどのようなものか、特に、地球との関係を十分に理解して行動することを、主張しているので。

A君:もっとも最近のわれわれの定義には、「とりあえず向こう10〜20年程度は、経済のレベルをある程度維持することも重要だ」、と考えていて、軟着陸を目指すことが重要だとも、主張しているのですが。

B君:その軟着陸の方法の一つが「エコプレミアム」。

A君:EICのエコライフガイドの話に戻ります。エネルギー編では、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、冷暖房、照明、自動車との付き合い方が出てくる。自動車では、「本当に車じゃないと駄目?」、「もしも1km渋滞していたとして、そこには車は200台(実際には、そんな数は入らない)が止まっている。1台に1人しか乗っていなければ200名。もしもバスを走らせれば、たった4台でOK。それなら渋滞しない」。その通り。しかし、その4台が200名をそれぞれの目的地まで送り届けたら何時間掛かるのか。それができないから、車に乗ることになる。

B君:自由度を犠牲にすれば、なんでもできる。もちろん、ある程度の不便は受容すべきだ。すなわち、「どこまで便利でなければならないの」、が本来の問いであるべきだ。

A君:便利にしようとすればするだけ、どこかにエネルギー・資源の過大消費を招くのは事実でしょうから。EICの「水編」には、風呂、洗面台、選択、キッチン、に加え、洗車の話がでている。流しっぱなしだと240リットル必要だが、バケツに汲めば30リットルでOKとのこと。

C先生:車は余程のことが無い限り洗車しない。ワックスも掛けない。理想的な作業形態としては、雨が上がった後に、適当にふき取り、「フクピカ超撥水」で仕上げて終わり。ただし、雨上がりの直後、こんな作業ができる時間的余裕がないことが多いのが難点。

A君:EICの「ごみ編」、衣、食、買い物、職場といろいろな場合について述べている。特に、職場となると、余り気にしたい人が多いのでは。

B君:「職場だからこそ紙を大切に使う」を訴えている。

C先生:裏紙を使うために、職場にわざわざ個人用のインクジェットプリンターを持ち込んでいる。もっとも、最近、裏紙に使えるような資料が余り無いのは、ご同慶の至り。

A君:それにしても、紙ごみはすごい量になりますね。

C先生:未だに、紙で報告書を出さないと駄目だという風習があるように思える。なんとかならないだろうか。

A君:EICのエコライフは、まああたり前のエコライフのすべてが出ている感じでしょうね。

B君:次に行くか。中部電力のエコライフ。ここは、電力会社だから当然のエネルギー、特に、オール電化を中心としたエコライフの薦め。

A君:それに、暮らしに関わる、衣食住のアイディアがかなり多数でている。いわゆる主婦の小さな工夫とでも言ったもの。

B君:どのぐらい環境負荷が下がっているかという検証は無し。

A君:エコと言っても本当はエコロジーではないのでは、といった感じのものも有りますが。例えば、黒酢をお風呂に入れるとか。

C先生:電力会社のオール電化を推奨するエコライフは、どうみてもエコロジーではないのでは、と疑っている。エコノミカルライフを推奨しているだけなのでは。

A君:もともと、われわれの主張は、深夜電力をあれほど安くしてはいけない。

B君:特に、中部電力、北陸電力、東北電力はそうだ。何故か。それは、原発の割合が低いのだ。1997年のデータしか見つからないが、原子力の構成比が高い順に、九州電力(55.4%)、関西電力(53.9%)、四国電力(49.6%)、東京電力(46.5%)、北海道電力(29.9%)、中部電力(2.2%)、中国電力(21.9%)、北陸電力(17.2%)、東北電力(14.4%)となっている。

A君:深夜の電力需要はベース電力と呼ばれ、変動させにくい発電装置を動かしている。原子力発電所はその一種。それに、水路式の水力も、動作させないと水が無駄になるので、深夜でも動いている。火力や貯水池を持つ水力などは、発電量を変動させることが比較的容易。様々な発電方法を最適に混ぜることをベストミックスと呼ぶが、その図を示すと、次のようになる。
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/pict/15/15070102/06.gif

B君:実際、深夜と昼間とでどのぐらいの電力需要が違うかというと、これまた古いデータだけど、1997年の9月2日には、午後3時頃に、日本全体で168GWのピーク電力が必要だった。ところが、その日の午前5時ごろには、78GWだった。このピーク電力だが、真夏のエアコンが犯人。春と秋になるとピークは低くなる。

A君:78/168は46%ですね。それが、春と秋では、70/120ぐらいだとすると60%程度。

B君:それが何を意味するか、というと、例えば、中部電力だと、22%しか原発の寄与率が無い。ところで、中部電力の電力需要への対応を見てみると、
http://www.chuden.co.jp/torikumi/suiryoku/sikumi/tokucho.html
こんな状況になっている。深夜でも、LNGの火力発電所が動いていることになる。もしも、深夜に、水路型の水力発電所と原子力だけが発電していて、それでも電気が余るというのなら、深夜電力を格安にしてでも売る方が合理性がある。しかし、この状況だと、深夜電力を余りにも価格を下げることは、どうかと思われる。

A君:中部電力の場合、いくつかの料金プランがあるのですが、深夜電力はいずれにしても7.22円/kWh。昼の価格は、昼間が高いEライフプランだと、29.54円/kWh。なんと1/4以下。

B君:深夜電力の料金は、電力会社によって違うのか? 興味あるな。調べるか。価格は、最低価格。昼間の価格は、最高価格。ただし、税込みかどうかなど、統一が取れてない可能性が高いので参考値。
円/kWh   深夜     昼間
北海道電力  6.22円  28.98円
東北電力   6.25円  29.16円
東京電力   6.05円  29.80円
中部電力   7.22円  29.54円
北陸電力   6.23円  32.31円
関西電力   6.80円  29.35円
中国電力   7.14円  33.64円
四国電力   7.18円  27.70円
九州電力   6.60円  31.05円

A君:深夜電力は、昼間の電力の高額な場合と比較すると、1/5近い価格差であることもある。

B君:深夜電力の二酸化炭素原単位は、原子力のお陰で多少低いが、それにしても、夜の電力を無駄に使ってよいということは全く無い。

A君:電力は貯めることができない、と分かっていても、「消費者が使えばその分を発電するために、発電所はわざわざ動いている」のだ、ということを分かっていない人が居るようです。

B君:夜、電気が余ると揚水発電所を動かしているが、やはり電力を貯めるのは難しくて、エネルギー効率は70%ぐらいだろうか。

A君:最近では、揚水発電所は、発電コストが高いためか、ほとんど動かしてないらしい。夏季のほんの限られた季節だけ、という噂。昔よりも、火力発電所が需要変動に敏速に対応できるようになってきたから。

C先生:大体、データが揃ったようだ。深夜電力の環境負荷が、昼間の高価な電力の環境負荷の1/5か。これが問題の核心だ。いくら、原発の二酸化炭素排出量が低いからといっても、これほど環境負荷が違うとは思えない。特に、夜は、石炭発電もほぼ常時動いているから、その寄与率が高くなっている。

A君:となると、普通の深夜電力用温水器を使って給湯をすると、それは、電気代の面からみれば有利だけど、果たして、環境面での負荷は低いのか、ということになる。むしろ、最近かなり効率が上がったガス給湯器を使った方がよいのではないか。

B君:もちろん、エコキュートのようなヒートポンプ型の給湯器を使えば話は別で、これは確実に環境面での優位性はある。

C先生:そこで、エコライフを以下のように分類しているのだ。
(1)ケチケチ型エコライフType1
(2)ケチケチ型エコライフType2
(3)プレミアム型エコライフ

ケチケチ型というのは、その根本的思想は、例のマータイ女史で有名になった「モッタイナイ」だ。一方、3番目の定義は、これまでも主張しているエコプレミアムと同じだから、説明不要だろう。問題は、(1)と(2)。(1)Type1の定義は簡単で、ケチケチ型「エコノミー」ライフなのだ。環境負荷的には、増加しているにもかかわらず、価格面だけの比較で、安価な方を選択し、それをエコライフだと主張すること。

A君:具体的には、通常の深夜電力使用給湯器を使ったオール電化。これをエコライフと呼ぶことは是非とも止めてほしい。

B君:この手のケチケチ型エコライフType1は結構あるかもしれない。「再生材を利用しているから、100円ショップの商品はエコだ」、も同じかもしれない。例外が無い訳ではないが、多くの商品の寿命が短くて、すぐにゴミになる。

A君:再生紙だというだけで買うと、実際には、環境負荷が大きいとか、言ったこともありそうですね。なかなか中身がどうなっているのかまで見えませんが。

B君:ケチケチ型エコライフType1のリストを作ることが必要かもしれない。必要以上に安い製品は、これに陥る可能性が高いということを、ここでは述べておきたい。

C先生:Type1を絶対に避けて、まずは、ケチケチ型エコライフType2に行ってほしい。これは、ある意味で、すべての人にとって必修科目みたいなもので、これを実現しないと、次のプレミアム型エコライフも意味をなさない。

A君:Type2のお勧め科目は、EICのエコライフにあるように「エネルギー」「水」「ゴミ」。それに、オフィスなら「紙」。それで結果的に経済的メリットを享受できるが、それは当然のこと。

B君:ただし、水はなかなか問題。水の環境負荷は、実はそれほど高い訳ではない。むしろ、給湯を使わないで、水は冷水のまま使うというのが正しい。暖めたとたんに、環境負荷は10倍になると思ってもよいぐらいだから。

A君:エネルギーの中でも、ガソリンの寄与率は非常に高いことは十分に理解している必要がある。

C先生:ケチケチ型エコライフType2は、エコライフの入門であると同時に、究極のエコライフとも言える。しかし、現時点の社会構造は、無駄をすることで経済規模を拡大することを容認するようにできている。そのため、もしも日本人の全員がケチケチ型エコライフType2を実践してしまうと、失業者が増えてしまう。軟着陸にならない。そこで、プレミアム型エコライフの実践をお勧めている次第。だから、プレミアム型エコライフの方が偉いということはなくて、ケチケチ型エコライフType2への過渡期のエコライフだとも言えるのだ。すなわち、本当のエコライフは、ケチケチ型エコライフType2で始まり、プレミアム型エコライフに移行して、そして、ケチケチ型エコライフType2に戻って完成する。