エコプレミアム研究所 Eco Premium Lab.

 今後のエコプレミアム活動の3つの方向性
      エコプレミアムクラブ第二回総会での報告 07.30.2005 
             
 

先日、ホームページでもご紹介しました、エコプレミアムクラブの第二回総会で、発展のための3つの方向性という発表をさせていただいた。その概要をご紹介したい。

まず、「エコプレミアム思想」の復習。別の言葉で言えば、「資源生産性が極端に高く、他の環境負荷も適切に制御されているような製品・サービスを普及させることが、向こう10から20年間程度、地球の劣化を防止する手法として有効だ」、という考え方である。

これを実現するには、新しい考え方の普及の場合に共通であるが、いくつかのキーワードが必要不可欠になる。ISO14001の普及にあたっては、PCDAサイクルなるものがかなり力になった。これは、Plan、Do、Check、Actionで、そして、Planにまた戻るというループで、これによって、継続的な改善が可能になるという理論というか標語。環境管理システムに限らず、ほとんどすべての場合について成立する感じがあって、普及したものと考えている。

さて、今回提案しているのは、「π Loop」である。πのスペルはPIであるが、読みとしてはPAIなので、P、A、I からなるLoopである。


図1:

要するに、なんらかの実践をして、その成果を自己主張(できれば自慢)し、そして、さらに考察を行って望ましくは哲学を作る。その哲学に基づいて、次の実践を行い、そして、、、、、、というように継続的に発展していく。

当然のことながら、様々な主体によってやるべきことは違う。そのため、次のような図が必要になる。


図2:

企業であれば、実践としては、意欲的な製品を作るか、あるいは、サービスを開発する。自己主張としては、現在はやりのCSR。そして、知的作業による哲学は、経営思想あるいは経営理念として、場合によっては、社是や綱領として発表される。そして、その思想に基づいて、次の製品開発に向かう。

行政であれば、実践としては、エコプレミアム商品・サービスに関わるビジネスの育成。例えば、グリーン購入法へのエコプレミアム商品の組み込みなど。そして、自己主張としては、市民向けの情報普及や教育への情報提供。そして、知的向上としては、ここがなかなか難しいところだったのだが、長期ビジョンの策定としてみた。現時点で、多少疑問なのだが、本来は、国家天下を語るのが、行政マンの役割だったのではないか、という思いからである。

そして、市民の役割は、やはりエコプレミアム商品・サービスの積極的な導入と、その評価を行うことが責務。そして、それを自慢したり、批判したりすることが重要であるが、実際のところもっとも重要なことが、新しいコンセプトを考え出すことである。

まず、企業のエコプレミアム商品・サービスであるが、これまで個人的にではあるが、以下のようなNo.004までの認定を行ってきた。加えて、今後、どんなものが候補になりそうか、というものを列挙する。


図3:
なお、No.001から004までの詳細については、
http://www.yasuienv.net/EcoPremium/
をご参照下さい。

もしも、これはかなりエコプレミアムなのではないか、といった商品が存在していましたら、是非ご一報を。

企業の自己主張といえば、本来は、環境報告書や綱領といったことになるのだろうが、ここでは、最近のはやりということで「CSR」を採用。CSRについては、以前も日本IBMの岡本さんの本を紹介したが、最近、そのとき使った図をさらに変えることにした。


図4:

本来、アニメーションが加わっている絵なので、静止画では苦しいのだが、こんな図にした。株主だけを考えている企業、それが、非CSR型企業の典型である。株主も、昔は中長期的視野で株を購入する人々が普通だったのだが、ヘッジファンドなるものが出現していらい、どうも瞬間的な売り買いで利益を上げるタイプの株主が増えている。先日問題になった、ライブドアの堀江社長の日本放送買収劇も、その根幹は、皆同じ。六本木ヒルズ付近に居住している40歳前の経営者などの大多数は、そんな方法で金を儲けた。このような株主は、企業の存続にとって有害なだけでなく、社会的にも有害である。アスベスト対策などよりも、緊急の対策を必要とする。

話がずれたが、株主を支えているのは、商品の価値と社員の価値である。社員といっても、関連企業も深く関連し、さらに地域社会、国際社会といったリンクが重要になってきている。そのどこまでを配慮した企業経営を行うか、それがCSRである。場合によっては、トリプルボトムラインに言う、社会的側面だと言っても良い。さて、商品側も、それを支えている原料、使用後の対応、地球から採取する資源・エネルギーの量、そして、地球そのものを支えている生態系といった様々なレベルがある。これをどこまで考慮しているかによって、その企業のCSRへの対応の深さが決まる。

いずれにしても、最後の最後に存在している判定基準は、地球全体と今後1000年程度の将来を見通した現世代の責任をどこまで考慮しているかである。

上図は、このような状態をヒト軸、モノ軸で表現したものである。

さて、企業の経営理念に関して、どのようなものをエコプレミアムだと評価できるだろうか。勿論、上で述べたCSRをどこまで配慮しているか、という観点は極めてじゅうようである。しかし、いささか具体性に欠ける嫌いがある。

20世紀、企業は様々な環境経営理念を取り入れてきた。無駄の排除あたりがもっとも初歩的なところであり、その先には、製品重量の削減による負荷の削減、製造時までの投入資源・エネルギーの低減、そして、使用段階から廃棄段階まで考えた負荷の削減などなどである。しかし、売り上げを下げようという企業は余り多くなかった。日本という国は、男性の人口はすでに減り始めている。そんな国で、売り上げだけを目標にして企業経営を行うと、カネボウの粉飾決算のような結果を生みかねない。帆足社長は、「営業の神様」と呼ばれたようであるが、一時期、「エスキモーにどうやって氷を売りつけるか」が営業の真髄だと考えられていた。不必要なものを売れば、地球が速く磨り減るだけである。カネボウはさらに悪質で、実際には売らないのだが、売ったことにするという方法だったようだが。いずれにしても、帆足社長は、本ページで主張している「I」の要素=Intellect=知的向上の要素が全く無い人だったのだろう。

売り上げを下げ、利益は確保する。これが、実は環境負荷の削減につながる。これを理解し、社是にしている企業があれば、それは、エコプレミアムな企業であろう。

最終的には、利益も下げ、その企業活動に参加した株主などを含めて、幸福度の向上を保証するといった企業がでれば、現時点だと、すぐ潰れるだろうが、まあ100年後の話だと思って欲しいが、それは超エコプレミアム企業だと言えるだろう。

毎回、ブータンの話をしているが、あの国は、通常のGDPによる国の評価を拒否し、国民の幸福度によって国は評価されるべきだと主張している。ある意味で他の先進国よりも100年進んでいる。しかも、現国王は、ブータンの自然は維持しつつ、莫大な水力発電のポテンシャルを生かし、電力を輸出することによって、国民生活の底上げを狙っている。なかなかな策士である。一度会ってみたいものだ。


図5:

さてさて、企業のエコプレミアム度を表彰の対象にすることをそろそろ考えてみたい。どのような候補があるのだろうか。やはり、企業そのものというよりは、「xxxxを達成したことによって○○○社を表彰します」、といった考え方の方が継続性が高そうである。

例えば、上述の売り上げについて言えば、「売り上げの減少を社是・綱領として採用しつつ、企業そのものの活力を維持したことによって、○○社を表彰します」といった感じ。この前半部分は、色々なケースが有りえるように思える。例えば、図4の配慮の対象がすべて含まれるだろう。

例えば、「他社には無い3Rを達成した企業として○○○社を表彰します」、といった調子である。具体的には、富士ゼロックスのタイにおけるリサイクル工場の実現などは、この対象になるのではないだろうか。

話を行政の方に移せば、ついでにこの表彰の話を続けるとして、「地域の市民が排出した廃棄物を全量リサイクル素材として再度利用している○○○市」を表彰するといったやり方があるかもしれない。あるいは、これは、いささか身内の話になってしまうが、「エコプレミアムというコンセプトを最初に採用した北九州市」を表彰することも充分ありうる。

行政も国に関わった話だと、やはり日本全体の長期ビジョンをどのように持つかによって、日本という国のエコプレミアム性が決まってくるだろう。国の将来は、向こう10年20年というオーダーではなくて、1000年オーダーで考えるべきである。そのとき、もっとも基本となる考え方は、その国の持つ地政学的なポテンシャルと人口である。

支えることのできる人口 = 自然環境が支えることのできる人口 + 食糧・資源・エネルギーの輸入能力によって支えることのできる人口 + 蓄積を含む社会制度とそれらいかに維持するかに関する知的レベル(人そのものの力)

である。日本の場合、自然環境が支えることのできる人口は、恐らく2500万人分もないのだが、第二項と第三項によってなんとか、1億2千万余の人口を支えてきた。第二項と第三項の具体的な方法は、実は、化石燃料を媒体として実現できている。となると、今後、再生可能エネルギーの利用可能量をどこまで増大できるか、これは、第一項を技術的に増やすことが可能かどうか、という見方をすることが妥当だろう。

まず、世界人口の見通しであるが、国連の最近の推計でも、上位推計などはまだまだ増加の方向性ではあるが、下位推計によれば、2045年に77億5千万人で地球上の人口はピークになる。


図6:

この下位予測が実現する可能性はかなり高い。図7に示すように、中国、インドでも人口を減らすことは可能であろう。アメリカはいささか問題で、政治姿勢にもよるが、強国を目指すと、人口は減らない可能性がある。もちろん、移民政策次第である。


図7:

他の国々の予測を示すが、問題はほぼアフリカ諸国に限られる。現状、アフリカ諸国の中には、食糧・資源・エネルギー供給は、援助という名の輸入に頼っている国がまだまだ多い。しかし、経済的な発展が起きれば、それを上回る人口の急激な増大が予測されている。実際には、その過程で、またまた紛争などが起きて、元に戻るだけなのかもしれない。図8では、ウガンダの例を示している。


図8:

このように考えてみると、アフリカの人口問題への貢献、あるいは、日本の未来の人口指示力を支える再生可能エネルギーの利用などを進めている行政・企業・団体などは、エコプレミアム表彰の対象になりうるのかもしれない。例えば、「日本で最大量の再生可能エネルギーを取り入れている企業として、○○○社を表彰します」

個人に関しては、会員制をなんとかしたいところであるが、これには、相当の労力を必要とするために、なかなか難しいのが現状。

さて、そろそろ結論である。2005年から2006年にかけて、具体的に検討したいこととして、以下のようなスライドを示した。


図9:

まずは、表彰対象などを考慮するために、評価グループの新設である。年に6回程度集まって、商品・サービス・企業活動・自治体などの活動を評価するグループである。表彰だけを対象とするのではなく、自己主張をする材料を作る場としての立場も重要で、日経エコロジーでこれまでやってきたエコミシュランをエコプレミアムの場で、再生することが一つの目標である。

個人活動をサポートするには、まず、それぞれの人々が自慢する場を作ることが必要なのではないだろうか。どなたか、ブログの立ち上げとその後の管理をやっていただける方はいらっしゃいませんか。