エコプレミアム研究所 Eco Premium Lab.               

 No.001 オール電化住宅は環境にやさしいか 06.12.2004 
    詳しくは、日経エコロジーをご購入下さい。 7月号2004年
 


C先生:このところ、オール電化が家を新築する、あるいは、リフォームを考えている奥様方にとって憧れになっているらしい。

A君:一番インパクトがあるのが、IHコンロのデザインで、表面に何もありませんから、いつでもキレイに保つことができる。

B君:それに、火が無いから安全性が高いといっている中年のおじさんが居た。安全ばかり追求すると、段々と無神経になって、ますます危険性が高まるということを考えないと。

A君:本当。安全性が本当に必要なのは、80歳以上ぐらいではないですか。それまでは不必要。かえって能力の低下を招く。

B君:そう言えば、面白い話を聞いた。ブラジルからある魚を輸入するとき、当然のことながら、水槽に入れて運ぶ。あるいは、プラスチックバッグに酸素と共に詰めて運ぶ。ところだどうしても死亡率が高いということがあるらしい。ところが、ある対策をしたところ、なんと生存率が格段に高くなったという。

A君:ナショナルの酸素チャージャーを使った。シャープの除菌イオンを発生させた。などという訳は無いか。

B君:答えは、水槽を透明なプラスチックで2つに区切って、もう一つのところに、ピラニアを入れた。

A君:なるほど。なにも工夫が無いと、輸送という非常に強いストレスに耐えられなくて死ぬのだけれど、ピラニアが隣にいると、それよりも強いストレス、特に、生存しなければというストレスが掛かって、魚は生きる。

B君:まあ、その魚にとって、どっちが幸せか、といわれたら、輸送ストレスで死んでしまった方が良いのかもしれないが。

A君:人間もストレスを解消するのが重要と言うが、余り極端にストレスを解消すると、命も縮める。

C先生:そろそろ本題に入ろう。今回のオール電化であるが、その構成要素としては、以下のものを考える。
(1)給湯装置 
(2)調理用コンロ・レンジ
それ以外は、考えない。

A君:(1)給湯装置としては、深夜電力利用の給湯装置、深夜電力利用のエコキュート、ガス給湯機を比較。

B君:(2)調理用コンロ・レンジとしては、IH式のものと、ガス式を比較。

C先生:まず、逆になるが、(2)から行こう。コンロとレンジの比較。

A君:そもそもIH方式は、変動する磁気を発生させて、それを金属が受け取ると、その中で電流に変換され、最後には熱に変わるという効果を利用しています。ですから、鉄が最適。アルミは使えない。結晶化ガラスのなべや、土鍋なども使用不能。

B君:昔は、鉄なべだけという感じだったのだが、最近は、どんな金属でも使えるというコンロがでてきた。ところが、そこに落とし穴があって、効率はかなり悪い。だから、鉄系の素材に限るべき。ステンレスでも非磁性のものは、効率が悪い。

A君:ナショナルだとオールメタル対応と謳っているものがそれ。しかし、効率が下がると書いてない。

B君:余り明示的ではないが、30%ぐらい火力が落ちるとは書いてある。

A君:最近IHヒータの最大出力は2kW。それが2基。小さなものが1kW。さらに、ロースターが1.5kWぐらい。合計で、4.5kWぐらいというのが普通ですね

B君:当然のことながら、200Vの配線が必要になる。しかも、合計で4.8kWを超すことは禁止(?)なので、まあ、2kWがよいところ。

A君:最大火力はその2kWで、熱量に変わる効率は、まあ90%。とすると、1.8kWぐらいの最大火力があることになる。もっとも鉄なべで、平底で、大きさも適性などの条件が付きますが。ガスが、4.6kWぐらいの火力ですが、ガスの熱がなべに伝わるのところで効率が下がる。

B君:これまでは、大体40%だと言われていた。だから、IHの1.8kWの出力で、ガスも1.8kWだから、IHの火力は十分だというのがIHメーカーの主張。ところが、ガスも進歩して、最近のガスの熱効率は、50%にはなった。内炎式というバーナーが開発されたからだ。だから、ガスの最大出力は、2.3kW以上になったと言える。

A君:となるとIHメーカーも負けては居られない。そこで、お湯の場合にのみ、3kWの出力が出る製品が開発された。お湯が早く沸くというのが、謳い文句。

B君:お湯など、必要な量、例えば300mlだけならもともとすぐ沸く。計算上は、300*80*4.18=1800*t だから、10秒ぐらいか。

A君:それが多少早く沸いたところでどうというものではないのですが、競争というものはそんなもので。

B君:IHヒーターが優れている点は、実は、換気が余り必要が無いということだ。ガスは、酸素を消費するから、どうしても換気が必要。それに、ガスの配管を超高層マンションに行うのは、ヤケドではなくて、ガス爆発の危険性がゼロにはならない。そこで、超高層マンションでは、オール電化が必須。このイメージが、オール電化は環境にやさしいという宣伝文句に繋がっている。

A君:効率が、IHは、90%。鍋によっては、60%ぐらいかもしれませんが。一方の、ガスが50%。だから、IHの方が高効率で環境にやさしいという宣伝文句もありますよ。

B君:なんと単純な。電気というものは、もともと発電所で化石燃料を焚いて作る。最近、天然ガスが多くなりつつある。発電効率は40%ぐらいだが、その後、都会まで電気をもってこなければならないから、35%ぐらいか。ガスの供給にもエネルギーは必要だが、まあ、効率は50%だと考えれば良い。だから、ガスの方が地球環境にはやさしいと言えるだろう。

A君:室内環境では、IHの勝ちで、地球環境だとガスの勝ち。IHを選ぶ人は、地球よりも室内環境を重視していると言えるでしょうかね。言いすぎか。

B君:もっと言い過ぎれば、料理をまともに作ろうという人には、IHは向かない。炒め物というものは、熱くなったなべの周辺部を使って一気にやるのが常道。ところが、IHだと周辺部は熱くならない。料理には炎が不可欠だと思う。

A君:IHを選択する人は、料理よりも、料理の後の片付けを重視している人だ、と言えますかね。これも言いすぎか。

B君:なんだか正しいような気がするな。

C先生:結局、コンロに関しては結論が出たようだ。室内環境重視のIH。地球環境重視のガス。料理より後片付けのIH。料理、特に、チャーハンを作るなら、ガス。こうしてみると、最近、IHを選択する人が多いのも頷ける。本質よりも楽さと自分へのやさしさを優先する。

A君:それも言いすぎかもしれませんよ。

C先生:(2)給湯システムへ行こう。

A君:給湯は、電気2種類。ガス1種類。その概要から。

B君:給湯の電気ヒーターは、深夜電力を使用するタイプ。11時からの深夜の安い電力を使用してお湯を沸かし、ステンレス製のタンクに貯める。ただ、このお湯は飲用不可らしい。なぜか知らないが。

A君:長期間にわたって保存されたお湯は、確かに怪しいですが、塩素が抜けきらないうちに加熱され、その直後なら飲めるのでは。多少の毒物が多く溶け込んでいる可能性は否定しませんが、それならガスだって余り変わらないように思いますね。

B君:多分メーカーの責任回避のためかと思われる。

A君:深夜電力で沸かすタイプのヒーターは、比較的小出力で、1〜3kWぐらい。ただし、お湯を貯めて置くために、かなり大きなタンクになりますね。この場所が確保できるかどうか。それが問題。

B君:もう一つの給湯装置が、エコキュート。これは、ヒートポンプ型の給湯機。やはり深夜電力を使うタイプではあるが、ヒートポンプを使うことによって、効率を3倍ぐらい高めている。

A君:エコキュートは、どうも二酸化炭素熱媒体を使用するヒートポンプの愛称で、多くの電機会社が作っています。

B君:二酸化炭素を使う理由は、別に環境のためではなくて、ヒートポンプの温度の上限を高めるため。

A君:そしてガス。これはいわゆる瞬間ガス湯沸し器。シャワーを電気式瞬間湯沸し方式で暖めようとすると、15kWぐらいのヒーターが必要。そのぐらいのパワーがある。このガス湯沸かし器というものは、実は、効率がかなり高い。最近、エコジョーズなるものが売られていて、本当かどうか知らないが95%の熱効率という宣伝もありますね。

B君:エコキュートにエコジョーズか。キュートはcuteでよいが、ジョーズがjawsだとすると、なんだか妙。

A君:ということは、エネルギー効率的に見れば、ガスの圧勝。地球環境から見れば、ガスということですかね。

B君:まあ、図1で比較しようか。

図1: 各種給湯システムの年間二酸化炭素排出量比較。

B君:年間の二酸化炭素排出量で比較した環境影響評価だ。これからも明らかなように、通常の電気給湯機を利用した場合、やはりかなり大量の二酸化炭素を排出していることになる。

A君:エコキュートが良い理由は、ヒートポンプなので、約3倍ほどの効率の向上が得られていること。石油給湯機が悪いのは、天然ガスと石油という違いと熱効率の差。しかし、夜間と昼間で二酸化炭素の排出量が違うのは、やはり原子力。

B君:当然。夜間は原子力の割合が高いので、原子力発電の割合が多い。だから二酸化炭素の排出量が少ない。もう一つ、コスト比較を行ってみるか。


図2: 各種給湯方式によるコスト比較。

B君:なかなかの図だな。エコキュートを利用することが、やはりコスト的には大変有利。ガスは、どうも高いようだ。特に、夜間電力が安いのが、さらに経済的な有利さを増している。

A君:うーーーん。やはり。電気給湯機だけを使っていても、夜間電力を使えるような契約にすれば、かなり安くなるということか。エコキュートのエコはエコロジーのエコではなくて、エコノミーのエコか。

B君:ただ、装置の価格差が気になる。ガス給湯機だと大体20万ぐらいか。高効率タイプだと40万もするが。エコキュートだと70万ぐらいは掛かる。まあ、50万円差だとする。1日の使用量の差が100円だとすると、5000日。10年で元は取れない。そろそろ装置の寿命も来てしまう。

C先生:そろそろ結論で良いだろうか。地球環境ということを考えると、電気給湯機は感心できない。ただし、経済的には、それほど悪くは無い。夜間電力を有効活用するといことは、原子力発電に依存するということを意味するので、電気給湯機、エコキュートによらず、電力を使って給湯している人は、毎日、「原子力発電様様」と崇めること。

A君:原子力発電がイヤなら、石油でしょうか。

B君:いやいや、やはり、太陽熱利用の給湯機。これが絶対。エコキュートの差額50万があるのなら、ガス給湯機にして、これで太陽熱利用の温湯機を併用するのがベスト。

C先生:先日のドイツの再生可能エネルギーの展示では、ガラス会社のショットが、製品の展示をしていた。真空利用のものでなかなか良さそう。ちょっと興味を示したりして。日本でも日本電気硝子が作っているらしい。

A君:それに、オール電化が環境に良いかということになれば、どうも、エコキュートを使った場合にのみ、地球環境に良いと言えそう。それ以外のオール電化は、環境にやさしいのではなく、お財布にやさしい。

B君:しかし、だからこそ選択されているのではないか。

C先生:結論。オール電化も経済最優先型&イメージ最優先型の御時世商品だな。オール電化の家に住んでいる人は、原子力への感謝を忘れてはならないだろう。原発嫌いが使っていたら、それは欺瞞的。

A君:時間別の電気契約をしている人は全部そういうことになりますね。


結論:
(1)オール電化住宅が環境に良いという話は、エコキュートが使われているかどうかに依存する。それ以外の給湯機を使っている場合には、お財布には若干やさしいが、環境負荷は大きい。エコキュートは偉い。
(2)IHヒータは、料理を取るか、掃除を取るかである。料理を取るならガス、掃除しやすさを取るならIHをお奨め。安全性は変わらない。環境負荷もそれほど大きくは変わらない。IHはガスより効率が高いという議論は誤り。最新機器同士の比較だと、ガスの方が多少良いか。IHだと換気が不要といった記述もあるが、換気が少なくて済むだけ。
(3)深夜電力に依存する機器は、いずれにしても、原子力発電に依存していることだから、「原発に感謝」すべきである。