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    今年のエコプロ展では2回の講演  12.08.2019
       木曜日はICEF Top10の報告
       金曜日は「捨てるという概念を捨てる」Tera Cycle




 今年のエコプロダクツ展は、いつもの東館が、オリンピックで何かに使われるらしくて改装中。ということで、西館というところで行われておりました。しかし、やはりちょっと狭いかな、といった感じがしました。ただ、昨年までもあった展示会場に設けられた特設ステージは、昨年までは100名も入れない程度のサイズだったのが、今年は、どうも定員200名になっていたとのこと。たしかに、大きい感じでした。

 初日の講演は、毎年やっているICEFのTop Innovationの報告。そして、2日目は、米国のTera Cycle社のシンポジウムでの講演。この話の大部分は、すでに11月17日、24日の記事として書いたものと同じです。ということで、今回は省略。

 2日目の主催者は、米国 Tera Cycle社(社長はTom Szaky氏)ですが、日本にも支社があって、Eric Kawabata氏が代表をやっています。筆者個人のスタンスですが、「環境面から考えると、容器のリユースが、必ず再度、本命になる」という思いと、「日本酒のガラス瓶、特に、一升瓶と企画統一された四合瓶(まだない!)を永遠に残したい」、という思いから続いている「びんリユース全国協議会」、といっても、かなり細々ですが、その関係団体が行った会合(昨年12月4日のこと)にEric Kawabataさんも出席してくれたことがあったので、それ以来は「仲間」といった感触。彼は、元々、米国に家族と一緒に住んでいて、アメリカの大学を卒業しているので英語がネイティブなのは当然ですが、米国でも、家族と一緒に育てば当然ですが、日本語も完璧。
 一方、トム・ザッキー氏は、髭とジーンズという言う「現代流若手哲学者的スタイル」。しかし、日本人と話をするのに慣れている感じの英語で、極めて明確。音の一つ一つが確実に聞き取れるので、大変に楽でした。このサイトの後ろの方に彼の写真がでていますので、ご覧いただければと思います。
https://eco-pro.com/2019/conference/001759.html



C先生:日本の行政は、制度をキチンと作ることは非常に熱心だし上手かもしれないけれど、全く新しいコンセプトを新規に組み込むとか、となると突然慎重になってしまう。実は、行政だけではなくて、日本における企業経営でも、やはり新しいコンセプトの導入は、大変難しい、と睨んでいるけれど。

A君:今年の3月にできた環境省のプレスチック戦略にしても、なんと、毎年、200万トンのバイオプラスチックを海外から導入するというシナリオになっていて、その200万トンという数値がどのようなものなのか、さらに、そのバイオプラの原料は、トウモロコシなのか、それともサトウキビなのか、すら余り明らかにされていない。

B君:この話だけど、どうも、経団連が強力に圧力を掛けて、その結果として、内閣府からか200万トンと書けと言われたという噂がある。信憑性は???。

A君:このところ、内閣府の力が強すぎて、ロジックの無い内容になったということでしょうかね。

B君:それは多分そうなのだけれど、環境省なのだから、200万トンのバイオプラスチックは、どのような種類なのか。まあ、2〜3種類ということで良いと思うけれど、原料としてトウモロコシを使うポリ乳酸タイプ(=PLA)か、サトウキビを使うバイオポリエチレンなのか、あるいは、原料を様々に調達して作るバイオPET樹脂なのか、といったことが実は、環境、特に、食料供給のための農地について影響を与える可能性が高いということを指摘すべきなのだけれど、それが出来なかった。

C先生:さて、本題に入ろう。本日使ったPPTファイルの図を入れながら、若干説明しようか。
 まずは、全体のタイトルだけれど、ちょっと刺激的にしたかったので、こんなものにした。「地球環境を脅かす2種類のゴミ」。
 図2は、例のStockholm Resilience Centerのウェディングケーキモデル。陸上・海上生態系の破壊を進めるプラスチックと、気候変動を起こすCOが「2種類のやっかいなゴミ」だという主張でもある。

A君:テラサイクルは、「捨てるという概念を捨てよう」という言葉を自社の哲学にしているようですね。

B君:「2種類のゴミ」の中身である「プラスチック」と「CO」について、「捨てる」という概念を捨てれば、問題はすっきり解決する。色々と副次的問題はあるけれど、哲学的にはハッキリするから。

C先生:テラサイクルは、今のところ、COをゴミだとは言っていないと思う。まだ、言っていないという方が正しいかもしれない。そのうち、言い出して欲しいところだが。

A君:例のストックホルム・レジリエンスセンターのSDGsウェディングケーキモデルでも、2種類のやっかいなゴミのいずれもが、最下層にあるということが象徴的ウェディングケーキの最下層が崩れれば、その上の社会の層も崩れるので、経済もダメになる

C先生:次のスライドが、先ほど話題になったバイオプラの話で、同じポリエチレンでも、石油から作ったものはダメだけど、どうして、植物からのプラなら良いのだ、という説明。原料がサトウキビだということは、植物が育つときには、大気中のCO2を吸収しているので、それを大気に戻すだけだから、というのが簡単な説明なのだけれど、実際には、サトウキビを原料として様々なプロセスを経てポリエチレン・ボトルを作っているので、その各段階で使うエネルギーがすべて再生可能エネルギーであれば、という条件が加わる。



A君:次がブラジルの現状ですが、このところブラジルの大統領は、アマゾンの森林を保護する気が無いみたいで、困ったものですね。欧米社会から、彼のアマゾンの森林火災への対応が不十分という非難が沸き上がっているのだけれど、ブラジル国民には大統領支持者が多い。

B君:ブラジル国民は、森林にある金属資源などを欧米が狙っていると理解しているらしい。

A君:一方、欧米は、アマゾンの森林は、地球の最後の肺であるという理解なので、もし、これが無くなったら、温暖化対策も不可能になるという解釈をしている。

B君:このところ、トランプ大統領をはじめとして、多くの政治家が自分の支持者だけに良いことを言って、人気取りをする傾向が強い。

A君:確かにその通りですが、トランプ大統領の場合には、福音派というやや変わったキリスト教徒が対象なだけに、やや別の問題が起きている。福音派は、地球温暖化などという現象が起きるとは、旧約・新約聖書のどこにも書かれていない。だから、地球温暖化などは起きない、という理解の人々なので。

C先生:そろそろ本題に入る。5枚目だけれど、2つの厄介なゴミへの有効な対策は、プラスチック問題は、「1回使用したら捨てる」を止める。テラサイクル流で表現すれば、「プラを捨てるという概念を捨てる」。

A君:今だと、捨ててもその後リサイクルされているから良いのでは、という誤解がまだある。確かに、中国にプラスチックが輸出されているときには、中国で廃プラがキレイに選別だれて再利用されていた。しかし、人件費に見合う作業では無くなった。理由は、中国の経済力が向上したから。

B君:だから、3Rの優先順位は、1がReduce。使う量を減らす。あるいは、全く使わない。2がReus。2回使えば、使用量は半分。100回使えば、使用量は1/100になる。そして、3がRecycle。しかし、なかなか不純物を取り除くことはできないので、元の品質には戻らない。だから、完全リサイクルは経済活動としては、厳しくなることだろう。

A君:Reuseを前提とすれば、プラスチックは厳しい。理由は傷がつくから。結果的に、容器類は、ガラス・金属になる。これを2030年には実現しないと、地球環境問題なのが解決できる訳がないと思いますね。

B君:リユースをせよいうと、飲料メーカーから「ガラスや金属の容器では商売にならない」という文句が出るのがこれまでだった。しかし、今後の見通しを語れば、テラサイクルの主張のように、「捨てるという概念を捨てる」は、かなり早期に現実のものになる。ということは、その準備を早く始めた企業だけが生き延びる。それがESGに適合するし、SDGsにとってもプラスだから、金融機関への受けが良くなるからだ。

A君:それから、ちょっとパリ協定の話になって、台風15号が勢力を強めながら東京湾を移動したこと、などがちょっとありますね。

B君:その次が、COを一旦放出して大気中のCO濃度が高くなってしまうと、その状況は、1万年ぐらいも続くと考えられているという説明。


A君:これでCOゴミの話は一応終了。厄介なゴミということが共有されていれば、それでよし。

B君:ということで、ここから第二部で、「プラ対策で遅れる日本の未来戦略は?」というタイトルだけれど、そのココロは、「世界的見ると、プラ対策について、立位置の違いと、時間差が理解されていない国だ」ということ。

C先生:ここから数枚飛ばすことにする。2019年3月に国連のUNEPの会議(第4回国連環境総会=UNEA4)がケニアのナイロビで行われた。そこで、海洋プラスチックごみ問題とマイクロプラスチックに関する議論が行われ決議もできた。しかし、もっと重要なことは、各国がこの会議のサイドイベントなどで、多くの途上国が、プラスチックの利用について、かなり先進的な対策を述べたこと。例えば、開催国のケニアは、商業用・家庭用のプラスチック製レジ袋の製造・使用・輸入を禁止。違反すると、最高440万円の罰金と禁固4年。



A君:ケニアほど厳しくはないですが、レジ袋を規制するとした国は、中国、インド、ブータン、パラオ、バヌアツ、ルワンダ、ケニア、モロッコ、チュニジア、エチオピア、イタリア、フランス、ハイチ、ベリーズ、など。

B君:先進国としては、イタリア、フランスぐらい。この両国とも、どこまで厳密に規制をするか、いささか疑問だけれど、フランスなどは、人類の特性として、「余り便利な社会を作ると、碌な判断をしなくなる」という考え方を持っているような気がする。

A君:日本ほど、利便性というものが重要な国は世界的に無いことは事実ですね。政治を見ていると、碌な判断をしていないのも事実かも。

C先生:EUは流石だと思うところがある。プラスチックの規制の方向性として、次のようなことが決められている。「2021年からEU全体で、プラ製の食器やナイフ、フォーク、ストローの他、一部の袋や包装容器などの使用を禁止」。この他、EUの規制には、「プラスチック飲料ボトルのキャップが外れないようにするといったデザイン変更の義務化など、幅広い対策が含まれる」、とのことだけれど、日本との最大の違い、それは、最後の文章。「リサイクルや焼却回避だけでは解決にならない。企業製品の廃棄までの責任やコストを負わせる拡大生産者責任の徹底と強化が必要」。



A君:「拡大生産者責任」と言う言葉は、日本では絶対的に採用されない言葉ですね。ゴミを出したら、それを処理する役割は自治体だ。作った側に責任は無い、というのが日本の通常の企業の思想。いくらなんでも、そろそろ、これを変えないといよいよ「世界的辺境国日本」になってしまう。

C先生:本当にそう思う。このような哲学的な思想の違いは、欧州の社会と日本とで非常に大きい。もっとも、米国と欧州の理解の格差も非常に大きい。ただし、米国の大統領が共和党である場合には、という条件付き。

A君;日本の場合、自民党だとどう考えているのか、大体は分かるので良いのですが、依然として、例の民主党政権のトラウマが非常に大きくて、どの野党が何を考えているのか、理解する気にもならない。

B君:日本の野党は、「桜を見る会」などといった世間受けしそうな話題ばかりを取り上げていて、例えば、プラスチック問題とか、パリ協定対応とか、日本の将来に非常に影響が大きい話題については、ほとんど何も述べない。もっとも、世界情勢を正面から議論するような国会にならないものだろうか。

A君:中選挙区制に戻さないとダメでしょうね。

B君:まあその通りなんだけど。現状を延長して考えると未来も望み薄。さて、終わりに近づいた。ここからは、ICEFでC先生がコーディネータを務めたICEFでのプラスチックセッションのご紹介。

C先生:スピーカーの皆さん、なかなか先進的な発言が多くて、ある意味びっくりしたというのが正直な感想だった。しかし、実は、ここにテラサイクルのEricにも出て貰ったのだ。そして、その結果だけれど、やはり、「捨てるという概念を捨てる」という哲学の衝撃に対しては、正面から対抗できる論理を述べる人は居なかった。結局、将来は、この方向なんだろうな、という合意形成になって終わった。その意味では、テラサイクルの圧勝だったと言えるのかもしれない。

A君:最後にこの絵が必要なのでは。容器などについて言えば、リユースと材料の転換(=プラからのリプレース)が、今後の重要な2大要素になる。この方向性を確立すれば、CO排出量も減ることになるし、生態系影響も改善されるので、地球の温暖化が若干止まって、冷えることになるのでは。





C先生:ということで、パワポでは、雪だるまの絵、上の雪玉がリユース、そして、下の雪玉がリプレースという絵をだして、温暖化防止もできるということをアッピールしてみた。それほど、受けなかったようだけれど。それにしても、この日の特設ステージへの参加者はすごい人数だった。定員200のところに、400名近くが集まってくれたような気がした。小池都知事が出たのが、その理由なのだろうけれど、テラサイクルの哲学が衝撃を持って受け止められたのではないか、と思う。