電磁波対策/環境保健基準
世界保健機関(WHO)は、電磁波対策の必要性を明記した環境保健基準の原案をまとめた。電磁波に関する初の本格的国際基準で、WHO本部は、「今秋にも公表し、加盟各国に勧告する」としている。
日本政府は、電磁波について健康被害との因果関係が認められないとしているが、基準公表を受け、関係各省で対応を協議する。
原案では、電磁波による健康被害の生むは「現時点では断言できない」としながらも、「30センチ離れたテレビから受ける最大電磁波の1/5程度にあたり0.3〜0.4μT(マイクロ・テスラ)以上の電磁波に常時さらされていると、小児白血病の発症率が2倍になる」とする米国や日本の研究者の調査結果を引用し、科学的証明を待たず被害防止策を進める「予防原則」の考え方に立ち、対策先行への転換を促す。
C先生:電磁波の話は、実に微妙。いくら科学的な動物試験によって再現しようとしても、できない。しかし、疫学調査をすると、いつでもグレーという結論になる。しかも、一カ国の疫学調査では、統計的に意味を成さない程度の確率であるため、多くの国で行われた結果をプールして、なんとか、グレーという結論になる。なにが危ないのか、疫学調査などでも余り明らかにされないのだが、噂レベルでは、どうやら、大電流の交流で、建物への引込み線などがある部分らしい。高圧線が危ないなどと言われてきたが、どうもそうでは無さそう。しかし、いずれにしても、確率的には非常に低いので、余り神経質になる必要は無い。予防原則的対処だと考えるべきだろう。
予防原則
予防原則とは、その定義は未だに十分合意されていないものの、疑わしい状況は回避すべきであると表現できるだろう。EUでは、環境対策の基本的な方針として予防原則を掲げているが、何をもって「疑わしい状況」と判定するか、それには科学的な検討が不可避であるとされており、現在、日本などで一部の市民運動家が主張しているような、なんら科学的なリスクの特定が行われない状況で予防原則を適用することは、単なる間違いでしかない。
電磁波の場合には、起こりうる被害としては小児白血病が、そして、電磁波としては、電源用交流である50、50ヘルツが特定されている。携帯電話などの電磁波は、全く別の問題である。
C先生:電磁波というと、なんでも電波が危ないと思うと相当違う。実際には、電力用の交流を意味する。携帯電話は、一時期、脳腫瘍の原因だなどとされたこともあるが、このところ、余りにも普及しすぎて、問題にする人も居なくなってしまった。
REACH/リーチ
EU加盟国は、新化学物質規制導入で合意した。REACHと呼ばれる精度で、EU内で生産・輸入される3万種類の化学物質について、企業に安全性のひゅかなどを義務付ける内容で、2007年にも施行される。EUに製品を輸出する日本企業も、製品に使う多様な物質管理の負担が生ずる。
正式名称は、Registration, Evaluation and Authorization of Chemicalsであり、これまでのように、禁止されていない物質の使用は自由である、という考え方を根本から変え、安全性が評価された物質をEUに登録して、初めて使えるようになる制度である。いわゆるポジティブリスト化を実現する流れである。
安全性評価を個別企業がすべて行う必要があるため、費用の負担がバカにならない。そのため、安全性評価の結果に、知的財産権のようなものを認める動きに繋がる可能性が高い。
C先生:EUは予防原則を重要な方針だと考えている。そのため、使ってはいけない化学物質リストを出すという方法ではなく、使っても良い化学物質のリストを示す方法に切り替えようとしている。実際上のリスクが、これによって削減できるというわけでもなくて、むしろ、より安心感を得られるというところが評価されているように思える。ただし、運用を間違うと、化学企業にとっては、相当な重荷になるだろう。
RoHS指令/ローズ指令
2006年7月からEUで始まった6種の元素あるいは化合物の電気電子機器使用を制限する指令である。対象は、鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、臭素系難燃剤二種類である。
製品中にそのような禁止物質が含有されていないことを部品の下請けなどの段階から管理する必要があり、日本の電機メーカーなどに大変な努力を強いるものであった。しかし、結果的には、日本メーカーは見事に管理体制を築き上げたが、他の国では対策が遅れており、結果的には、日本メーカーに対する優位性を生み出す結果となった。
C先生:いよいよ始まったRoHS指令であるが、個人的には、10年間程度で、実質上効力を失うのではないか、と考えている。例外リストが余りにも長くなって、実質上運用不能になりそうな気配だからである。そもそも、元素の使用を禁止するというのは、この地球上に使える元素は80種類ぐらいしかないことを考えると、余りにも馬鹿げた方法だと言わざるを得ない。規制側に立つ人間の思い上がりではないか。
二酸化炭素の地中貯留技術
かなり以前から検討されている技術であり、二酸化炭素が地中の高圧状態では、液体・固体として安定に存在することを利用する。
まず、発電所や工場の排気から二酸化炭素を分離する。それを高圧で液状にして地中へ注入する。
ノルウェーでは、天然ガス田で96年から生産に伴って発生する年100万トンの二酸化炭素を地中に戻している。アルジェリアでも同様の事業が始まった。
油田では、二酸化炭素を注入するEOR(原油増産回収法)が実施されている。通常、水あるいは湯を注入して原油を押し出すが、その代わりに、二酸化炭素を注入するもの。
問題は漏れだとする見解が一般的であるが、実際には、分離・注入に相当大量のエネルギー消費を伴うことで、二酸化炭素の大気中への放出は防止できても、有限な化石燃料の寿命をかなり短縮することに繋がる方法である。
漏れは、数100年防止でき、かつ徐々に放出されるのであれば、その時点では、すでに化石燃料は枯渇状態にあり、人間活動によって温暖化を起こそうと思っても起こすことができない状態になっているため、余り大きな問題とはならないだろう。
日本では、長岡において、地球環境産業技術研究機構(RITE)が実証試験を進めている。
C先生:この用法は、温暖化防止のためには確かに有効かもしれない。しかし、エネルギー枯渇を加速する。ということは、温暖化の重要性を慎重に検討してから、適用を考えるべきだろう。本番は、石炭が主たる化石燃料になる時代、すなわち、天然ガス、石油が枯渇してからだろう。一部に、いくら注入してもそのうち漏れ出すから駄目という意見もあるが、化石燃料を全量使ってしまうと、地球が寒冷化状態になったとすると、その対処が難しい。緩やかな温暖化の方が、急激な寒冷化よりも遥かにマシなので、300年後ぐらいから、徐々に漏れ出すような技術開発がなされることが望ましいのではないか。
もったいない風呂敷
環境省が作った風呂敷であって、様々な言葉がデザインされている。レジ袋・紙袋などの使い捨ての製品の使用量削減を目指すもの。
サッカーワールドカップの日本代表にも配られた。
C先生:小池環境大臣の作品のひとつ。割合と良い。
サービサイジング
ものを売るのではなく、サービスを売るという考え方。例えば、レンタル・リースが昔からある実例である。しかし、サービサイジングという言葉では、カーシェアリングがその典型であるとされる。その他、カーペットや照明などをメンテナンスを含めて受注する事業がある。
ESCO事業などもこれに分類される場合もある。
C先生:ごみの発生量を抑える意味からは、サービサイジングはなかなか良い。しかし、所有欲を満たすような商品、例えば、車やパソコンなどでは、普及が困難のようである。
トップランナー方式
省エネ法などのように、様々な製品の省エネ性能をカタログに表示することを義務化し、トップランナーを明らかにすることによって、お互いの競争を促すことによって、社会全体の省エネを実現しようとする方式を言う。
C先生:日本のように、家電メーカーが多数あって、競争が激しい国では有効のようである。北欧なども真似をしようとしているように見えるのだが、無理なのではないだろうか。ただし、現時点では、メーカーの出したデータが使われているところが難点である。別の組織が、実使用条件に近い条件でデータを測定し、それを公表すべきだろう。米国、ドイツなどでは、雑誌がその役割を果たしているようだが。
改正省エネ法
省エネの動きを加速するために、4月から省エネ法が改正された。
薄型テレビ、電子レンジにもトップランナー方式が採用される。これをチャンスと見ているのが、プラズマテレビ。液晶が消費電力が低いとされてきたが、実際には、ほとんど差が無いことがこれで認識され、悪いイメージが払拭されるだろうと期待している。
電気冷蔵庫の消費電力を測定する標準的な基準が改正された。過去の値は、余りにも非現実的で、新方式によって、消費電力の表示は、2〜4倍になった。
C先生:この冷蔵庫の消費電力は、これまで相当いい加減、というか、余りにも理想的な設置&運転状況が採用されていた。消費電力の測定を各人がやってそれを発表しあうようなことが必要のようだ。
バイオエタノール
環境省のエコ燃料利用推進会議は、サトウキビなどから作るバイオエタノールを2010年までに50万キロリットル、30年までに220万キロリットル導入し、ガソリンに混合するとの数値目標をまとめた。
ナタネなどを原料とするバイオディーゼル燃料も、30年には180万キロリットルの導入を目標とする。
しかし、普及のためには、税制の減免制度が必要という見解。
C先生:バイオエタノールをサトウキビから作るとして、どこでサトウキビを栽培するのだろうか。やはり、沖縄?
神鋼、データ改ざん
神戸製鋼所が過去5年間に渡って加古川製鉄所と神戸製鉄所で、大気汚染防止法の基準値を超える窒素酸化物、イオウ酸化物を排出したにも関わらず、測定データを改ざんして国や兵庫県に報告していなかったことが分かった。
兵庫県は、行政処分などを検討。
C先生:これは、誰の指示で行われるのだろう。上司なのか、それとも担当者が自分達で判断してやっているのか。どうも後者ではないか、と予測はしているが。。。。
サンゴの揺りかご
日本最大のサンゴ礁湖である石西礁湖を回復させようとする再生実験が始まっている。自然素材である陶器製の揺りかごで大事に育てるアイディア。
この陶器は、着床具と呼ばれ、海中にただようサンゴの受精卵を、着床具の表面に施した凸凹が受け止め、赤ちゃんサンゴが育つ足場になる。
実験は02年に開始され、これまでのところ、結果は順調。しかし、70年代の状況にまで回復させるには、数10年が必要という。
C先生:サンゴ礁が海水が高温になることなどで破壊されている。様々な試みが行われているが、これも一つ。
人工的サンゴ再生
サンゴ礁の子株を水族館で育てて海に返す全国初の試みがサンシャイン国際水族館でスタートする。バクテリアの力を借りて海水を浄化するナチュラルシステムを採用した人工ラグーンの一角に、沖縄のサンゴを移植し、1年後には、元の海に戻す。
C先生:こちらもサンゴ礁回復の試み。
水道料金の地域格差
全国779市と東京都23区の水道料金に7倍もの差があることが調査で分かった。
水道事業は自治体が独立採算制で運用しているが、規模や水源の得やすさに違いがある。また、過剰なダム開発や水需要の減少で財政難に悩む自治体が多く、8割以上の市は、浄水場管理や料金徴収を民間委託して合理化を図ってきた。
標準的な使用量として、1ヶ月に20トンを基準としたとき、最高が山形県酒田市で6132円。最低が兵庫県赤穂市で829円だった。東京都23区は、2309円。
それでも、1752の水道事業のうち、20%は赤字であった。
C先生:デンマークに行ったときに水道代が非常に高いと聞いたような記憶がある。基本料金がある場合無い場合などあって、比較は困難だが、1トン400〜500円程度だったような記憶がある。酒田市は、そこまでは行かないが、それでも十分高くなったものだ。
家庭の水道使用量減
神奈川県水道局の家庭用の水道料金収入は、98年度から04年度までの6年間で14億5千万円減少。人口は増え続けているのに、家庭で以前のように水を使わなくなったからだ。21.55立方メートルだった1世帯の使用量が、19.29立方メートルへおよそ1割減。風呂にざっと10回入らなくなった程度の減少である。
理由は、家電製品の節水化など。「このところ、節水や節電をうたっている商品から先に売れていく」(松下電器)。便器の節水化も進んでいる。これまで10リットル程度だったものが、6リットルという商品が出る。飲み水としての水道水も、ペットボトルの普及で減っている。
C先生:水道料金は、公共料金の中では、高いもののように思える。そのため、節水機能がある家電が良く売れるのだろう。
緑被率
練馬区は、30年後に区内の緑の割合である緑被率(りょくひりつ)を30%にすることを目標に掲げ、「みどり30基本方針」として発表した。
77年には34%だったものが、01年には20.9%に激減している。
緑化事業を先取りし、02年度から区立小の校庭の芝生化を始めた。
C先生:自治体が環境を考えると、まあ、とりあえず緑を増やすが、最後の目標もやはり緑になる傾向が強いように思える。
食の廃棄ロス
コンビニやスーパーの経営では、陳列棚がさびしい店は敬遠され、製造日時はより新しいものが求められる。そのため、陳列棚は埋める。より新しい商品を置くことになる。結果として、食品の廃棄が山となる。
コンビニ本部からは、毎月、最低でも、売上げの2%、あるいは、30万円分は廃棄ロスを出すように、との指令が出ている、と各店舗の店長。しかし、本部はこれを否定。
コンビニからでる年間の生ごみの量は、1店舗平均でセブン・イレブンでは、3トン、ファミリーマートは4・4トンにのぼるという。
生ごみの削減を目指す法律として、平成13年に施行された食品リサイクル法がある。年間100トン以上の食品廃棄物を出す事業者は、今年度までにリサイクル率を20%に引き上げることが目標とされている。
しかし、個別の事業者にとっては、「リサイクルするよりも焼却した方が安く済む」と問題は複雑である。
C先生:食品の廃棄は無駄。日本人がコンビニから離脱するのは、まだまだ先のことになるのかもしれないが、それ以前に食糧危機が来るかもしれない。そうなったら世の中はどう変化しているのだろうか。賞味期限を2段階に設定して、第一段の賞味期限を過ぎたら、安く売るのが本当はベストなのだが。
クボタ救済資金支払い
兵庫県尼崎市のアスベスト禍で、クボタは、工場周辺の1キロ圏の住民での中皮腫による被害者に対して、最高4600万円を支払うことを決めた。
C先生:クボタは、かなり徹底的に補償をするようだ。褒めるのもいささか変だが。
貧酸素水塊
冬の東京湾の海底付近に、酸素が著しく少ない貧酸素水塊があることが分かった。これまで、貧酸素水塊が存在するのは、夏だけとされてきたが、冬にも観測されることが分かり、海上保安庁は、東京湾汚染の深刻さが改めて浮き彫りになったとしている。
原因は、生ごみなどの有機物や、赤潮になって大量発生した植物プランクトンの死骸が海底に積もり、分解されるときにバクテリアが酸素を消費するから。
海上保安庁が千葉港の西5キロ地点に監視装置を設置して調べたところ、2004年1月、05年2月、06年2月に観測した。貧酸素水塊の継続期間は2〜3日で、生物への影響は今のところ少ないが、「東京湾の汚染は予想以上にひどい」としている。
C先生:夏には、表面の水温が高い状態だと、軽い水が上に存在し、安定状態になって、水が混じらない。そのため海底付近で貧酸素塊ができやすい。冬は、表面の水が冷やされて、海底まで来るので、貧酸素塊はできないことになっていたのだが。
午後8時消灯
環境省が決定した「午後8時消灯」。温暖化ガスの排出削減のため。しかし、運用上は、やむを得ない残業がある職員は照明をつけて仕事を続けることができる。
ただし、開始された初日は、ほぼ完全に実施された。
C先生:まあ、だからといって温暖化ガスがそれほど減るとも思えない。まあ、心意気を買おうか。
リサイクル団体連絡会
ペットボトルや段ボールなど素材ごとに分かれているリサイクル団体が、連絡会を結成した。プラスチック容器包装リサイクル推進協議会、ガラスびんリサイクル促進協議会など8団体。それぞれの団体がこの日、10年までのリサイクル率の目標などを公表した。もともと、アルミ缶とスチール缶、ガラスびんとペットボトルなどライバル関係にあるが、「まずは共同行動をスタートすることが重要」とライバル意識を超えて手を結ぶことになった。
C先生:容器の素材間の競争意識は非常に強い。それが乗り越えられるかどうか。
環境協力金
ユネスコの世界遺産で知られてる全国有数の桜の名所である吉野山で、ごみ問題や交通渋滞が深刻化しているのを受け、地元吉野町などは、桜が見ごろを迎える4月から、樹木の整備や環境保全に使用する環境協力金を徴収する総合的な取り組みを始めることにした。
自家用車には、駐車料金の他に500円、観光バスは乗客一人当たり200円程度とする。電車利用の観光客には、駅に募金箱を設置して協力を呼びかける。
C先生:駐車料金を高めにすること、ごみ捨て料金を設定すること、などの方が本当は効果的なのではないか。観光客側としても対策の取りようがあるので。
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