________________


  消費電力を測ろう 03.19.2006
     



 本日は、消費電力の測定のお奨め。その一つのきっかけは、3月3日に行われた朝日新聞主催の第3回朝日環境フォーラムで、田中優さん(未来バンク事業組合理事長)の話を聞いたことであった。


C先生:このような話だが、環境系ではなくて、もう一つのブログである「モバイルとネットワーク」の方で、ノートパソコンの無線LANの消費電力の測定をして報告している。詳細は、
http://mntrav.cocolog-nifty.com/movnet/2006/02/index.html
をご覧いただくとして、どうも、消費電力を測定すると、カタログデータとは違っているということが多いようだ。

A君:田中優さんが当日示したデータは、冷蔵庫についてのもので、足温ネットが測ったもの。
http://www.sokuon-net.org/ashimoto/assets/document/ashimoto50.pdf
をご覧いただくとデータが出ています。
 また、環境市民というNPOも
http://www.kankyoshimin.org/jp/hotnews/ecolabel.html
こんなページを作っています。

B君:「さば読み」ということになっている。最近の冷蔵庫の消費電力の低減化はかなり賞賛に値するのではあるが、実際の消費電力は、カタログ値の最大4.4倍(シャープ)。続いて、4.21倍(松下)と「さば読み率」が、相当高い。この例が特異なのか、そうではなく、ある特定の企業の「さば読み率」が高いのか、それを明らかにする必要があるだろう。

A君:冷蔵庫の消費電力を測定しているHP、
http://www.cwo.zaq.ne.jp/rupisu/
ですと、年間消費電力260kWhが、実測で362kWhというものが見つかりました。このページは、個人の方が様々な省エネに挑戦していて、電気代を減らすには参考になること確実。太陽熱温水器まで空きペットボトルを使って自製していますよ。

C先生:メーカーのカタログ値は、車で言えば10・15モードのようなもので、理想的な設置状況でテストしているのだろう。これ以上良い値は出ないという目安に過ぎない。
 消費電力を測ろうとすると、何はともあれ消費電力計が必要になる。色々と調べた結果、現時点で3種類のものが、まあまあの金額で買えることが分かった。一つは、昔からあるエコワット、そして、ワットチェッカー、もう一つは、ワットアワーメーター。そこで投資をした。現在、3種とも所有して使い分けている。

エコワット
http://www.enegate.co.jp/item/item_ecowat.html

ワットチェッカー
http://www.sanwa.co.jp/product/syohin.asp?code=TAP-TST5&cate=8

ワットアワーメーター
http://www.system-artware.co.jp/products/watt_3a.html

A君:仕様を簡単に。実は、測定できる最小消費電力が違うのがもっとも大きな相違点。
 測定可能な最小消費電力
エコワット       5W
ワットチェッカー    3W??
ワットアワーメーター  0.3W

 そして、もっと違うのが価格
エコワット       3000円前後
ワットチェッカー    8000円前後
ワットアワーメーター 32000円前後

 それにもう一つ重大な差は、エコワットは、積算消費電力しか測れない。すなわち、kWhのみで、Wのデータが取れない。この違いは大きい。

 どれを使うとどのようなデータが取れるのか、例を挙げて見たい。

例1: 象印の電気まほうびんCV−NX30なる製品は、

 魔法瓶型の電気ポットで、カタログによれば保温電力が平均15Wだとされている。
 ワットチェッカーで実際に測ってみると、保温用のヒーターは68Wで、保温の温度制御はオンオフ制御であることが分かるが、エコワットでは、それは分からない。
 平均保温電力は、気温にもよるようだがカタログ通り大体15Wぐらいであり、それはエコワットでも測定可能。消費電力を測って、経過時間で割れば良い。

 電気まほうびんを使うことの省エネ面での得失については、本記事の末尾の付録をご覧下さい。


例2: ナショナルのMC−P3Aという掃除機は、

強にすると900Wぐらい、
標準だと700Wぐらい、
弱ならば200Wぐらい

の消費電力であるが、負荷によって変動している。

強にして、入り口に何かがへばりついて負荷が上がった状態になると、最大1300Wぐらいになる。

これも、エコワットでは分からない。しかし、1回の掃除でどのぐらいの電力を消費し、どのぐらいの電気代になるのか、それを知りたい場合は、エコワットで十分。


例3: 待機電力は、エコワット、ワットチェッカーでは分からない。

 最近の機器の待機電力は、かなり低く、1W以下のものが多い。ただし、ワットチェッカーで測れないものは、待機電力は十分少ないという判断は可能である。

 以前使用していたFAXは、15年前ぐらいのものだったが、25W近い待機電力であった。これはとんでもない。このところFAXの使用頻度は低いということで極めて小型のものに切り替えた。ワットアワーメーターで測定すると0.8Wぐらいの待機電力になった。これをワットチェッカーで測ると、0Wと表示される。


例4:インクジェットプリンターCanonのiP−7500の消費電力のようなものは、エコワットでは当然としても、ワットチェッカーでも解明できない。やはり、ワットアワーメーターが必要。

コンセントを繋いだとき  0.3W
スイッチを入れる  色々な作業が行われ、最大 9Wぐらいの消費電力。

その後、しばらくして、待機状態になると4.2W。
放置すると、さらに最大9.5Wぐらいであるが、なにやら作業をして
長期待機状態になると、0.7W。

印刷を掛けると、しばらくインクなどのチェックをしているのか、最大11W消費。
実際の印刷に入ると15Wぐらい。

インクを交換しようとすると、最大9Wぐらいで作業をするが、3.6Wで待機。
インクを交換して上蓋を閉めると、7.5Wぐらいの作業をして、
最終的には待機状態に戻り4.2W。
その後、長期待機状態に入って0.7W

こんなことを知りたければ、ワットアワーメーターが必要。(まあ、興味本位。何の役に立つのか??)

例5: Ni−H電池を使うときの、充電器パナソニックのBQ−390と、ソニーのBCG−34HRCの比較。

電池を入れないで単に接続したとき、

パナソニック 0.2W
ソニー    0.3W

パナソニック 5.5〜6.0Wで変動
ソニー    5.7〜6.5Wで変動

ソニーには、リフレッシュモードなるものがあって、Ni−H電池を一旦放電してから充電することができる。そのモードにすると、0.5W。制御しながら放電していることが分かる。

いずれにしても、単に電池に電圧を掛けているわけではなくて、充電器もなにやらやっているようだ。そして、充電が進むにしたがって、徐々に、消費電力が下がっていくようだ。

いずれにしても、こんなデータを取るのであれば、ワットアワーメーターの出番になる。


B君:結局、結論的にはこういうことか。

(1)冷蔵庫などの年間の消費電力などを測ろうとするのであれば、エコワットで十分に役に立つ。しかし、999時間までなので、1年分のデータは取れない。

(2)待機電力の大小を判断するのであれば、ワットチェッカーが必要。エコワットだとまあ無理。

(3)待機電力の大小ではなく、数値が欲しいのであれば、ワットアワーメータの出番。ノートパソコンなどのようにもともと少ない消費電力のものに対応するのなら、ワットアワーメータが必要。

 ということで、結論的には、家庭内総合的省エネ対策ということであれば、ワットチェッカーがお奨めということになる。

A君:まあ、そんなところでしょう。価格的にも、ワットアワーメーターは高すぎるし、使い勝手もワットチェッカーが直感的に使えて優れている。

C先生:という訳で、自宅の冷蔵庫の消費電力をエコワットを使って測ることにした。データを取るのに、数ヶ月掛かるものと思われるので、適当なところでまた報告したい。

A君:冷蔵庫の話ですが、各人が3000円出してエコワットを買って測定を始めたら、メーカーにとっては脅威でしょうね。

B君:自動車の場合だと、e−燃費なるサイトがあって、本当の燃費性能が一目瞭然なのだが、それに類するサイトを、冷蔵庫とエアコン、電子ポット、IH炊飯器などなどについて作るべきではないか。

A君:Webを若干調べてみると、色々な方が実測値の報告をしていますが、やはりデータ不足。実消費電力を見ながら、冷蔵庫を買うというところまでは行けそうもないですね。

http://bbs.com.nifty.com/mes/cf_wrentT_m/FBINBO_B005/wr_type=C/wr_page=1/wr_sq=05040218414407681058
http://neot.blog10.fc2.com/blog-date-200510.html

C先生:今回の足温ネットの報告によって、経済産業省も動き出したようだ。しかし、なんでもお上頼みにするのではなくて、やはり、NPOなり個人がそのような動きを開始すべきではないだろうか。

A君:冷蔵庫とともにもう一つの消費電力の勇であるエアコンですが、これは、COPという数値で効率が表現されています。本当は、このCOPを測らないと。

B君:COPは、電気をそのままヒータに通したときに発熱するエネルギーを基準に、その何倍の熱を室外と室内との間で動かすことができるか、という数値。だから、その測定には、熱を測定しなければならない。

A君:ですから、COPを評価するのは、実際大変なこと。まあ、プロの世界のようで、Webを探してみても、COPを測定したという素人はいないようですね。

http://tkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp/HP/HP/sympo4/sato.pdf
http://tkkankyo.eng.niigata-u.ac.jp/HP/HP/sympo3/akabayashi.pdf

B君:となると、まあ通常の家庭での消費電力を測ることぐらいしかできないことになる。設定温度などがバラバラになるだろうから、比較は難しいが、実際の消費電力の目安ぐらいにはなるだろう。

C先生:自宅でもエアコンを測定したいのだが、残念ながら、今回紹介した機器では測定できない。理由は200Vなので。どなたかやってくれませんか。

A君:色々な家電製品、あるいは、なんでも良いと思うのですが、省エネルギー型商品などについての、数値データを測って、それをWeb上で公開するということを是非ともお願いしたいところですね。

B君:それだと、e燃費のようなサイトを作る必要があるが、あそこまで徹底的にやるのは難しい。なぜならば、e燃費用のデータは単純だ。給油量と走行距離だけでよいから楽に集めることが可能だが、省エネのデータは難しい。測定し、そして、多くを記述する必要がある。

A君:それはそうなのですが、取りあえず、どこかに発表する場を作りたい。ということで、今週のHPのお奨めとしては、どこかにそんなサイトを作りませんか。「市民による消費電力、消費エネルギー、実測データサイト」。

C先生:分かった。取りあえず、ブログを立ち上げる。個人的には3つ目のブログになりますが、皆様、もしよろしければ、投稿して下さい。
http://mntrav.cocolog-nifty.com/prodeval/
 家電だけでなく、太陽電池、給湯装置などなど、なんでも結構です。


付録
電気まほうびんとIHヒーター利用の比較

 すでにご紹介したHP http://www.cwo.zaq.ne.jp/rupisu/ に、電子ポットの消費電力の考察が出ている。そのデータを参考にさせていただき、以下のような検討をした。自作データによる解析は、後ほど暇ができたらにします。


シナリオ 電気まほうびんとIHによるお湯沸かし

1:電気まほうびん 使用する電気まほうびんは、保温電力15Wであること。 この程度の保温力があると、一旦沸騰したお湯は、2時間程度かかって90度まで温度が低下。それから、90度で保温し、24時間後以内に2.5Lを使い、0.5Lが残った状態であるがこれは捨て、水を新たに3.0L加える。24時間でお湯の使用回数は10回とし、1回あたり250mLとする。保温電力は、お湯の量に依存しないと仮定(若干測定してみたところ大体良さそうな仮定)。

(1)水道水からお湯へ 0.3kWh
(2)90度で22時間保温 
   0.015kW×22hr=0.33kW
(3)合計 0.63kW

2:IHによるお湯沸かし お湯の使用回数は10回。 一回当たり250mLであるが、やや余分に400mLのお湯を沸かす。

推測値  0.45kWh

結論

まだ、IHでいちいちお湯を沸かす方が、環境的には優れている。電気まほうびんの保温電力が10Wを切れば、利便性だけではなくて、環境面でもIHと同等になりそうである。

電気まほうびんも10時間以内の使用であれば、悪くは無いかもしれない。

電気まほうびんも、夜には保温を続けないことによって、多少省エネにはなるが、その効果は、それほど大きくない。ということは、やはり24時間使う製品のは、もう少々のがんばりが必要ということか。