________________


  省エネ電気ポット編  06.07.2003



 全く自慢にならないのだが、我が家の特性として、電気ポットが24時間使用されている。冷蔵庫もエアコンも古い我が家故に、電気ポットの消費電力は恐らく第3位か第4位だとは思うものの、どのぐらい電気を消費しているのかを測定し、もし買い換えるとしたらどの機種が良いのか、といったことを検討してみた。


C先生:詳しい説明はしないが、我が家の特性として、ある理由から24時間電気ポットがONになっている。最近、冷蔵庫、エアコンの消費電力が格段に改善されたもので、多くの家では、電気ポットによる電力使用が、家電製品によるものの第2位ぐらいになっているのではないだろうか。

A君:電気ポットのようなものが電力消費上位4位以内に入っているということは、知らない人が多いのではないでしょうか。

B君:バイオ型生ゴミ処理機も恐らく電力消費上位に入る製品だ。要するに、24時間ONになっている機器が消費電力としては大きくなる。

C先生:電気ポットのような製品は、本当のところは、1年間測定を続けるべきなのだろうが、とりあえず、消費電力の測定をやってみた。測定器は、大分前になるが、生ゴミ処理機の消費電力の測定に使用した「エコワット」だ。精度がそれほど高い訳ではないだろうが、目安としては、十分だろう。

A君:エコワットは、東光精機の製品。http://www.toko-s.co.jp/eco/ecowat.html 

B君:通信販売などで、大体1台3000円程度で販売されている。

C先生:次に測定中のエコワットの写真を示す。これは、研究室での測定時のものだが。

A君:電気ポットは、お湯を沸かすということについては、恐らくかなりエネルギー効率が高いのですが、その後、保温にもエネルギーを消費しますから、トータルには相当のエネルギー消費量になってしまう訳で、その保温時の消費電力は、少ないものだと20Wぐらい。古いものだと50W以上といったものがあります。

B君:勿論、何度で保温するかによって違う。インスタントラーメンを作るには、やはり高い温度の方が良い。しかし、お茶を飲むのであれば、お茶の品質にもよるが、やや低めで良い。コーヒーはやはり高温。

C先生:我が家の製品は、98度と85度の保温が可能なのだが、85度だと実は低すぎる。98度だと十分だが、保温電力が大きい。ということで、測定値を示すと次のようになる。

 松下製 電気ポット(NC-JA40)の消費電力 98度保温
 消費kWh 時間  平均電力 年間kWh  年間費用
  12.4   328   37.8    331.2    7948 円

A君:328時間の測定ということは、2週間近いことになりますが、その間に何回のお湯が沸いたことになるのですか。

C先生:実は分からない。4リットル入りのポットなのだが、平均的な感じでは、5〜8回程度ではないか。まあ、平均的な使用時での平均電力が欲しかったので、細かい分析はしていないのが実情。

B君:普通に入れると3.5リットル。この水は20分ぐらいで沸いて、大体1.2kWぐらいの電力。だとすると、そこで、0.4kWh。5〜8回水の追加が行なわれたとしても、2〜3kWh程度。総消費電力が、12.4kWhなのだから、まあ、保温の電力が実は大部分だということになる。

A君:ぶつぶつ。ちょっと計算してみましたが、ヒーターのエネルギー効率が80%だとすると、まずまず合っている。

B君:平均保温の電力が、お湯を沸かしている2時間ぐらいを除いて、326時間で、10.4kWだとすると、平均保温電力は31Wぐらいになる。

C先生:こんな計算のやり方を示すと、理科の授業みたいになるが、どうしよう。

B君:本当を言えば、この程度の計算はすべての人ができるのが望ましいのだが。

C先生:中学で、Q=0.24VItという式は習っているようだ。V×IがWでtは時間(単位は秒)だけ分かれば、それで良し。

A君:要するに、その式だけですからね。後は、この式で出る熱量Qの単位はカロリーだということ。だから、水の重さで割れば、温度上昇になる。

C先生:ということで先に行こう。さて、平均保温電力が約30Wというポットは、果たしてどんなランクにあるのか。

A君:それでは、これからは、家電各社の電気ポットの紹介に行きましょうか。

B君:どことどこだ。富士通ゼネラルはどうだ。NECも昔は冷蔵庫を作っていたが。

A君:富士通ゼネラルは、電気ポット無しでした。NEC(ホームエレクトロニクス)は、もはや家電を作っていません。平成10年8月には、エアコン、洗濯機、冷蔵庫から撤退しています。

B君:それでは、リストを作る。
国産電機系
 東芝    9製品
 日立    5製品
 三菱    0製品 なんと製品が無い。作らないもの見識だと思う。
 松下   14製品
 シャープ   3製品
 サンヨー   1製品

A君:外国系は、どうも日本サムソン、エレクトロラックスは製品が無いようですね。

B君:電気ポットだと、電機メーカーとは別に魔法瓶系のメーカーがある。
魔法瓶系
 象印    26製品
 タイガー   22製品

C先生:一覧表を次に示そう。

表1: 電気ポットの性能表 

型番     加熱時 保温時 コメント1 コメント2
(数字は容量)  W   W  


注1:象印とタイガーは、一部商品に限定した。
注2:光節電とは、暗くなると、保温スイッチが切れるタイプ。困る場合も有りそう。
注3:松下のおまかせ倹約とは、時間によって設定温度が自動的に下がるもの。
注4:節約タイマー、倹約タイマー、節電タイマーなどはすべて同じ機能。
    ボタンを押すと、設定時間だけ保温スイッチが切れる。

A君:色々なことが読めますが、まず、様々な工夫があるということですか。

B君:一番重要な保温電力が記載されていない商品がある。シャープがそうだ。タイガーの製品の加熱時の電力が分からないのも不思議ではあるが、実は、大体900W〜1200Wであることが分かっているので、特に困らない。

A君:良い工夫としては、魔法瓶みたいな真空断熱が最近の上級機種では主流であることでしょうか。

C先生:余り真面目に電気ポットを作っていないシャープとサンヨー以外は、真空断熱を使った機種がある。

A君:真空断熱にすると、何も無い場合には、保温のために50W近い消費電力を使っているものが、最良で20W前後まで落ちます。保温電力は、ポットの容量によって余り違わないです。

C先生:ただし、同じ真空断熱といっても、色々な方式があるようだ。どうもステンレス魔法瓶型だけではないようだ。

B君:その他、保温温度の設定も重要で、従来品は、98度保温になっていた。しかし、用途によっては、この保温温度では高すぎる。

A君:最近では、98度、90度、85度などの数段階での保温が可能になっているものがありますね。

B君:それに、夜寝るときに保温電力を切ることが合理的かどうか。先ほどの計算からも分かるように、20度の水から沸かすのに、0.4kWh。真空断熱だと、7時間後にも70度ぐらいはあるかもしれない。となると、再度の沸騰には、0.15kWhぐらいで済む。これを7時間で割れば、20Wだ。保温電力が20Wぐらいのものだと、常時ONでもそれほど消費電力は変わらないのかもしれない。

A君:微妙な話になりそうですね。断熱が悪い場合、例えば、保温電力が50Wだったとすると、7時間保温すれば、0.35kWhとなって、最初から沸かしなおしとほぼ同じ。しかし、保温電力が20Wぐらいだと、温度もそれほど下がっていない。実験をしてみるしかないですね。

C先生:財団法人の省エネルギーセンターhttp://www.eccj.or.jp/dict/kit4.htmlには、生活の省エネルギーというページがある。そこには、そんな計算例があって、保温しないで、沸かし直しを推奨している。年間2470円のお得ということになっているが、これは本当なのだろうか。

A君:やはり検証をしてみるべきでは。

C先生:先ほどの一覧表に、ターマー保温、節約タイマー、倹約タイマーなどという名称の機能があるが、これらが、それに相当する。すなわち、あるボタンを押すと、何時間か電力をカットして魔法瓶機能だけで保温する。そして、タイマーが作動して、翌朝には、設定温度になっている。

B君:テストをするには、やはり、断熱の良いものを1台買わないと駄目だ。どれを買うか。やはりカタログ性能上では、もっとも断熱性能が高いタイガーのPVD-A300だろうか。それとも、それより容量の大きなタイガーのPVD-S380か。

C先生:そんなところになるだろう。ということで、この話は、宿題になる。後日報告したい。(結局、タイガーのPVD-S380を発注した。今使っているポットは、学生部屋用にでも寄付しよう)。

A君:ところで、C先生のお宅のやや古いポットも、その一覧表で見ると、そんなにも性能が悪くない。保温が30W程度だから。

C先生:良くわからないのだが、真空断熱ポットなのかもしれない。これも確認を要するのだが、保温電力は、満水時が基準になっている。しかし、実際には、半分程度のお湯しか入っていないときが多い。そのために見かけ上の性能が良いのかもしれない。

A君:それも測定ですかね。

B君:色々と条件を変えて測定するのも重要だが、それよりも実際の使用条件に近い条件を定めて、冷蔵庫のように年間消費電力量のようなものを電気ポットにも設定すべきだ。

C先生:冷蔵庫、テレビなどに匹敵する電気の大食い機器なのだから、当然そうすべきだ。メーカーとしては、2万円もしない機器にそんな面倒なことは出来ないという気分なのだろうが、消費電力を考えたら、そんなことを言っている段階ではない。

A君:さて、それはそれとして、今、古い電気ポットがあって、消費電力が大きい。さて、これを最新の機種に変えるべきかどうか、という検討はどうですか。

B君:LCA面とコスト面。

A君:コスト面は簡単でしょう。実用上の保温電力が約50Wだったとして、これが新しいポットを買って20Wまで下がったとしたら、保温に要する電力が年間260kWhぐらい節約になる。23円だとすると、約6000円。

B君:相当古くて効率の悪いポットの代わりに、新品を1.8万円で買うとすると、元をとるには3年使わないと駄目だということになる。若干でも節電型のポットが手持ち品だとすれば、コスト的観点から言えば、まあ買い替えは無いのではないか。

A君:まあ、こんなものでもコスト的にはなかなか見合わない。電球型蛍光灯のように、1000円代のものだと、コスト的にも十二分に見合うのですが。

B君:LCA面ではどうだ。材質は色々だから難しいところだが。製品は大体2.5kgぐらい。鉄、ステンレス、樹脂から出来ていたとすると、まあエイヤで二酸化炭素7〜15kg放出の範囲ぐらいではないか。

A君:電力の場合の原単位は、0.375kg/kWhぐらいですから、それだけの二酸化炭素を出すとしたら、大体20〜40kWh程度の電力消費に匹敵します。

B君:節電タイプのものを買って、消費電力が年間260kWhもの節約になるのだったら、製造に関わるエネルギーは少ないと言い切れる範囲だ。

A君:資源消費と廃棄物の発生も問題になりますね。2.5kgの、ほとんどリサイクル不可能なものがゴミになりますので。

B君:それをエネルギー換算で議論するのは難しい。

C先生:まあ、いずれにしても、エネルギーのコストが現状だと安すぎて、省エネ商品への切り替えが進まないという例を電気ポットでも見たと言える。

A君:家庭での省エネ対策で、もっとも効果的な機器変更は、やはり先ほども話にでてきた電球型蛍光灯の採用でしょう。

B君:白熱電球をことごとく電球型蛍光灯に切り替える。これがまず第一歩。

C先生:それはそれとして、電気ポットもまだ検討が必要だし、待機電力の問題なども含めて、またの機会に。


追補その1:すでにご質問が来た。自動食器洗い機の環境負荷が低いというメーカーの主張があるが、あれは本当か。とのご質問。
http://national.jp/dbm/dishwasher/index.html

回答:すでに、CREST安井チームで解析が行なわれていて、その結果は、CRESTのHPに掲載済み。
http://www.ycrest.org/


追補その2:これは仲間内からの指摘。「普段、松下電器やソニーの鉛フリー思想や環境思想などの批判をしている割には、松下の製品を多く使っているのではないか。自宅の電気ポットも松下製ではないか」。

回答:よくよく調べると、松下製の製品には買う気にさせる「真剣さ」があるのは事実。今回のカタログチェックの結果からも、電気ポットにしても、品揃えが他の電機メーカーとは全く違う。真剣に作っている

 モバイル用ノートパソコンも松下の圧勝。持ち歩くノートパソコンを真剣に作っている。ソニー製のノートパソコンを買う人は全くの素人。「素人をカッコウ良さと不要な機能でちょっと騙して買わせよう」とする戦略に乗っている人だ。NEC、富士通は、机の上に置くノートパソコン以外作っていない。やはり、個人向けは商売にならないと踏んでいるのだろう。IBMは、比較的本格的なのだが、日本人のことを考えていない。Dellほどではないが。

 デジカメもパナソニックのFZ1は大正解だった。超望遠デジカメならオリンパスの730、750などを買う人の気が知れない。使ってみれば分かるが、手ぶれが激しくて超望遠は使えない。手ぶれ防止機構が必須なのだが、なぜか付いていない。画素数などは、200万画素で多くの場合十分だ。むしろ手ぶれ、ピンボケが問題。FZ1もピンボケがときどき出るのが要改善点。マニュアルフォーカスの機種が欲しい。

 冷蔵庫にしても、LCA的な検討だけを根拠に買うのなら、今なら、松下のノンフロン。ただし、ノンフロン冷蔵庫のリサイクルプロセスがまだできていないので、買わない。いや、とても買えない。http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/NonFRef.htm やはり、リサイクルも確実にできる製品です、ということを示してもらわないと。今のリサイクルプロセスでノンフロン冷蔵庫を処理したら、作業員に怪我人・死人がでるだろう。実際に廃棄されているだろう、輸入品のグリーンフリーズなどは、どうやって処理されているのだろうか。

 冷蔵庫については、家電リサイクル法で、親(会社)は子供(製品)の責任を取ることになっている。環境負荷(冷蔵庫だと電力消費と廃棄物が大部分)を考えると、もうそろそろ、我が家の冷蔵庫を買い替えるべきなのだが、ノンフロンについては、「子供の責任を取るべき親達の態度が悪い」から、「買わない、買えない」のだ。すなわち、今は、ノンフロンのリサイクルプロセスが出来た、あるいは、いつ頃できる、というアナウンスが出るのを待っている状態。もしも、ノンフロンでない冷蔵庫で、松下のノンフロンの消費電力を抜く製品が出たら、それを選択するだろう。松下の真空断熱技術が良さそうなので、抜くのが難しいのかもしれないのだが。ちなみに、某メーカーの真空断熱冷蔵庫は、消滅したようだ。その理由は何だろう。「真空が漏れればただの壁」になってしまったのだろうか。

 ということで、お分かりいただけたかどうか。「親がいくら嫌いでも、子供はその人格で別に評価する」、という立場なのだ。