-------


  エネルギー政策提案の俯瞰図   06.19.2011

    



 JSTのCRESTのCO2抑制領域の一つの研究班がタイで行っている湿性森林の有効利用によるCO2排出抑制技術の研究サイトを視察するために、3泊4日でタイ南部を訪問していた。水曜日出発の土曜日の夜帰国。毎朝5時から6時に起床だったもので、かなり消耗した。

 この原稿は、往復の飛行機の中で構想を練り、かつ執筆したもので、実際に搭乗する前の当初の狙いは、各種エネルギー技術そのものの俯瞰図を描く予定だったのだが、それは次回の課題にすることにして、こんなものになった。

 ちょっと時間不足でしたので、ミスなどが多い可能性がありますので、Facebookでご指摘をお願いします。



C先生:前回のHPで、国際エコノミストという肩書きの齋藤進氏のエネルギー政策の提案は、間違いが多くて、問題だという話しの続きが、今回の検討に繋がっている。いろいろな提案をしている人々がいるが、その立場を俯瞰図に描き、それぞれについて、その核心となっている主張、主張の利点、欠点、いつごろから可能になるか、などを述べてみようというのが、全体像だ。

A君:一応、俯瞰図を書くと言っているわけですね。ただし、技術の俯瞰図ではなくて、主張の俯瞰図を。
 俯瞰図を書くときには、最低でも2軸を決めて、それに合わせて、各要素の位置を決めることから始めるのがよいと思いますね。

B君:もっともなのだが、実際は、軸の2本は決まっている。
 1本目は、当然のことながら、原発軸。原発をどのように取り扱うかだ。より具体的には、即刻全廃、安全性強化と漸減、安全性強化と更新・維持、この3種で充分。
 2本目は、実現するまでの期間が短期か長期か。

A君:それはおかしい。まず、原発軸について言えば、即刻全廃など出来るわけがない。もし、敢えて言えば、現実性の高いか、低いか、という軸なら有りうる。

B君:原発即刻全廃は副作用が余りにも大きいのは事実だが、現在の政権と現在の自治体の首長の体質からいうと、来年には実質上全廃になる可能性だってないとは言えない。

A君:もし電力の不足が現実のものになれば、日本から組み立て産業を中心とする製造業が居なくなりますね。それでも良ければ。これは相当困ると思いますけどね。

B君:政府も自治体の長も、日本という国が何をやって生きて行くのかなど、日本全体の未来のことなど考えていない。

A君:要するに、短期的な政治的多数派の確保だけを目標としている連中だからということなら、当然ではあるのですが。

B君:製造業も、例えば、化学工業のように、電気だけでなく熱も必要な産業であれば、コジェネの自家発電という方法の方がコストがさらに安い。もちろん、エネルギー効率も高い。ということで、自家発電を採用している企業が多い。

A君:しかし、組み立て産業だと、自家発電を持っているところはまず無い。

B君:大手の組み立て産業というか、デバイス産業などは、天然ガスの火力自家発電を導入するかも知れない。2年ぐらいあれば、そこそこの発電量になるかもしれないので、かなり強引なシナリオではあるが、原発全廃もあり得ないとは言えない。

A君:前回の斎藤氏の主張は、大体、こんな方向性だったとも言える。産業用電力を天然ガスコジェネで確保。しかし、熱が必要な産業はそれほど多くはないので、現実的ではない。だから、家庭用に熱を供給するシナリオかと思った。

B君:他に軸はあるか。

A君:技術的な可能性軸。無理やりか無理がないか軸。

B君:それはそうだが、それも時間軸で表現してしまうというやり方もある。技術的に妥当で、社会的にも無理が無いものは早く実現できる。逆のものは実現まで相当な時間を要する。

C先生:まあ、本当のところ、軸はいくらでもあるのだ。しかし、今回は、B君の主張にしたがって、その単純な2軸だけでやって見るというのも一案だと思う。まとまらなかったら、また、次を考えるということだ。

A君:了解。たしかに、コストも軸になるのでそのうち。まあ、原発軸と時間軸でいくとして、軸を決めても、実は、それで作業のやり方が決まるわけではない。実現までの時間といえば、何をもって実現とするか。例えば、風力が電力量の20%といえば、それは点でしかないが、徐々に風力がエネルギーの主力になる、といえば、それなりの形で表現しないと。

B君:まあ、その通りだ。できれば、それなりの形というものを考えて、上手に表現したいものだ。

C先生:俯瞰図の描き方は大体決まったとして、次は内容だ。内容によっては、描き方も変えなければならない。
 そこで、どんな流派がいるか、という議論に行くか。

A君:風力派、太陽光派、地熱派、小水力派、潮力・海洋派、次世代燃料電池派、天然ガス大火力派、天然ガスコジェネ派、バイオマス派などでしょうか。

B君:主な分類ではないのだが、電池派、電気自動車派、オフライン派、揚水発電派、なども部族としては存在している。

A君:それぞれを別々に記述するのも、結構大変なので、不安定自然エネルギー派、安定自然エネルギー派、分散コジェネ派、大型天然ガス派、バイオマス派ぐらいでどうでしょう。

B君:もう一つは、取り扱いが難しくなってしまうが、節電派、高効率利用技術派などもいるな。

A君:加えて、蓄電派を加えておきますか。それに、電力網をどうするか、これは。

B君:それを考慮することは、不安定自然エネルギー派の責務とするということだろう。現状、不安定自然エネルギーの導入最大量は、電力会社の言い分を採用して、電力量の10%ということにして、それで不足するなら、直流化などの電力網の強化、オフライン利用などを考える。本当は、分散コジェネ派にも責任はあるのだが、こちらは不安定な電力網を前提としているので、間接責任と認定するぐらいで良いのでは。

A君:了解。以下の分類とします。
1.不安定自然エネルギー派(直流電力網化)
2.安定自然エネルギー派
3.分散コジェネ派
4.大型天然ガス派
5.バイオマス派
6.節電派
7.蓄電派


B君:以下、どのような特性をもっているか、その時間的な予測はどうか。こんな感じでいくか。
 
以下、A君、B君の共作。



1.不安定自然エネルギー派(直流電力網化)

 風力派閥と太陽光派閥からなる。いずれの技術も実用を考えれば、ほぼ完成状態にある。1年間(8760時間)のうち、太陽光は1000時間、風力は2000時間動作すればよしと考える。太陽光は、スマートグリッドなどを作ることによって、日照の推移がスマートグリッドで読めるようになるので、ある地域の発電量については、多少先が読めるようになるので、不安定度では、制御しやすい点がある。

 太陽光はコスト的に多少高いものの、個人が投資する可能性が高いので実現性はある。風力は、大型案件になるので、やはり企業が投資か。

 電力供給量全体の10%までならば、なんとか大丈夫という電力会社の主張に、どのぐらい余裕があるか、いまだ解明されていないので、当面のこの数値までの増加を目指すことに、それほどの問題はなし。

 原発54基の1/3は、風力と太陽光で置き換えるのがとりあえずの戦略かもしれない。残りの2/3を節電によって実現することが可能ならば、すぐにでも実現可能だが、最大の問題は、日本国民の節電意識が、そのうち疲れがでて、それほど長続きしないのではないか。

 となると、2020年までに危機的な状況が来ないとも限らない。それを回避するためには、産業界の自家発電を増加するといった方法論があるが、化石エネルギーの消費が増えることは必須。

 もしも、原発の電力が漸減しつつも2030年程度まで使えることになれば、移行はかなり楽になる。しかし、風力派閥は、原発即時撤廃が大原則と思える派閥でもある。

 日本のエネルギー構造を、供給力からのみ見るのではなく、2050年を考慮した長期的な温暖化対策を考えると、石炭発電も減らす必要があるが、それには、もっと大量の不安定自然エネルギーを入れることになる。それには、電力網の直流化などによるロバスト(堅牢)化が別途必須になる。

 電力網の直流化は、恐らく、最終的にいずれやる必要があるので、その投資をいつの点で覚悟するか、これも重要。

 最終的に、不安定自然エネルギーで20%を目指すとしても、そのあたりが上限か。

 万一、揚水発電の揚水をフラフラの風力で行うことが可能になる技術開発が行われれば、電池よりは確実なので、もっと行けるかもしれない。しかし、どうみても、電力網の直流化が大前提のように思える。


2.安定自然エネルギー派

 地熱、中小水力は、技術的には充分使えるレベル。コストもそれほど高くはない。安定というだけあって、現在の送電網との整合性が高い。

 したがって、明日にでも着手すべきなのであるが、地熱は明日着手しても、完成するまでに、恐らく10年かかる。中小水力は、水利権という厄介なものがあるが、手続きを簡略化すれば、3年ぐらいでできるかもしれない。

 問題は、それほどポテンシャルが無いこと。原発54基の10%を置き換えることができるぐらい。それでもやらないよりも遥かにまし。

 その先は、となると、後述の高温岩体発電というものもありうる。まあ、30年後にできていれば、「スゴイ」、といった程度のものだろう。

 知名度が低いのが難点ではあるが、自然エネルギーの全量買取制度ができると、一気に普及する可能性がある。

 特に、地熱は、東北地方にポテンシャルがあるのも復興を考えると良い点でもある。

 将来の可能性をもっているのが、潮力などの海洋エネルギーである。海洋エネルギーでも、波力のように不安定自然エネルギーもあるので、ここでは、潮力、潮流発電あたりから始めるのが良いと思われる。

 しかし、難点がある。それは遠い発電地点からの海底ケーブルによる送電。となると、とりあえず、津軽海峡、鳴門海峡、関門海峡などから始めるのが良いのだが、これら潮の流れの速い場所は、高級魚の漁場なので、社会的な抵抗が相当に強そうである。

 しかし、海洋国家日本と、火山大国日本の特性を活かすことが、超長期のエネルギービジョンとして重要であると考える。そのためには、単なる地熱発電ではなく、高温岩体発電、黒潮発電などに期待したい。いずれも2040年頃に多少実用になっていれば、良いとする。

 この技術だけで、単一の政策とするには、当然ながら力量不足である。そのため、最大導入量に限界がある不安定自然エネルギーの導入を並行して行う必要がある。

 この派に属すると、なんといっても導入可能量に限界があるために、しかも、多少時間が掛かる技術であるために、しばらくは、使える原発は安全を強化した上で使おうという考え方になりがちである。

 原発をどこまで使うか、これは、なかなか難しい状況判断を伴うので、最後にその可否と利点・難点などを述べてみたい。


3.分散コジェネ派(不安定電力網OK)

 この派は、向うしばらく天然ガスの供給はそこそこ続くことを想定し、なおかつ、分散型電源を設置することによって、不安定な電力網になってしまっても、電力自給型需要者を作ることを目的としている。

 次の大型天然ガス火力派と比較したとき、その最大の利点は、熱効率が非常に高いことである。通常の大型天然ガス火力は、前段にガスタービンを設置することによって、コンバインドサイクルという形にし、60%の効率を狙う。しかし、排熱の有効活用には限界があるし、送電網による損失もつきまとう。それに比べれば、お湯という40℃でも価値のある熱利用が行える需要者のところで発電を行うことで、総合効率80%を目指す。

 単なるスマートグリッドではなく、電熱併用スマートグリッドを作るのだとも言える。

 最大の問題は、この用途で使うことができる次世代燃料電池であるSOFCの完成が遅れていることである。それでも2020年には使えるようになっていることだろう。

 この派が隆盛を極めるためには、電力網が不安定なほど良いので、電力網の整備が充分に行われると、逆に普及しない可能性がある。

 分散コジェネ派も、実は、単独で原発のすべてを置換できるほどの強力な勢力ではない。

 不安定自然エネルギー派ともっとも協力関係を維持しやすい。なぜなら、電力網が不安定になると、出番が増えるからである。

 安定自然エネルギー派とは、強いライバルでもなく、まあ政策協定を結ぶことができる程度の距離感である。


4.大型天然ガス派

 天然ガスを利用した自家発電などを増やすという派。難点は、自家発電は、コジェネにしないと効率が悪い。コジェネだと熱利用を考えなければならない。

 化学工業などでは、蒸留などのプロセスで大量の熱を使うので、コジェネの自家発電がすでに稼働している。

 最大のエネルギー使用産業である製鉄業は、高温が必要であるために、コークスを燃やすことになるが、そのエネルギーを利用した発電がすでに行われている。

 もう一つ熱を必要とする産業であるセメント産業は、あらゆる燃料を燃やすことが可能な産業で、現時点では、廃棄物処理産業になっている。

 ついでにもうひとつ大きな熱利用を行っている産業が製紙業である。製紙機には、水を使うので、その乾燥が必要だからである。しかし、温度としては、それほど高温が必要な訳ではなく、パルプを作るときの複製品である黒液を燃やして熱を得ている。

 ということで、天然ガスをコジェネで高効率利用した発電は難しい。

 2020年ぐらいから安定自然エネルギーが使えるようになり、不安定自然エネルギーも増えてくるので、電力会社に高度なコンバインドサイクルの天然ガス火力発電所の投資を求めるのは難しいようにも思える。

 いずれにしても、この派は、原発をすぐにゼロにすることを主張する会派にとっては、大きな味方である。

 しかし、誰が投資をするのか。この問題が片付かないように思える。

5.バイオマス派(やや番外)

 バイオマスニッポンなどによって相当の着目を集めたバイオマスであるが、現状では趣味のレベルを超えるのは難しいようだ。

 もちろん、ブラジルのバイオエタノールは、量も二酸化炭素削減量も、たしかにかなりなもの。しかし、同じバイオエタノールでも、米国のトウモロコシ起源のものは、農業振興策でしかない。

 日本のバイオマスと言えば、ウッドチップの石炭発電での混焼といった森林バイオマスが本来の本命なのだが、やはり林道整備を国が行うことによって、やっとコスト的に外国産の2倍はしない、といったレベルになるのではないだろうか。

 したがって、エネルギーのメインメニューに据えるのは、大変難しい。

 藻類産出の油などの意味は、すでに述べているが、カーボンフリーの液体燃料がどうしても必要になったら、時期的には、大体2050年前後には、意味が理解されるようになるのではないか。


6.節電派

 節電は、どうやら日本人の、特に、60歳近い者以上の年齢層にとっては、得意中の得意技のようだ。

 もっとも、古い電化製品を捨てるのがもったいないというアンチ節電派もいることはいる。

 アンチ節電派も良いが、冷蔵庫とエアコンは是非ともなんとかしてほしい。テレビもそろそろそれに近い状況だ。最近は、リサイクルがかなり行われるので、買い替えによって損をするのは、組み立てのエネルギーぐらいなので、これは、使用電力の節電で充分にもとが取れるので、もったいないとも言いにくい状態にはなっている。

 画期的な高効率は、実は、電力使用量を減らすことに関しては、かなり苦しくなっている。

 人感センサーつきのテレビを多くの日本人は評価しなかったが、あのようなやり方がほぼ残された手法なのだ。すなわち、新こたつ文明型。この発想をもてば、まだ多少、改善の余地がある。

 現時点なら、自動車の燃費にこそ改善の可能性がある。特に、プラグインハイブリッド車を活用した省エネ化が面白そうである。

 これが普及すると、オフラインによる充電も陽の目を見るかもしれない。ただし、FITは、オフライン利用の敵なので、当分無理かもしれない。FITがあるうちは、電気をなんとしても売った方が有利だからだ。


7,蓄電派

 不安定自然エネルギー派の一部に、蓄電派がいる。しかし、多くの場合、電池は高くつく。特に、どのような電池も寿命があって、それをしっかりと考慮しておく必要がある。

 これもFITがあるかぎり、売った方が有利という点で不利な状況に置かれてしまう。

 電力網が不安定になって、ときどき停電するような状況になると、まったく別の観点で、電池派が有利になる。

 蓄電派の一つの変形として、不安定自然エネルギーが余ったら、水素にして貯めるという考え方がある。

 最近、高温高圧の水の電気分解がかなり効率的になったので、一見、行けそうにも思えるのだが、問題は、水素をどう使うかなのである。

 一時期、水素燃料電池車が実用になるというガセネタがまかり通ったため、水素を高効率に作れると良いという価値観が残っているが、現時点では、水素の用途がない。

 現在の燃料電池はたしかに水素を使うが、水素を配るのは、特別の配管を設置するのか、といった大問題がある。安全性を考慮すれば、現在のガスの配管に水素を流すのは止めた方が良い。



C先生:なんだか、政治の世界を記述しているような感じだな。どうもすっきりしない。

A君:それはそれとして、縦軸を原発軸、横軸を短期−長期として、絵を書いてみました。思想的俯瞰図とでも言うのでしょうか、こんなのいかがでしょうか。


図 各種、次世代エネルギーの思想的俯瞰図

B君:こうしてみると、天然ガス大型火力派が、もっとも原発即廃止派だということになる。それは正しいかもしれない。

A君:不安定自然エネルギー派も、心情的には原発即廃止派に近いと思うのですが、節電派とどこまで協力関係が構築できるか。もしも非協力を表明されると、やはり、電力供給量に不安がでる。

B君:風力派は、天然ガス大型火力派と手を組む可能性もある。しかし、それは少数派で、この派も、繋ぎの電力があることが望ましいと考えている。

A君:安定自然エネルギー派は、比較的無力な少数派ではあるが、実は、ここに投資するのが、現実的な解なのですが、実際、だからといって、政治的状況が大幅に変わる訳ではない。目立たない。だけど実施しなければ、見たいな種類。
 ややもすると、保守的だと評価されがちで、それなら現在の電力事業者と近いか、というと、実は、競合関係にあって、仲は良くない。

C先生:いつになっても反主流派だが、もっと投票が集まっても良いと思う。

A君:それに対して、分散コジェネ天然ガス派は、未完成技術なので、強気になれない。しかも、ガス供給業よりなので、これまで無視されてきた弱小派。
 しかし、すぐには実力を出せないので、しばらくは、原発の電力が使うことができて、しかし、徐々に、しかも確実に原発が消えていくシナリオが最善だと考える。

B君:次の図では、配電電力量をまず、予測、そして、その次の図で、期待される供給量をかなりいい加減に描いてみて、その実力の程度を表現してみた。



図 配電電力量の超長期的俯瞰



図 供給可能量のかなりいい加減な表現


A君:日本全体での配電量、これは、自家発などを除外した値。2020年代までは、僅かな削減量なのではということですね。そして、2030年を超すと、徐々に、分散型コジェネとオフラインによる不安定自然エネルギーが導入されるようになって、例えば、電気自動車などの充電に使われる。しかし、省エネ技術も進むので、例えば、エアコンはすべて地中熱になるとか、そんなことで配電への依存度は下がる。

B君:しかし、これは日本国内だけの話だろう。アフリカやイスラム圏では、電力への依存度が加速的に上昇し、やはり、化石燃料が中心になる。しかし、太陽光発電+蓄電に行く富裕国も出現する。

A君:その次の供給予想のようなものは、下から行けば、不安定自然エネルギーは、着実に伸びる。安定自然エネルギーは、2020年以降の伸びに期待。分散型コジェネも2020年が立ち上がりが完了する時期。

B君:となると、2020年頃まで、あるいは一部2030年ぐらいまで供給量が不足する。これを火力でやるというのが、前回の斎藤氏の意見である大型天然ガス派。安全性を強化しつつ、原発への依存度も下げつつやる、という原発漸減派。この両派が競合するのかもしれない。

A君:大型天然ガス派は、したがって、反原発派だということになる。

B君:原発は、現時点あるいは、近い将来での安全性よりも、本当は、使用済み核燃料への対応が大問題なのだが、それは、これまで余り真剣に考えて来なかったようにも思える。

A君:それでは、途中で約束した、原発の運転継続の可否や利点・欠点などをまとめておきたいですね。

原発の運転継続の可否と他の論点

B君:可否に関して、短期的にみて決定的なことは、いわゆる想定外の事態がどのぐらい起きるか。これまでの想定外は、津波だが、今回の福島の事態で、残念ながらテロが入ってしまった。

A君:テロ対策の必要性は、日本の場合には比較的低いと言えるが、欧州を含めて、世界的には大変な事態だと思います。

B君:海外の原発は武装集団が警備に当っているが、それだけではダメた。なぜなら、周辺の送電網を破壊され、かつ、緊急電源を同時に破壊されると、原発は止まらないことが福島第一の例から明らかになってしまった。

A君:日本の治安が良いことをだ前提として、津波だけを考えれば、浜岡が止まっている現時点では、それほどの確率ではない。1000年に1回も起きないかもしれない。

B君:そもそも1000年に1回というも確率どこまで考慮すべきなのか、本来、議論が有りうる。

A君:1000年に1回でも、今回の福島のような事態は避けなければならない。となると、非常電源の多重化は必須。さらに、5m程度の今となっては低めの津波対策の強化は重要な課題なのでは。

B君:このような対策は、可能だし、順次行うべきだろう。それに加えて、本格的な安全対策をどこまで付加すべきか、といった議論が必要だ。例えば、大量の水を用意しておいて、非常事態になれば、水漬けにすることができるようなことを想定しているのだが。

A君:それはやはり今の原発を改造することでは無理なのでは、と思いますが、やはりそのあたりを明らかにして欲しい。

B君:原発の安全上の本当の問題点は、使用済み核燃料の処理法がいまだ確立していないことなのではないか。もう何年も研究をしているのに、未だに完成しないというのは、大問題。根本的に方法論を考え直す必要があるように思う。

A君:ガラス固化体も、東海村でテストをしていた時代の方が性能が良いのではないだろうか。

B君:諸外国では、使用済み核燃料を貯めておけば良いといった考え方のようだが、それは絶対に正しくない。なぜなら、10万年を超す管理は、人類としての責任を超す。やはり、技術開発を行って、1000年の管理。もしくは、それ専用の処理技術を開発して、せめて100年程度で使用済み核燃料の処理はすべきだろう。

A君:もっと10年オーダーで処理を可能にするような核変換技術の開発をすべきなのでは。そのための予算をどのぐらい掛ければよいのか、過去の知見はいまだに使えるのか、などなど、根本的な見直しが必要な段階になった。

C先生:原発を本当に使うには、使用済み核燃料を確実に処理できる、という条件をクリアーすべきだという話し。まあ、そんなところか。
 今回は、なかなか実情を本当に理解していただくのも難しい話題だったので、かなりの独断と偏見に基づいて、それぞれの派の立場を記述してみた。
 このような検討に加えて、それぞれの場合のエネルギーコスト、さらには、供給安定性などが評点に加わると、皆さんの判断材料として確たるものになるとは思うのだが、そのあたりになると、確信が持てないというのが現実なので、順次追加して行きたい。