省エネの復習 その1   11.14.2010   

          「身近な対策」編



 先週は、東京都主催の「次世代自動車」に関するシンポジウムがあった。そこで、「自動車文化と環境問題」なる基調講演を行った。PPTファイルは、公開しましたので、ご利用を。その後のパネルが1時間30分程度あったが、EVクラブの代表で、自動車評論家の舘内端氏、京都造形芸術大学の竹村真一教授とたった3名がメンバー。かなり濃い議論ができたと思う。ご紹介は次回以降に。

 さて、この題目を選択した直接の動機は、目黒区のイベント(12月11日13時からパーシモンホール、まだ正式な広報がなされていないかもしれない)で、講演をすることになったからである。
 題名に、「身近な対策」という言葉があるもので、普通の市民にどのような省エネ行動を推薦すべきか、世の中の情勢をもう一度勉強し直すことにした。
 加えて、若干プロ級の話になるが、グリーン購入法の特定調達品目の条件などの見直しが進んでいて、12月に入ると、パブリックコメントが求められるころになるが、これに合わせて、もう一度、省エネ法などを含めて、最近の省エネ情報の復習をしておこうという動機もある。
 したがって、複数回連続する予定。



C先生:ということで、省エネの現状分析を何回かに分けて行いたいと思う。まずは、「身近な対策」をキーワードにして始めたい。家庭において、省エネをやるとしたら、どのような考え方があるか。
 まず、有名な省エネサイトなどを探し出してみるか。

A君:了解。グーグルで「省エネ」を検索してみると、最初に出てくるのが、「ECCJ省エネルギーセンター」。
http://www.eccj.or.jp/index.html
これは財団法人で、元東電社長だった南直哉氏が会長。活動の目的は、主として事業者対応のようにも見えるけれど、「省エネ機器の普及などによる国民的省エネ活動の支援」や関連人材の育成・活動の支援もやることになっています。

B君:5ツ星などの統一省エネラベルや国際エネルギー・スターのロゴなど普及広報、情報提供などもしている。

A君:エコドライブなどのページもあるし、生活の省エネのページもある。

C先生:しばしば見るのは、このトップページから省エネ法をクリックすると、省エネ法関係の情報がでるが、その下の方に、「特定機器の性能の向上に関する製造事業者の判断の基準等」というものがあって、そこに、統一省エネラベルの根拠などが出ている。
http://www.eccj.or.jp/law06/index.html
テレビ、エアコンなどを情報を見ると、なかなか興味深いことが発見できるのだ。

A君:そこは、プロ用情報だと思われるので、後日また。

B君:このトップページから、「生活の省エネ」というところと、「エコドライブ」が今回の関連情報だろう。

A君:「生活の省エネ」の中にある「家庭の省エネ大事典」を開けてみると、
http://www.eccj.or.jp/dict/index.html
いきなり機器の説明になる。もっとも最後にインフォメーションというところがあって、
(1)家庭でいちばん電気を消費するものは?
(2)待機時消費電力を減らしましょう
(3)かしこい機器選びのポイントは?
という3つの記述があります。本来から言えば、これが先に来るべきだと思いますね。

B君:この3つの記述を見ると、どちらかというと、電気に情報が偏っている。まずは、家庭におけるエネルギー使用というものがどのような状況であるか、例えば、給湯にどのぐらい、照明にどのぐらい、冷暖房にどのぐらい、そして、それ以外の家電にどのぐらい、といったところから始まるべきではないか。

A君:電気以外のエネルギーは、結構重大なので、そこから行きますか。


全体の概要

B君:家庭用、民生用のエネルギーとなると、中上英俊氏の(株)住環境計画研究所が有名。

A君:最新のデータは
2009年版 家庭用エネルギーハンドブック
編著者  住環境計画研究所
定価    2,730円(税込)
を見ていただきたいのですが、ここでは、Web上のある情報でまとめたい。中上氏のプレゼンの内容が、
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/dai06tyuuki/sankou1_1.pdf
にあります。
 2006年の用途別エネルギー消費原単位(全国)として、次のデータがあります。
 給湯        34%
 照明・家電製品・他 31%
 暖房        24%
 厨房         9%
 冷房         2%
注:自動車用は計算に入っていない。



図 家庭内でのエネルギー需要 自動車は入っていない。

A君:このグラフだと、照明が家電製品と一緒になっていますが、この内訳は、先ほど紹介したECCJの
http://www.eccj.or.jp/dict/pdf/17.pdf
にあるように、
 エアコン      25.2%
 冷蔵庫       16.1%
 照明器具     16.1%
 テレビ        9.9%
 電気カーペット   4.3%
 温水洗浄便座   3.9%
 衣類乾燥機     2.8%
 食器洗い乾燥器  1.6%
 その他       20.2%

B君:ところで、歴史的推移を見ると、厨房でのエネルギー使用量に関しては、1970年からほとんど増えていない。暖房も、それほど増加していない。もっとも増えたのが、照明・家電で3.5倍になっている。給湯も2.7倍ぐらいになっている。合計値は、1.75倍への増加。

A君:もう一つ、二酸化炭素で表現すると、上記のエネルギー消費とはいささか違ってきます。まず、家庭での燃料別・用途別のグラフがありますね。JCCCAからダウンロードが可能ですが。




図 家庭からの二酸化炭素の排出量(一人当たり)。燃料別。原典:JCCCA:http://www.jccca.org/chart/chart04_07.html




図 家庭からの二酸化炭素排出量(世帯あたり)。用途別。原典:JCCCA:http://www.jccca.org/chart/chart04_06.html


B君:これから言えることは、やはり車が非常に大きいということだ。現時点で、乗用車の台数は5800万台。一人当たり0.46台。30.3%が自動車。車を持っている人だけにすると、約48%もの二酸化炭素発生がガソリン由来ということになる。

C先生:省エネ・二酸化炭素の排出抑制をやろうとしたら、まずはガソリンの節約。そして、次が減らしやすい電気と給湯ということになるのだろう。しかし、給湯あたりから議論を開始するか。


給湯用

A君:まずは給湯の省エネが重要ということになりますが、機器を変えないとすると、できるだけお湯の使う量を減らすか、お湯の温度を下げるかいずれかですね。

B君:省エネセンターのお勧めは、お風呂には続けて入りましょう。シャワーは必要なときだけ。

A君:台所給湯については、目的に合わせて設定温度をチェンジ。食器を洗うときには、低温に。

B君:その指摘も当然なのだが、本当に無駄なのは、給湯器から蛇口までの距離が長い場合に起きる。ちょっと水を流してすぐ止めると、給湯器はしっかり働いていて、そこではお湯になっていても、蛇口まで来ない場合。

A君:混合栓になっているときには、特にやってしまいがち。混合栓は、使い終わったら、水のみの位置にすること。

B君:もっと基本的に、CO2排出量で比較すると、水と40℃のお湯では、お湯が10倍ぐらい高い。

A君:もっとも価格で言うと、水道料は結構高いので、お湯の値段は2〜4倍(夏〜冬)程度にしかならないのでは。

B君:機器の変更をするとしたら、
(1)ガス湯沸器なら、潜熱回収型の装置。
(2)電気ならば、ヒートポンプ型給湯器。
(3)燃料電池による電力と熱供給。
(4)太陽熱温水器まで行けば、かなりのレベル。
ということになる。

A君:これらの選択肢は、重複できるものは、(1)と(4)だけで、その他は単一になってしまう。現状で究極の省エネ組み合わせと言えるのが、この(1)と(4)の選択。

B君:もっとも、リンナイのハイブリッド型給湯器
http://rinnai.jp/products/waterheater/hybrid/hybrid_point
を買えば、(1)と(2)が両立して、どうやら効率が高いみたいだ。タンク容量が50リットルと少ないのがどうやら鍵なのだろうか。

A君:ヒートポンプ型の給湯器は、もしもお湯を使いきらないような使い方をすると、当然のことながら、お湯は冷めるので効率が悪い。だからといって、お湯を少なめに沸かすと、お湯を使い切ったときに必要になる追い焚きが効率が悪い。

C先生:いずれにしても、お湯の使い方は、特に、シャワーの使い方は暮らし方によって全く違う。シャワーの使用量は意外と多くなりがち。お風呂が180Lだとして、シャワーは10L/分だとすると18分でお風呂分に相当。実際には、お湯がもっと出ているのではないか。


照明関係

B君:照明・家電関係の省エネにいくか。照明だと、無駄な照明は消す。オフィスなどだと、窓際にある照明は外す。

A君:省エネセンターの推薦は、省エネ型に変えて、点灯時間を短くとのこと。当然だ。

B君:白熱電球は点灯時間が長いところは変える。変える省エネ型の第一候補は、電球型蛍光灯。これも当然。

A君:LED電球でなくて、なぜ、電球型蛍光灯なのか。それは、LED電球はまだ、急速に進化中であって、前回本HPでほぼ1年前にテストしたときに比べれば、
http://www.yasuienv.net/LEDLight.htm
現時点でかなり良くなっているが、十分な明るさを出せるとは限らない。光が基本的に一方にしか向かわない(指向性が強い)ので、真下は明るいけど、部屋全体を明るくするのには向くとは言いにくい。

B君:光の総量は全光束という量で測る。単位はルーメン・パー・ワット。要するに、1Wの電力でどれほどの光を出すことができるか。lm/Wと書く。エネルギー消費効率と言うこともある。

A君:白熱電球だと、大体10〜12lm/W。直管型の蛍光灯で高周波点灯型の蛍光灯ランプだと、基準値が86.5。白熱電球の8.5倍。電球型の蛍光灯は、もっと低い。

B君:LED電球は、昼光色のもので直下の照度は60Wの白熱電球に相当するもので、シャープの例ですと、全光束は7.5Wのもので485lm=65lm/W。7.8Wのもので600lm=77lm/W。大分効率が良くなってきている。

A君:パナソニックの例ですが、最新の製品で9.2Wのものだと、825lm=90lm/Wでこれなら、蛍光灯よりも効率が高い。ただし、電球色のものになると、ここまでの効率は出ない。

B君:取り敢えず、電球型蛍光灯に変えて、それが寿命になったら、次はLED電球にするという程度が良いように思えますね。しかし、LED電球を本当に活かそうとするのならば、寿命が4万時間、といっても、切れるというよりも、明るさが7割まで落ちる時間ではあるけど、相当長時間使える。例えば、1日6時間使ったとして、18年間もつことになる.トイレなどのように、1日1時間しか点灯しないような条件だと、人の寿命よりも長いことになるが、本当にこれが必要か。

A君:電球型蛍光灯にすると、一瞬点灯するのが遅れるし、明るさが少しずつ上がる、しかも、点灯回数でも寿命がある。トイレのような用途には、実は、白熱電球がもっとも適している。

B君:短寿命のLED電球、要するに同じダイオードに高い電圧を掛けて、寿命が短くなってもよいが、多少安価というものが今後でるのかどうか。

C先生:LEDの進化の速度は要注目。照明関係では、有機ELなどの新しい材料が待機中。


家電製品

C先生:これは多種多様。良く言われているように、ヒートポンプ利用機器、例えば、冷蔵庫、エアコンの効率は進化が激しい。といっても、エアコンは1994年から進化が始まっていて、そろそろ進化が止まりつつある。冷蔵庫は、真空断熱などが使われるようになってさらに進化した。大体2002年だと考えれば良い。ちょうどそのころノンフロン冷蔵庫になっている。
 洗濯機は、ドラム型になって、水の使用量は下がったが、最近の機種では、方式によらず乾燥時にも水を使うようになった。乾燥ということは洗濯物から水を取り除くことなのであるが、その水を室内に放出してしまうと、湿度が上がってしまう。最近の家のように、密閉性能が高い家の室内に、水を放出することはご法度。そのため、排気を冷やし、水分は液体にして取り除き、排水ホースから下水へという構造になっている。
 食器洗い乾燥機は、ちょっと考えると電気ヒーターでお湯を沸かしているので、消費電力が多く、結果的にエネルギー消費量が高いように思われるが、実際には使用する水の量を極限まで少なくするなど、かなり工夫がなされている。設定条件によっては、食器洗い乾燥機の方が、環境負荷が低いという広告が出ているが、手洗いであれば、かなりの工夫ができるのも事実なので、じっくりと自らの洗い方を検討してから、買う買わないを決めるべき。

A君:テレビは、この1年ほどで消費電力が下がった。あの大電力消費型で評判が悪かったプラズマテレビまで、かなり省エネ型になった。液晶テレビは、一般にはプラズマよりも消費電力は低いのだが、4倍速といった速い動きに追従できるものだと、最近のプラズマと同程度ということもあるようです。

B君:DVDレコーダーなどは、もともと消費電力はそれほどではないのだが、待機電力が多いものがまだある。外部機器からの制御などを考えると、機能上しかたがない部分もある。


待機電力の低減

A君:色々な用途に使われるのであれば、それは目的内使用。しかし以外に、目的外というか、意識外の消費である待機電力についての報告もあって、家庭の消費電力量が4209kWh/年だった平成17年度に、待機時消費電力と思われる電力消費量が308kWhもあって、実に、7.3%に相当する。

B君:これだと、もしも1kWh=24円とすると、年間7000円以上も無駄に電気代を支払っていることになる。これは多い。

C先生:308kWhか。常時35Wが使われているということになる。多いとは決して言えない。待機電力に加えて、無線ルータやCATV用のモデムなどがあるもので、電力計を見ていると、我が家も何も使っていないという状態でもかなり消費電力がある。

A君:中上英俊氏(住環境計画研究所)の報告によれば、
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/dai06tyuuki/sankou1_1.pdf
平成18年度当時で、最新機器に置き換えただけで、半減できるとのこと。無断ではあるが、Webで公表されているので、図を借りてしまおう。中上さん失礼。




図 最新機器に変えれば、待機電力半減が可能  住環境計画研究所 中上氏の資料より


B君:それからさらに進化しているだろう。現時点だったら、1/3〜1/4にはなっているのではないか。

A君:古い機器で、コンセントに繋がっているものであれば、スイッチ付きのOAタップを使うのが良いと思いますね。



写真 消費電力計付きのOAタップ 測定値は相当怪しい。

B君:ただし、最新の薄型テレビやDVDレコーダは、常時スイッチが入っていることが必要だという話がある。以前、DVDレコーダでハイビジョン放送を録画したものは、コピーが1回しかできなかったが、いつのまにか10回になっている。これは、電波からの制御で、レコーダの設定を書き換えたのではないか。

A君:オンエアダウンロード放送というものがあるようで、これで、ファームウェアの書き換えを行うようです。ということは、そのような機器については、OAタップで電源を切る訳にはいかないのかもしれないですね。例えば、
http://panasonic.jp/support/dvd/info/oadl_t.html

B君:中上氏のプレゼンに戻るが、給湯機器の待機電力が大きいのが気になる。

C先生:自分の家を考えてみても、ガス給湯器が分からないし、200V駆動しているエアコン、食器洗い乾燥機の待機電力がどれほどなのか、全く分からない。これらが測定できるかどうか、近々挑戦する予定ではあるが、果たして成功するだろうか。
 灯油を使った自動給湯器のようなものについては、ECCJの調査報告書があるのだが、情報が行き渡っていない。

A君:なるほど。これですね。
http://www.eccj.or.jp/standby/07/index.html
「平成19年度 待機時消費電力調査報告書」
余りにも膨大な情報があって、本当に必要な情報を探すのが大変。情報が情報の洪水に埋没している感じ。
 石油給湯付きのふろがまの待機電力が10.9Wと相当高いことは分かりました。ガス瞬間湯沸器(先止)(給湯)の待機電力は、3.6W程度であるようです。

B君:C先生の家にある太陽熱温水器の待機電力が4.2W程度。合わせて給湯で10W近くになる。

A君:エアコンの待機電力はどうやら大したことは無いようですね。

C先生:給湯関係機器については、いよいよ測定をする必要があるということだ。


エコドライブの実践

A君:最後になりましたが、エコドライブ。

B君:省エネセンターの「エコドライブのタネあかし」は、まずまず正解のように思える。
http://www.eccj.or.jp/recoo/eco10/eco10_index.html

A君:「エコドライブをせよ」と言うと、「ゆっくり発進」が重要だと思う人が多いのですが、確かに、それは効くことは効くのですね。しかし、それが全部ではない。余りにも遅い加速は、他の車の運転者をいらいらさせるので、お薦めしにくい。

B君:急加速をすると、平均速度が高くなる。ゆっくり加速すると、速度が低めに抑えられる。急加速をすると、どうみても急ブレーキを掛ける可能性が高くなる。こんな副次的な効果が大きい。

C先生:プリウスに乗ってみると分かるが、アイドリングストップは実際、かなり有効。

A君:しかし、アイドリングストップ装置の無い車で、信号停止のときのアイドリングストップも、余りお薦めしたくない。他の交通の妨げになる可能性が高いので。

B君:ということになると、結局は、エコ車を買うことになる。次回に車を買い換えるときには、将来の税制などの変更もありそうなので、エコ車を選択しておくことが無難かもしれない。

A君:エコ車といっても、不必要に大きな車はやはり避けるべきでしょう。


まとめ

C先生:そろそろ結論にした。身近な対策と言うが、実際、そう簡単ではない。なぜからば、地域によって同じではない。すべての家で同じではない。したがって、個人個人で対策が実際のところ異なる。しかも、測定ができるとも限らない。
 家庭での省エネを指導するコンシェルジュ制度がいろいろなところでできつつある。しかし、その人材育成もそう簡単ではないだろう。
 とうことで、今回は、「身近な対策」を終わるが、なかなか難しいということだ。