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     「環境負荷が低い」と「株価」の関係
         CO排出量が最重要項目に    10.25.2020



 環境問題あるいは公害問題と言うべきかもしれないが、その歴史の始まりはと言えば、有害化学物質(含む排気など)による疾病の発症という形態であった。中でも、水俣病をはじめとする日本の公害問題は、世界的にもっとも深刻な状況であった。しかし、もはや先進国においては、流石にそのような状況が起きることはなく、むしろ、人間活動による資源の消費・枯渇、エネルギーの過大な消費、そして、温室効果ガスの大気中濃度の上昇といったことが、重要な環境問題となり、現在に至っている。
 このような状況で、どのような形態の環境変化を大問題ととらえるべきなのか、それに答えるのは、実は、かなり難しい。しかし、一般論としては、以下のように言えるだろうか。「地球のこれまでの状況が不可逆的に変化することが、共通の現象であり、その『不可逆的変化の大きさが、その現象の重大さの指標になる』」
 近年の最大の環境問題である気候変動問題は、その原因が、エネルギーの使用に関連する温室効果ガスの排出によるものであることは明らかであると同時に、温室効果ガスの大気中の寿命は、人の寿命に比較すれば、無限であると考えるべきなので、その影響は、確実に不可逆的と言ってもよい。そのような認識があるためだろう、現時点でのもっとも重大な問題になっている。
 さらに、地球上に居住する人類にとって、地球の資源を長期間に渡って維持することは極めて重要である。資源というと、鉱物資源などを思い浮かべるのが普通だが、空気も水も重要な資源である。しかも、その質が最重要である。となると、問題は、何種類もある「環境負荷」として、それぞれに対して、どのぐらいの配慮をすべきなのか、言い換えれば包括的な重みづけが重要な時代になっているのではないだろうか。

 

C先生:本日の議論の要素は、すでに、序文にすべて書き込んだ形になった。後は、個別論と全体論との結合を行うことで、ほぼ、全体観が得られる状況になると言えそうだ。

A君:要するに、このところ、少なくとも先進国においては、有害物質の排出が、直接的に人体や他の生命の健康状態を蝕むという懸念は、真剣に考慮しなくても済む状況ではあります。歴史的に見れば、有害物質が特定され、その排出基準が厳しく設定されたから、と言えます。しかし、途上国においては、まだ完璧とは言えない国もありますが、対策を強化する方向性はすでに明確に分かっているので、解決のための経済的な負担をどうするか、という大きな問題を別にすれば、なんとか解決可能という状況になっているのでしょう。

B君:気候変動だけが、通常の環境問題とは異なった理解をしなければならない理由は、当たり前のことではあるけれど、環境のパラメータとしてもっとも重要な項目が、気温であって、もはや化学的毒性ではないこと。

A君:気温だ、というと何か簡単に対応できそうに思えてしまうのだけれど、実は、気候と書くべきで、気候が変わってしまうと、人間活動のもっとも重要な項目である食糧生産が悪影響をうけてしまいます。これまでと同じ作物が育たない状況になる可能性が高いですから。

B君:確かに、人間は食糧問題としての気候変動が重要であるのは分かる。なぜなら、エアコンなどという設備が使える場合には、気温の変化はそれほど、健康にとって大きな要素とは言えない状況まで、改善が可能。となると、環境に影響のないようなエネルギーが供給されれば良い。

A君:エネルギー問題になると、その完全解は、そう簡単には実現できないことになりますね。なぜから、依然として、化石燃料がもっとも使いやすいエネルギーであり、それを燃やせば、気候変動の原因であるにCOの大気中の濃度が高くなってしまう

B君:バイオマスを燃やすのであれば、もともと、大気中から吸収したCOを大気に戻すだけ、という言い方もできない訳ではない。しかし、例えば、木材を燃やす場合であれば、それを大量に利用するには、木が成長するまで待たなければならない。それには、相当なる年月が必要。

C先生:ここまで、こんな議論を続けたのは、このところ、COの排出を削減している企業の株価は上がるけれど、日本の多くの企業のように、CO排出への努力が不足していると思われてしまうと、株価も低迷してしまう、という現象が欧米で明らかに起きているからだ。早晩、日本の株価もそうしないと、世界的株取引の対象から外されることになるだろうから、日本の株価の評価も、国際的標準として、CO型にならなければならないと思う。

A君:これがどうも正統的な方向性だとしたら、というか、多分その通りなのですが、これまでの日本の環境対応の一つ一つを、もう一度、見直すことが必要不可欠だということになってしまいます。

B君:確かにそう言うことだな。例えば、日本社会での環境対応で、世界標準ではないものは何だろう。

A君:日本の特徴は、一度決めると、徹底的にその方向を模索することですか。特に、その傾向が強いのが、廃棄物とリサイクルでしょうかね。

B君:そうかもしれない。歴史的に見ると、日本における廃棄物行政は、不法投棄との闘いだった。2000年前後に、多くのリサイクル法ができたが、その直接的な原因になったのは、例えば、瀬戸内海の豊島での不法投棄、さらには、青森・岩手県境での不法投棄などなど。

A君:青森・岩手県境に不法投棄された産業廃棄物の全量撤去に対する産業廃棄物特措法による支援が、2022年でまで続いていますね。

B君:この不法投棄が発覚したのが、1999年。なんと長いことだろう。

A君:もっとも不法投棄された固形の産業廃棄物自体は、2013年に処理が完了しているのですが、1,4-ジオキサンが主体の有害物が、地下水・土壌汚染として残留しているようで、そうなると、そもそも原状回復とは何を意味するのでしょうね。

B君:そろそろ話題を元に戻そう、なぜ、日本という国は、気候変動をもっとも重要な環境問題だと捉えないのか。一方、西欧諸国は、CO削減をその企業の第一の遵守事項とすることが普通のように思える。

C先生:そのような指摘をしたのが、10月19日の日経新聞の日曜版のトップの記事だった。これはなかなか衝撃的記事であった。

A君:その内容をざっとご紹介します。3種の図が提示されていました。まず、全世界の株式市場で「脱炭素」に熱心な企業の評価が、高まっていることを示した最初の第1図。次に、同業種内でも脱炭素が進む企業の時価総額が優位であることを示したもので、具体的には、ドイツ・フランスの熱心な企業と、カナダ、日本、米国の余りCO削減に熱心でない企業の株価の推移が明確に異なることを示した二番目の図。そして、三番目には、各国における主要企業のCO排出量削減量の実態を、14年=100として示した図。日本の2018年実績は100を僅かに下回る程度であり、それに対して、ドイツ・フランスは、75程度ブラジルでも80という数値であった。

B君:株価ということになると、日本の場合には、東証の株価がもっとも大事で、世界的な株価はどは、余り重要視されない傾向があるのでは。

A君:それは明らかに存在すると思います。特に、国際的企業だと自己認識をしていない企業などでは。

B君:やはり、パリ協定なるものは、西欧社会、より具体的には、世界の人口の60%程度を占めている一神教徒を対象として、できているからという要素も無視できない。

A君:一神教徒というと余り具体的ではないですが、キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒を意味します。イスラム教徒の国が、CO削減に十二分に熱心か、と言われると、まだまだ経済成長期にある国では、無理なので、しばらく時間が掛かるということが言い訳になりますかね。

B君:それに、パリ協定が「気候正義」という表現を使ったことが、いきなりイスラム教徒に響くとも思えない。まあ、できた場所がパリだから、ちょっと無理とも言えるように思える。

A君:確かに、一神教ではあっても、イスラム教はちょっと異色であるのは事実ですから。

B君:日本という国も、いささか普通の国とは言いがたい面があるね。環境問題の発生はと言えば、日本であれば、水俣病を考えれば良いのだけれど、水俣病発生の当時の歴史などをチェックすると、酷いもので、経済成長の方が、市民の命より重要だと主張する人が居たりする。日本という国では、人命の重要性が、時と場合によって、かなり変化していると思う。

A君:それも当然で、様々な考え方を持ち得るのが、宗教の特徴ですから。キリスト教の旧約聖書では、人類は、アダムとイブから始まっていることになっています。そのためか、福音派と呼ばれる福音書(旧約聖書・新約聖書)に書かれていること以外は信じないという人々、彼らはトランプ大統領の支持層のかなりの割合を占める宗派のキリスト教徒ですが、「ダーウィンの進化論などは嘘だ。我々は、アダムとイブを直接の祖先としているのだ」、とごく普通に主張しているようですから。

B君:それにしても、トランプがまた大統領になると、これは、米国にとって重大な事態、すなわち、ますます知的な国から遠くなってしまう。世界的に見ても、その影響は大きいと思う。

A君:しかし、なぜ、大統領選挙を郵便投票などでやるのだろう。今回は、コロナのためなのだろうけれど、郊外に広い投票所を作って、そこに行けば良い。どうせ車で乗り付けるのだろうから。

B君:郵便投票だと、投票数の確定までに時間が掛かって、その間は、トランプが大統領を継続できるからでは。もっとも、この記述が正しいかどうか、全く自信は無いけど。

A君:話を戻すけれど、米国という国は本当に特殊な国だと思う。世界でトップクラスの科学の国であり、そして、トランプ大統領の国

B君:そして、福音派の存在も特殊。別の話になるが、世界のトップクラスの科学は、ひょっとすると、海外からの留学生が支えているという可能性は無いのだろうか。

A君:大有りですね。米国での博士号取得者の出身校のトップは、精華大学と北京大学だそうですから。大分前(2008年)の記事ですけど。

B君:昔なら、日本人留学生という文字を読むことができたかもしれないけど、このところ、日本人の若者は海外留学をしない

A君:そうなんですよね。どうみても、日本人の若者は、チャンレンジャーではなくなった。

B君:そして、日本企業もチャレンジをしなくなったように思う。

A君:しかし、コロナで来日する外国人はほぼゼロですけど、渡航先としての日本は、未だに人気ですね。まあ、安全だし、人々は親切だし、食べ物は美味しいし、景色も色々と楽しめるし、まあ、ある意味当然の人気。

C先生:本日は、このぐらいにしないか。ちょっと別途やるべきことがあってね。

B君:了解。どうせ、原稿書きが遅れているのでしょうけど。

A君:いや、また、どこかで講演を頼まれたのかも。

C先生:どうでも良いけど。実は、宿題を貯めすぎたのも一因。確かに、先々週のICEFもあり、このところ、外出の頻度が一気に増えた。コロナに感染する可能性も皆無ではないけれど、今月は、ほぼ毎日、なんらかの予定が有った。しかし、幸いにしてまだ無事だ。
 さらに言えば、4月以降、東京を出たのは、名古屋3日のみ。どこかに行きたい。そのための時間も確保したいのだが、時間不足!!!