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   食品の個別問題と安心
    09.23.2013  
       セシウム、添加物、残留農薬、輸入食品、食中毒、遺伝子組換、BSE、重金属



 昨日、ベルギー・ブリュッセルへの出張から帰国しました。東京も今日は涼しいですが、ベルギーは、ほぼ最高18℃、最低13℃ぐらいでした。

 ブリュッセルへは、EU、オランダ政府、ベルギー政府の製品安全関係者に質問と議論をするために出かけていたのですが、今後、日本における次世代の製品安全の枠組みを調査するのが目的でした。

 アントワープ、ゲントがいずれも電車で40分程度程度だったので、隙間に両都市を散歩してきましたので、次週にでも、ご紹介を。

 さて、今回の記事は、前回の続きで、この記事は食品に関する様々な個別の問題について、「安心」できるかどうかのアンケートについてです。このアンケートは、(一社)「品質と安全文化フォーラム」の食品の安心に関する研究会が行ったもので、詳しくは、前回の記述をご参照ください。
http://www.yasuienv.net/FoodSafetyRRQC.htm

 このアンケートの対象は、20代から60代以上までの5階層、男女2階層で、合計10階層について、それぞれ50名を対象に行われ、合計回答者数は、500名。

 以下、個別の8つの問題に関するアンケート結果である。



■1 食品の放射性セシウム汚染についてお伺いします。

Q13.安心の度合い

2.2%:安心である
25%:まあ安心である
33%:やや心配である
40%:安心できない

Q14.「安心」、「まあ安心」とお答えの方にその理由を。

40%:どの程度が安全か科学的に解明されており、問題ないと思うから
54.4%:政府の基準が設定されており、市場にある食品は基準以下だから
16.9%:自分が食べている食品は、きちんと検査されているから
11.8%:元々心配ない西日本のものを食しているから
5.9%:政府、企業及び科学者に対する信頼が回復してきたから
9.6%:その他

Q15.「やや安心できない」、「安心できない」とお答えの方にその理由を。

63%:どの程度安全か、まだ科学的によくわかっていないと思うから
40%:政府の基準は理解が難しく、よくわからないから
55%:自分の食べる食品が検査されて安全が確保されているかどうかよく分からないから
38%:政府や企業及び科学者に対する信頼が失われ、まだ回復していないから
5.5%:その他

階層別分析:
 もっとも安心できない階層は50代男性の48%で、これはかなり意外。

C先生:低レベルの放射線への被曝の影響をどう理解したらよいか、やはり分からないようだ。これが、この問題のすべてのカギを握っている。

A君:確かにそう思います。Q15の科学的に影響がよくわかっていない、という答えがすべてでしょう。Q15の2番目の答は、これが理解ができていれば、政府のメッセージがいかに過度に安全サイドに振れているかの理解は容易なはずですし、3番目の答は、食品の場合、そのすべてについて完全に全数検査を行うようなものでもない、ということは、放射線の検査ならなんとかなっても、通常の安全性の検査だともっと難しいことはわかるでしょうから、これも、最初の答が分からないという意思の表明のように思います。

B君:ということは、最初の疑問について、本当の意味で理解していない。この問題の本当の意味は、統計というものは何かということなので、普通の人にとっては、超難題だ。

A君:「どの程度安全か、まだ科学的によくわかっていない」のではなく、「統計的な性格を有することだから、サンプルの数が不十分であれば、きちんとした結論はいくら頑張っても出せない」ということ。広島長崎のような膨大な被爆者数を統計的に取り扱っても、結果がでない。すなわち、本質に、1か0かという結論はでない問題なのだが、大体この程度ということが分かっていることをどう理解するか、

B君:それを一つ一つ説明すればよいのだろうか。やってみるか。

A君:「統計的=確率的な性格を有する」ことから。
 まず生命体というものは、自分で不具合をある程度なら直すことができる。一旦、風邪に掛かったら、その後一生具合が悪いという訳ではない。放射線の場合、最終的な結末は「発がん」だが、発がんも、DNAが損傷を受けることが原因だが、途中で何段階もの修復機能が働く。そのすべてに失敗すると発がんする。だから発がん率は確率的に見なければならない。しかも、やっかいなことに、DNAへの傷は、放射線以外にも、普通の細胞分裂の際のコピーミス、呼吸で取り込む酸素に由来する攻撃で大量に発生しているので、もともとの発がんのベースラインが30%で、もし放射線を一時に浴びると、100mSvについて0.5%ぐらい発がんの確率が上昇する、としか言えない。このデータは、放射線への被曝者が非常に多かった広島・長崎のデータに基づいている。そして、もっとも重要なところだけれど、100mSv以下のケースは、ばらつきが多くなって、統計的に意味のあるデータは出ない。

B君:そのため、100mSv以下のケースは、被曝量に比例すると考えようという仮説が使われている。これは、生命体の修復能力を考えると、もっとも発がん確率が高いという仮定ということになる。

A君:ECRRのような組織や肥田医師のような人は、それぞれ別の思いから、低レベルの放射線が有害でないと困る人々なので、屁理屈を作るしかない。色々とと発言していますが、科学者の99.9%は、上述の説明のように考えている。

B君:だから、5mSv/年という量を4〜5年被曝し、合計20〜30mSvになったとして、どれほど発がん確率がベースラインの30%から上がるか、まず、判別できるほどの上昇はしないという結論は絶対的に正しい。

A君:だからといって、それをどう理解するか、となると難しいのかもしれない。

B君:例え話は、本当は出したくない。絶対的に同じ話にはならず、欠陥があるのが例え話だからだ。しかし、こんなものだという理解には有効かもしれないので、一つ考えてみた。
 500mlの冷水に、30gの砂糖を溶かしたものをまず用意する。これに、0.1g、0.2g、0.3g、0.6g、1g、2g、6gの砂糖を追加し、合計8種類の砂糖水を用意する。そして、入っている砂糖の量は分からないようにして、何人かに味わって貰う。どれが甘いかを順番で答えてもらう。
 次に、500mlの冷水に、0.1gから6gまで同様に砂糖を入れた8種類の水を用意し、これを味わって貰い、どの順番で甘いかを答えてもらう。
 予想されることは、冷水に0.1〜6gの砂糖を入れたものの方が、最初に30gの砂糖が入っている場合よりも、砂糖の量がよりよく区別ができることだろう。
 これが発がんのベースラインが30%であると、発がんの追加的な影響が見難いということの譬え話。

A君:まあ、よくできた話だとは思う。最初から30gが入っている水に砂糖を追加した場合だと、6g追加したものは、恐らく甘味も違うだろうから、分かる可能性は多少あるかもしれない。しかし、0.6g追加したものでは、分かる人はいないと想像できる。すなわち、その回答が合っているかどうかを解析する気にもならない。すなわち、統計的に意味がないデータということになる。そして、これが放射線で言えば、30gの砂糖が一度に100mSvを浴びたときに相当し、1mSvが砂糖0.3gに相当する。

B君:しかし、人によっては、やたらと甘みセンサーの感度が良い人が居ないとも言えない。どのような譬え話がもっとも分かりやすいのか、そのうちじっくり議論しよう。


■2.食品添加物についてお伺いします。

Q16.安心の度合い

2.6%:安心である
33.0%:まあ安心である
43.8%:やや安心できない
20.6%:安心できない

Q17.「安心」、「まあ安心」とお答えの方にその理由を。

59.0%:食品への使用基準がまもられていれば、人体に影響はないと思うから
19.1%:食品への使用基準について違反があるということは、あまりきいたことがないから
48.9%:食品メーカーが規格・基準にしたがって製造しているはずだから
21.3%:これまでも使用してきて、特に問題がないから
4.5%:その他

Q18.「やや安心できない」、「安心できない」とお答えの方にその理由を。

47.5%:食品への使用基準がまもられていても人体に影響がないとは信じられないから
47.2%:食品への使用基準について国産品でも輸入品でも時々違反が見られるから
68.9%:消費者にとっては、数も多く、その機能もよく分からない中で、添加物がどのように使われているかよくわからないから
38.2%:化学合成のものもあるから
3.7%:その他

C先生:食品添加物への不安も根強いようだ。

A君:「使用基準が守られていても、人体に影響がないとは信じられない」ということが最大の理由で、その他の話は付随的でしょうね。

B君:添加物がどのように使われているか、それがどうしても不安なら、開示請求を出せばよいと思うけど。

A君:無添加を謳う食品を買うからよい、というのが答なのでは。

B君:まあ、そうかもしれない。それにしても、人体に影響がないとは信じられない、というけど、一般に食べている食品というものは、他の生命体を借りてきて食べているという意識が余りにもないように思う。

C先生:食品そのものが無害であるという証明など、どこにもない。実際、体質によっては、食品で急性アレルギー症状を起こす人もいる。特に、最近では、品種改良などで、新種のトマトやメロンなどができてくるけれど、それが昔のトマトやメロンと同じものだということは証明する責任もない。

A君:これまでアレルギー体質ではなかった人も安心はできません。新たなアレルギー物質を含んでいるかもしれない。そもそもアレルギー物質はある種のたんぱく質なのだ、ということぐらいは理解されていると思うけど、品種が違うということは、別のたんぱく質を含むという意味だという理解は無いかもしれない。

B君:それに対して、食品添加物は、アレルギーの発症をする可能性についても、テストがされている。

A君:しかも、実験動物によるテストも行われている。

B君:さらに言えば、保存剤として使われているものには、ビタミンCのような物質もあって、安全性が歴史的にも証明されているものもある。

A君:食品添加物の悪口を書いてベストセラーになった人もいるところをみると、わざわざ不安になりたがっている人もいるということを意味しているようにも思えてしまうのですよ。

B君:自分の体は繊細だから、健康にいろいろと気を使うのです、ということなのだろうか。

A君:あまり深刻にならず、ポイントだけを抑えて、あとは無視するという生き方の方が健康には良いと思いますが。

B君:そのやり方は意外と高度だから。

A君:いずれにしても、食品というものは、ある一定量以上食べられない、ということがリスクをある程度以下に保持している、という理解が必要で、添加物もやはり一定以下に保っているので、まずは大丈夫。

B君:むしろ危険なのは、薬理効果が多少あるようなサプリメント。これは、食品というものは、一定以上食べられない、ということとで影響を抑えている。これまで歴史的に食べてきた食経験も重要で、本物の食品は、薬理効果の副作用を抑えるような成分を含んでいるかもしれない、と考える方が良いと思う。


■3.食品の残留農薬についてお伺いします。

Q19.安心の度合い

1.4%:安心である
29.4%:まあ安心である
43.2%:やや安心できない
26.0%:安心できない

Q20.「安心」、「まあ安心」とお答えの方にその理由を。

61.0%:残留農薬基準がまもられていれば人体に影響がない、と思うから
11.7%:残留農薬が原因で健康被害が発生した事例はないから
9.7%:農薬が農業の現場でどのように使われているか、知っているから
31.8%:農産物の収穫後に使われる農薬について、しっかりした規制があると聞いているから
27.3%:基本的にこれまでもずっと使用されてきたものなので、残留農薬基準以下であれば、摂取しても問題ないと思うから
4.5%:その他

Q21.「やや安心できない」、「安心できない」とお答えの方にその理由を。

50.3%:食品の残留農薬基準がまもられていても人体に影響がない、とは信じられないから
41.0%:食品の残留農薬基準について、国産品でも輸入品でも時々違反が見られるから
58.4%:消費者にとっては、農薬が農業の現場でどのように使われているかよくわからないから
38.7%:農産物の収穫後に使われる農薬についての規制があいまいだから
40.2%:基本的には身体によくなさそうなので、できるだけ摂取を避けたいと思うから
4.0%:その他

C先生:これは、久松達 氏の新著「キレイゴト抜きの農業論」でも読んでもらうか。

A君:「有機農業=安全」だけは二周遅れと断定している。

B君:「有機農業=おいしい」も十分条件ではない、と言い切っている。


■4.輸入食品についてお伺いします。

Q22.安心の度合い

1.2%:安心である
20.2%:まあ安心である
50.6%:やや安心できない
28.0%:安心できない

Q23.「安心」、「まあ安心」とお答えの方にその理由を。

65.4%:日本の制度で輸入食品の食品安全を十分に確保できていると思うから
12.1%:輸入食品の事故の場合も、原因の究明を行って、迅速に対応ができていると思うから
24.3%:日本は輸入食品に依存しているが、事故が多い国ばかりから輸入しているわけではないから
22.4%:安全第一を基本として、価格の安いものばかりを輸入しているわけではないから
14.0%:人体に健康被害をもたらすような大きな事故は発生していないから
1.9%:その他

Q24.「やや安心できない」、「安心できない」とお答えの方にその理由を。

44.5%:日本の制度では輸入食品の食品安全を十分に確保することはできないと思うから
41.0%:輸入食品の事故の場合、原因究明が遅くなったり、難しくなったりするから
41.5%:日本は事故の多い国からの輸入食品に依存しているから
60.1%:安全をある程度無視しても安いものを輸入しようとする傾向があると思うから
34.9%:時々、大きな事故があるから
5.1%:その他

階層別分析
 もっとも安心できない階層は、50代女性の46.0%

C先生:これは、不安に思うほどのこととも思えないが、だからといって不安を解消するのも難しいということだけ述べて終わりにしよう。

A君:確かに。セシウムより不安かもしれないけど、舌センサー・鼻ディテクターをフル活用すれば、なんとかなるのでは。

B君:毒性物質なら、舌センサーでなんらかの苦味のようなものが判定基準。腐敗は鼻で。


■5.食中毒についてお伺いします。

Q25.安心の度合い

2.0%:安心である
35.6%:まあ安心である
39.0%:やや安心できない
23.4%:安心できない

Q26.「安心」、「まあ安心」とお答えの方にその理由を。

12.2%:微生物(菌)は動物の腸内やその他の自然環境に常在するが、病原性の高い菌は撲滅できると思うから
35.6%:政府や業界の衛生基準などの対策で食中毒を十分防止できるから
26.6%:いつどのように感染するかを知っているので、十分予防できるから
56.9%:食中毒の発生は、海外と比較してもかなり少なく、日本は衛生環境が良いと思うから
27.1%:食中毒の発生は、昔に比べてかなり減少していると思うから
5.9%:その他

Q27.「やや安心できない」、「安心できない」とお答えの方にその理由を。

39.7%:動物の腸内やその他の自然環境に常在し、病原菌を撲滅できないから
33.7%:政府や業界の衛生基準などの対策でも食中毒を十分防止できないと思うから
66.3%:いつどのように感染するのかよく分からないから
29.8%:食中毒の発生は、減少させることができていないから
24.4%:最近、食中毒の発生が多くなっていると思うから
3.2%:その他

C先生:最近、食中毒はかなり変わってきた。厚労省の統計を見ると、昔なら考えられないようなノロウイルスが最大の原因になっている。

A君:少なくとも10年前の常識では、タイあたりの水道にはノロウイルスが入っているので、慣れている。したがって、タイ人はノロウイルス程度で下痢などはしない。

B君:それに対して、日本人は、清潔になりすぎたために、ノロウイルスごときものでも下痢をしてしまう。

A君:その違いは、腸内細菌の違い。ノロウイルスが入ってきても、タイ人の場合には、その増殖を抑える腸内細菌の群(叢)がいる。

B君:人体の細胞の総数は60兆個だと言われているが、腸内細菌は、人体の細胞より多い100兆個が存在すると言われている。これが強力か、弱いかによって、ノロウイルス耐性が決まっているのだろう。

A君:100兆個をいかに上手に育てるか、これがコツのようなものでしょう。清潔になりすぎれば全くダメだし、清潔を無視すればアウト。それこそ適当に、ときどき軽度の下痢をするぐらいが丁度良いのだが、それが難しいのが日本という国かもしれない。


■6.遺伝子組み換え食品についてお伺いします。

Q28.安心の度合い

2.6%:安心である
26.2%:まあ安心である
45.6%:やや安心できない
25.6%:安心できない

Q29.「安心」、「まあ安心」とお答えの方にその理由を。

41.0%:安全性について科学的に解明されているし、リスク評価を受けて販売されている
37.5%:比較的新しい技術ではあるが、安全性について一定の期間健康被害が起こっていないから
34.7%:日本には表示制度があり、GM、比GMを選択できるから
21.5%:生命の基本に関わることではあるが、組み換え作物による環境への悪影響などの証拠もないから
3.5%:その他


Q30.「やや安心できない」、「安心できない」とお答えの方にその理由を。

59.8%:まだ、安全性について科学的に十分解明されていないので、リスク評価を受けて販売されているといっても安心できないから
46.1%:比較的新しい技術であり、安全性についての長年のチェックを受けていないから
30.9%:日本の制度では、表示について多くの例外があり、遺伝子組換え食品を避けようと思っても、事実上それができないから
56.2%:遺伝子組換えは生物の基本に関わることであり、何が起こるかよく分からないから
2.8%:その他

C先生:遺伝子組み換え食品の特殊性は、ちゃんとリスク評価までやられていることだ。しかし、安心できないという。ここに日本人の保守性を見るか、あるいは、科学音痴を見るか。

A君:遺伝子を食べると危ないと思っている人もいるとか。

B君:バナナから遺伝子を取り出す実験を広めるのが早いのではないか。

A君:少なくとも、リスク評価が行われないのが原則の通常の食品に比較して、リスク評価を行っているということの意味が理解されていない。

B君:アレルギーを引き起こす可能性があるかどうか。これは重大なチェック項目だ。

A君:何をやっても、比較的新しい技術は信頼しない傾向が他の国よりも100倍程度強い、ということだと理解するのが良いのでは。

B君:この話になると、農耕民族であることがいかに大きいか。毎年毎年同じことをやっていないと安心できない。


■7.BSE(牛海綿状脳症)についてお伺いします。

Q31.安心の度合い

2.6%:安心である
25.4%:まあ安心である
32.6%:やや安心できない
39.4%:安心できない

Q32.「安心」、「まあ安心」とお答えの方にその理由を。

26.4%:BSE発症のメカニズムは十分解明されてきたと思うから
35.7%:比較的新しく問題になった病気ではあるが、ここ10年間でほとんど発生していないから
47.9%:牛の検査基準が十分妥当であると理解できたから
19.3%:輸入食品については、国際的安全基準もふまえた上で、輸入の規制緩和を進めてきたので、単に外国の要求などに押されて決めたものではないと思うから
24.3%:国内では農水省の飼料規制が功を奏して、BSE発症をほぼ抑えこむことができたので、行政への信頼もほぼ回復してきたと思うから
1.4%:その他

Q33.「やや安心できない」、「安心できない」とお答えの方にその理由を。

50.6%:BSEの発病のメカニズムがよく解明できていないと思うから
48.1%:比較的新しく問題になった病気であり、今後何が起きるか分からないから
44.7%:牛の20月齢または30月齢の検査基準が妥当なのかよく理解できないから
43.6%:国際的な安全基準も諸外国の要求等に押され、政治的に決められると思うから
32.2%:BSEの発症が抑えられているとは言え、行政に対する信頼はまだ回復していないから
3.3%:その他

C先生:BSE発病のメカニズムは解明されている。不安なのは知らないだけ。比較的新しく問題になった、というけれど、今後、起きないことも証明され、確立している。

A君:プリオン病というものをちょっと勉強すれば、すぐにわかることなので、BSEに不安を感じるのは、他の例よりも勉強不足のため、と言えるのではないですか。

B君:そもそも、イギリスで最初に狂牛病、正確には、vCJDが発症したとき、15万人ぐらいが死亡するだろうと予測した人もいた。しかし、世界中で、実際に何名死亡したか、知っているのだろうか。

A君:これが、WHOの発表です。

Total cases

From October 1996 to March 2011, 175 cases of vCJD have been reported in the United Kingdom, 25 in France, 5 in Spain, 4 in Ireland, 3 each in the Netherlands and the United States of America (USA), 2 each in Canada, Italy and Portugal, and one each in Japan, Saudi Arabia and Taiwan. The number of cases of vCJD in the United Kingdom peaked in 2000 with 28 deaths. It has since declined to about 2 diagnosed cases and 2 deaths per year in 2008.

http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs180/en/

A君:簡単に訳せば、
 「1996年10月から2011年3月までに、英国175名、フランス25名、スペイン5名、アイルランド4名、オランダ、米国が3名、カナダ、イタリア、ポルトガルが2名、日本、サウジアラビア、台湾が1名の死者。英国での死者のピークは、2000年の28名。それ以後減少を続け、2008年には、平均2名の患者、2名の死者となった」。

A君:日本人の死者は、英国に長期間滞在した人で旅行者ではなかった。

B君:もともと、草食動物に動物性たんぱくを与えて成長を促進しようというところに無理があった。

A君:それを止めれば対策は完了する。

B君:しかし、BSE騒ぎのころには、誰も冷静になれなかった。


■8.食品の重金属汚染(水銀、カドミウム)についてお伺いします。

Q31.安心の度合い

2.2%:安心である
30.4%:まあ安心である
33.4%:やや安心できない
34.0%:安心できない

Q32.「安心」、「まあ安心」とお答えの方にその理由を。

30.7%:水俣病など過去に事故が頻発した歴史があるが、それはかなり古い話であり、いまは問題となっていないから
54.6%:日本は、食品衛生環境に優れており、カドミウムや水銀などを多く含む食品は市場にないから
21.5%:工場排水による漏出事故がときどき発生することがあるが、環境に汚染物質が排出されたとしても、健康被害が起こるほどの濃度ではないから
30.7%:基準値内であれば健康被害は発生しておらず、基準が十分信頼できると思うから
6.1%:その他

Q33.「やや安心できない」、「安心できない」とお答えの方にその理由を。

52.8%:水俣病など過去に事故が頻発した歴史があり、その事故が大きかったから
23.1%:日本はカドミウムや水銀などを多く含む食品を摂取せざるを得ない状況にあるから
49.6%:工場排水による漏出事故がときどき発生することをみると、環境に汚染物質が排出され、健康被害が発生するおそれが今でもあるとおもうから
54.9%:基準が定められているとはいえ、必ずしも信頼できないと思うから
3.0%:その他

C先生:この件こそ、歴史的にも古く、確立していると言える。しかし、不安派の23.1%が「日本はカドミウムや水銀などを多く含む食品を摂取せざるを得ない状況にある」を理由として選択している。

A君:恐るべき理解ですが、それが何を意味するのか。カドミウムは、日本産のコメは多少多めのカドミウムを含みますが、それにしても、今程度の摂取量で、何が起きるというものでもない。

B君:水銀については、メチル水銀が問題の物質。キンメダイやマグロなどの食物連鎖の上位の魚は、油が乗っておいしいだけ、メチル水銀の含有量はどうしても多い。この水銀の起源は、大部分が海底火山からなので、日本近海には海底火山が多いから、水銀量も多い。

A君:メチル水銀なら油の乗った魚は避けることで、カドミウムならタイ米を食べれば対策ができるのだから、不安に思うことは無いと思う。もっとも、何も対策などを考えていないのが個人的状況で、何も考えていないのが安心なら、安心している状況。

B君:そもそも水俣のときと今の工場水の状況はあまりにも違う。ときに事故が起きたからといって、すぐに健康問題に発展するような規制にはなっていない。古典的な毒物の場合には、大体100倍以上の安全係数がとられていて、しかも、たんぱく質の毒性物質のような場合と違って、個人差はほとんどない。これらの物質が健康被害を発生する可能性は、余程特殊なことが起きない限り、ゼロだと言ってもよいぐらいだ。



C先生:以上で、個別の話は終了。残った課題は、安心、まあ安心、やや不安、不安の割合を8つのケースについて、並列して比較するということが残っている。

A君:それには、まず、一覧表を作りましょう。


 表:個別項目の安心と不安の% 
  横方向に比較したとき、オレンジが不安値が最大と第2位、緑が安心値が最大

B君:この表から、不安ランキングを作ろう。オレンジ色の分布をざっと見て。
 第1位 輸入食品
 第2位 セシウム
 第3位 残留農薬
 第4位 BSE、遺伝子組み換え、
 第5位 重金属
 第6位 食品添加物、食中毒


A君:このランキングは面白い。なんといっても、輸入食品がセシウムよりも上位にある。

B君:我々がランキングを付けたらどうなる。

A君:やはり輸入食品が1位で、残りは不安に思わない。ただし、食中毒は避けられないかもしれない。

B君:そうなんだよ。もっとも制御できないという意味では、輸入食品がトップなのかもしれない。

A君:確かに食中毒もやや制御不能ですが。

B君:食中毒は、昔からあるが、輸入食品がこれほど日本に入るとは、思っていなかったのではないか。特に、生ものが入ってくるようになったのは、比較的最近のことだ。

A君:そして、輸入食品以外のランキングについては、新しい順になっている。セシウムが最新、次がBSE、遺伝子組み換えなどなどといった具合ですね。しかし、残留農薬はちょっと違うから、慣れの順とでも言ったらよいのかもしれない。

B君:これが日本人の最大の特徴なのではないだろうか。慣れるまで、安心できない。

A君:早く慣れたいとも思わなくはないけれど、それには、「相当な科学的トレーニングが必要だから、やっている暇はない」、と主張をする。しかし、本当は、やる気は無い。

C先生:大体、まとまったようだ。この記事は、絶対に打ち止めする文字数である1万1千字を超したようなので、ここで止めよう。