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 食糧自給率 その2    08.14.2010
     



 モンゴルから帰国。出張していた理由やその経過は、次回以降に詳しく報告する予定。

 日本を離れている間に、円が84円台。株価が9100円割れ。

 溜まっていた新聞を読んでみると、13日金曜日の日経の朝刊1面に、「製造業を追い出すな」という記事があった。

 筆者である編集委員の西條都夫氏の主張は、「法人税を下げろ」である。「場合によっては、子ども手当や農家への所得補償などの大盤振る舞いを棚上げしてでも考えるときに来ている」、と述べている。基本的には正しいと思う。

 しかし、これほど国家財政が危ない国の通貨である「円」がどうして高くなるのか。

 このメカニズムが分からないと、「法人税を下げろ」といっても、国民からは全く理解されないだろう。それは、未だに、貿易が黒字であることが大きい。さらにもう一つ。それが、企業が溜め込んだ内部留保である。企業の現預金は144兆円。そして、国民が溜め込んだ預貯金1400兆円である。

 西條氏は、「いずれ世界経済が復調すれば、出番を待つこのお金は、設備投資やM&Aの形で投資に回る。それが国内に投じられるのか、海外に向かうのか。政府が円高を放置すれば、日本を素通りする」、と述べている。これは、子ども手当や農家への所得補償をすぐにでも止めなければ必ず海外に向かう、と言いたいところを、現政権への配慮で多少抑えたのだろう。

 しかし、すべてが日本に向かうことはあり得ない。製造設備への投資であれば、これは海外に向かう傾向が非常に強い。なんといっても人件費が違うからである。特に、円高でさらに人件費が高騰してしまったのが、この国の現実である。

 したがって、通常の商品であれば、製造自体は、海外で行う以外に方法は無い。すでに、大衆グレードの自動車はそうなった。

 日本で雇用を確保するためには、日本国内以外ではできないことをやる以外に方法はない。これが先進工業国の宿命なのである。

 それには、世界でもっともウルサイ日本人という消費者を相手に極めて高度な製品を対象として選択し、まず、日本人にとって完璧な製品を作ることに挑戦する。これが製造業の企業戦略となるべきである。

 すなわち、144兆円の現預金のすべてを設備投資やM&Aに回してはならない。本来、日本という国にとってもっとも重要でかつ未来を決めるのは、上述のような「高度な製品の研究開発」投資にどのぐらい回すかである。これが現在の企業経営者が行うべき最大の決断なのである。

 日産は、大衆車マーチをタイで作っている。このような決断は、短期的な利益確保を考えれば当然であるが、ゴーン氏は、将来の本命を電気自動車だといって世の中を誤魔化しているのが問題である。そして、本当の意味で将来投資すべき技術開発対象であるプラグインハイブリッドへの投資をためらっている。理由は、恐らく、いまさらやっても、トヨタ・ホンダに敵わないからである。これは、日産と日本の将来にとって、大問題である。

 もっとも投資家にとっては、短期的な利益を確保するためだけに動く経営者、例えばゴーン氏のような経営者が望ましい。そのため、じっくりと将来投資として技術開発を行なおうという企業の株価は高くならない。真面目に将来を考えて、技術開発投資をしている日本の多くの製造業の株価はこんな訳で下がる。

 世界を見れば、必ずしもそうでない企業もある。

 米国のアップルは、スティーブ・ジョブズが新しい商品を開発して莫大な利益をあげている。もっとも、部品は台湾、組み立ては中国だから、米国全体への効果は限定的である。アップルの株主は、短期的な利益を考えないで、次の革新的な商品を開発するジョブズの方針に賛同し、じっくりと株を持ち続けている。

 日本の最大の問題は、投資家に「じっくり株を持つ」という考え方を持たせることができるほどの器量のある経営者が皆無であることだ。言い方を変えれば、「リスクを犯し、成功させる覚悟がある社長が居ない」。これが現在の日本企業の現状である。

 さらに、投資家側にも問題がある。ゴーン氏が最高の経営者であるという判断をしている日本人投資家が多いようでは、ルノーに未来はあっても、日本に未来はない。

 日本だけが円高になって、株安になる理由は、こんなところである。法人税を下げたぐらいで解決できるような問題ではないのである。

 なんでこんな話をしているのか。日本は、こんな状況になっても、貿易は黒字なのである。企業(製造業)が海外で稼ぎ、お金を現預金を増やす。しかし、このお金が回らない。しかし、しかし、確実に黒字ではあるのである。だから円高になる。

 となると、製造業に、海外から食料でも輸入して儲けて貰うと同時に、社員の給料を高くして、消費を活性化して貰うのが良いのではないか。

 日本という国は、結局、食料自給率などを問題にしないで生きるしか無いようにも思えるのである。



C先生:ということで、今回の本は、前回のような主張とは全く逆の本を取り上げることにする。

食料自給率100%を目指さない国に未来はない」、島崎治道著、集英社新書0510B、2009年9月22日第一刷発行、¥680+税。

A君:島崎氏(本当は崎の字がもっと難しい)は1939年生まれ。キャリアは、ご自分のHPによれば、
プロフィール
1939年静岡県浜松市生まれ。
県立浜松北高校・法政大学社会学部卒業。
90-01年まで、埼玉県「21世紀むらづくり塾」アドバイザーをつとめる。
02年より法政大学社会学部兼任講師(「農業・食料論」担当)。
09年より同大学院「食と農」研究所特任研究員。


B君:これだとよく分からない。どういうキャリアの人なのだろう。大学卒業が恐らく1961年。1990年(51歳)から埼玉県のアドバイザー。この間の職業が不明。

A君:ネットを調べても全く分からない。

B君:少なくとも農業の専門家が書いた本ではないようだ。なんといっても社会学部出身なのだから。

A君:それはそれとして、まあ、普通に紹介しますか。

目次
はじめに
第一章 食料自給率の低さの意味するものは?
第二章 農水省発表の自給率と実質自給率はなぜ違うか
第三章 日本の農業政策は、なぜ自給率を低下させたのか
第四章 食料自給率低下による具体的な影響
第五章 食料自給率をめぐる世界の現状
第六章 食料自給率向上のために、どんな施策が必要か
第七章 「新しい地方の時代」が鍵となる


B君:「はじめに」でのツカミは、「2008年のバターや牛乳が姿を消すという事態が起きました」。それから、2008年の「中国製冷凍ギョ−ザ薬物中毒事件」。さらには、「ミートホープ社の悪質な牛肉偽装事件」。さらに、「三笠フーズの汚染米事件」。このいずれもが、日本の自給率が低いから起きる事態だったと断定している。

A君:ちょっと状況を知っている人ならば、これらの原因は全く違うところにあることが分かっている。

B君:バターの件、前回にご紹介した浅川氏の本のp98に書いてある。「バター利権だ」と。「独立行政法人農畜産業振興機構」がもつ「バター輸入独占業務」が原因だという。

A君:浅川氏の指摘では、例えば、「国際価格500円のバターを1キログラム輸入したとしよう。まず、500円に関税29.8%相当の149円+179円が掛かる。そこに輸入差益806円を足すと、1634円に化ける。輸入価格の3倍以上だ。流通・小売マージンを乗せれば、2000円を優に超える」。

B君:なんらかの理由で国内でバターが足らなくなったら、すぐに輸入しようという訳にはなかなか行かない。国産バターは、200gで400円ぐらいか。丁度、国産バターと同じ価格になるように課徴金が掛かっていることになる。機構には、年間差益11億円が入っているらしい。

A君:輸入がすぐにはできないというもっと大きな理由は、輸入が可能なのは、この機構が入札を実施するときだけ、という事実。しかも、一定の条件をクリアーした指定輸入業者しか入札に参加できない。

B君:11億円のうち、30%は機構の人件費などになる。そして、70%は酪農家の補助に回るようだ。北海道からバター用牛乳の酪農が無くなると、何人の雇用が失われるのだろうか。

A君:推定は簡単ではないですか。農家には8億円の補助金。酪農家1人当たり200万だとすれば400名。100万円なら800名。50万円なら1600名。この補助金を止めると影響を受ける人数です。

B君:この800名の雇用確保のために、日本全体のバターの供給に不便が生じた。この雇用を別途考えることができれば、なんとかなるということか。しかし、北海道には職がないなあ。製造業にもどうも活力がないし。

A君:その機構の職員の雇用確保の費用が30%、バターだけで約3.3億円ありますが。成瀬裕史という人がこんなブログを書いています。
http://www.janjanblog.com/archives/1216

B君:次の件、「中国ギョーザ」は、中国人の犯罪。犯罪が無ければ、日本の商社などが管理しているため、中国産の輸入食品のトラブルは、日本産よりも少ないぐらい。

A君:そもそも「ミートホープ」みたいな会社が中国にあったとしても、誰も取引をしない。

B君:「三笠フーズの事故米」の件は、自給率を維持すべく、コメの関税を高くしているために、WTOに言われて買わされているミニマムアクセス米が原因だった。関税を下げ、自給率を下げれば、ミニマムアクセス米を買わないで済むので、あの事件は起きなかった。

A君:どうも、この著書は、最初に主張ありきで、その後は、都合の良いデータだけを用いて、ロジックを組み立てているという感触があります。「はじめに」の記述だけからでも伝わってくる。

B君:まあ、食料自給率100%などが絵空事であるということは、誰にでも分かるはずなのだが。

A君:ところが、分からない人には分からない。これが食料自給率という言葉の持っている魔力。
 「ちきりん」という人が書いた面白いブログでの評価。なかなか鋭いですが、「おちゃらけ」なのを承知の上で開いてください。
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090818

B君:不思議なのは、この「ちきりん」さんでも分かること(失礼!)が、日経の記者には分からないということだ。8月14日付けの社説欄に、「穀物高への警戒は怠れない」という主張が掲載された。その最後の2節を引用すると、
 「日本は小麦と大豆の9割、トウモロコシの全量を輸入に頼る。小麦は政府が一元管理し、08年10月には値上げ幅を半分の10%に圧縮した。3〜8月の買い付け価格で算出する今年10月の値上げは小幅にとどまりそうだが、消費者などへの影響が大きい場合には、柔軟に対応すべきだ。
 自給率を高める努力とともに、安定調達に向けて、輸出国、生産者との関係づくりを進めることも重要だ」。


A君:やはり、食料自給率と食料安全保障との区別が付いていない。浅川氏の本の最後の章、英国の食料自給率に対する見解を読んでもらいたい。

B君:まあ、アマゾンでのこの山崎氏の本へのコメントも、かなりの人が星5つ。なかなか食料自給率全体の構造が読めないのだろう。

A君:食料自給率を高めよう、というと、無条件にそれは良いとか、日本の美しい農村を守ろうというと、全面的に賛成する日本人が多いということですね。

B君:この山崎氏の本も、自らの主張を押す思いは強いのだが、データや解析の客観性が非常に怪しいのが特徴で、その意味では、多くの「環境懐疑本」と非常に良く似ている。どこが、と言えば、自分の本が売れることだけを目指している。

A君:しかも、それを信じて本を買ってしまう人が多いという悲しい現実も似ています。

B君:本屋で立ち読みをやっていて、「はじめに」を眺め、冒頭で紹介した、「(食料自給率が高ければ)バターや牛乳が店頭から消えるというような事態は起こらなかったでしょう」、という記述を見つけて、これがウソだと見抜ければ、こんな本は買わない。

A君:国際情勢にも疎いようで、「食料自給率の向上策を立て、ただちに食料の増産にとりかからなくてはいけません。そうした努力の結果は、世界的な飢餓の発生を多少でも抑制することにもつながるのです」、などと記述しています。

B君:事実は、恐らく全く逆だろう。日本が海外から食料を買わなくなると、海外の穀物価格は下がる。
 先進農業国は、補助金を増やして、農家の所得を維持する。
 しかし、穀物価格が下がれば、補助金を貰えない途上国の農民が食えなくなる。農民は、土地を捨てて都市に集まる。都市がスラム化する。それまで、多少とも食料を輸出できていた国は、より多量の食料を輸出して、輸出入のバランスを取らなければならなくなるが、その輸出用の穀物が少ない。国内に流通する穀物・食料が減る。政治・経済が破綻し、為替レートが下がり、ますます輸出量を増やさなければならなくなる。そして、飢餓になる人々が増える。タイの貧しい農村を基盤とするタクシン派による暴動は、農家の不満を反映するものだが、何か似たような感じがする。
 最貧国は、もともと食料は自給分しか生産できていない。輸出するものも無いのが最貧国の特徴なので、単に、常時、貧困が加速して人口が増えれば飢餓が増えるだけ。要するに、国際的な穀物価格が下がっても、余り影響は無い。

A君:単に配分が悪いだけ。この本では、「人道支援のために無償で提供できるような余剰農作物はない、というのが実情です」、としていますが、「余剰農作物はあるが、十分な量を無償で提供する人はいない」、という表現にすべきでしょう。

C先生:この著者は、食料を取り扱っている国連機関がFAOだけだと思っているようだ。食料援助を専門としている国連機関WFPが聞いたら怒るだろう。

B君:さらに「はじめに」は、すごいことが書かれている。「かつて、小・中学校の社会科では、『社会の発展とは、産業構造の重点が第一次産業から第二次産業へ、さらに第三次産業へとシフトしていくことである』と教えられました。しかし、現在の先進諸国には、その図式は当てはまりません。アメリカ、フランス、ドイツなどの穀物自給率は100%を超えています。つまり、農業国であり、かつ工業国でもあるのです」。

A君:まあ穀物の自給率が100%を超えていれば農業国というのなら、そうかもしれない。しかし、農業人口は?

B君:何を言っているのだ。先週、自分でこう発言している。A君:「浅川氏がやはり同様の指摘をしていて、農業人口の減少=日本農業の衰退という思い込みが間違いで、まだまだ日本の農業人口は減らすべきだと述べています。日本は人口の1.6%が農家。しかし、英国0.8%、米国0.9%、ドイツ1.0%。」

A君:日本の農業人口を減らすという方向に向かう以外に無いということですか。それには農業の大規模化しかない。

B君:しかし、日本の農業政策は、農業の大規模化では無くなってしまった。小泉内閣だけは大規模化を目指した。なぜならば、小泉総理は、自民党を壊したかったから。選挙で問うたのは、郵政民営化だけだったが、農業人口を減らすことは、それまでの自民党の支持層を減らすことと同義だからだ。

A君:しかし、実際に自民党が本当に壊れたのは、麻生政権で。安倍、福田、麻生と3年間掛かった。

B君:それなら小泉内閣を農家は支持していなかったのか。そうでもなかったように思えるのだが。

A君:まだ謎ですね。

B君:確実なことは、昨年の衆議院選挙では、農家への戸別所得補償で、民主党が農家からのサポートを得たということだけ。

A君:今年になって、参議院選挙に見られるように、風向きがまた変わっていますからね。

C先生:これまで黙っていたが、「まえがき」だけで今回のHPは終わる気か。

A君:そのつもりです。第一章以後も、データ解析をやっていない。また、事実誤認が多く、自分に都合の良い記述ばかり。

B君:「農家を増やせ、農地を増やせ」ということばかり。農地を増やして、いったい何を売るのか。農家を増やせば一戸あたりの農家の所得が下がることを意味するがそこはどうするのか。具体的な提案がない。

A君:しかし、しっかりとお役所叩きはやっていますね。農水省だけでなく、厚労省も。
 例えば、「農水省が発表した03年の供給カロリーは、2587カロリー。しかし、高カロリーながら栄養価の乏しい、ジャンクフードと呼ばれるスナック菓子などや即席食品などが大量消費され、肥満者率が上昇している、、、(少々省略)、農水省のデータは過小評価ではないか」。
 謎解きは簡単で、これは供給カロリーであって、摂取カロリーではないから、そもそも肥満者率などとは関係ない。

B君:「厚労省が発表した国民健康・栄養調査では、一人につき一日あたりの「エネルギー摂取量」は1898キロカロリーとされています。その差は食べ残しなどとも考えられますが、お役所が発表する数値に疑問を持たざるをえない一例ということができるでしょう」。このロジックが全く分からない。

C先生:要するに、売れる本を書きたかった。中身はデータを使った解析というよりも、自分の言いたいことをサポートするデータだけを選択していて、主張に反するデータは用いていない本だということでよいか。

A君:良いと思いますね。著者の希望は、日本の若者の第一の就職希望先が農業になることらしくて、大豆100万トン、小麦500万トン、さらにトウモロコシも生産すべきだ、と主張していますね。これをやるには、遊休農地100万haが使えるそうです。単収をいくらだと見積もっているのでしょうか。しかも、その若者の年収は一体いくらになるのでしょうか。

B君:日本の農地は、農水省の基本データによれば、
http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/index.html
全部で461万haとされているようなので、農業人口が46万人ならば、一人当たり10ha程度の農地になる。ところが、やはりその基本データにあるように、現在、販売農家(農地が30a以上、あるいは、販売金額が50万円以上)が170万戸。主業農家(農業所得が主で、1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の者がいる農家)が35万戸。
 毎年、1万人の大学卒が農業に就職したとすると、40年間で農業人口は40万人増えることになる。どうみても、その40万人は農業だけでは食えない。農業だけで食う純粋な就農者は、合計でも20万人ぐらいなものなのではないだろうか。

A君:すなわち、農業人口は減らすしかない。もっとも、現在の農業の構造を続けたら、ということですが。

B君:大豆、小麦の国際価格は安い。コメだけでなく、大豆や小麦もコメなみに所得補償をすべきだというのだろうか。

C先生:その程度の解析すら行われていないとすると、余り推薦できない本だということになる。

A君:主張も一貫しません。第六章あたりになると、高付加価値農業をやれといって、工業生産化した農業を推奨しているのです。それはそれで全く違う主張だと思うのですね。小麦と大豆を植物工場で作るのは無駄。やはり高級野菜が中心になると思うのですが。

B君:さらに言えば、輸入食品を一方的に危険な食材を使っていると決めつけていること。こういう仮定が無いと、輸入食品を排除することが不可能になるからなのが明白。

C先生:どう見ても、農業鎖国をすべきだという主張のようにも見える。FTAなど論外ということなのだろう。農業のGDPが、日本の何%なのか。自給率を倍にしたところで、GDPが何%増えるのかを考えているのだろうか。

A君:日本の農業のGDPは、4兆4400億。全GDPの約0.9%です。

C先生:食料自給率が心配なら、まあ、野菜などは国内産が可能だから、ということにして、まず、コメだけは作るというのが、これまでの日本の戦略だった。この延長線上にある未来像は、コメは、手間がかからないから、副業農家でも生産が可能。だから多少の所得補償をするからということで副業でコメを作ってもらいましょう。しかし、食料危機になったら、コメは確実に政府が買い取る仕組みをセットするというリスク管理を行う必要がある。
 そして、本当に農業で稼ぐことを志すのなら、穀物以外の野菜などで大規模に稼いで貰う。花卉も良いかもしれない。それなら、それほど農地面積が必要なワケでもない。
 どうしても世界的な不作が心配なら、現在100万トン程度のコメの備蓄を5倍ぐらいに増加するということで、毎年、備蓄上がりのまずいコメを食べることを覚悟してもらう。これが食料安全保障=リスク管理というものです。食料自給率を高くすることは、食料安全保障とは違います。こんな理解を国民に求めるということになるのではないか。

A君:いささかスイス的に発想ですね。もっとも、最新のニュースでは、
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/index.html?cid=2184952
60年ぶりにスイス連邦政府が食料備蓄政策を見直したとのことです。
 8月9日2010年に記者会見したシュトライフ局長は、現代のスイスに食料供給危機が引き起こされる最大の原因として自然災害、伝染病流行、コンピュータシステムのダウン、経済制裁を上げた。食糧備蓄計画を再検討し、危機に必要とされる備蓄量を改めて計算したところ、1日の国民一人当たりの摂取カロリーは、従来のカロリー計算による1日3300キロカロリーではなく、1日2300キロカロリーで十分であることが判明した。また、食糧危機に見舞われる期間も、従来予想だれていたよりも短いことが判明したため、現行の食糧備蓄量6ヶ月分から2003年以降は最長4ヶ月分に短縮されることになった。
 スイスでは、国内の農地が激減しているが、国内の酪農製品、農産物の産出量は減少していない。第二次世界大戦が終わった1945年以降、スイスは本当の食糧危機に直面したことはなく、86年のチェルノブイリ原発事故、91年の湾岸戦争、90年代の狂牛病大流行などで消費者側が若干パニックに陥ったことはあったが、政府が介入するほどのことは起きていない。
 本当の食糧危機の際は、国民全員に食料など必需品が平等に配布されることを保証するため、配給カードが配られる。さらに、政府が必要と判断した場合には、警察と軍が動員され配給管理に当たる。
 なお必須備蓄品とされているのは、コムギ、コメ、コーヒー、調理用油。

B君:なぜコメが入っているのだろうか。いずれにしても、日本政府も、このようなリスク管理を行っていることを公表すべきなのではないだろうか。

A君:ひょっとしたら、こんなリスク管理をしていないということはないだろうか。

C先生:食料自給率と食料安全保障は違う。これが、このところ、このホームページでの主張になってきた。日本という国で、食料安全保障すなわち、リスク管理ができているかどうか、そもそもどのようなリスクを考えているのか、などなどが全く不明なので、今後、調べなおしてみたい。