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    人類の未来を考えるべき2020年  
       地球史と未来予測  01.05.2019

               



 つい1週間ほど前のこと、孫のところにさる方からのプレゼントが届いた。それは、アンモナイトの化石。アンモナイトの化石は多種多様だが、これまで全く見たことのないタイプであった。先は丸まっているけれど、それ以外の部分は真っ直ぐだった。この孫は、5人の孫のうちの唯一の男で、まだ、小学校の4年生だというのに、化石大好き人間なのだ。我が家に存在するいくつかの化石(アンモナイトや三葉虫)の悪影響を受けた可能性は否定できない。
 ところで、アンモナイトは何年ぐらい前に生息したのだろう。Wikipediaによれば、「シルル紀末期(もしくはデボン紀中期)から中生代白亜紀末まで生息したとのこと。アンモナイトだけであれば、そんなウェブサイトもある。
 http://www.ammonite-museum.com/firststep.htm
 古生代シルル紀末期は4億2000万年前、中生代白亜紀末は6500万年前なので、この間なんと3億5千万年も生きていた
 もっとも、リチャード・フォーティの著書「生命40億年全史」という本もあるように、生命の歴史は40億年もある。地球が誕生して、たった3億年程度で生命が誕生したということは何を意味するのだろう。
 一方、現人類の歴史は、と言われると、アフリカで誕生したのは確実だが、人類の化石としては、1947年にエチオピアで発見された「ルーシー」が現時点で最古で、その年代は310万年前のものとされた。現在までの歴史では、まだアンモナイトの100分の1以下である。そこで問題だが、今後、人類は何年生存が可能なのだろうか。
 こんな話をしているのも、普段から、「日本人は超長期の未来を見ることをしない」などと主張しているからである。今のままの人類の価値観で消費生活を続けると、人類の生存可能な期間は、どのぐらいなのだろうか。それには、今後、どのような生存の危機が、言い換えれば、人類による消費と環境汚染が地球の限界を超えるという時点がいつ頃来るか、これを予想する必要がある。大変に難しい課題ではあるが、地球温暖化はその一例に過ぎないので、あらゆる可能性を考えておく必要があるだろう。


C先生:2020年になった。一つのターニングポイントが来たのだと思う。しかし、日本国内には、その意識があるとは言えない。これから2030年、2040年、2050年と、今までと類似した生活・経済などの継続が可能であるという意識の人々が多いように思える。しかし、本当にそうなのだろうか。あるいは、長期的な継続はないと思っている故に、現時点の状況を少しでも継続したいと思っているだけなのだろうか。

A君:世界的に見ても、日本という国が島国だけのこともあって、世界の標準的な感覚とはちょっと違った民族性がありますね。

C先生:今年も開催した大学院生のためのサマースクールで、「なぜ日本人の若者は、グレタ・トゥーンベリさんのFriday For the Futureような活動によって、まだまだ何年も生きる若者の未来の危機をもっと主張しないのか」、と聞いたところ、その答えは、次のようなものだった。「現時点の日本は、高原状態にあって、満足できる」。この他の言葉は、本Webサイトの9月8日号をご参照下さい。

B君:未来が現在の延長線上に確実に存在しているだろうと思い込む発想だろうか。日本は島国だから、確かに、海外から軍事力で支配され、侵略勢力が政治的な中枢を占めたという歴史はない。ロシアに北方領土を取られたが、それが正当な戦争中の行為だったのかどうか、といった話も無い訳ではないが、まあ、北海道の問題でもないし、まして、日本全土の問題でもない。

A君:ヨーロッパの歴史は、地続きの大陸の歴史ですから、まさに、戦争の歴史でしかないですね。領土を奪い、奪われ、また奪い、そして奪われ、のほぼ無限ループ。

B君:ヨーロッパだと、島国も同じ運命。といっても、もっとも一方的なものは、恐らく、「奪ったのは英国という国家であって、奪われたのはケルト人」、という話なので、島国同士の小競り合いで、当然のことながら、文明の進んだ先進国、より具体的には、産業革命の先進国の勝利で終わった。

C先生:話を戻せば、地球の歴史は45〜46億年と言われている。フォーティーが言うように40億年前に生命が生まれたとしたら、最初の地球の大気は、ヘリウムと水素だったと考えられているので、生命は無理だが、このときの高温高圧の大気は、原始太陽の強力な太陽風によって吹き飛ばされたと考えられる。地球の表面温度が低下したことで地殻が生成されて、多くの火山が噴火を繰り返していたが、その噴火に伴って、二酸化炭素とアンモニアが大量に放出された。まだ、酸素は無い。大気圧も100気圧もあって、高濃度の二酸化炭素が存在していた。その後、41億年〜38億年前には、元々小惑星帯にあった多くの小天体が太陽系に侵入し、これが原料となって、地球・水星・金星・火星のよう岩石惑星ができた。月もすでに存在していて、この小天体の衝突によって、無数のクレーターができた。

A君:海ができたのが、43〜40億年前。原始大気に含まれていた水蒸気が、温度低下と火山からの粉塵を核として水滴化し、雨として降り注いだ。最初、海水は亜硫酸や塩酸を含んでいたために酸性であったが、陸地に降った雨によって、金属イオンが海に運ばれ、やや中和された。しかし、大気中に酸素はまだない。酸素ができたとしても、すぐ、水中の2価の鉄が吸収して3価の鉄に変化したため。簡単に言えば、鉄が錆びて、酸素を吸収した。

B君:以上が、40億年前に原始生命がやっと誕生したということが、まあ妥当だという説明になる。しかし、この説明によれば、条件が整ってから、生命が誕生するまでの時間が非常に短いかも知れないことになるけれど。

A君:そして、オーストラリアのシャークベイにあるストロマトライト(シアノバクテリア=藍藻)の活動で形成されものができたのが、32億年前。かなり時間がかかっている。ストロマトライトは、光合成をした最初の生物。このような生物によって、大気中の二酸化炭素が酸素に変換され始めた。

B君:その酸素のために、もっとも結合が簡単で、量的に多かった海水中の2価の鉄が3価に酸化されて、縞状鉄鉱層が形成される。これは、この後19億年まで続くが、それは、大気中の酸素量が増加して、海中の2価の鉄のすべてが酸化されて止まる。となると、それまで海で消費されていた酸素が大気中に多く供給されるようになって、大気組成が変わる

A君:大気中の酸素は、紫外線によってオゾンになり、オゾン濃度が上昇するが、オゾンは活性が高く分解するが、上空の紫外線の強い場所ではその濃度が維持される傾向がある。結果的に成層圏におけるオゾン濃度が上昇。それによって、人類に有害な紫外線が減少し、生物が海中から陸上に上がる環境ができたことになる。

B君:その後、地球は全球凍結を二回経験。そして、6億年ほど前になると、酸素濃度が、現在の水準に近づく。そして、エディアカラ生物群が出現するが、その後、絶滅。

A君:5億4200万年前ごろから1000万年間ほどで、カンブリア爆発と呼ばれる生物の多様化が起きる。脊椎動物もこの頃に発生。

B君:そこには、眼の誕生という要素があるという説があるけれど、さて、どうだろう。Andrew Parkerという人が言い出したようだけれど。

A君:なかなか面白い仮説です。

B君:しかし、未来を推測する際に、眼の存在を考えるといっても、なかなか難しいね。

C先生:眼の誕生を考えよ。なるほど。しかし、それが、人類の絶滅の原因となりうる可能性はあるのだろうか。絶滅については、一般に、というよりまあ可能性としだが、いくつかのことが言われている。自然現象だけを上げれば、小惑星の衝突、火山の大噴火などが有りそうだけれど。

A君:それは当然のことです。ウォルシュ氏(Bryan Walsh)という災害の専門家が、以下の7項目を上げています。その本は、A Brief Guide to the End of the World.
1.地球温暖化  レベル3
2.人工知能の台頭 レベル6
3.病気  レベル2
4.安全でない食事 レベル3
5.小惑星の衝突  レベル2
6.火山の噴火  レベル6
7.宇宙人の侵略  未知数

https://www.popularmechanics.com/culture/g28834257/doomsday-scenarios/ ここに書評がある。

B君:日本の場合、恐らく、火山の噴火がもっとも重大だと思われる。しかし、ウォルシュ氏が人工知能のリスクと同じレベル6だとしているのが面白い。火山の噴火で命は失われるが、地球全体で人類が絶滅するリスクは、ほとんどない。場合によると、火山灰が地球上に広がって、太陽光を遮る結果として、寒冷化が起きるという可能性はある。そうなれば、世界での農業生産が影響を受けるという事態もありうる。しかし、それを前提として、なんらかの対策を打つことに、意義があるとも思えない。

A君:フィリピンのピナトゥボ山での噴火が起きたのは、1991年。死者847名、行方不明23名。その原因の大部分は、火山灰の重さによる屋根の崩壊によるものだった。

B君:ピナトゥボ山の場合でも、その周辺に住む貧困層が被害を受けて、元の場所には居住不可能というか、耕作が不可能になって、移住している。しかし、火山灰がある程度以上に積もらない限り、被害はそんな形態。

A君:その著者の国籍はどこでしょうね。ちょっと調べましょう。はい、分かりました。米国でした。比較的若い筆者ですね。

B君:実は、米国には火山危険地帯がある。主としてワシントン州だけれど、実は、有名なワイオミング州のイエローストン国立公園だって、いつ大噴火しても不思議ではない。

A君:火山はそれとして、米国の人間がAIが危険だというのは、珍しいのでは

B君:Walsh氏も、確かに評価が難しい、としながら、もしAIが本物になったら、確かに危険かもしれない、と言っている。ただし、テスラのElon Muskの発言を引用しての話。2014年にMusk氏は、次のようなことを言ったらしい。「AIは人類が直面しているもっとも重大な脅威である。なぜなら、完成したAIと人類の知性を比較すれば、ヒトとネコぐらいの差になるだろう」。しかし、Walsh氏は、Musk氏の「科学者はAIをそこまで育成できるかどうか、疑問がある」という意見に同意している。

A君:同時に、こんなことも考えているようです。もし、AIと対立状態になったとき、AIの判断はヒトより遥かに早いので、ヒトが反撃するヒマが無い可能性が高い

B君:それも事実。そろそろ、本題として気候変動についてどのようなことを言っているか、それをチェックしよう。

A君:スコアは3です。問題意識で最悪なものは、気候変動が他の危機を拡大すること。例えば、気候変動が起きれば、それが国家間の紛争のネタになる可能性が高い。例えば、食料供給などが不足することが起きれば、かなりの確率でそうなる。さらに、気候変動を工学的に緩和しようとする技術、いわゆる「ジオ・エンジニアリング」が危ないと言う。例えば、太陽光の強さをコントロールしようとすること、あるいは、温度をコントロールすること。もし、これが思った方向に行かなかったときに、コントロールすることの試みを止めるために、戦争状態になるかもしれない。それに対して、気候変動そのものの変化は、ゆっくり起きるから、それへの対応が不可能ではない、としている。

B君:最後の気候変動そのものの変化が遅いということについては、ちょっと判断が甘いように思うけど。なんといっても重要なことは、非可逆性にあって、速度ではないと思うので。

A君:それでは次に行きます。それは、「4.安全でない食品」。まずは、CDCの統計によれば、毎年、4800万人が食品によって病気になっている。ちなみに、CDCは、Center for Disease Control and Preventionで米国の政府機関。一例として、適正に作られていない肥料としてのコウモリの糞は、かなり危険性あり。

B君:Walsh氏が強調することはこんなこと。「個々の問題のリスクは低い場合でも、世界は極めて密接に接合された状態にある。そして、すべてを強固に結合するのは難しいので、もっとも弱いチェーンが全体の性格を決めてしまう可能性がある。それが食料の安全性だ。」

A君:その他に、地球レベルでのリスクとして、小惑星の衝突などがあることが指摘されている。しかし、最近の観測技術であれば、地球に向かう小惑星は、事前に見出すことが可能で、もしそうであれば、なんらかの方法で、進路を変えるか、あるいは、破壊することも可能だと思われるとしいて、リスクは2。

B君:そして、最後には冗談だと思うけれど、宇宙人のリスクは不明だって。しかし、もし、人類が、破滅して消滅した文明を見つけたら、確実なことは、人類も確実にその方向に向かっているということだ、と締めくくっている。

C先生:その通り、と言って終わりたいところだが、やはり気になるのが、この本が書かれたのが、比較的最近であること。それにも関わらず、気候変動のレベルが3であること。やはり、トランプ大統領の支持者なのかもしれない。売られているのは、キンドル版で、発売開始日が2019年8月27日。よろしければ、お読みください。