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ハイリゲンダムサミットの合意 06.09.2007 |
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6月6日から8日に行われたドイツ・ハイリゲンダムサミットが終了した。 「世界経済における成長と責任」(サミット首脳宣言)なる文書が発表され、すでに日本語の仮訳が、外務省のサイトで読むことができる。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/heiligendamm07/index.html からPDFファイルをアクセス可能) 地球温暖化問題に関しては、日・独・加がリードをした形になり、「温室効果ガスの排出削減の地球規模での目標を定めるにあたり、我々は2050年までに地球規模での排出を少なくとも半減させることを含む、EU、カナダ及び日本による決定を真剣に検討する」、という合意までは到達できた。 残る課題は、中国、インド、ブラジルなどの国々への対応だろうか。 本日の検討対象は、2050年までに温室効果ガスを半減するという意味について、若干の考察をしてみたい。 付録:関口宏サンデーモーニングで紹介された、日本の期待される環境技術。橋谷アナによる手作りフリップの写真。この批評は、ブログの方で。 C先生:ハイリゲンダムサミットにおいて一歩前進した合意が得られた。2050年というかなり遠い未来のことであって、現政権が直接の責任があるような無いほど先の未来であることも、合意がなんとか可能だった理由の一つだろう。 A君:本日の検討項目は「2050年半減の真の意味」。答えは比較的簡単。 B君:かなり様々なことが分かっているから、確かに簡単。しかし、新聞などでは余り報道がされていない。 C先生:実は、環境省が進めている「超長期ビジョン」なるプロジェクトがあって、座長をやっているのだが、そのターゲット年がなんと同じ2050年なのだ。この年を決めた理由は2つあって、一つは、「まあ超長期だから、何を言っても問題にならないだろう」、ということで、本音ベースの議論ができるのではないか、ということ。もう一つは、「国立環境研による低炭素社会2050の解析手法とデータがすでにある程度存在しているため、それを活用できそうだ」、ということだった。しかし、実際には、「美しい星」と「環境立国戦略」の2つの影響を受けて、一時期立ち往生した。 A君:低炭素社会2050については、 B君:内容を極めて簡単に言えば、日本なら二酸化炭素削減70%は可能という解析結果。 C先生:まず、昨日行われた「超長期ビジョンのアドバイザリ会議」で配布された、2050年50%削減という数値の検討結果について、説明しよう。 A君:作り直しましたが、こんなものです。 表1 2007年における温室効果ガスの排出量推定。もしも2007年を基準年として半減するのであれば、1990年基準だと31%削減にしかならない。2007年基準案が日本、1990年基準案がドイツだった。ちなみに、グレーの部分がチームによる推定値。その他の値は、IEAのデータ。 B君:2007年の地球レベルでのGHGの排出量は、1990年から、実に、38%も増加している。 A君:燃料としてのCO2だけでなくて、その他のCO2排出、例えばセメント製造、水素製造などがほぼ2倍。さらに、HFCなどの代替フロン類の増加は2倍以上。 B君:面白いことに、燃料用のCO2の排出量増加率と全体の増加率はほぼ等しい。燃料としてのCO2排出の寄与利率は61%に過ぎないのだけど。 C先生:さて、2007年のGHG排出総量の推定値である47GtCO2を半分にするとなると、23.5GtCO2となる。 A君:しかし、この議論だと、50%のカットは、温室効果6ガス、CO2、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、代替フロン類3種を均一に削減することになりますが、実のところ、それは難しい。 B君:それが次ぎの表だ。
B君:有機物が酸素が少ない状態で分解すると、メタンが出る。水田などに堆肥をやれば、もしも堆肥の熟成が不十分だったりすれば、メタンが大量に出る。 C先生:水稲を作る際に、以前は、代かきを行って田植えをするという方法が普通。それを不耕起という方法によって、1800kg/haといったメタンの排出削減ができるそうだ。 A君:理由は、不耕起農法だと土壌の状態が還元状態になりにくいからのようですね。 B君:勿論、農機を使わないということによる二酸化炭素の排出削減も多少ある。しかし、メタンの温暖化係数が大きいために、メタンの発生量の減少が主に効いてくる。 A君:メタンは、ゴミの埋め立てからも出る。 C先生:ゴミは、燃やしても二酸化炭素。埋めればメタン。ゴミ減らす以外、対処の方法は無い。もし出してしまったら、最悪でも、二酸化炭素は出るけれど、燃やしたとき発生する熱を最大限有効活用することだ。 A君:一酸化二窒素も、農業関係の放出量が多い。水田ではなくて、むしろ、畑から出る。工業的にも、ナイロンの原料であるアジピン酸の製造でも、かなり大量の一酸化二窒素が出ていたが、プロセスの改良によって、少なくとも日本からの工業的な放出量はほぼゼロになった。 B君:環境省の報告書によれば、一酸化二窒素について 第1 に、産業部門においては、アジピン酸製造工程から排出される一酸化二窒素について、除去設備の設置により、排出量が大幅に削減されている。 C先生:代替フロン類は、半導体プロセス・大電流用スイッチなどに使われているが、このような人為的なガスは、削減が可能。しかも、温暖化係数が高いガスなので、実際の量はそれほど多くない。しかし、コストがかかるために、世界的にはなかなか進まないのが現状。 A君:表2の計算では、メタンは、現状よりもちょっとだけ削減、N2Oはなんとかして半減。そして、代替フロン類は、完全にゼロにするという仮定になっています。そうなると、二酸化炭素の削減率が上昇して、50→58.5%になる。 B君:世界全体で58.5%の削減。これはなかなか難しい。セメントの増加などによって燃料以外のCO2の発生量も増えるものと思われるからだ。 A君:セメント製造のために使われる石灰石に含まれる二酸化炭素の放出を削減しなければならないことになる。 B君:セメントの需要は、先進国ではもはや伸びないが、途上国にとっては必須の素材。だから、セメントからの二酸化炭素の発生量は増えるだろう。 C先生:セメントは先進国においては、廃棄物処理法として極めて重要な位置を占めている。そのため、先進国でもセメントを製造を完全に止めるのは難しい。ただ、原料としての石灰石使用を減量するのであれば、鉄鋼用の高炉から出るスラグを使うという方法もある。高炉に使う鉄鉱石は、かなり純粋な酸化鉄なのだが、多少の他の鉱物が含まれている。これを取り除くために、石灰石を投入し、融点を下げてスラグという状態にして溶かし、鉄と分離する必要がある。この高炉スラグは、セメントの組成に近いものなので、水に接触すると固まる水硬性をもっている。しかも、最近の鉄鉱石は品位が下がっている。ということは、スラグが大量に発生することを意味する。発生する二酸化炭素量を減らすためには、セメントのある部分は、高炉セメントになることが確実だろう。 A君:もう一つの二酸化炭素放出の原因が肥料などにつかうアンモニア製造。有名なハーバーボッシュ法という窒素と水素を高圧下で直接反応させる方法で作られているのですが、窒素は大気から取れば良い。しかし、水素をどうするのか。 A君:米国のFutureGenというプロジェクトが、水素エネルギーというものが熱く語られていたときにアナウンスされた。その後の情勢の変化によって、消えたように思うのですが。 B君:まだ早すぎるプロジェクトだったように思える。水素エネルギー社会が来るからエネルギーも温暖化も問題ない、という米国ブッシュ政権の政治的主張を色濃く反映していたのではないか。 A君:米国の自動車業界にとってはも、水素こそ未来技術で、ハイブリッド技術などは大したことが無い、という主張でしたからね。 B君:ちょっと考えれば不可能に近いほど難しいことなどすぐ分かるのに、どうして世の中は、簡単に信じるのだろうか。 C先生:大分話題がずれているが、化学工業の原料としての水素を得るために二酸化炭素が出ている、ということ。 A君:将来的には、再生可能エネルギーで発電して、水の電気分解という方法があるとは思うのですが、現状では、この方法はコスト的に見合わない。水素をもっとも安く得る方法は、副生物としての水素を使うこと。例えば、コークス炉からの副生物。現在、これは燃やされている場合が多い。そこで、アンモニア合成に使うことが行われている。コークス炉には、廃プラスチックを投入することも可能。こんな方向で、二酸化炭素の排出を減らすことも有りうる。 B君:しかし、ここまでの結論としては、メタン、一酸化二窒素などは削減がさらに難しいから、いずれにしても、二酸化炭素を集中的に減らす必要がある。 C先生:そうなのだ。しかし、そうなってみると、また別の問題が出てくる。すなわち、その時点で、メタンの寄与が表2のもっとも右のコラムのように30%、一酸化二窒素が10%近くという状況になる。これらを減らすのは難しい。食糧生産などの問題と直結した問題でもあるからだ。いくらがんばっても減らない状況になっているのではないか、ということだ。 A君:この点でも、森林を破壊して、大豆とかトウモロコシを植え、バイオディーゼルとかバイオエタノールを作るということの問題点がさらによく分かりますね。サトウキビは、まだ良いかもしれないけれど。 B君:農業面積を拡大することは、やはり、地球温暖化の点で厳しい状況になる原因であることを意味する、ということだ。 C先生:キレイに整備された田畑や牧場を見ると二酸化炭素を吸ってくれている、と思う人も多いだろうが、実はメタンと一酸化二窒素が出ている、と思わなければならない。特に、二酸化炭素排出削減対策が進むと、次のターゲットはやはり食糧生産だろうか。 A君:しかも、まずいことには、一酸化二窒素が分解されるメカニズムが地上の大気中には無いようで、しかも大気中の寿命は114年と長い。一酸化二窒素は、成層圏まで上がっていって、そこで紫外線で分解されてやっと消える。 B君:メタンは、まあ大気中寿命12年と短い。大気中でも、OHラジカルによって消されるようだ。OHラジカルは、オゾンによって生成されるようだから、オゾン自身は弱い温室効果ガスではあっても、メタン退治にオゾンを使うなどということになるのだろうか。光化学スモッグの原因物質でもあって人体には勿論有害だが、日本では、オゾンがマイナスイオンを出すとして健康に良いとされていたから、人々は受け入れる可能性もあるが。
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