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日本版グリーン・ニューディール 01.25.2009 |
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最近、二週間に一回の頻度で、日経エコロミーに記事を書き、三週間に一回の頻度で、読売、日経、朝日の共同サイトであるアラタニスにコラムを書いている。 そして、しばしば起きることが、それぞれスペースが足らないことである。アラタニスは、最大1500字、日経エコロミーは望ましくは5000字以内。 次の問題は、これがときどき重なることである。二週間と三週間が周期なのだから当たり前である。六週間ごとに同時に提出をしなければならない状況になる。 そんなときに、全く別のことを書くこともあるが、ある大きな問題があるときには、どうしてもそれに集中して調べものをしているので、同じ話題を取り上げることが多くなる。 と言う訳で、このHPの記事は、アラタニスのコラム、日経エコロミーのコラムとのコラボという形になっている。 具体的な位置付は、個人的なHPなだけに、何をどのように書いても問題が余りないことである。すなわち、悪口も書けるし、未完成品を出すということも可能である。 すなわち、アラタニス=基本的な考え方を短く、日経エコロミー=やや具体的な提案を含む長い記事、本HP=本音を露骨に、かつ、まだまだ未完成な提案も、さらには、ロジックとして不完全なものも、平然と出してしまう。 ということで、今回のこの記事をお読みになる場合には、アラタニス(27日更新)、日経エコロミー(28日更新)も並行してお読みいただきたい。 C先生:というわけで、今回は日本版グリーン・ニューディールである。 A君:一応、論点を繰り返しますか。 何がグリーンで、何がニューディールなのか、その定義が不十分なまま議論が進むことが怖い。 グリーンは「広義の環境」を意味する。グリーン・ニューディールを、朝日新聞は「緑の内需」と訳しているが、対象は内需に限らない。ニューディールは、「当面の利益を無視した雇用確保のための投資」であり、将来、日本の経済基盤を支え雇用を確保するのであれば、海外への技術移転を前提とした技術開発も考慮すべきである。むしろ、その方が、長期的な経済浮揚効果が高い。 B君:「広義の環境」とは、温暖化対策、公害型汚染対策、水資源、3R、廃棄物処理、自然保護などの一般的な環境項目だけではなくて、地域交通の在り方や、さらには、地域の自立的な発展シナリオにとって重要な、農林業、水産業の在り方なども含む。さらに、エネルギー供給システム、都市鉱山といった資源エネルギー関係の考え方も重要。 C先生:ニューディールのもっとも重要なことが、「目前の利益を無視して」というフレーズだ。それは、逆の見方をすれば、未来を明確に予測してから、投資対象を決めろということでもある。 同時に、現在の利権構造を一旦無視して、白紙に未来像を描き、そこに向けてバックキャスティングの考え方で、何が必要かを議論せよということでもある。 この点がもっとも困難が予測されることなのだ。 A君:環境省が1月6日に考え方を持っていたら、麻生首相にシャビーと一括されたとのこと。もっと膨らませろ。しかし、そうなると、各省の利害がモロに出てきて、モミクチャにされる可能性がある。 B君:そこがもっとも気がかりなところではある。環境省は弱小省庁なので。 C先生:確かにその通りなのだが、ある意味で利権構造を持っていないものだから、もっとも公平な立場からシナリオが書けるかもしれないのだ。 A君:さて、このHPの役割は、具体的なアイディアをいくつか示すことだとか。 B君:どんな分類になるのか。日本全体で言えば、税制といったレベルから、初等中等教育までありうるし。 C先生:まあ、教育で雇用確保ということもありうるが、まあ、米国オバマ大統領のエネルギー政策が基本なのだから、それに、日本固有の問題を加味したところぐらいが妥当だろう。 A君:ただ多少迷うのが、こんなことですね。スウェーデンなどでは、不況になると軍隊を増強して、雇用を確保する。 B君:なるほど。政府を大きくして雇用を確保するのが良いのか?、 ということか。 C先生:オバマ大統領の就任演説で、政府の大小を議論しても、それは本質論ではない、といった言葉があった。 A君:機能するかどうか、それが問題なのだ、ということ。 B君:これまでの完全な自由市場から、公の役割を増やそうというのが、実は、ニューディールの中身でもある。 C先生:ある程度、そんな方向に成らざるを得ないのだが、果たして日本のメディアはどのような反応をするだろうか。 A君:「モンスター」の話で、全く違う話題だったのですが、25日日曜日の朝日新聞朝刊での内田樹氏の見解は面白かった。 「日本のメディアは、これまで強者としての公(学校、病院、行政など)に対して、弱者である市民は全力を挙げてその非をあげつらうべきだという論を張り続けてきた。公的な機関は厳しく批判すればするほど、機能が向上するという、経験上明らかに嘘のアナウンスを流し続けてきた」。(中略)「すべての市民は同時に公民であり、公共サービスをよくするには自分たちが身銭を切り、汗をかかなければならないことが忘れ去られた。批判は攻撃に転化し、「さじ加減」が失われた」。 B君:メディアもそろそろ変われというメッセージと見える。 C先生:結論的に、余り遠慮しないで、何でも書いてしまうという方向性で行こう。検討中のものには、行政コストが相当掛かりそうなものがあるが、それも雇用促進の一つの方法だということにしよう。 A君:了解。それでは、未完成ですが、現在、検討のリストを出します。 税制編 *常勤雇用者数増加による法人税の低減 金融編 *個人の環境投資によるCO2削減量の排出権への債券化 電力・エネルギー供給業 *自然エネルギーの平滑化技術開発 *平滑化された自然エネルギーの高価買い入れシステム *全国直流送電網の整備 *200Vコンセントの設置開始 *マイクログリッドなどの超高度化 *家庭用エネルギーマネジメントシステム *新コタツ文明型機器の支援 建設業 *既存の建物の改善(耐震なども含む) *二重サッシによる断熱工事の支援 *マンション仕様の壁面設置太陽熱温水器の支援 *ゼロCO2型暖房建築支援 *ゼロCO2型冷房建築支援 *太陽熱利用技術、蓄熱技術、冷熱利用技術*地中熱などの利用技術 電気製品 *省エネ型テレビ(達成率200%以上)への助成 *直接表示型機器(テレビ、パソコン、エアコン、冷蔵庫)への助成 *200V省エネ家電 *ペーパーフリー機器:アマゾンのキンドルのような機器の普及 自動車 *燃費トップ3の自動車税ゼロ(車体体積*投影面積の積を基準、乗用車で5クラス、商用車で10クラス) *新コタツ型電気自動車=発電ユニットを連結することでシリーズ型ハイブリッド車になる電気自動車 長寿命製品と使い捨て型製品認定制度 *長寿命製品の認定と消費税優遇 *使い捨て型製品の排除 2年以下で電池などの消耗品の劣化による機器停止に至るデバイスを使い捨て機器に認定。ただし、ユーザが電池交換をできる機器は除く。 リサイクル・リデュース編 *携帯電話、小型高密度電子機器のリサイクルを加速するデポジット制度の支援 *ハイブリッド車のリサイクル基準 CO2算定ゴミ箱の開発 *ゴミ箱に入れられたゴミからCO2量(カーボンフットプリント)が分かる 家電販売店 *買い替え効果の見える化支援 農業・林業・水産業編 *高付加価値型農業の強化 *お裾分け型農業の育成 *農業ロボットによる完全自動化農業 *自然林と人工林の完全区分 *自然保護と自然利用の区分の明確化 *生物多様性維持と農業・林業・水産業 都市・地域編 実名入り *23区など−透水性舗装化によるヒートアイランド化低減都市 *青森市など−冷熱利用によるゼロCO2冷房都市 *牧之原市など−太陽熱と断熱によるゼロCO2暖房都市 *栃木県など−電気自動車を平滑化に使った太陽電池村 *長岡市など−ガスによる平滑化で自然エネルギー大量導入都市 *飯田市など−蓄電装置付き太陽電池に対するフィードインタリフ特区 *松山市・熊本県など−農業ロボットによる全自動化農業でバイオマスEnergy C先生:すべてを説明するのは、まだ時期尚早なので、最後の二つの項目だけ解説を加えよう。 A君:了解です。まずは、 農業・林業・水産業編 *高付加価値型の強化 *お裾分け型農業・水産業の育成とIT支援 *農業ロボットによる完全自動化農業で、飼料とエネルギー作物生産 *バイオマスと他の自然エネルギーの結合 *自然林と人工林の完全区分 *自然保護と自然利用の区分の明確化 *生物多様性維持と農業・林業・水産業 B君:農業は、3種類に分けて強化すべきだという主張。 まずは、高付加価値型。リンゴの富士、山形のさくらんぼ、岡山の白桃、魚沼産コシヒカリなど。 次が、農家が自らの好みで、例えば、有機栽培を採用するなどして、自家消費をすることを前提として農業生産を行うが、何10軒かの消費者に対して、その一部をお裾分けをするという形式。すでに存在している。結果的に高付加価値農業になるが、ITなどによる支援が必須。 同じことが水産業でもできないか。漁協、魚市場を通す以外の直接的流通ルートを作る。 そして、3番目が、実は反対者が多いのだが、全自動農業ロボットを開発する。棚田の場合でも、そのロボットは地理情報を持っているために、棚田を自由に移動できる。そして、飼料やエネルギー作物など、低付加価値型の農業も成立できるようにする。そして、エネルギー作物と他のバイオマス・自然エネルギーを組み合わせて、自立的かつ安定なエネルギー自給を目指す。 C先生:全自動農業ロボットは確かに20世紀的発想ではあるのだが、地域において、将来のエネルギー的な自立を目指すと、どうしても必要不可欠な技術だと思う。 A君:それでは、最後に、地域の実名入り、ニューディールプラン。これまでの提案を組みわせることで。 都市・地域編 実名入り すでに行われているものも含む *23区など−透水性舗装化によるヒートアイランド低減化都市 *青森市など−冷熱利用によるゼロCO2冷房都市 *牧之原市など−太陽熱と断熱によるゼロCO2暖房都市 *栃木県など−電気自動車を平滑化に使った太陽電池村 *山形県など−電気自動車を平滑化に使った風力発電村 *長岡市など−ガスによる平滑化で自然エネルギー大量導入都市 *飯田市など−蓄電装置付き太陽電池に対するフィードインタリフ特区 *松山市・熊本県など−農業ロボットによる全自動化農業でバイオマスEnergy *すべての地方都市−病院と市役所を中心に据えた、コンパクト都市 *すべての地域−自立的エネルギー自給を目指した、農業と自然エネルギーの結合 B君:この最後のところは、やはりプランの作成とその実現の可能性の検討から始めるべきなのでは。 C先生:当然その通り。先週訪問した牧之原市のように、環境基本計画を策定する都市が増えてきたのは望ましいことだが、グリーン・ニューディールと結合して、具体的な計画の策定を自力で行うことが望まれる。そんなことで地域の活力が向上することを目指すべきだろう。 |
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