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  温暖化防止行動 市民への指針   11.22.2008
     



 最近、市民講座などで講演をすると、温暖化防止のために何かやりたいけど、何をやって良いのか分からないという声をよく聞く。

 今回は、環境省などが中心になって各省とともに作りつつある指針というものをこの観点から見てみたい。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10358

 この指針は、実は市民向けのものではなく、事業者向けのものではあるが、事業者が指針に沿った製品を作ったとしても、買ってくれる消費者が居なくては、なんらか効果は出ないのである。すなわち、市民向けに読み直すことも可能である。

 どこを読むのか、といえば、「日常生活における温室効果ガスの排出の抑制への寄与に係る措置に関する事項」以降の話である。

 そして、この指針に対するパブリックコメントが募集中なので、是非とも、何か問題点を指摘していただきたい。特に、この指針の積極性を増強するようなコメントを歓迎したい。 



C先生:すでに本HPでも何回も取り上げているように、市民と取ることができる行動としては、それほど多種多様という訳でもなくて、

(1)無駄なエネルギーや材料を使わない。そのために、さまざまな行動がある。
(2)現在使っている家電製品・自動車などを省エネ型に買い替える。
(3)積極的に自然エネルギーを導入する。
(4)住宅を含めて、省エネ型に全面的に切り替える。

といった4段階で対処するしかない。(1)の段階は、比較的すぐに効果のある行為がなくなってしまうので、次々と段階を進めることになるのだが、そうなると、多額な資産が必要ということになってしまう。

 しかし、これ以外に対処をする方法は無いのである。そこで、せめて、何かを買うときに、十分考えてから買うというメンタリティーをもっていただく以外にはない。

A君:(1)の無駄なエネルギーは使わないですが、これは、単に電気を小まめに消しましょうといったものだけではなくて、できるだけゴミにならないような買い物をしようとか、レジ袋は断ろうとか、あるいは、夏には、窓の外にヘチマとかヒョウタンとかいったツル植物を植えて、グリーンカーテンを作ろうとか、いったことまで含む、かなり広い概念です。

B君:このところ関心があるのが、太陽光をコントロールするということで売られている窓に張るプラスチックフィルム。どうも、夏には多少の効果があるが、冬が逆に太陽光を遮るので、逆効果があるはず。こんなものが知りたい。

C先生:その話、環境省のETV(実証事業)のHPからいくつかの製品について、その性能が測定され公表されている。家庭用としてどう考えるか、どうも難しい問題のように思えるが。

A君:家を建て替えるのは一生に何回もないので、本来であれば、簡単な改造によって、断熱性能の優れた家に改造することが重要ですね。外断熱という方式もあり得ますが、いかに改造だとは言っても、やはりかなりの出費になるので、普及は難しいでしょう。

B君:今日の話は、(2)の温室効果ガス削減に配慮した製品として、環境省がどのような製品をどのように考えているか、ということが良く分かる、ということだと思うが。

C先生:この指針というものは、将来こうしようということではなくて、現状、市場に出ている商品をこんな方向に変えてほしいということなんだろう。本来ならば、指針なのだから、将来はこんな方向性の商品が必要といったメッセージを出すべきだとう思うのだが、どうもそうはいかないのが難点なのだ。
A君:ということになると、非常に話は簡単になって、この指針の文章の中に出てくる商品のリストを作って検討すればよいことになる。

C先生:まあ、そんなことだろう。

A君:それならやりましょうか。以下、製品リストの形でまとめます。



製品リスト 温暖化防止行動指針(案)より

照明機器:
高周波点灯形蛍光灯、電球型蛍光灯、LED(発光ダイオード)

冷暖房機器等:
省エネ型冷暖房機器、快適に過ごすことのできる衣類

冷暖房機器以外の家電製品:
省エネ型の電気冷蔵庫、テレビジョン受信機、電気カーペット、電気便座、衣類乾燥機、食器洗浄機、とスイッチ付きテーブルタップ

給湯機器:給湯機器:
高効率給湯器、断熱性の高い浴槽

食品の調理機器:
内燃式コンロ、保温性の高い調理機器

廃棄物等の発生抑制・資源の循環的な利用:
使い捨て製品の製造販売及び過剰包装の自粛、簡易包装の推進、レジ袋の削減、容器の薄肉化・軽量化、製品の長寿命化、修繕等の役務の提供、使用済み商品の回収等により再使用、循環資源の利用及び部品点数の低減などの製品設計

水の使用機器:
節水型の蛇口・便器・シャワーヘッド

住宅:
自然採光を活用した設備、複層ガラス等、太陽光発電設備、燃料電池設備、地球温暖化係数がより小さい材料を使用した断熱材

移動:
温室効果ガスの排出の量の少ない自動車
バイオ燃料の利用が可能な自動車
公共交通機関を活用しやすくする役務の提供エコドライブ=緩やかな発進、急な加減速の少ない運転、アイドリングストップ


B君:なかなか面白い。具体的に挙げられている商品は良いとして、何が挙げられていないか、あたりに興味がある。

A君:それでは順番に検討してみますか。最初は、

照明機器:
高周波点灯形蛍光灯、電球型蛍光灯、LED(発光ダイオード)。


B君:高周波点灯型蛍光灯だが、これは、まだ家庭用としての普及は十分ではない。電球型蛍光灯はそのタイプなのだが。しかし、実際には、家庭用も売っている。ただし、器具の方も高周波点灯用に変える必要がある。
 具体例としては、

パナソニックスリムパルック 2008年8月発売
http://panasonic.jp/lamp/pdf/097.pdf
パナソニックツインパルックプレミア 2007年9月発売
http://panasonic.jp/lamp/pdf/091.pdf
東芝ネオスリムZ
http://www.tlt.co.jp/tlt/new/lamp/neoslimz/neoslimz.htm
東芝ネオスリムスクエア
http://www.tlt.co.jp/tlt/new/lamp/square/square.htm

などなど。

C先生:昨年、蛍光灯器具2個を変えたが、そのときには、まだ家庭用の環状蛍光灯に高周波点灯型があるのを認識していなかった。やはり、進歩しているものだ。

A君:しかし、LEDライトはすでにC先生宅では使っているようで。

C先生:これは、たまたま入手したもので、商品ではない。5Wという消費電力なのだが、結構明るい。また、0.2Wぐらまでの調光(ほのかに光る程度)が利くので、ベッドサイド用としてはかなり便利だと思う。

A君:次に行きますか。

冷暖房機器等:
省エネ型冷暖房機器、快適に過ごすことのできる衣類

B君:省エネ型冷暖房というと、今のところ高効率エアコンが最良。ただし、極端に寒い地域は必ずしもそうではない。

A君:最近、スウェーデンなどでは、河川水や地下の熱を利用したエアコンが普及し始めているらしい。

C先生:日本という国は、穴掘りが非常に高い国なのだ。不思議なことだ。そのため、地中熱の利用が進まない。

A君:そろそろなんとかしないと。

B君:この衣類というのが面白い。CoolBizは普及したが、WarmBizは十分普及していないので、なんとかということなのだろう。

A君:WarmBiz用として、最近、発熱繊維などを使った商品が開発されているので。

C先生:その発熱繊維なのだが、なかなか理屈通りに機能しているのかどうか、難しいものがある。
 機構だが、吸着熱を利用している。すなわち、繊維になんらかの細工をして、そこに水分が吸収されると、これは、発熱するのが当たり前で、その熱を吸着熱という。しかし、一旦水分を吸着したら、それで発熱は終わりなので、吸着した水分が、繊維の表面を伝わって、外側に送られなければならない。そして、外側表面では蒸発(脱着)する。そこでは、吸熱が起きるので、外部表面の温度は下がる。すなわち、表面はかえって冷たくなるので、布の内外により大きな温度差ができることになって、内部の熱は外部に向かって流れる量が増える。すなわち、内部の温度は下がる傾向になる。
 結論的には、布の構造を制御して、吸着による内部の発熱量の方が、温度差が大きくなることによる内部の熱量の損失よりも大きければ、内部は若干温まることになる。

B君:しかし、メーカーが示している写真では、肌着が発熱しているようなものを出している。これは湿った空気中に、完全に乾いた肌着を入れたときのもので、これは、吸着熱があるから発熱するのは当然。しばらくすると発熱は止まってしまう。このメカニズムがあるからといって、肌着が温かいかどうか、という理屈にはならない。布の構造が最重要なのだが、そこのところが良く分からない。
C先生:このような商品をもしもグリーン購入法などの対象品目に入れるということにでもなれば、それこそ何らかの方法でテストをする必要がある。しかし、どうやってやるのだろう。難しい。

A君:次です。

冷暖房機器以外の家電製品:
省エネ型の電気冷蔵庫、テレビジョン受信機、電気カーペット、電気便座、衣類乾燥機、食器洗浄機、とスイッチ付きテーブルタップ

B君:これはまあ当然か。

C先生:ここに「リアルタイム見える化」を入れたかったのだが、まだ商品化が行われていないもので、ダメだった。「リアルタイム見える化」とは、消費電力の常時表示などを意味し、その数値によって、主婦層のケチケチ心を刺激しようというもの。

A君:スイッチ付のテーブルタップというのは面白い。待機電力をカットしようという意味なのだが、最近の機器は、電気を切らないで下さいといものも多い。

C先生:特に、デジタルテレビやDVDなどは、電源を切ってはいけない。メーカーから信号が入って、自動的に内部のソフトの書き換えが行われるので、夜中も電源を入れておく必要がある。

A君:次です。

給湯機器:
高効率給湯器、断熱性の高い浴槽


B君:ここではヒートポンプ型の温水器であるエコキュートと書かれていない。恐らく、エコジョーズのようなガス器具も推薦対象になっているのではないだろうか。

C先生:ガスが良いか、電気が良いか。なかなか難しいものがある。エコキュートは、優れた製品ではあるが、もしも、使う以上のお湯を沸かしていると、その分は無駄になる。放熱して冷めるからだ。要するに、使い方がかなり問題で、上手に使えるだけの知識が必要だと思われる。ガスは瞬間湯沸かしだから、必要な量だけ沸かす。もっとも、湯沸かし器から蛇口までが遠いと、その間のパイプに残ったお湯が無駄になるが、通常その分を計算に入れていない。

A君:次です。

食品の調理機器:
内燃式コンロ、保温性の高い調理機器



B君:これは面白い。IHヒータ、すなわち、オール電化の花形が書かれていないで、ガスを燃やす内燃式コンロが例として出てくる。

C先生:IHヒーターは、必ずしも高効率だとは限らない。鍋の材質によるし。アルミ鍋ではやはり苦しい。効率面では、ガスに負けているというのが現実ではないだろうか。

A君:それに出力だって、IHヒータは本当は苦しい。日本の場合、多くのものが3kWまで。ガスは、熱効率が問題なのだが、もしも高効率にすれば、ガスが勝つ。またプロ用のコンロのように、大量のガスを使って調理をするようなことはIHヒータでは不可能。
B君:IHヒータの最大の弱点が、鍋を浮かせることができないこと。煮込みなら良いが、炒め物はいささか問題。

C先生:最近、注目しているのが、圧力鍋。調理時間が非常に短いようなので、恐らくエネルギー効率はかなり高い。誰か、そんな検討をしてみないだろうか。上智の大学院生諸君どう?

A君:次へ。

廃棄物等の発生抑制・資源の循環的な利用:
使い捨て製品の製造販売及び過剰包装の自粛、簡易包装の推進、レジ袋の削減、容器の薄肉化・軽量化、製品の長寿命化、修繕等の役務の提供、使用済み商品の回収等により再使用、循環資源の利用及び部品点数の低減などの製品設計


B君:使い捨て製品を止めろと書いてあるが、何を意図しているのだろうか。

C先生:個人的には、乾電池だ。時計用のように、乾電池の方が良いものもあるが、多くの用途で、Ni−Hの充電池が使える。製品によっては、充電池を使うなと書いてあるのもあるが、それは、電池が切れるときに、急速に電圧が落ちるため、内容をバックアップする時間が確保できない、といった理由からだ。機器が壊れるという訳ではないので、まあほぼ何にでも使えると思って良い。

A君:最近気になるのが、インクジェットプリンターのインクカートリッジ。やはり詰め替えインクを買って来たくなる。

B君:最近、再生インクカートリッジが商品として堂々と出てきた。裁判が行われたが、結局、認めざるを得ない方法というものが存在したのだろう。このあたりは、環境問題ではないので、読者諸氏が調査されたし。

C先生:もうひとつ追加すれば、白熱電球を見ると、トイレなどの場合を除いて、もったいないと思う。使い捨てに近い。

A君:しかし、環境省的には、やはりレジ袋なのでは。

B君:過剰包装もこのところ、かなり良くなってきた。

C先生:一時期、ユニクロの衣料は使い捨てだ、と攻撃していたら、最近は、回収をやるようになった。衣料の場合には回収したからすべて使えるということではないのだが。ポリエステル100%ならケミカルリサイクルも可能だが。

A君:次へ。

水の使用機器:
節水型の蛇口・便器・シャワーヘッド


B君:お湯用の機器なら、大賛成。しかし、蛇口から水しかでないものならば、そんなに気にすることもない。ただし、水ではあっても便器は水の使用量が多いので、多少気にすべき。もっとも日本の便器の水使用量は欧米に比べても多かった。やっと6Lを切るような製品も出てきたが、だからといって、便器も20年ぐらいは十分に使えるので、替えるのは抵抗がある。

A君:次へ。

住宅:
自然採光を活用した設備、複層ガラス等、太陽光発電設備、燃料電池設備、地球温暖化係数がより小さい材料を使用した断熱材



B君:普通のものも多いけど、自然採光を活用した設備というのが凄い。

A君:JAXAの筑波のビルなどは、光ダクトで外光を導入して照明を減らしている。

B君:しかし、これもビルを建て直すのでないと難しい。

A君:天窓を作るなど、いろいろと工夫が必要になるが、断熱をしつつ光は入れるという構造にしないと。

C先生:我が家の弱点が天窓。断熱が悪いのだ。これをなんとかしたいと思っているのだが、その理由が枠がアルミ製であることなのだ。これをどうやって断熱をするか、苦慮しているところだ。

A君:次へ。

移動:
温室効果ガスの排出の量の少ない自動車
バイオ燃料の利用が可能な自動車


公共交通機関を活用しやすくする役務の提供エコドライブ=緩やかな発進、急な加減速の少ない運転、アイドリングストップ

B君:バイオ燃料の利用が可能な自動車というのが面白い。バイオエタノールは、確かに問題は多いが、ブラジル産のエタノールを輸入してでも、10%ぐらいエタノールの形で混入してE10ぐらいにはしたいものだ。

C先生:ところが、日本は、石油連盟などがその方法に反対していて、ETBEという化合物にして入れるという。これはほぼ無意味なのだが。大体、ETBE自体が有害物質で、もしも漏れだしたら地下水汚染になってしまって大変なのだ。

A君:そんなことも止められないのは変ですね。

B君:企業活動を止めるには、それなりの制度が必要だが、それには、政府内の一致した見解ができることが条件だが、なかなかその点が難しい。

C先生:アイドリングストップは、理論的には正しいが、それ専用の機構を持たない自動車の場合、思わぬ副作用が出る可能性もあって、必ずしも全面的には賛成しがたい。アイドリングストップ機構を付けることを、むしろすべての車に対して強制化したらどんなものだろうか。

B君:エアコンの利きは悪くなる。夏は暑く、冬は寒い。まあ、多少の我慢を経験することも良いのかもしれない。

A君:エアコン完備で快適そのもので、我慢などを必要としない社会を作ってきて、実際のところ、なんとなく不満があって、精神的な我慢が強いられる日常生活をしている。そんなのが現在日本の実像。エアコンの利きが悪いぐらいの生理的な我慢ならどうということもない。

B君:むしろ精神的我慢をしないですむ社会になって欲しい。

C先生:ということで、長い長い記述になったが、こんな指針が現在パブリックコメントの対象になっているので、是非、もっと積極的なものにするべし、といった意見があれば、出していただきたい。