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  市民のごみ処理・焼却への注文  12.14.2003



 以下は仮想的な話だとお考えいただきたい。

 最近、一般市民が、ごみ処理、特に、焼却についてどのように考えているかを探りたい、ということである会合を行った。場所は、東京都内である。参加者は、市民だけではなく、それに加え、行政、専門家である。

 そこでは、まず、様々な情報の伝達を行い、その後、議論をして貰った。


行政から排出ルールに関連して清掃収集現場の状況の報告

1.分別について

 近年、焼却炉はダイオキシン類の有害物質は出さない。最終処分場は、延命のためには焼却灰を溶融してスラグ化することがが最善かもしれない。衛生的にも見ても、最終処分場の延命効果を考えても。

 東京都内のゴミの分別は、その性状から可燃ごみ・不燃ごみ、と分けているが、コンビニ弁当などで、「燃やしても大丈夫」と書いてあるにもかかわらず、現状のルールでは、不燃ごみ扱いになっている。

 一方、ダイコンやにんじんなど皮など、火を付けても簡単に燃やせないのに、なぜか可燃ごみに分類されている。小中学校に環境学習で行くと、このような素朴な疑問がくる。現在の、可燃ごみ、不燃ごみの分別は本当に分かりやすいのだろうか。

 収集現場としてもなかなか困るケースもある。プラスチックは本来不燃ごみなのだが、食物残渣の付着したものは、可燃ごみとして出された場合でも、収集している。どのぐらいの分別を徹底するのが良いのか、今後、いろいろと考えて行きたい。


C先生:どう思う。

A君:行政がかなり柔軟な対応をし始めていることが分かりますね。特に、プラスチックに食物残渣が付いているものは、簡単に洗い落とせるようなものならば良いのですが、そうでないものは、時間が経過すると、腐敗して臭いですからね。

B君:東京都内の場合、不燃ごみは、いくつかの経路があるのだが、最終的には、不燃物処理センターで破砕・分別されて、最終的には埋め立てに回る。この作業を見ると、不燃ごみはできるだけ臭いが出ないようなものに限るべきだ。環境への配慮も重要だが、作業員の作業環境の改善も重要な課題だ。

C先生:行政が今回のような話題で市民とのコミュニケーションをとり始めたということは、いくつかの要因があるが、その大きなものが、そろそろダイオキシン騒動の呪縛からやっと開放されるという感触がでてきたことだろう。


行政担当者の報告の続き:

2.ごみ出し時間

 ごみの集積所にいつから出してよいのか。すなわち、ごみ出しの開始時間が良く分からない。これは前夜にゴミを出す「夜出しの問題」とつながっている。
 公式には、「太陽がでてから出してください」と答えている。「夜出し」で困るのは、見えなくて危険という場合もありうるから。それに、集積所に滞留する時間は短くしたい。

3.ごみ集積所の管理

 だれが集積所を管理するのか。清掃事務所が管理していると思っている人も多いが、集積所自体の管理は、事務所はサポート役である。良く管理されているところでは、立ち番を出しているところもある。一方、何もやっていないところでは、カラスの被害が出ている。一万ヶ所の集積所がある。これを事務所の方で管理するのは不可能。
 地域コミュニティーをの醸成にも役立ててほしい。全員に関わることだけに、ごみの問題も話し合うきっかけの一つ。

4.排出ルールに関する困難な事例

(1)分別されていないごみの取り扱い

 「違反シールをはって取り残し」が本当に効果的なのか。逆効果ということもある

(2)集合住宅居住者への分別の周知

 集合住宅、特にワンルームマンションでは、神奈川県からの転入者が多く、区の分別ルールを知らない。そのパンフレットまで見て出すことは無い。

(3)ペットボトル等の集積所回収

 不燃ごみの中には、ペットボトルや缶・びん等、資源になるものが多数混入している。ペットボトルは店頭回収では、不十分なのかもしれない。

(4)事業系ごみに対する指導が不十分

 有料シールが徹底していない。

(5)不法投棄

 やはり不法投棄はある。見えない集積所では、引越しで出た粗大ごみや家電リサイクル対象品を不法投棄する例がある。
 このような不法投棄が起きると、各所の事例があるのだが、ポイ捨てを誘発するようだ。


議論開始

市民1:分別法について、普通に生活していると区の見解が分からない。区の見解を見たことが無いように思う。

行政2:分別ルールの説明パンフレットを全戸配布したので。ご存知のはず。


C先生:感想は?

A君:日本人共通の欠点なのですが、何かうまくいかないと、それは行政の責任だと思う。そして、それを攻撃するのが市民の役割だと思う。

B君:古いタイプの市民活動。いわゆる告発型と呼ばれるもの。このタイプの活動は、もはや状況の改善に無力であることを、暗に言いたい見たい。

C先生:近所の合意形成が行われれば、ごみ問題は、特に、集積所の運営は、柔軟性があってよい。ルールは守るためにあるのではなく、守れるルールを作り、実害を出さないのが本来の目的。


議論継続

市民2:質問がある。分別の紛らわしい例を示してもらったが、正しい分別法は、どうなのだ。どのように答えたか。また、他区の回答は同じなのか。

行政3:回答は以下の通り。
(1)プランターの土 回答:公園へ戻して下さい。
  他区の回答例:可燃ごみ、自然にかえす、園芸店へ。
(2)金魚鉢の小石 洗って園芸店へ、
 他区:販売店へ。10リッターの袋で1個程度なら回収。
(3)猫の砂:可燃ごみで出す。

(4)ブロック・レンガ 回答:少量なら粗大ごみ 大量なら処理業者 他区:少量なら引き受ける。

(5)マッチ、花火 回答:水で濡らして不燃ごみ

(5)塗料 良く乾燥させて、液体でない状態にして不燃ごみへ。 他区:大体同じ。

(6)中身の入ったスプレー缶
 不燃ごみの日に他のごみと分けて出す。 他区:処理業者に

(7)体温計(水銀) 不燃の回収日に収集職員に手渡し 他区:一本程度なら不燃収集。

(8)刈り込みごみ 可燃ごみは1日10kg。それ以上は有料。臨時ごみは有料の取り扱い。4袋以内なら無料で収集。大量に出たとき、4袋ずつ出すなら無料で収集。


C先生:この回答は果たして正しいか。

A君:すべての面で正しいという回答は、そもそも無さそう。その地域の状況によるから。

B君:マッチ、花火は引き取ってはいけないような気がする。自分で入手したものは、必ず自分で処理する。

A君:猫のトイレ用の砂は、可燃のもの、具体的には木製のもの以外は販売を許可すべきでない。

C先生:これは改善が必要な点だ。ごみとしてどう処理するかを考えた製品以外は、販売禁止というものが本来の対処法ではあるが、それが自由度を損なうというのならば、ごみとしての環境負荷を評価して課徴金を掛けるのが本当の意味では「公平」だ。



議論継続:

市民3:この地域では、分別回収については先進的な取り組みをしてきた。これは、住民のモラルとして大切にしたい。一方では、プラスチックの分別の必要性は無いと言い切ってよいのか。以前の審議会で、燃えるものと生ごみとの混入によって燃焼効率が変わるとの報告もあった。最適の混合状態というものがあるのなら、中間処理工場の判断で混ぜるべきだ。
 今後、想像もしていない成分が発生する可能性があるのではないか。ダイオキシンも知られていなかった。技術の進歩で何か無いのか。
 いずれにしても、分別回収を止めることは反対である。専門家の見解を伺いたい。

専門家1:プラの取り扱いは問題。半数強の自治体がプラスチックを燃やしていて、半数弱では不燃ごみになっている。プラスチックといっても、全部のプラスチックを燃やしてよいというものではない。その中で、素材によっては、燃やしてまずいものもある。以前は塩化ビニルが槍玉に上がった。一般的なプラスチックフィルム(ポリエチ、ポリプロ)などは、燃やす方向であるのは、正しいように思える。東京都の方でも審議会で検討されている。
 今後、どんなものが出てくるか。有害物質が出てくる可能性は無いとは言えない。事業者責任の方向性が強い。

専門家2:全く同感である。
 違う視点から。埋めるのは埋立地の延命を考えれば無駄な考え方である。焼却も有力な選択肢。容器包装リサイクル法での「その他のプラスチック」をどのように取り扱うか。東京都の審議会でサーマルリサイクルに向けて強く流れている。それはそれで良いが、プラスチックはかなりの量がもともと容器包装である。容器包装リサイクル法に対応しないで焼却するのか。すなわち、容器包装の事業者責任を問わないのか。今の容器包装リサイクル法に問題点はあるが、事業者責任を問わないのはさらに問題である。

専門家1:事業者の責任は、容器包装だけではない。中身の入ったスプレー缶についても、回収システムを是非とも作るべきだ。卓上コンロの燃料も、現在交渉中であるが、事業者責任で回収することは難しいという考え方が出されている。
 マッチ、花火の問題は古典的であるが、永遠の課題でもある。ガスライターが新しい課題であって、使い捨てのガスライターも事業者責任の対象にしたい。

専門家3:前から、ごみは6分別を基本として、全国で行うのが良い。
(1)燃やすべきごみ(衛生上の理由で燃やすべきごみ)
(2)プラスチックごみ(腐敗臭が出ないように洗浄)自治体が適切に処理する
(3)燃えないごみ(陶磁器、ガラス、金属類、小型家電)
(4)危険物・処理困難物(卓上コンロ用ボンベ、塗料、ライター、スプレー、など)将来的には、デポジット制へ。
(5)粗大ごみ(家電製品、家具類、スポーツ用具)徐々にリサイクル法の対象へ
(6)資源ごみ(ペットボトル、びん、缶、

市民1:生ごみだって燃やすのはもったいないのでは。これから新しくできるマンションでは、生ごみの処理施設の設置を強制したら、どうだ。行政はこんなことを全く考えていないのではないか。ごみゼロ作戦を区長は主張しているのではないか。

専門家3:都会では難しい。生ごみ処理に過大なエネルギーを投じて処理をしてみたところで、都市域では堆肥の需要がほとんどないために、無駄である。生ごみのリサイクル処理は、学校などの教育効果のあるところ、あるいは、農地がたっぷりある地域だけで十分。

市民4:大阪、京都が全部混ぜて燃やしているのは、焼却炉の性能が違うのか。

行政4:東京の清掃工場では、可燃ごみでプラスチックが6%である。混合収集すると20%ぐらいになる。プラントの構造はほぼ同じ。塩化水素除去、窒素酸化物除去、その他は同じ。関西の方と同じ。

市民5:何を入れても大丈夫か。

行政4:公害防止のために、水管を耐火物で覆うことになっている。一応、何にでも耐えるようにはなっている。中和用の薬剤が増えることはあるだろう。


C先生:まず、市民レベルでも、分別回収が必要で、それが合理的であるのなら、むしろ分別回収をすべきだ、という考え方があるようだ。

A君:それがごみに対するまじめな取り組みを加速して、ひいては、社会全体の持続可能性が高まりますから当然といえば当然の考え方で。

B君:プラスチックを燃やすということについて、抵抗感がある市民がいるが、情報を伝達することによって、むしろ、プラスチックを埋め立てることの方が最終処分地などの問題を引き起こし、環境への悪影響が大きいという理解になってきたようだ。

C先生:20世紀型の環境問題とは、どうも、有害物の排除であったものと思われる。しかし、21世紀型はかなり違って、有害物は当然排除するのだが、完全にゼロにすることは不可能だという前提に立って、適切な方針に沿って何事にも対処するという理解になるべきで、まあ、そのような方向性が見えていること自体、歓迎すべき状況だろう。

A君:となると、やはりプラスチックは別途収集して、それなりに適切に処理する。

B君:具体的には、容器包装リサイクル法対応物として処理する方法。場合によっては、紙などと若干処理して、燃料化する方法。硬質のプラスチックだけ分別できれば、それはリサイクルへという対応も有り得ないとも言えない。

C先生:将来、有料化が行われたときに、料金をどう設定するか、という問題は出そうだ。まあ、燃やすべきごみ、プラスチックごみまでは、同じ課金方法でよいのかもしれない。一袋が同じ料金だとすれば、燃えないごみは、重さを考慮すると、多少小さな着色袋を用いるのかもしれない。

A君:生ごみを資源として活用すべきだということは、どうもテレビなどで過大に宣伝されているように思います。勿論地域によって可能なところはあるのですが。

B君:堆肥としての活用には限界がある。現在の食糧の輸入状況だと。

A君:食べ残しの堆肥化はさらに問題。食塩が多すぎる。

C先生:実のところ、NHKの「地球だい好き」でも、みずから堆肥化の推奨、あるいはそれに近いことを発言している。勿論、堆肥化が可能な地域はある。この件、別途掲載する盛岡都南地域の状況のHPを参照してほしい。

B君:食品リサイクル法の真意は、毎回言うように、食品をごみにするな、という法律だと思うべきで、まず、なるべく全部食べること。

A君:ごみの分別が全国共通ルールでないのはやはり大問題ですよね。

B君:教育をするという立場から見ても、同じルールでないととんでもないことになる。

C先生:とりあえず、基本分別は、ここで提案されている6分別で問題があるとは思えない。このぐらいのことならば、どのような自治体でも対応可能だと思う。

A君:多少困るのは、大阪とか神奈川でしょうか。

B君:名古屋があれほど急激に変わったのだから、まあ、無理ではないだろう。



議論継続:

行政3:新設のマンションや集合住宅には、ごみの集積所を作るように求めることになった。これまでも大型マンションには義務があったのだが、それを小型マンションにも拡大した。

市民6:新設マンションは規模の大小に関わらずごみ集積所を作るのは当然。できれば既存の建物についても、お願いをしたら如何か。管理責任者との協議の際に、所有者の責任を問うべきだ。今後、土地の細分化を許可しないことになっているので、現時点で、駆け込みのミニ開発が入っている。

行政2:既存のところの指導は、トラブルがあった場合には、要綱に従って指導を行って行きたい。管理責任者の件、建てた人にお願いしたい。通いの管理人に頼む。集団住宅は増えているのは事実である。

市民7:既存の住宅について。ワンルームマンションや賃貸住宅について、悩みがある。管理費に対する意識のずれがある。大規模集合住宅では管理費が含まれているが、それ以外は、まちまち。日本社会では、ごみの処分管理の費用に対する認識が低い。この際、既存の建物についても、廃棄物の管理責任者を置くことだけは是非。したがって、管理費の中に、ごみ・廃棄物の管理を含ませることを指導して欲しい。

行政3:集合住宅については、ごみだけでなく、自転車、駐車場などの問題もある。区では、指導の強化については、担当の部局が体系化をしている。

市民8:若者のごみの減量の意識が低い。川崎、横浜は分別が悪かった。関西はもっとひどい。当区の単身者も、このような地域から来る。
 労働形態も多様になっており、時間的にも様々。収集時間。帰ってきたときに夜中に出す。府中は24時間対応可能になっている。
行政1:若者のこと。工夫はある。時間帯を表示している。時間帯について相談してもらう。集合住宅で、独立したところ、道路から離れたところに、集積所を作ってもらうのが良い。既存住宅には、いろいろなケース。 

行政4:ごみ出しルールの共通化。23区でも細かいところで違う。できれば統一の方向を目指したい。

専門家3:全国市長会に出るようになったので、ここで提案をしていきたい。環境省が積極的に何か言うかどうかはかなり疑問。

市民9:ドイツの実例。容器の色が違う。不燃の袋は黄色というようなことにすれば、分かりやすいことになるだろう。
 廃棄物の減量に取り組みをしている。生ゴミを処理すると、45リットルの袋の方が安くて、小さい袋の方が高い。

市民1:スーパーの袋は有料化の方向が良い。大崎のダイエーは半透明の袋になっている。入れて自分でみたら、すべて分かる。

市民6:若者の話。持ち主が変わった、35所帯のワンルームマンションがある。50万円投資して、ステンレス製のごみ集積箱を備えた。当初、不燃ごみと可燃ごみの量を半々の見込みで設計。ところが、実態は、可燃ごみが1割で不燃ごみが9割。コンビでの買い物が中心のようで、そのごみの実態を反映している。影響している。

市民1:教育をすべきだと思うが、区長は教育は別でやれないというが。

行政5:そんなことは無い。理解が違うのではないか。環境・リサイクルということでは教育しているはず。学校の全時間の中でやるために、学校側の事情があることは事実。

市民7:新住民に対しては、ビデオ研修をしたらどうか。その後、○×式のテストをするとかいった方法も。

行政2:住民票を移さない人もいるので、完璧は難しい。


C先生:市民の関心は、むしろ、分別、しかも、やらない人に向けられているようにも思える。そこで問題になるのが、
(1)若者の教育
(2)行政の対応

A君:若者になってから教育では遅いのですよね。それには、全国共通分別方式を導入して、小学校で教育しないと。

B君:実際その通り。地域によって分別が違うと、本当に困る。ホテルによっては、ゴミ箱が2種類置いてあるところがあるが、実際の処理方法が分からないと、本当のところどう分けるべきか分からない。

C先生:集積所に関しては、かなり話が進んできて、自分の敷地内に集積所を置くことになってきた。これは進歩だ。最終的には、有料化を実施した場合には、各戸収集になる可能性もある。

A君:行政もかなり弾力的になった。

B君:行政を攻撃するだけの市民も残ってはいるが、わずかになった。

C先生:環境問題はすべてそうだが、公害問題と違って、自分が加害者であり被害者なのが環境問題だ。ごみ問題もその意味では、環境問題の典型例だろう。