________________


  米国グリーンビルへ 05.21.2006
     



5月15日: 出発〜グリーンビル

 グリーンビルは、米国南部サウスカロライナ州の小都市である。周辺地域を入れない正味の人口は5.6万人に過ぎない。

 今回は、古巣とも言うべき、米国セラミックス協会のガラス光学材料部会からのご招待で、環境と材料の話をしろとのこと。招待といっても、相手は学会ゆえに、費用はこちらもち。一応、RoHS関係の話をすることにして、資料を準備したのは、前回のHPにも記述した通りである。

 午後便なので、国連大学から出発。地下鉄で水天宮、TCATからリムジンバスで成田に向かう。

 今回、不思議なことにシカゴ行きのJALを使うことになった。目的地グリーンビルには、シカゴからだとアメリカンイーグルなる飛行機が運航していて、それに乗り継ぐには共同運航をしているJALが便利とのこと。心配なことが一つ。乗り継ぎ時間が1時間40分ほどしかないこと。もしも大幅に遅れたら、乗れないかもしれない。

 成田のJALのビジネスラウンジは、設備的には遅れている。有線のLANが無い。これまで、b−mobile(実体はAirEdge)なるPHSの通信カードを使ってきたが、これだと、多くの無線LANも無料で使用が可能である。ところが、この成田の無線LANには対応していないようだ。ということで、PHSの相当に遅い通信速度で我慢することにする。

 というようなことをしているうちに、出発となった。ビジネスクラスは満員。2階席だった。JALのシカゴ線は、新しいシェル型の座席になっていて、これは悪くは無い。ヨルダンに行くときに使ったエミレーツよりも良いかもしれない。

 出発後のアナウンスによると、予定よりも、25分早くシカゴに到着するとのこと。これならまるで乗り継ぎの問題はない。

 米国では、乗り継ぎでどこに行くにしても、最初に到着した空港で入国審査をし、かつ、荷物を一旦引き取って税関を通り、そして再度チェックインをしなければならない。入国審査が長蛇の列だと時間がかかる訳で、もしも乗り継ぎ時間が十分でないと、気が気ではない状況になりがち。シカゴの乗り継ぎは、ターミナルが国内線用の1,2,3、と国際線のターミナル5が離れているので、これが大変。すべての国際線はターミナル5に到着して、目的のターミナルまで、無人運転のシャトル電車で移動する。今回はいずれにしてもすべて「余裕」ではあるが。ちなみに、国際線でも出発はターミナル5からとは限らない。

 入国審査官が、妙な日本語で挨拶してくれるのは良いのだが、学会(International Meeting)に出る、と言ったら、何の会議だ。米国セラミックス協会だといったら、何を作っているのだ。陶器か? など結構しつこい。米国セラミックス協会は"American Ceramic Society"とは言うが、業界団体=Society ではなくて"Academic Society"だと説明したら、職業は何か。大学教授。やっと開放してくれた。

 荷物が出てくるのを待って、税関を通ってすぐのところにあるアメリカンエアラインの荷物チェックインのところで渡す。成田で目的地グリーンビルまでのタグはすでに付けられているので、単に渡すだけ。

 チェックインカウンターでボーディングパスを貰ったら、余り良い席が残っていない、と言われて、17Aのボーディングパスを貰った。何のことだろうと思いつつも、ターミナル3の出発ゲートへ向かう。

 JALはコードシェアをしているだけで、運行はアメリカンエアライン。とは言っても、実際に運行しているのは、アメリカンイーグルという子会社(多分)。飛行機は、ジェットではあるが非常に小さい。EMBというもののようだから、どうやらブラジル・エムブラエル社製のリア双発のジェットのようだ。

 日本の航空産業も、YS−11の後継機の開発を止めて以来、ボーイング社の下請けになってしまった。このブラジル製(エンジンはロールスロイス)の飛行機を見ると、もっと早くなんとかすべきだったのではないか、などと思ってしまう。どういう経緯でYS−11の後継機の開発が止まったのか、そんな歴史的な検証が必要だろう。現在、JAXAが開発中の70〜90名乗りの国産機は、本当に飛ぶのだろうか。

 さて、17Aはどこ、と探すと、一番後ろの席だった。1列3名だが、前の方はサービス用になっていて1列1名なので、全部で45人乗りぐらいということだ。周りを見回すと、なるほど、この席は良くない。窓の外には、すぐそこにジェットエンジンがある。

 さらに外を見回して見る。旅客の荷物が地面に放置してある。この飛行機が到着したときに積んできたものなのだろうか。そうだとすると、かなり前からこの状態ということだ。客は長い間待っているのだろうなあ、などと思い、どうするのだろう、と思って見ていると、そのうち、大きな黒人が車でやってきて、タグを眺めながら車に積んで行く。積むなどというものではない。相当遠くから放り投げている。トランクなるものは相当丈夫でないと、たまらない。いずれにしても壊れ物は入れるべきではない。それにしても、これで間違いが起きない方が不思議だ。

 さて、エンジンが近いから騒音はどうだろう。1時間ちょっとだからどうということもないかな、などと思っていたらエンジンが始動。想像以上の騒音だ。これはたまらないな。しかし、離陸してしまったら、音質が変わって、余り気にならなくなった。成田からのJAL747−400の2階席の方も結構風切り音がうるさかった。ノイズキャンセリングヘッドフォンを持参しているので、まあ、どうということは無いのだが。さて、ヘッドフォンを出そうか、我慢しようか、などと考えているうちに、寝てしまった。

 グリーンビルに到着。荷物も無事到着。不思議なぐらいちゃんと来るものだ。宿泊予定のHyattに電話を掛けてピックアップが何時かを確認。どうやら30分後の午後6時には来るようだ。待つことにした。気持ちの良い天気なので外に出て、手持ちのバッグに入れてあるGPSを取り出して、パソコンに接続し、現在位置を見つけるように設定。今回持ってきているのは、米国のGarmin製のGPS18 USBというモデルで、USBでパソコンに接続し、パソコン側にインストールした地図(City Select USA Ver.7)で駆動するもので、ドライブをするときなどには「しゃべるカーナビ」にもなる優れもの。価格も2.5万円ぐらいなので、お奨め。もしも、ヨーロッパの地図も欲しいというのであれば、ヨーロッパの地図+USB18を2.7万円ぐらいで買って、米国の地図を後で別に買うのが良い。ヨーロッパの地図は、単独で買うと、なぜか異常に高いのだ。
http://www.rakuten.co.jp/ida-online/433105/452995/#661481
http://www.rakuten.co.jp/ida-online/433105/452995/#663893
 ただし、車の中ではパソコンの置き場に困るのが常である。

 そうこうしているうちに、迎え車が来た。7人ほどの客が乗って、20分ぐらいでHyattに到着。ところがフロントに行くと、なんと予約が入っていないとのこと。原因の追究は別として、部屋は空いているのか、と聞くと、今晩はOK。しかし、明日は空いていないという。これは困った。徒歩で行ける範囲にホテルはあるか、と聞いたら、Holiday InnのExpressというものがあるという。ダイヤルをしてもらって状況を聞くと、予想通り、そちらも明日は満員。まあ、何はともあれ今晩はHyatteに泊まることにするか、とチェックイン。

 多少お腹が減っているので、まずはホテルのレストランへ。ビールとスパゲティーで腹ごしらえ。米国のスパゲティーとしては、珍しく美味しかったが、量が凄い。

 さてホテル探しだ。こんなとき、頼りになるのが電話帳とインターネット。まず、インターネットを試す。t−mobileという携帯電話屋が無線LANのサービスをしているはず。確かに電波があるが非常に弱くて、繋がらない。無線LANは、結構トラブルが多い。このt−mobileも有料の無線LANだが、有料のところは繋がらないことも多い。

 そこで電話帳。いわゆるイエローページでホテルを探す。最初に目に付いたのが、Humpton Inn。Hilton系のモテルのようなもの。どうも、車で10分程度のところにあるようだ。徒歩では不可能となると、レンタカーを借りるのが前提だが、10分なら近い。電話を掛けると、幸いなことに、向こう3晩OKとのこと。

 次は、レンタカー。レンタカーも色々あるが、どうも、これまで余り嫌な思いをしたことのないHertzにしてしまう。多少高いが。これも、明日から72時間の予約をした。クラスCを予約。普通よりはやや大きめの車。クラスBにすると、日本車だったりするので、いつも大体はクラスC。

 これで一安心だ。なんとでもなりそう。ところで、そのHumpton Innはどこにあるのだろう。このようなときにも、先ほどのGarmin製の地図は有効である。住所の検索が可能だからである。どうも、ここから北方向へ12kmのところにあるようだ。

 無線LANが駄目だったので、電話回線でインターネットにアクセスして、メールを取り、返事を書く。Hyattクラスのホテルだと、ローカルコールでも75セントから1ドルのハンドリングフィーを取る(Humpton Innは、これまでの経験では、ローカルコールは無料であるが)。電話回線によるインターネットアクセスは、これまでも何回か書いたように、ワールドパスポートネットというアカウントでiPassを使用している。世界中、大体どこでも繋ぐことができる。料金は、従量制でかなり高い。9〜16円/分ぐらいの感じである(無線LANにも繋がるが、料金は同じぐらい)。となると、返事を書くのに10分間かかるのであれば、一旦切ったほうが安いかもしれない。実際、ローカルコールの料金がいくらか、分からないので、まあ、適当にやることにする(チェックアウトして電話代が1回1ドルだったことが判明。6回も掛けたので6ドル取られた)。

 これで、1日目が無事に終了だ。


5月16日: 2日目

 午後3時ごろから学会の受付が始まる。そして、夜のポスターセッションとレセプションということになる。

 今日はまず、レンタカーを拾いにいかなければならない。営業所は遠い。迎えに来てくれるという方法もあるのだそうだが、時間はきっちりとは決まらないとの返事だったので、タクシーで行くことにする。

 朝飯を食べる気にならかったので、部屋のコーヒーと、持参のスナックを少々つまんだ。そして、発表用の原稿を少々検討し、11時ごろの遅いチェックアウト。タクシーを呼んでもらって、営業所へ。料金は、$38.99/日が車。保険が全部カバーしたので$37/日ぐらい。車を借りているのか、保険料を払っているのか、よく分からない。

 持って来てくれた車が、なんとHyundai Sonataだった。韓国車に乗るのは初めてだ。ホテルのチェックイン時間が午後3時からなので、時間をどこかでつぶさないと。昨日、空港でGPSを繋いでいるときに、無線LANがあるらしいことは分かっていた。丁度昼飯時だから、空港に戻って食事をして、旨くいけば、インターネットで面白そうなところを探して時間を潰そう。

 動かしてみると、その音と振動から、このソナタなる車が六気筒のエンジンを積んでいることが分かる。しかし、そんなにパワーがある訳ではない。多分、2.5リットルぐらいなのだろう。

 空港まで行って駐車場へ。どうも3種類ぐらいの価格の違う駐車場があるようだ。一番遠いところでも、小さな空港なので、それほど遠くは無い。1時間$1のようだ。レストランに行って、できるだけ軽そうな食事を食べた。野菜タコロールというようなもの。しかし、それでも十分に重いし、フライドポテトが山のように付いてきた。当然、残す。無線LANを繋いで見ると無料だ。最初は旨くいかず結構手間取ったが、なんとか繋がった。これは良い。

 この地域で見るものは、と探してみると、どうもチムニーロック公園 http://www.chimneyrockpark.com/ というものがあるようだ。そこに行ってみるか。そんなに遠くも無さそうだし。GPSをセットして、カーナビモードにして、音声ガイドを使ってのドライブ。

 結構、遠かった。入口に到着。料金所が上の方にある、と書いてあるだけで、入場料が書いてない。これはきっと高いのだ、と思ったが、そんなことは気にしていられない。相当山を登ったところに、料金所があった。思ったとおり、結構高く、$14も取られた。

 そこからさらに登ると、駐車場があって、米国星条旗がはためいている岩が見える。かなり上である。エレベータがあるので、当然それを使う。岩のトンネルをくりぬいて作ったエレベータで、これは難工事だっただろう。だから入場料が高いのか。ちなみに、このチムニーロック公園は私有物である。

 岩場の頂上から、近くのLure湖がきれいに見える。なかなかの高低差である。ただ、それだけなので、さっさと写真を撮って、ホテルに向かうことにする。


 チムニーロックからみるLure湖。頭が見えるのは米国人観光客。

 結果的には、4時半過ぎにHumpton Innに到着。そっけないフロントの対応。無料の無線LANがあるが使うか、というありがたい質問にYesと答えて、アクセスコードを貰った。部屋などは実質的にヒルトンなみ。

 その無線LANだが、窓際の机のところだと、電波がほとんど無い。廊下に出て電波を探ると、Staff Onlyと書かれたドアのところから電波が出ている。部屋に戻って、ドアに押し付けるような形で、ログインすると繋がった。そこから机まで移動すると、なんとか切れないで繋がっている。遅いが、当然電話線で繋ぐよりは遥かにマシ。タダだし。

 学会のレセプションに行こうかと思ったが、止めることにした。どうせ大した料理は出ないのだし、ワインやビールは、車で行ったら飲めないのだから。

 米国の学会は朝が早い。明日も朝は8時から発表が始まる。もっとも、今回発表するセッションは「環境とガラス」というセッションで、余り発表件数も多くないので、8時20分開始。一番バッターである。持ち時間は9時までの40分である。

 一応、発表原稿を作り上げて、早めに寝ることにする。どうせ、途中で目が覚めるに決まっているが。

 寝てみたら、外の道路の音がうるさいことが分かった。確かに、すぐ外に道路が通っている。こういうときに、耳栓をして寝ることもあるが、今回は、ノイズキャンセリングヘッドフォンを被ったまま寝ることにした。


5月17日: 3日目

 今朝は、8時20分から発表をする。会場には、受付と登録が7時から開始されているとのこと。昨日、登録をしなかったので、7時30分頃到着する予定。

 6時半に起きて、すぐ1階に行って簡易型の朝食を貰ってきて、部屋で自分でコーヒーを入れて飲むことにする。Hyattの隣に、市営の駐車場があるので、そこに入れればよいだろう。まあ満車ということは無いだろう。

 昨日は、全く別の道から来たので、間違うとまずい。GPSカーナビをセットして行く。信号がいくつかあったが、極めてスムースに走ることができて、10分強で駐車場まで到着。駐車場は、日本に比べるとやはり安い。ここは、30分まで75セント、それから段々安くなって、24時間でも6ドルとのこと。車社会だから当然のことなのかもしれない。

 会場に7時半前に到着。事前の登録もできてたので、簡単だった。会場に行っても、誰も居ないので、ロビーで時間を潰す。そろそろ会場に行くと、座長二人が来ていた。その一人が、産総研大阪のガラスの研究者の赤井智子さん。今回、環境屋でガラス屋ということで、米国セラミックス協会からの招待ということになった張本人である。非常に大きな部屋に、椅子が120脚ぐらいある。これが埋まるとも思えない。良くても、30人までだろう。少ないと10名ということもあるかも。全体でも200名程度の学会で、4つの会場で並行して進行するのだから。

 時間になってみると、予想より多いの30名ぐらいが参加していた。

 今回の話は、相手が、材料の専門家で環境の素人のものとしては、どうも高度すぎたかもしれない。元素の規制をするということと、物質の規制をするということの違い、ライフサイクル的発想の重要性、リスクベースの考え方と予防原則的な考え方の違い、代替物質の開発の可能性とその状況は常に把握する必要がある、などを述べたが、やはり少々専門的だったかもしれない。

 質問は、ドイツ人の座長から、Pb以外にどんな元素が規制される可能性があるか、というもの。答えは、EUは恐らく元素規制が困難だということを今回初めて認識したので、他の元素に波及することは無いだろう。

 もう一つの質問は、これまたドイツ人からで、Nano結晶を使った着色ガラスをやっているが、Nano粒子が危ないといったが、本当か。答えは、ナノチューブのような針状の物質を肺に吸収すると危ないが、それ以外は大丈夫だろう。

 ということで、自分の発表は終わり。その他の発表は、Pbを抜いた光学ガラス。Tiを入れて屈折率を制御できるという古典的な発表などなどがあったが、どうもガラス科学は、ここ10年間ぐらい余りフォローしていないのだが、画期的な進展を示していないのではないか、という印象。午前中で環境関係の発表が終わった。

 昨晩、余り良く寝られなかった。道路騒音対策には、耳栓の方が良かったかもしれない。耳栓だと、目覚ましが聞こえないという可能性も若干あるので、避けたのだが。勿論、時差があるから眠れなくても当然。午後は、そこで、車を運転しホテルの部屋に戻って、多少休憩。夜は、学会のバンケットに出席するため、またHyattに戻った。

 バンケットでは、結構多くの日本人が来ていることを発見。日本は、実はガラス大国なのだ。今や、旭硝子、日本板硝子、サンゴバンが世界の三大板ガラスメーカー。以前は、米国のPPGがあったのだが、それも今や昔。特殊ガラスの世界では、ドイツのショット、日本電気硝子が2大メーカーか。加えて、光学ガラスだと、日本のHOYA。米国コーニングは、このところガラス関係は縮小気味。やはり米国では、製造業は無理なのだ。

 米国で製造業の生存が無理な理由は、長期に渡る研究開発投資ができないからだろう。そんな長期的な視野をもった企業経営をしていたら、投資家から見向きもされなくなる。短期的に儲かる種類の企業しか生存ができないのが、今の米国経済界。

 米国のガラス業界でも、やはり衰退を心配しているようで、若い学生のための開発コンクールのようなことを始めていることが判明。昨年は、賞金総額5000ドル程度のコンクールをやったようだ。テーマは、超高強度ガラス。どんなものが入選したのか、まだ調べていないので分からない。ガラスは、本質的強度は非常に高いので、弱化原因である傷と水分に対応すれば、かなりの強度の製品はできる。光ファイバーなどは実際のところ、非常に強い。

 そして、今年は賞金総額を10倍にして、またまたコンクールをやるとのこと。6月ぐらいに公表し、来年の3月までの募集期間らしい。日本の学生でも参加可能なのだろうか。

 昔からの顔なじみのビッグネームも何人か来ていたので、バンケット終了後に挨拶をして、最近の状況を説明した。まあ、それなりに皆さん元気のようだった。

 明日、午後から周辺環境の観察ドライブに行くことを提案して、2名の参加者を確保。誰と誰かは、匿名にしておく。


5月19日: 4日目

 朝は、十分にゆっくりと寝た。外の騒音にも2晩目だと慣れる。目が覚めて起きたら8時だった。この時間にメールを取ってみると、大量に来ている。日本は夜なのだから、ちょうど昼間の分が全部溜まっているので当然だ。この処理を済ませて、ガソリンを満タンにして、会場のHyattへ。

 環境観察ドライブは、30年前に来たことがあるのだが、グレートスモーキー国立公園の南側にある、ブルーリッジパークウェイというドライブコースにした。少なくとも30年前には、東海岸で恐らく一番人気のドライブコースだった。今、どうなっているのだろう。ここグリーンビルからハイウェーを1時間ぐらい北上したところにある。州は、ノースカロライナになる。グレートスモーキー国立公園は、秩父の山のようなもので、日本人にとっては、余り新鮮ではない。しかし、このブルーリッジパークウェイは、山の稜線を走っている道で、両側の見晴らしがなかなか良かったという印象。伊豆スカイラインの緑をもっと多くした感じか。

 この道は、全長は700kmぐらいあるのではないか、と思うのだが、グレートスモーキーからアッシュビルという都市までが山と言える状況で、バージニアに向かうそれから北の部分は、丘になってしまったような記憶。そこで、今回は、標高の高い部分のみ100km程度を走ることにする。

 いよいよ、ブルーリッジパークウェイに入る。古い記憶は定かではないが、道路の整備状況などは、そのときよりも良くなっているように思った。道の整備は勿論のこと、両脇の草も、きちんと芝刈りがなされている。無料の道路なのだが、誰が管理をしているのだろうか。州政府が手入れをしているのだろうか。それとも連邦政府か。いずれにしても、公共的な資金は、日本よりは米国の方が豊かのような感じである。

 この数年を振り返ってみれば、日本では、金持ち減税をしたのが最大の問題だと思う。小泉政権は、構造改革を謳い、規制緩和を実施したことになっているが、実際には景気対策と称して、金持ち減税をして、少なくなった税収と多額の赤字国債、そして、形の上では公務員を減らしたものの、結果的になんともならないほど悪い状況を作ったのが実態ではないか。米国も所得税は金持ち優遇になっているはず(未確認)だが、寄付を推奨するような形にはなっているはず。日本の寄付税制は、もともと駄目なのだが、このところまたまた退化した。これも、税収を確保することが第一の政策的変更があったからである。社会全体としては、金持ち増税、寄付税制優遇がより公平な方向で、これを目指すべきだと思うのだ。それにしても、小泉政権の次の政府は金がますます無くなって、苦しいだろう。

 さて話を戻して、ブルーリッジパークウェイであるが、景色がどんどんと変わるのだ。入った付近は、濃い緑だったが、段々と新緑になって、そのうち、新緑以前のような景色になる。坂を上っているような印象が無かったのだが、そのうち、6000フィートの標高にまで到達した。つつじなどの花がきれいだし、黒い岩肌がそこここにあって、盆栽風の景色。日本人にとっても結構良い景色だという結論になった。


 ブルーリッジパークウェイ。高度の低いところの景色。十分に緑。



 ブルーリッジパークウェイの頂上付近。新緑にもなっていない。

 唯一あるレストランでやや遅めの昼食をとって、またまたその量に辟易した。そして、少々走ると下り坂になった。グレートスモーキーの方向には行かず、ブルーリッジパークウェイから離れて、フリーウェイを走ってアッシュビルの近くを通りグリーンビルに戻ることにする。ブルーリッジパークウェイではまあまあの天気だったのに、雨が降り始めた。通り雨のようだ。タイミングも良かったようだ。

 5時過ぎにグリーンビルに到着して、まだお腹が一杯なのだが、これでホテルに戻ってしまうと、またまた辟易する晩飯と向かい合うことになる。結論として、3名とも、ラーメンが食べたいということになった。日本のようなラーメンではないのは承知の上だが。グリーンビルの街中をどこに行くでもなく、30分ぐらいぶらぶらとドライブしていたら、見つかった。まともな中華料理屋のようだ。しかし、すぐに食べる気はしなかったので、その店のあるモールを見物、それでも時間が余っていたので、隣のモールも見物。カバン屋でもあれば、海外出張時の機内持ち込み用の革鞄がそろそろ壊れそうなので、ちょっと見たかったのだが、そんなものは、陰も形もなし。結局、毎回帰りのトランクの隙間をうずめるための、ナプキン類をホールマークで買って、買い物は終わり。

 時間が余り潰せないので、中華料理店に入って食べてみることにした。麺も、チャーメン、ローメン、タンメンがあった。3名ともタンメンを注文した。まあ、アメリカ流タンメンだったが、久々に辟易しない食事だった。

 ということで、2名をHyattまで送り届けてホテルへ戻る。天気がまあまあ良くなっているので、暗くなったら星の写真でも撮ってみるか、とホテル付近で暗そうな場所を探す。実は、昨晩ホテルの隣の空き地で撮影を試みたのだが、なんと、アメリカの空は真っ赤であることが判明した。理由は、うす雲が掛かっており、地上に強烈なナトリウムランプが多数あるものだから、その光が被ってくる。なんとかナトリウムランプの無いところを探したいと思ったのだが、その判断は、明るいときには不可能だ。なんとなく何もなさそうな場所を探して、あとは夜になるのを待つしかない。

 ホテルの部屋に戻ったら、急に眠くなった。ぱったり倒れて、1時間ぐらい寝てしまった。9時半だ。外をみると、幸いにしてまだ晴れている。さて、出かけるか、と準備をして昼間に探っておいた場所に行く。小さな大学のゴルフコースの脇のような場所だ。ナトリウムランプは無いが、水銀灯がある。やはりアメリカは真っ暗ではない。ニュージーランドの田舎は、本当に真っ暗だったのだが。もっと人里はなれたところに行かないと駄目なのだろうが、それも一人では怖いような気もする。なぜならば、このグリーンビルという地域は、余り治安が良くないのだ。http://greenvillesc.areaconnect.com/statistics.htm

 ということで、北斗七星がこんな風だった。まだ、なんとなく赤い。露出を増やすと、もっと真っ赤になってしまう。ナトリウムランプの波長をカットするフィルターがあるようだから、買ってみるか。


 アメリカの赤い夜空。ナトリウムランプのためか。一応北斗七星が写っている。

5月19日: 帰国へ 20日夜に到着。

 今回の帰国は、割合と遅い出発だ。飛行機は10時53分発である。国内線なので、1時間前でも十分なのだろうが、まあ、余裕を見て1時間40分前到着を目指すことにする。ガソリンを入れる、レンタカーを返すなどのことを含めて、空港まで40分程度を見ておけば良さそう。まだ多少自由時間がある。パッキングは昨晩終わっているので、この原稿の最初の2日分を書き始めた。

 時間だ。ということで、出発。まず、近くのガソリンスタンドで給油。ここまでで390マイルほど走行していて、15.3ガロン。11km/L程度の燃費であった。このソナタのエンジンは、V6で排気量は3.3Lであることが分かった。まあ、この排気量なら、そんなものだろう。プリウスで走れば、24km/Lぐらいの道だったのだが。

 ソナタの操縦性、乗り心地などは、まずまず。内装がややチャチだといえるかもしれない。値段がいくらなのか、調べてみよう。日産Altima3.5やトヨタカムリV6あたりと比べてかなり安ければ、割と良い買い物かもしれない。まあ、壊れるかどうか、それが最大の問題かもしれないが。(家にたどり着いて、価格を調べてみると、$25000ぐらいのクラスの車だが、Sonataは$2000ほど安い程度だ。この程度の差だと、まあ、買わないかもしれない)。

 空港でレンタカーを返却。チェックイン。問題なし。となると、時間がありすぎる。搭乗口はA3番。この空港には無線LANがあるのだが、搭乗ゲートの前の待合室からは、どうしても繋がらない。まあ、良いことにして、この文章の続きを書くことにした。

 出発時間の1時間ぐらい前に、飛行機が入ってきた。あれに乗るのだろう。例のEMBの双発ジェットである。と思っていると、出発の40分前なのに、搭乗を開始した。これは何だ。とあせってパソコンを止めて、入口に行くと、なんとヒューストン行きではないか。A3搭乗口には、2機が来るようになっていて、確かに、反対側の見えないところに、もう1機来ている。間違って乗る人は居ないのだろうか。

 元の席に戻りながら、パソコンを使っている人の様子を見ると、床からAC電源を取っている人が居る。なるほど、こんなところにコンセントがあるのだ。しかも、どこにでもある訳ではないのだ。即、探し出してAC電源を使って、作文の続き。

 やっと搭乗。前回の同じEMBよりも、いささか長い機種のようだ。これがEMBのERJ−145だろうか。座席にして3列ぐらい多い。今回も、後ろの方の席だ。まもなく、シカゴ。この飛行機は、着陸時の速度が異様に速いように思う。余り浮力が無い機体なのだろうか。無事に到着した。シカゴの駐機場を見渡せば、ほとんどがこのEMBだ。相当売れているのだろう。信頼性もそこそこあるのだろうか。ライバルのカナダ製のボンバルディアはトラブルが多いらしい。

 時間がたっぷりあるから、とにかく、ゲートまで行って、そこで免税店でも見てみよう。ターミナル3に到着したので、そこから、例の無人シャトル電車でターミナル5に行く。そこで、JALにチェックイン。もっとも荷物は、グリーンビルでチェックインしたときに説明が無かったのだが、やはりスルーで成田まで行くようだ。このJALのカウンタで入国の際に入管でパスポートに付けられた半券が取られる。出国の手続きは、航空会社が代行するという訳だ。アメリカに来ると何時も思うのだが、この国は、不審な人間を国外に出るときに捕まえるという発想が無い国なのだ。入るのは制するが、出るは制しない。

 同時多発テロ以来強化されたセキュリティーだが、最近は要領が良くなってきたせいか、割合とスムース。靴は脱ぐ、ベルトも外す、上着は脱ぐ、時計も外す。パソコンは別に出す。この条件を満たせば、割合と早い。

 さて、ゲートはすぐそこだ。あれあれ、免税店が内部には無いではないか。セキュリティーチェックの外にちょっと有ったが、あれだけか。結局、長時間をラウンジで過ごす羽目に陥った。

 無線LANがあるだろうか。電波を探ると、コンコースという名前の電波がある。繋いで見ると、一回のみのメンバーだと、$6.95/24時間だというので、使ってみることにした。http://www.concoursecommunications.com/

 しかし、結構トンデモナイ無線LANのサービスだ。メールもまともに取れない。途中で切れてしまう。Webページも、1〜2ページは繋がっているのだが、すぐに切れてしまう。回線の容量が少ないことを、こんな方法で補っているのではないだろうか。切れたら、またまたユーザ名とパスワードを入れて、繋ぎなおせば良いのだが、かなり面倒である。

 しばらく使ってみて分かったのだが、新しいページに2〜3回移ると確実に切れるようだ。どうも、一発で見るだけならば、なんとかなる。ところが、不思議なことに、この会社のWebに入ったときは、全部隅から隅まで見ることができた。どうやら、意図的にそんな設定になっているようだ。

 いずれにしても、速度は、1Mbpsしかでない。非常に遅い。他のISPのアカウントでも接続が可能であることが分かったが、残念ながら一つもアカウントを持っていない。この会社のHPによれば、かなり多くの空港にシステムをもっているらしく、毎日、50万人の無線LANのアクセスを処理しているとのこと。お奨め度はA〜DでCぐらいか。緊急時になんとしてでも、という以外はお奨めしない。繋ぎなおしを結局のところ何10回と繰り返すことになった。

 最近の米国は、無線LANが標準的になって来ているようだ。しかし、トラブルが多い。まだまだ基盤の強化が重要なのだろう。Hyattでは、何回か試みたが、結局、繋がらず。t−mobileなのだから、大手だと思うのだが。最善だったのが、Humpton Innのもので、しかも無料。ホテルを移したのが正解だったようだ。

 ということで無事にJALに搭乗し、同じ2階席に座った。今、成田まで2時間ぐらいのところまで来ている。米国線のJALに乗ったのは、久しぶりなのだが、2回目の食事は、好きなときに自分で発注して食べるタイプになっている。これは良いかもしれない。どうやって時差を克服するか、これは人によって様々だが、食事時間が自由になるということは、時間の配分が自由になることであり、嬉しいのだ。

 時差の克服の最大のコツは、飛行機の中にあると信じている。時差のことだけを考えると、飛行機で映画を見るのが最悪のように思える。

 方針としては、最初に出される食事の後で時計を行き先のものに合わせ、もう現地に行ったつもりになること。そして、寝る時間を決める。その間は、何がなんでも寝ることである。時差も、絶対的な睡眠時間が足りていれば、まず問題にはならないので多めに寝ることを心がける。

 米国に向かうときには、飛行時間も短いので、食事が終わったら、まず、時計を米国時間に合わせて、今回の場合だと、まだまだ早朝だと思い込んで、ほとんどの時間を寝るべく努力。そして、2回目の食事は軽くして、昼食を食べたつもりになる。そして、到着したら、昼間は、太陽光を浴びて行動する。眠いからといって昼間に寝ると、いつまでたっても昼間は眠いまま。時差不適合状態のままで日本に帰るのも一策ではあるが、適合したいと思うのなら、猛烈に眠くて昼寝をするとしても1時間以内にする。

 帰りの便は、15:10シカゴ発。しかし、実際に飛んだのは、かなり地上で待たされて16時近かった。最初の食事は、晩御飯相当。それでも全部は食べられない。ここで日本時間に時計を合わせると、まだ朝だ。速やかに寝ることにする。帰りは12時間以上かかるので、半分ぐらいは寝たい。6時間か。しかし、今回は、5時間で起きてしまった。すでに日本時間になっている時計を見ながら、どのように思い込むかを考える。起きたのが午後1時だから、適当な作業をしつつ、3時ごろに軽く食事をして、それを遅い昼飯だと思って、あとは到着時間である午後6時30分まで、可能な限りなんらかの作業を続ける。これで、自宅に午後9時ごろ戻って、遅い晩御飯を食べて、午前1時頃まで起きていて寝れば、多分、余り変な体調にはならない。

 ちなみに、半年ほど前、海外出張用に腕時計を買った。それまでリコー製充電式アラーム付きデュアルタイムの時計を使っていたが、今度は、セイコー製の太陽電池・電波時計で、時間帯の調整が半自動的にできるワールドタイムというもの(SAGZ007)にした。佐藤琢磨が宣伝していたものである。電波は、日本、ドイツ、アメリカのものを受けることができる。まあまあの使い勝手である。

 変えた理由のひとつは、最初の食事の直後に時間を行き先のものに合わせてしまえば、飛行機の中でデュアルタイムであることが却って精神的に逆効果だと分かったから。どうしても日本の時間を知りたければ、パソコンや、飛行機を降りた後なら日本用携帯電話の時間を見ればよいだけだからである。ただ、この時計に変えたために、アラーム機能が無くなった。そこで、多くの場合不要なのだが、コンパクトな軽い目覚まし時計を持ち歩くことにした。いつだったか成田空港で一つ購入した。

 もう青森より南になった。到着は出発が遅れたので当然遅れる。この時間だと、どの方法で帰宅するのが良いのだろうか。駅すぱあとを使って調べる。多少古い駅すぱあとなのだが、まだ、時刻表が変わっていないようなので、使っている。

 いよいよ成田が近づいた。30分強の遅れで無事に到着しそうである。グリーンビル滞在中、短時間のシャワーはあったが、それを除いてずーっと気持ちの良い天気だった。どうも成田は雨のようだ。

 アメリカもたまに行くのは悪くない。食べ物を別にすれば。