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  ラドンによる内部被曝
     06.17.2012
        内部被曝シリーズ その5




 これまで数回に渡って、内部被曝について、各種の情報をまとめてきたが、ラドンによる内部被曝は重要な情報である。

 バイスタンダー効果とかECRRの実効係数などの話は、まだ学会が完全に認めていない話なので、本来は取り上げる必要はないものとは思うが、もっとも関連があるとしたら、ひょっとするとラドンではないだろうか。

 ということで、これまでに書いてきたことを目次風に再度まとめたい。

目次
0.内部被曝を起こす元素
  04.15.2012
1.ダイヤルペインターの内部被曝
  04.22.2012
2.トロトラストによる内部被曝
  05.06.2012
3.カリウム40による内部被曝
  05.13.2012
4.ラドンによる内部被曝
  今回

5.その他 学会で未確率なこと
(1)バイスタンダー効果
(2)ECRRの実効係数
6.福島におけるセシウムによる内部被曝


ラドンによる内部被曝の結論

 1.ラドンにる内部被曝はかなり特殊なケースだろう。α線、β線による局所的な被曝で、セシウムとは大違い
 2.過去、多くの疫学研究が行われているが、結論はこの程度ではないか。「ラドンへの被曝を避けるに越したことはないが、いくら避けてもタバコを吸っていたら何にもならない」。
 3.バズビー氏の低線量被曝でリスクが上がるということがもし本当だとしたら、ラドンの場合かも知れない。



C先生:まずは、ラドン222という元素はどのようなものなのか。その記述から始めよう。

4−1.ラドン222の生成と放射線

A君:まず以下のようにまとめてみました。

 ウラン238は半減期が44.8億年で、これが現存する天然放射性物質の一つの重要な原料だが、その6番目の崩壊生成物がラジウム226である。
 ラジウム226は半減期が1600年で、α線を放出してラドン222になる。
 ラドン222から先の崩壊は、極めて早いので、ラドン222による被曝量が多い地域とは、ラジウム226が比較的多い地域ということになる。
   核種      半減期   放射線
 ラドン222      3.8日   α線
 ポロニウム218  3.05分  α線
 鉛214        26.8分  β線
 ビスマス214    19.9分  β線
 ポロニウム214  瞬時     α線
 鉛210        22.3年  β線
 ビスマス210    5.01日  β線
 ポロニウム210  138日    α線
 鉛206       安定

 10000ベクレルのラドン222を吸入すると、実効線量は0.065mSv=65μSvである。
  これは、放射能ミニ知識の記述、「吸入摂取した場合の実効線量係数(ラドンの平衡等価濃度、ミリシーベルト/ベクレル) 6.5×10-6 」によって算出。

 ラドン222以外にもラドン220があるが、これはトリウム232(半減期141億年、太陽系ができたときから余り減っていない恐ろしく長持ちする放射性核種)を原料とする系列の放射性物質であり、トロンと呼ばれる。しかし、半減期がたった56秒なので、存在量は少なく無視できる。

A君:玉川温泉の岩盤浴での最高被曝量は、15μSv/時ということなので、そこに4時間もいれば、10000ベクレルぐらいのラドン222を吸ったことになるのでしょうね。

B君:ラドン222を吸い込むとどうなるか、というとこんな風ではないか。
 まず、ラドン222は気体なので、呼吸をすれば肺に入る。ラドンは、若干水に溶けるので、肺から吸収されるが、残りは呼気によって体外に出る。肺に吸収されたものは、大部分は血液に入るものと思われるが、半減期が3.8日と短いので、一部は肺近傍に残ったまま崩壊をはじめる。ラドン222が崩壊してできるポロニウム218以降の核種はすべて固体なので、その部分に留まっている確率が高く、鉛210の半減期が22年程度なので、そこで止まるとすれば、α線3本、β線2本。その後もかんがえれば、最終的にはα線4本、β線4本を出すことになる。

A君:しかし、肺への影響が0.1mSv以下だとしたら、それで肺がんが治るような効果があるとも思えない。

B君:それは勿論そうだ。放射線治療に使われる放射線の量は少量照射でも1回2Gyを週に数回。Gy=Svと考えると、4桁違う。

A君:玉川温泉でラドンを吸引すれば、がんが直ることは、確率的にはゼロに近いけれど、まあ、”藁”よりマシということなのでしょうね。

C先生:それは、後で数値的な検討ができるようになるのではないか。


4−2 ラドンの健康影響

A君:以下の記述ですが、WHOのハンドブックからです。

"Who Handbook on Indoor Radon" 2009
http://whqlibdoc.who.int/publications/2009/9789241547673_eng.pdf

 110ページもある文書だが、健康影響だけを知りたいのであれば、3−16ページだけを印刷すれば良いでしょう。


(1)鉱山労働者の場合

B君:かなり以前から、ラドンが原因で鉱山労働者に肺がんが発症しているのではないか、と考えられていた。

【翻訳開始】
 1999年、米国のBEIR W委員会は、それまでに行われていた11件の疫学研究の結果を総合した。ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オーストラリアにおける6万人の鉱山労働者を対象にし、発生した2600件の肺がんによる死亡例を含む肺がんのリスクを検討した。これらのうち8件はウラン鉱山で、残りは、スズ、ホタル石、鉄鉱山であった。

 肺がん罹患率は、ラドンに対する暴露の総量が増えるにしたがって増加していた。しかし、コロラドのケースでは、暴露量が中間値までは増加したが、それ以上の暴露量では、逆に肺がん罹患率が低下していた。
【終了】

A君:これは1つのポイントでしょうか。疫学というものの出す結果は、なかなか解釈しにくいものがあるということで。

【翻訳開始】
 そこで3200WLM以上の例を除外したところ、ほぼすべての例で、ラドンへの暴露量と肺がんの罹患率は比例関係を示した。


 ところでWLMとはWorking Level Monthの略で、1リットルの空気中のラドンが崩壊を開始した後、1.3×105MeVのα線を出すようなラドン濃度のこと。この濃度ので170時間労働すれば、それが1WLM。この濃度の10倍のところで、320ヶ月(26.7年)働いた場合に3200WLMになる。

しかし、それぞれの疫学研究によって、勾配は10倍程度異なっていた。その理由はいくつかあるが、被曝後5〜14年で発がんリスクが最大になる傾向があることや、年齢依存性もあることもその一つ。様々な統計的な処理を行って求めた肺がんの発がんリスクは0.44%/WLMであった。

 2006年になって、東ドイツの鉱山労働者59000人、肺がん死亡者2388人という集団について、疫学研究が行われた。その結果、肺がんの発がんリスクは0.21%/WLMであった。

 その後、喫煙との関係の研究が行われるようになった。非喫煙者の方がWLM増加によって肺がんになる率の増加が大きいというデータになるが、しかし、実際に肺がんになる人の割合は、喫煙者の方がはるかに多い。

【終了】

A君:かなり分かりにくいですね。様々な解析が行われていますが、一言で表現すれば、強引に理屈を付ければこうなる。しかし、分からないところが多い。例えば、先ほど指摘した「暴露量が中間値までは増加したが、それ以上の暴露量では、逆に肺がん罹患率が低下していた」、というのはなんなのでしょう。

B君:本当のところは良く分からないぐらいラドンによる影響が少ないということなのだろう。喫煙との関係についても、最後のところがわかりにくい。

A君:本当ですね。多分、ラドンへの感受性は非喫煙者の方が高い。ラドンへの暴露量がちょっと増えただけで肺がんになる率が多くなっている。これは、喫煙者は花粉症になりにくいことはよく知られている事実ですが、それに似ているのではないでしょうか。すなわち、喫煙者の場合、少々のラドンに暴露しても、タバコの害に比べて毒性が少ないので、多くの場合影響も少なく、何も起きない場合がある。非喫煙者は、ラドンの毒性をモロに感じやすい。

B君:しかし、タバコの影響が非常に大きいので、ラドンに被曝した場合、非喫煙者の方が、肺がんを発症する数は少なく、喫煙者の方が肺がんを発症数は多い。これはこれで正しくて、通常の鉱山程度の濃度だと、あるいは、その程度の濃度でもそうなるということなのだろう。


(2)室内のラドンへの被曝

A君:ここで次の節、室内でのラドン被曝に移動するのですが、その最初のところに、こんな文章があります。

 鉱山労働者は、ラドンに加えて、他の発がん物質、例えば、ヒ素にも曝露されている。

B君:ヒ素か。飲料水中のヒ素であれば、多くの場合に皮膚がんの原因だと言われているが、泌尿器系のがんもあるし、当然、吸引すれば肺がんの原因。

A君:水道水に含まれる発がん物質としてもっともリスクが高そうなのがヒ素。もっとも、ミネラルウォータの基準値は、水道水よりも5倍ほども緩いので、本当のことを言えば、すべてのミネラルウォータについて、分析値を公表すべきもの。水道水が飲めないと思っているリスクゼロ指向の人には、この値を知ってもらった上で、どのミネラルウォータを飲むかを決めて欲しい。

B君:成分分析値が必要なのだが、余り公表されていないデータだ。

A君:それはそれとして、室内空気中のラドンの量ですが、当然、ベクレル/mで表示されます。この濃度と肺がんの関係が解析されるのですが、室内のラドン濃度は一定ではなくて、気候によって変動を受けているし、また、窓を開けてどのぐらい換気をするかの影響も大きい。

B君:当然、地下室にはラドンが多いことになる。換気が難しいから。

A君:土壌からラドンは出てくるのですが、地下室といっても土壌がむき出しということは無くて、コンクリートなどで固めてあるのが普通でしょう。コンクリートからのラドン放出量は、それほど考慮されていない。

B君:ということで、実際のラドン被曝量を推定するのはなかなか困難で、正確な値を求めようと思ったら、実測するしかない。

A君:というところが序文で、これまで最低でも40件のラドン被曝の疫学研究が報告されています。
 ところが、これらの研究の結果は、単独で何か有意な結果を出しているのか、と言われるとそうとも言えない状況。
 そこで、いわゆるプール推定or解析(Pool Estimate)という方法が採用される。すなわち、既存の40件余の研究を、できるだけ条件を揃えて、統計的な処理が可能な一つのデータ集合にするにするという方法。

B君:具体的にやることと言えば、肺がんにもっとも大きな影響を与えていると思われる喫煙のデータを揃える。単に、喫煙者か非喫煙者だけでなく、調査時点では非喫煙であったが、かつて喫煙していたとか、そのような条件を揃える。

A君:そして、なんとか13件の欧州でのプール推定解析、7件の北米でのプール推定
解析、そして、2件の中国でのものができた。

B君:これらの結果をまとめたものが、表になっている。


表 3つのプール推定解析の結果

A君:この表では、上の3件が、住居でのラドンへの曝露のプール推定解析。そして、下の3件が鉱山労働者に対する解析の結果。

B君:やはり不思議なのは、鉱山労働者の場合の方が、ラドンによるリスクが低いこと。これは、先ほども述べたように、他の発がん物質への曝露があるからではないか。鉱山のように粉塵によるリスクが大きいところだと、ヒ素のリスクだけでなく、単なる粉塵もある。例えば、石英結晶の粉は、IARCの発がん物質の分類で、ヒトに対して発がん性有りに分類されているが、どのような鉱山でも粉塵の無いところなどはないし、石英分を含まない粉塵もない。したがって、ラドンの影響が出にくいのではないだろうか。

A君:なかなか疫学は難しい。

C先生:その通り。これほどきちんとした研究を行おうとしても、確実な結果はなかなかでないのだ。色々と複雑な要因がある。
 交絡因子と呼ばれるものがその一つで、放射線影響協会によれば、次のように定義されている。http://www.rea.or.jp/ire/yougo

【引用開始】
 疫学調査では、暴露要因(この疫学調査では放射線量)と結果(この疫学調査ではがん死亡率)との関係を調べることが目的であるので、例えば疫学調査の場合、比較している線量群の間の違いが放射線量だけであれば理想的である。しかし現実には、線量群の間には、その他のいろいろな要因に関する特性の違いが存在して、しかもそれらもがん死亡率と相関している可能性がある。このように、目的とする暴露要因と結果の両方に相関している他の要因のことを交絡因子と呼ぶ。
がんの死亡には、様々な要因(タバコ、食事、肥満、運動不足、職業、その他)があり、そのうちどれが交絡因子として影響しているか明らかにしておく必要がある。
もし予め何か特定の要因が交絡因子となると判っている場合には、この要因に関する調査対象者全員の特性を調べておく必要がある。そうすれば、統計的解析に際して、この交絡因子の影響を取り除くことが可能である。
【引用終了】


A君:同じサイトですが、がんの発生原因として挙げられているものが、この図です。これらの要因をすべて単独に解析するのを疫学はやろうとしているのですから、疫学はなかなか難しい。



図 発がんの要因。交絡因子として、これらをすべて考慮した解析が不可欠。

B君:低線量被曝について、しばしば引用される有名人として、バンダジェフスキー氏、バズビー氏などの研究があるのだが、残念ながら、彼らの研究は疫学者からは相手にされていない。その理由が、疫学研究のやり方からみて、最低限満たすべき条件を満たしていないので、科学的な事実として認知されていないということがある。真面目に解析を行なっている研究者達、例えば、これまで述べてきたようなラドンの疫学的研究を行なってきた研究者達に、「あんないい加減な研究は研究ではない。少なくとも科学ではない」と反発されて当然なのだ。

A君:日本で言えば、日本保険物理学会の「暮らしの放射線Q&A活動委員会」が、バズビー氏などをどのように評価しているか。これは、この質問の解答をご覧下さい。
http://radi-info.com/category/others/  から、次の図の質問を探して下さい。

図 質問の図

B君:同じ委員会が、小出裕章氏、武田邦彦氏の発言を正しいと認めないことも全く同じこと。これは、本HPの前回の記事の最後のところにあるので、ご参照を。
http://www.yasuienv.net/FormByRad.htm

A君:いずれにしても、次の表が、この結果についての幾つかの要因分析の結果の要約。 男性、女性については、圧倒的に男性が掛かる。
 年齢については、55歳以下は余り考えなくても良い。これは、低線量被曝の場合の共通の結果でもある。
 喫煙については、なぜか何回か述べたように、ラドンによる増分については、喫煙者の方が少ない。


表 要因分析の結果

B君:というように、確実な結果を出すには、極めて大変な苦労が必要だということが一つの結論になるのだけれど、かなり不確実性が高いが、最終的な室内ラドン被曝と相対的な肺がんの発症リスクとの関係を示すと、このようになっている。


図 相対リスクのラドン濃度依存性

A君:なんとかBq/mで言えば、直線的ではあるけれども、どうも、120Bq/m3あたりにピークがあるようにも見える。これがホルミシス効果と言えるものなのだ、という主張も無い訳ではないが、少なくともWHOはそのように解釈をしていない。

B君:見方によっては、バズビー氏の低線量被曝の方が有害という理論と一致しているとも言える。

A君:バズビー氏の線量応答曲線でも再度掲載しますか。

図 バズビー氏の線量応答曲線

B君:WHO報告書では、以上で大体の記述は終わっている。しかし、もう少々検討をする必要があるのではないだろうか。もしも、100Bq/m3の室内濃度の居住空間だったとして、1年間に、何mSvぐらいの被曝量になるか、ということが書かれていない。

A君:それは、仮定を置けば計算が可能。一般に、室内空気汚染の健康影響を判断するとき、成人の場合、1日で吸う空気の量は15m3と仮定して計算を行うのが一般的。

 1年間での曝露量Bq=100Bq/m3 × 15m × 365日=547500Bq

 10000ベクレルのラドン222を吸入すると、実効線量は0.065mSvなので、もしも100Bq/m3の室内から一歩も外にでないとすると、1年間の実効線量=3.56mSvとなります。

B君:玉川温泉なら4時間で10000Bq。1時間で2500Bqとすれば、1時間の呼吸量は 15/24=0.625mなので、玉川温泉のラドン濃度は、2500/0.625=4000Ba/mとなって、確かにかなり高いことは高い。

A君:たしかに先ほどのグラフでも、700Bq/mまでしかデータが無い。鉱山労働者については、余り被曝量が多いと、却って肺がんの罹患率が下がるとか。それにしても、先程のグラフの点はグジャグジャしていて、直線を引くのが厳しいですね。

B君:さきほど、120Bq/m3にもピークがあるようにも見える、という話になった。としたら、年間4.2mSvぐらいのところに、ピークがあることになる。そこで、リスクが1.25倍ぐらいになっているので、肺がんの発症リスクが25%の増加ということになって、一般的ながん発症のリスク増加が、100mSvで0.5%という値と一致しない。それよりも相当に大きいことになる。しかも、世界全体でのラドンの室内平均濃度は39Bq/m3のようなので、10%のリスクの増大があることになる。

A君:どうも、さらに読むとそうではないようですね。
 最後のページの表に、全肺がんのうち、ラドンに原因があると思われる割合という数字があって、カナダで7.8%、ドイツで5%、スイスで8.3%といった数字があるので、ラドンで25%の肺がんが増加するとしても、肺がん全体からみれば、その1/20ぐらいがラドンの罪だということになって、7mSvで25%増加が、まあ1%程度の増加という結論になる。

B君:それでも、100mSvで0.5%の発がんリスクの増大という一般的な値の20倍程度はあることにならないだろうか。やはり統計を見てみたい。肺がんの発症率の世界比較はあるのだろうか。

A君:WHOのこの報告書には出ていないですね。ちょっと探しただけですが、こんなものが見つかりました。


http://www.oecd.org/dataoecd/6/28/49105858.pdf
図 肺がんの比較 OECD諸国 

B君:なるほど。でも、良く考えてみたら、前の発言は訂正だ。100mSvで0.5%発がんが増えるというのは、一般論であり、当然、全がんを対象としている。ここで述べているのは肺がんだけなので、そもそも比較をしてはいけないものを比較していしまったようだ。
 それに、国際比較も意味はないという結論になった。なぜならば、肺がんの最大の原因が喫煙である以上、ラドン濃度との相関を比較するのは全く無意味だということが分かった。

A君:ということなら、OECDのタバコ喫煙率のデータも示しますか。出典は同じです。


B君:この二つの図を並べて印刷し、同じ国を繋いでみると。結構面白い。もしも喫煙と肺がん死が相関性が高ければ、ほぼ横に線が引かれるはず。しかし、そうでもない。3種類に分けて考えると、
タイプ1:喫煙率と肺がん死亡率がともに低い  メキシコ、スウェーデン、アイスランド
タイプ2:喫煙率と肺がん死亡率がともに高い  ポーランド、ハンガリー、ギリシャ
タイプ3:喫煙率は高いが、肺がん死亡率は低い チリ、日本、アイルランド、イスラエル
タイプ4:喫煙率は低いが、肺がん死亡率は高い 米国、オーストラリア、スロベニア、デンマーク、スロバニア、ベルギー

A君:タイプ3に日本が入っていますが、これは、肺がんの早期発見、早期治療が効いている。チリは、むしろ、平均寿命がまだ短いので、がん死亡率が低いということでは。

B君:日本のゼロ歳平均余命が83.0歳に対して、チリは78.4歳で、米国の78.2歳より長い。

A君:やはり、説明はそう簡単ではないですね。

C先生:どんなことでもそうだが、完璧に理解するのはなかなか難しい。しかし、そろそろ様々な結論が出たようだ。
 まず、重要なことは、ラドンは非常に特殊な放射性元素であるということだ。まず、気体であるということ。そのため、肺の中に入り込み、その中で崩壊して、放射性の固形物を作り出すということ。その固形物は、その場所に留まってα線とβ線を主として放出し続けると考えられる。
 吸入するのがもともと微粒子であれば、それを排出するような機構がヒトの肺には備わっているが、肺の組織に気体として吸収されてからラドンが崩壊すれば、そこにできる微粒子は、超超微粒子だろうし、また、組織の中に存在しているだろうから、除去されることもありそうもない。
 となると、そこでα線、β線は、その近傍の数少ない細胞に向かって放出されることになるだろう。
 こんな状況だから、通常のγ線などの場合とは全く違った状況を考えなければならないことになるだろう。
 セシウムのように、細胞液にイオンとしてカリウムに似た形で溶けていて、細胞に入ったり、また出たりできるような性質をもった元素とも、大きく違うようだ。
 言ってみれば、内部被曝という言葉は、本当の意味で、ラドンのためにあるような気がしてくる。
 バズビー氏が主張している内部被曝の影響があるとしたら、このラドンのような特性がある場合に限られるのではないだろうか。極めて特殊な放射性物質、それがラドンだと理解するのが良さそうに思える。

A君:確かにそんな気がしますね。それでは、最後に、今回色々と調べているうちに、いつもながら使っているサイトに加え、たまたま見つけたサイトのリストを付録として以下に示します。

 そのなかで、定番は別として、優れたサイトと思ったものが、これです。

世界のどの国に住むべきか
http://emigration-atlas.net/environment/radon.html



 以下、定番のサイトや今回たまたま見つけたサイトです。

Wiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%B3

Wiki Eng
http://en.wikipedia.org/wiki/Radon

ラドン222 ミニ知識
http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php/16.html

USEPAによるラドンのリスク
http://lll.physics.gifu-u.ac.jp/~radon/gifu/html/risk.html

WHO
Radon and Cancer
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs291/en/

Radon Handbook 110ページもある
http://whqlibdoc.who.int/publications/2009/9789241547673_eng.pdf

Web
ラドンにホルミシス効果あり
http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52005258.html

欧州のラドン規制値
http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52004966.html

喫煙率と肺がん
http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52005484.html

ラドン温泉は安全か
http://www.botanical.jp/library/news/166/index.shtml