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今回の話題は、公正取引委員会と環境。レジ袋を減らす運動が、自治体などで進行中であるが、公正取引委員会に文句を言われたという経験がある場合が多いという。そもそも、独占禁止法上、このようなことはどれほど重大な問題なのか、いささか違和感がある。そこで、多少の研究をしてみたい。 C先生:3月7〜8日のことだったが、次のような記事がでた。朝日新聞の場合だと以下の通り。 《「レジ袋ゼロ運動」に「待った」 1枚5円が独禁法違反 家庭ごみを減らすための「レジ袋ゼロ運動」の一環で、新潟県佐渡市が4月から全島内の小売店でレジ袋を1枚5円で販売させる取り組みに、公正取引委員会から待ったがかかった。「1枚5円」に統一することが、自由な営業を妨げるため独占禁止法違反の疑いがあると指摘された。このため市は、「袋代は自由に設定」と変え、「5円」をうたって作製したポスターも廃棄する。 同市は、トキの放鳥を来年に控え、「美しい島づくりを」と、2月から「レジ袋ゼロ運動」のPRを始めた。4月から有料化するレジ袋の代金の5円は、買い物袋「マイバッグ」の製作費に充てる計画だった。 人口6万8000人、レジ袋を配っている小売店はざっと800店という島だけに、小売業者から「足並みをそろえたい」との要望があり、市側で価格を決めた。 念のために公取委に照会したところ、一律価格は「不当な取引制限に当たり、カルテル行為を禁じた独禁法に触れる」との回答があった。 公取委は「値段は各者が自由に決めるもの。目的は別にして、強制したり、離脱が困難だったりする価格設定には問題がある」と話している。 http://www.asahi.com/life/update/0306/010.html 》 A君:法律的には、独占禁止法違反。その法解釈は法律の専門家で無い限り難しいですが、大体、公正取引委員会とは何か、どのような活動をしているのか、その研究が必要なのではないでしょうか。 B君:ちなみに、Web上では、 A君:公正取引委員会が社会に対して発信したメッセージは、 C先生:そもそも公正取引委員会とは何か。一応、内閣総理大臣の所轄にはなっているが、制度上は独立した委員会。 A君:委員構成は、現時点で、 B君:勿論、1名+4名では何もできないので、職員がサポートしている。その総数は700名。委員の任命について、その承認は国会で行われ、内閣総理大臣が任命する。委員長は、天皇の認証を得るいわゆる「認証官」の一人らしい。 C先生:他の委員会の長はそうではない。ということは、公正取引委員会は、食品安全委員会などの他の委員会よりも格調が高いということか。 A君:格調があるかどうかは別にして、やっていることは、結構庶民レベルにも影響のあることで、景品表示法なる法律があって、この法律を根拠にして、先日来話題になった、スメルキラーなるステンレスの排除命令が出ている。 B君:表示については、もっと活動を強化してもらいたい。怪しい商品が非常に多いので。 C先生:重要な委員会はいくつかある。大きな問題は、その活動が適正に行われているかどうか、それをチェックする機構が他の行政機関などの場合よりも必要性が高いということ。 公正取引委員会も、かなり権限が強い。その権限だが、違反事件を調査して審決を行う準司法的な機能を持っているだけでなく、規則を制定する機能も持っている。となると、三権分立ではなくて、弱いながらも立法、行政、司法のすべての権限を持っている機関だとも言える。 A君:となると、その判断の妥当性を評価するのは、市民レベルでしかない、ことになる。もちろん、メディアももっと公正取引委員会の活動の妥当性を評価すべき。 C先生:勿論のことだが、もしも、審決に不満であれば、再審査を請求することが可能だし、また、通常の裁判に持ち込むこともできる。 A君:今回のレジ袋の件に関わるのは、独占禁止法。 B君:子どものための独占禁止法入門のページだと、 C先生:守るべきものは、「一般消費者の利益」、最終目的は「国民経済の民主的で健全は発達を促進」、そして手段は、「公正かつ自由な競争を促進すること」、そのために排除すべきものは、「一切の事業活動の不当な拘束」。 A君:この「一切の拘束」というキーワードが、根本的な問題なのでは。そもそも、環境問題とは、市場経済に100%任せて、自由な競争だけを原理とした社会では解決が不可能という立場に立たざるを得ない部分がある。 B君:環境問題だけでもない。経済産業省という行政機関が何をやっているのか、と言えば、市場経済に100%任せるだけでは、経済の発展も異形になる可能性が高いので、ある程度の関与が必要だということが存在理由になっているのでは。 C先生:20世紀の前半のように、人間活動が余り大きくない場合には、かなり自由に活動を行っても、その悪い影響が人命や健康を損なったり、あるいは、後世に対して不可逆的な影響を残すことは余り考える必要はなかった。だから、「一切の拘束」を排除することが正義だった。 A君:独占禁止法の成立は昭和22年。1947年。20世紀の後半に入る直前の段階。 C先生:環境規制なるものは、市場主義だけに任せておく訳にはいかないから、環境の保全に必要不可欠な部分に関しては、なんらかの拘束を与えようという考え方。例えば、「排水中の毒性物質の濃度の上限を決めよう」、ということは、ある程度競争上拘束にはなるは事実だが、それを公平に運用すれば、本来の競争の対象である本業にはそれほど影響がある訳ではないから、総合的に見れば、「一般消費者の利益」が守られる。 A君:「一切の拘束」を本当に駄目だというのであれば、環境規制は、独占禁止法に反することになるが、独占禁止法を守る立場から言えば、 B君:法律が無いと、全部駄目なのか? が次の疑問になる。 C先生:自治体が、条例で決めるということはどうなのだろう。その際も、公平・公正さが担保されるかどうか、それが問題になるのだろう。ということになると、ある自治体が単独で決めても、隣の自治体との境目が問題になる可能性がある。目黒区だけで決めても、世田谷区との境界近くでは、いささか公平・公正さが保たれない可能性がある。 A君:こんなところでほぼ議論の準備ができたのでは。 B君:佐渡島の状況について、もう少々状況を知りたい。 A君:それでは、多少HPやニュースを引用しましょう。引用は《》で。 《佐渡市のメールマガジン バックナンバー(2007年2月6日発行) 皆さん、お久しぶりです。しばらく休んでいましたが、再開させていただきます。
同市では年間約2000万枚のレジ袋が使われているが、70%を削減することが目標。対象はスーパーなど全業種で、条例などはつくらず店舗の自主参加とし、買い物客から徴収したレジ袋代は店舗の収益とする。2月20日まで商工会を通じて店舗に参加を呼び掛ける。 市の担当者は「ごみを減らして、人とトキが共生できる美しい島にしたい。店舗の収益は、マイバッグを無料で客に配るなど、環境への取り組みに還元してほしい」と話している。
市の問い合わせに対し公取委は、カルテル行為を禁じた独占禁止法に店舗側が触れる恐れがあると回答。このため市は「一律1枚5円」を撤回し、店舗が袋代を自由に決められるよう変更した。 市によると、市内では年間約2000万枚のレジ袋が使われており、7割を削減することを目標としている。徴収したレジ袋代は店舗の収益とするが、市は買い物袋を無料で客に配るなど環境への取り組みに還元するよう店舗側に求めている。 市は「公取委の指摘は残念だったが、これがきっかけで市民にもっと関心を持ってもらえれば、より効果があるかもしれない」と話した。
市によると、島内で消費されるレジ袋は年間約2000万枚。有料化による減量を目指し、2月にスーパー、薬局などの小売店約800店に協力を求めたところ、約200店が応じた。業者側が「価格をそろえたい」と申し出たため、市は1枚5円に設定。公取委に照会したところ「不当な取引制限に当たる」と回答があった。【磯野保】 毎日新聞 2007年3月8日 東京朝刊 《佐渡市内のブログらしきものにあった意見 Unknown (美濃モンタ) A君:ブログの日時はどこまで信用できるか多少疑問。情報をかなり前から知っていることになるので。 B君:事実関係を整理すると、 (1)佐渡市としては、レジ袋を減らしたかった。もし実現すれば、全国初。 C先生:この手の問題で、議論すべきことは、「環境という公共財を守る効果と、そのために使われる手段の社会への負の影響が見合うかどうか、バランスをどこで取るか」、ということ。 A君:佐渡市は、島なので、5円という一定価格を設定しても、他の自治体との境界が無いので、問題は比較的単純化しうる。 B君:一定価格を設定することによって、事業者からの同意と協力を得られる。この合意形成がどのぐらい重要なのか。 A君:そもそもレジ袋は、有料化したからといって、それが本来の商品ではない訳で、たとえ5円といった一定の価格ではあっても、それが低額であれば、本来の商品の販売の競争を阻害することにはならないという結論も可能のように思える。こんな検討も必要。 C先生:そして、この独占禁止法の最終的な目的は、一般消費者の利益が守られることであるが、この「一般消費者」は、果たして佐渡市の住民だけだと考えるべきなのか、それとも、日本人全体を考えるべきなのか。もしも佐渡市の住民だけを考えれば良いとすると、佐渡であれば島なので、他の自治体の住民への影響は少ない。となれば、佐渡市が市民の合意を取って実施していると判断した場合には、果たして実施可能なのか。 A君:結局のところ、このような議論が日本全体で行われることが重要で、場合によっては、司法の判断を仰ぐことが重要なのでは。 B君:やや無理な話をするが、佐渡市が5円の一定価格での有料化を強行して、そして、公取から排除命令などの審決がでて、それに対して佐渡市が正式の裁判に持ち込むというぐらいの覚悟があれば、それがもっとも望ましい事態になった。 C先生:レジ袋の有料化問題は、実は、結構難しい。個人的には、価格を決めなければ、有料化を強制しても法律的問題は非常に少ないと思っている。すなわち、「無料は駄目」、ということだけなら行けると考える。ただ、事業者が同意するかどうか。この問題は別。 A君:以前京都市などでも有料化の試みを提案したけど、公取からやはりストップが掛かったらしいですね。市民団体から聞いた話だと、そのとき、「参加の自由、すなわち、逆に言えば、離脱の自由を保証しなければならない。そのため、有料化の枠組みに入らない事業者を、市民団体などが攻撃することは、村八分にあたるので、公正な競争を阻害する行為だ」、と言われたらしい。 B君:前半は条例とか法律とかを作ればどうなるのだろうか。後半の「村八分」の判断は、いかに公取とはいっても行き過ぎ。市民の言論の自由というより上位の権利を止めることはできない。 C先生:杉並区やイオンが試みを始めているが、まあ、そんな方向性なのか。事業者が自らの意思で始めて、それを応援することで日本全体に普及すれば、もっともスムースなのだが、自治体にとっては、やはり指導力を発揮したいところではあるのだろう。 |
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