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      ムーンショット研究何を期待 2019.10.20
       災害予想・予防技術の高度化が重要か?

               



 台風19号の被害は、予想を上回るものであった。この台風も、気候変動による海面温度の上昇をもろに反映した、極めて強烈な台風であった。

 一方で、このところムーンショット研究なるものが騒がれている。本年度の補正予算からJSTに800億円、NEDOに200億円の予算が配分されて、ムーンショット研究なるものが行われることになっているからだと思われる。

 現時点では、まだまだ具体性がほとんど無い。これから、12月ぐらいまでに詳細が決まることになっているとの情報である。

 さて、日本のムーンショット研究は、何をやろうとしているのだろう。そもそも、ムーンショット研究とは何なのだろうか。実のところ、現状では、かなり分かりにくいのも事実である。多分、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議:内閣府)がこれまでリードしてきたものの、各省におけるイメージが、まだ統一ができていないのだろうと推定している。

 まずは、このサイトをご覧いただきたい。
 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/moonshot/dai1/siryo1.pdf

 これを見ても、ちょっと、地に足が付いていない感じがある。ムーンショットはAIだけではないはずだ。むしろ、今後の気候変動を前提とした、この日本という国土の保全を十分に確保するには、どのような対応をすることが最善の戦略か、などといった重大な課題に学問全分野が協力して総括的検討をすること方が重要のように思えるのだが。


C先生:ムーンショットと聞くと、ちょっと面白いことをやれそうな気配はあるけれど、その面白いことが、本当に、社会にとって役に立つような進化を生み出すのだろうか。

A君:確かに。またまた、インパクトファクターを稼ぐ研究が行われそうですが、本当に有用な研究になるのかどうか、それはいささか疑問です。そもそも、何がこの国にとって、何が本当に必要な研究なのかを考える必要がありますね。

B君:例えば、10月12日の台風19号の被害をどうみるかだが、どうも、日本の防災体制が徐々に劣化しているところに、地球温暖化によって海面温度が高くなったものだから、猛烈な勢力を維持したままで、日本列島に体当たりしてくる。そんな台風によって、甚大な被害を被るようになった。そんな感じだ。

A君:一週間ぶりに気象庁の海面水温のページを見ましたが、恐らく、黒体放射による遠赤外線を衛星で撮影した画像が元のデータだと思うのですが、最新が10月14日のデータなのですが、温度がかなり下がりましたね。特に、19号が通過した部分の温度が低い。それは、台風によって海がかき回されて、表層水と中層水が混じるからでしょうね。

B君:毎度言っているけれど、海面温度は27℃が鍵で、この温度を超す海面を通ることによって、台風は勢力を増強する。

A君:今年の例だと、太平洋側の海岸付近の海面温度がすべて27℃を超しているという状況も全く珍しくない。それどころか、27℃ラインが、日本海側にあるというのもごく普通になってしまいました。

B君:このような状況は今後もさらに進行することが考えられる。今回の台風19号の被害は、79人が死亡。行方不明8名。けが395人。52河川で決壊。2500棟が全半壊や一部損壊。床上浸水が2万4244棟。床下浸水が2万1413棟。しかし、これでもまだ「全容は不明」とNHKのサイト(10月20日現在)ではなっている。

A君:原因は、記録的な大雨が最大の被害を招いたと言えるでしょうね。それ以外には、暴風・高潮でしょうが。しかし、暴風は、羽田で34.8mだから、昨年の関西空港での台風21号の最大瞬間風速58.1mより遥かにマシだった。千葉を襲った15号よりもマシだったとも言える。

B君:昨年の台風21号の暴風は、大阪市中央区でも47.4mだった。車が普通に横転していたからね。最大予測風速は45mだったのに、なんとそれを上回っていた。

A君:今年に戻るけれど、経済的被害として、農林水産業の被害だけで382億円。ムーンショット予算の4割

B君:今回の河川氾濫だけど、少なくとも新潟県では、最新の洪水危険度を示す地図で、「もっとも低い(可能性がほぼない)川」が氾濫した。

A君:それでもまだましだったことが、高潮被害がそれほどあったとは思えないことですね。

B君:AERAdot.というニュースサイトがあるのだけれど、
https://dot.asahi.com/dot/2019101100078.html?page=1
台風による被害の未来予測はすごくて、もし台風19号級が東京直撃ならば死者8000人、被害総額115兆円という予測もある、という無責任な数値を上げていた。

A君:多少弁護すれば、東京都の防災担当者あたりと情報交換をしていたようで、1958年の狩野川台風との対比が行われていますが、ここがニュースソースだったのかもしれない。

B君:いやいや想定のソースは、東京湾で巨大高潮が発生したら、という仮定に基づく土木学会が2018年6月に発表した報告書だ。

A君:福島第一原発の事故以来土木学会の報告書は、信用していないですね。あのとき、産総研からの津波の警告があったことに対抗して、東京電力が土木学会に依頼して作らせたものだったと思うので。

B君:そのとき、土木学会は恐らく、東京電力に忖度して、そんな大規模な津波が来ることは予測できない、という結論を出した。そのため、例の東京電力の裁判で、トップ3名が無罪になった。被害予測ついては、「被害無し、あるいは、予測不能」という結論を出すときには、それに基づいて、企業が行動を決めると理解すれば、科学的なリスク評価の必要性を踏まえて、相当慎重であるべき。土木学会は、この原則を守らなかった。

A君:福島第一事故が起きてしまったとしても、現時点での原発のように、給水車、電源車、さらには、貯水槽などを10億円ちょっとぐらいの投資で備えれておけば、事故は起きたとしても、なんとなったと思います。

B君:たしかに、原発の核分裂は、地震動でが来れば、最初の2秒程度で止まる。止まるけど、冷やさなければ燃料棒が非常に熱いままなので、溶けてしまう。その防止さえできればよかったのに、福島第一には、冷却に必要な外部からの電源も配線の設計ミスで送電線が倒れ使用不能、給水車・電源車の準備はほとんど無かった。

A君:台風に戻ります。今回の被害の様子を見ると、奇想天外だったとは言えないが、まあ、死者8000人は、相当なる過大予測だと言える。過大予測が余り問題にはならないのが不思議だけれど。

B君:何はともあれ、徹底した国土強靭化を実現しないとダメだ。国がサボっていたら、結果として、被害を国民に押し付けることになる。

A君:しかし、国土強靭化といっても、この日本という国土の持つ脆弱性は大きいですからね。すべてやるとなったら、当然、相当なる出費。

B君:当然、強靭化オンリーで真正面から自然に闘いを挑むのは、効率的ではない。やはり、回避、避難、など身をかわす戦略と適切に組み合わせた総合戦略が必要だということだ。しかし、そこには、知恵が必要不可欠。

A君:平地の少ない日本国土ですからね。ただ、これから人口減少社会に入る。となると、地域特性に合わせて、最適な防災体制を構築するということも可能になるのかもしれないですが。

B君:まあ、そんなことだと思う。この件、具体的には、我々の手には負えないので、これ以上の深入りは不可能だ。

A君:それでは、本ページのメッセージとしては、次のようになります。
 以下にご説明する「ムーンショット」に1000億円を使うことと、国土強靭化の第一歩として、この1000億円を使うこと、恐らく、被害シナリオマップをしっかり作ることから始めることになると思うのですが、どちらが良いのか、お考えいただきたいと思います。

C先生:そんな問題提起で良さそうだ。

A君:それでは、ムーンショット研究というのものについて、我々の見解を開示します。

 「ムーンショット研究についての我々の見解」

 社会のシステムを変えたと思えることの例を考えれば、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などと呼ばれるような巨大組織が独自の考え方で挑戦し、それなりに世界を支配する状況もその一つ。しかし、考えなければならないことは、これらの巨大組織は、どの領域で競争力があるのか、と言えば、それは、インターネットというものを活用する能力に限られている。この延長線上にも、進化する余地はまだまだあるが、これだけが、ムーンショット研究なるものが目指すターゲットのすべてではないと思う。


A君:やはりムーンショットという言葉から説明しないとダメですかね。アポロ11号によって、月面着陸がなされたのは、1969年7月20日。これが「ムーンショット」。今年、丸50年を迎えたので、そのためにムーンショットといった言葉が日本でも使われることになったように思います。

B君:アポロ11号の成功以来、ムーンショットと言う言葉は、「困難だが、実現によって大きなインパクトをもたらす『壮大な課題、挑戦』」を意味するようになったとされている。

C先生:それ以外の場合もあって、英語では、こんな使い方もされるようだ。
"Ramirez hit an absolute moonshot into the left-field stands in the third inning" これは、野球の話だが。

A君:「壮大な課題、挑戦」は良いとして、その「壮大さ」とは実際には何を意味するのかAIのような「人間の知恵を代行する情報システム」が本当に壮大なのか。これは、単に、人件費を節約するシステムに終わるという可能性は無いのか。そして、人間から職を奪うだけになることはないのか。AIは、本当に、人類にハッピネスをもたらす技術なのだろうか。勿論、AI競争に負ければ、経済成長競争にも遅れるという主張には、妥当性がありそうな気がするが。

B君:「壮大な課題」だが、「挑戦」が成功することによって、「自然生態系や天災への対応を含めて、地球の持続可能性が増大すること」が、現時点だともっとも重要な「人類の課題」である。このようなことが、日本のムーンショットでは、無視されているように思える。

C先生:ここ半年ぐらいで、2回ほどCSTIに呼び出されたが、恐らく、CSTIの委員の考え方が、経済成長&関連組織への予算配分に偏っているのだと思う。別の角度から見れば、CSTIには、地球温暖化による被害が本当に分かっている委員が不在、あるいは、分からないふりをしている、のいずれかだ。さらに言えば、これは、CSTIによる現政権への忖度だと言えるかもしれない。むしろ、本記事の主題を大幅に拡張して「持続的な幸福度の向上に寄与するイノベーション」のようなものを目指す方が、よりムーンショット的であるように思えるのだが。

A君:いきなり結論みたいな議論になったのですが、その成り立ちから順次説明します。
 まず、最初にムーンショット型研究を知ったのは、4月15日に内閣府によって公表されたこれです。
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20190315moonshot_kobo.html

B君:4月15日段階だと概要は、以下の通り。
 『従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を推進する「ムーンショット型研究開発制度」の創設を進めております。』
 『本制度の特徴として、未来社会を展望し、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される社会課題等を対象として、国が野心的な目標(以下「ムーンショット目標」という。)を掲げることとしています。』
 『本募集では、国がこのムーンショット目標を設定するに当たり、一般の方々が解決を期待する社会課題やその際に実現すべき未来像(応募フォーム記入欄1-2)をご提案いただくものです。また、それら実現可能性を示す研究開発アイデア(任意:応募フォーム記入欄1-3)がございましたら、合わせてご提案願います。』
 『なお、本募集は研究開発アイデアを採択するものではありません。研究開発アイデアの採択については、ムーンショット目標設定後、改めて募集することとしております。』


A君:まずは、目標を決めて、それから、その目標を達成するような研究開発アイディアを募集するということだけれど、本Web記事を書いている段階だと、まだ、その目標は提示されていない。

B君:「ムーンショット・ビジョナリー会議」というものが設定されて、かなり自由な議論が行われたような気配だ。

A君:その通りです。このビジョナリー会議のビジョナリー委員のメンバーを誰が選んだのか知りませんが、かなり異色な人材が集合しています。
 
ムーンショット・ビジョナリー委員
江田麻季子 世界経済フォーラム 日本代表
落合 陽一 メディアアーティスト 筑波大学 准教授
尾崎マリサ優美 アーティスト (スプツニ子!) 東京大学 特任准教授
北野 宏明 ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長、所長
小林 喜光 経済同友会 代表幹事
株式会社三菱ケミカルホールディングス取締役会長
西口 尚宏 一般社団法人Japan Innovation Network専務理事
藤井 太洋 SF作家

C先生:そして、政府側からは、各省からキーパースンが出席したようだ。

B君:結局のところ、新しくイノベーションを作り出すことが目的だとして、どのような対象を優先的に取り上げるか、といった議論から始めるのだろうか。

A君:多分、そうなのでは、と思いますね。しかし、どのような対象を取り上げるといっても、様々な考え方があるでしょうから、定型的な考え方は不可能なのでは。

B君:定型的というものは確かに無いような気がするけれど、しかしながら、一般的に言って、それほど多くの方法論があるとも思えないのだ。イノベーションというものは、なんらかの問題を解決する手法ではあるので、「その問題を解く」というニーズがまずあることが条件。すなわち、イノベーションとは、ニーズ・ドリブンの一つの解決方策である。もう一つは、何か新しいネタが出てきたときに、そのネタの拡張を考えるというシーズ・ドリブンの場合もある。これらは、一つの分類に過ぎないけれど、いかなるケースでも、このような分類は可能だと思う。

A君:それ以外に、ニーズでもシーズでもないものとして、「なぜか出来てしまったという偶発的ケース」もあるけれど、このタイプのもっとも普通のケースは、何かニーズがあって色々とやっているうちに、別の目的を満たす成果が出た、というケースが多いのではないですかね。

B君:多分そうなのだ。しかし、今回のムーンショット研究というのは、何か、非常に大きな枠組みを設定して、その実現を直線的に目指すといった方法論になるのではないだろうか。前半の話題に戻るけれど、先日来の台風がどうしても気になるので、「自然災害の事前予測モデルが可能とする事前対応の精緻化による効果的な防災」とかを提案したい。

A君:やる気になれば、自然災害の詳細な予測モデルは確かにできそう。

B君:ちょっと発想のレベルが低いけれど、Google MapのStreet Viewを撮影するよう車を走らせて、その道路が、強さの異なる台風が来たときに、どのような被害を被る可能性が高いかを画像から予測し、もし必要ならば、事前に危ない木は伐採してしまうとか。

A君:それぞれの河川の雨に対する反応を、あらゆるケースを想定して、しっかりと把握しておいて、確実に警報を出すシステム、などというのも有りそう。この場合には、その流域における雨量を正確に把握できるシステムを同時に構築する必要があるけれど、そろそろ本気で検討をすべきではないでしょうか。

B君:この2つのシステムであれば、AI機能を活用することも不可能とは言えない。

C先生:まだ、何も決まっていないに等しいので、これ以上議論をしても余り有効とは言えない。そこで、日本のムーンショット研究に相当するような仕組みが、他の国などでどのように行われているかをチェックしてみよう。

A君:了解です。答はすでに分かっていまして、EUと米国について記述すればそれでそれで良いのでは。

B君:EUはHorizon2020という名前で、同様の先端的な開発研究に投資しています。もっとも、2014年から始まって、2020年には終わるのだけど。
https://ec.europa.eu/programmes/horizon2020/en

A君:このWebサイトの最初の1文をご紹介。
 Horizon 2020 is the biggest EU Research and Innovation programme ever with nearly 80 billion of funding available over 7 years (2014 to 2020) in addition to the private investment that this money will attract. It promises more breakthroughs, discoveries and world-firsts by taking great ideas from the lab to the market.
 一応、日本語訳も。
 Horizon 2020は、EUの研究・イノベーションプログラムとして最大のものであって、ほぼ800億ユーロを、2014年から投資を開始し、2020年に終わる。さらに、この予算のお蔭で、企業などから集まる研究費もある。このプロジェクトで、より多くのブレークスルー、発明、そして、世界で最初の技術が実現することを約束できる。研究室から市場に、多くの偉大なアイディアを動かすことによって。

B君:Horizonはいくつかのジャンルに分かれている。
★Excellent Science
★Industrial Leadership
★Societal Challenge
★Spreading Excellence and Widening Participation
★Science with and for Society
★Enhanced European Innovation Council Pilot

A君:さらに、2018年からは、予算をよりフォーカスさせることになったようです。

B君:さらにこのHorizonのために、EIT=Europiean Insititute of Innovation and Technologyというハンガリーのブダペストにある組織を、活用することにした。EITのミッションは、というと、ヨーロッパの競争力向上、持続可能な経済成長、雇用の拡大、などを目指して、ビジネスセクターと大学や研究所の協力関係を改善すること。すなわち、EITは、Horizon2020の不可欠な部分である。

A君:続いて、米国ですが、米国は、ARPAという枠組みがあります。Advanced Research Projects Agencyの略でして、以前は、Defence Advanced Research Projects Agencyでした。現時点だと2007年に、APRA−E、EはEnergyですが、がUS Department of Energyの中に作られました。

B君:日本で言えば、資源エネルギー庁の中にエネルギー関連の基礎研究組織ができたような感じ。

A君:日本にも欲しいですね。資源エネルギー庁の現実的な知識は、どうも、電力会社に依存しているような気配があるので。なぜなら、資源エネルギー庁は、実質上、ほとんど事務官で構成されているような感触なのですが、間違っていますかね。

B君:採用実績を調べてみたのだけれど、資源エネルギー庁だけのデータは見つからない。2017年の経産省の採用実績は、資源エネルギー庁などを含めて、行政系の技術系は16名。事務系27名。技術系の専門分野は、2017年だと、電気・電子・情報が4名、機械3名、土木1名、建築2名、物理1名、化学4名だ。

C先生:良くは分からんが、電力系の専門家は、少ないと見て間違いは無さそうだ。だからということではないとは思うけれど、米国のARPA−Eなる組織が、2007年に作られて、そこが、先端的な研究を行い始めた。パリ協定の2015年の8年も前に、これを作ったのは、やはり米国の未来展望力の強さなのだろうか。

A君:日本の場合だと、その時点では、電力中央研究所に任せておけば良いといった感触だったのでは。

B君:しかし、それが2011年の東日本大震災で、ある意味、ぶっ飛んだ。それ以後、電力の自由化は行われたけれど、それが却って電力会社の活力を削ぐことになって、現時点では、どこも頼りにならない状態になった。

C先生:産総研にもパワーエレクトロニクスを研究している部署もあるし、福島には再生可能エネルギー研究センターがあるのだけれど、電力システムという全国レベルの実務的な観点よりも、いずれも、個別技術の研究になっているような気がする。それも当然で、日本の電力システムをどうするか、といった問題解決型の興味から研究したところで、論文が書けるような成果が得られない。だから、大学人は取り組まない。産総研も研究所なので、やはり、先端的な論文が書けることが優先される。

A君:という訳で、本来的に言えば、今回のムーンショット計画のような体制を電力システムのような、一見地味な分野にも設置すべきだと思うのだけれど。

B君:しかし、残念ながら、それは、科学技術・イノベーション会議の役割でもないのだろうね。ある種の利権は確保しないと怒られる、と考えるのが普通


C先生:かなり長くなった。そろそろ結論にしたい。ムーンショットが、もしも学者のためのシステムになってしまったら、それは、後悔すべき状況だと思う。やはり、日本社会の未来にとって有用な技術開発や、今後の変革が要求されるエネルギー分野などには、特別の配慮が不可欠。エネルギー問題が自国内で解決可能な米国ですらARPA−Eを2007年に作ったが、エネルギーの未来像が書けない日本のような国が、何をモタモタしているのだ、という感覚を持っている人間が、政府内にもともと少ないのが最大の問題。その理由だが、日本では、「学者は、自分の専門外のことなどには、関心を持たないで、常に、自分の専門のことだけを考えている態度が良いことだとされている」。そんな風に思えるのだ。
 やはり、大学受験システムを根本から変えなければならないのかもね。10月4日の日経の記事なのだけれど、「現在の大学の受験のシステムが、AIに取り組む人口を増やせない国にしているのが日本という国だ」、という当たり前の指摘があった。確か、いくつかの小学校ではプログラミングなども習うようにはなったようだが、公立小学校では2020年から、中学校では2021年から、やっとプログラミング教育が必修になる。しかし、学習内容の具体案は、新学習指導要領に基づいて、各市町村の教育委員会や教育現場で詳細が定められるとのこと。これだと、内容に関する地域差が相当なものになりそうな感触だし、さらに、その進度の地域内の差が大きなものになりそうだ。まずは、有能な先生を作ることから始めることになるだろうから、有効に機能するには、時間が掛かるだろうね。色々と限界のある国、日本。その将来が心配だ。