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  牧之原市「環境を考えるシンポ」   01.18.2009
     



 1月17日、静岡県牧之原市で行われた「環境を考えるシンポジウム」で基調講演をする機会があった。

 牧之原市は、4年前にできた新しい市で、人口はちょうど5万人。

 このシンポジウムが行われた理由は、平成20年度の1年間をかけて、環境基本計画を自力で策定することを実施中で、その普及事業の一つ。

 講演題目は、「市民・事業者・行政との協働による環境自治体づくり」というものだったのだが、実際には、地球環境との整合性を考える必要性を強調したような形。

 協働の話は、あまりチャンスがなくてやらないのだが、「行動」「自己主張」「哲学」の3種をそれぞれの主体が連携をもって行うことが協働の実態であるという昔から考えている話をした。


C先生:牧之原市は新しい市なので、初めて訪問した。もっともこの近くの御前崎や浜岡には、行ったことがあるので、いつだったか不明ではあるが、この地域は通過したことがあるものと思われる。

A君:牧之原市の範囲を調べてみたら、非常に広いですね。平成17年10月11日に旧相良町と旧榛原町が合併し、「牧之原市」が誕生したようですが、北は新幹線と新しく誕生する静岡空港が含まれていて、東名高速だと牧之原サービスエリアと相良牧之原インターチェンジがある。南は、もうちょっとで御前崎というところまで広がっている。

B君:面積が111.5平方キロ。人口が5万人。牧之原台地で、お茶の生産をしていて、これまで日本最大のお茶の産地ということだったらしい。どうやら南九州市に荒茶の生産量でトップを奪われた。

A君:南九州市というところがあるのを知らなかった。調べたら平成19年12月1日に合併でできている。

C先生:今回、牧之原市というところがどのようなところかを見ながら行くために、プリウスを運転して出かけた。牧之原サービスエリアの手前から、登坂車線があってかなり高度を稼ぐ。標高を測ってみたら173mと出たが、GPSなので怪しい。
 そのちょっと先に、相良牧之原インターがあって、その付近はお茶畑だ。富士山が見えるお茶畑の写真を撮りたかったのだが、時間的余裕が無かった。
 代わりに、牧之原市が使っている写真をちょっと借用してしまおう。



写真 お茶畑と富士山。牧之原市が使っている写真を借用。

B君:相良牧之原インターは、東京から196.6km。結構遠いとも言える。この完成は、1993年。もともと、吉田ICの次は菊川ICだった。そこに、新たにインターチェンジが欲しいという運動が1970年代から起きて、1988年、第三セクター牧之原総合開発公社が設立されて、総額45億円の建設費のうち29億円を負担。この借入金を返済するために、白井工業団地を建設し、その分譲をしたが、 バブルの崩壊があって、思うように売れず、結果的に27億円の負債がのこった。結局、金融機関がこの不良債権を負担した。

A君:アメリカのサブプライムローンが2008年。その10年以上前に、日本という国は、バブル経済が崩壊している。相良牧之原インターにもそんな歴史があるのだ。

C先生:インターチェンジを出て、南に向かうのだが、かなり緩やかな下り坂が続く。最初のうちは茶畑だったが、すぐに農地になる。そして、外からは見えないが、スズキの工場が左側にあるようだ。その他、製造業としては、矢崎グループの国内企業の一つ、矢崎部品株式会社が榛原にあるようだ。お茶飲料の伊藤園の工場の隣を通った。容器と言えば、東洋製缶も牧之原市に工場があり、また地図を見ていると、TDK、小糸製作所の工場もあるようだ。

A君:磐田、浜松、豊田という自動車やバイクなどの産業があるから、いろいろな製造業がある。お茶だけという土地ではなさそうですね。

C先生:確かにそうなのだが、普通に車を走らせていると、やはり農業地域だと思った。

B君:駿河湾の長い砂浜がある。大井川が吉田町で駿河湾に注ぐ。砂浜は、ここからの砂の供給でできたのだろう。

C先生:どうもウミガメの産卵地になっているようだ。

A君:パネルディスカッションのメンバーにウミガメ保護のNGOが居たようで。

B君:そのNGOの最大の問題が、砂浜の縮小。砂そのものは、ダムの建設によって、砂の供給量が減少しているから、どこでも同様の問題がある。さらに、このところ海流の温度が上がっているから、海水の膨張で、潮流のレベルが上がっていることだろうか。

C先生:こんなところで牧之原市の環境の大体のところはカバーできたかもしれない。

A君:そこで環境基本計画が作られようとしている。資料を見ると、市民2000人、事業所250社、中学生292人にアンケートを取って、意見を聴取しながら、進めようとしている。

B君:どこかのコンサルに頼むことなく、自前の事業としてやる姿勢だな。

A君:「うみ、そら、みどりと共生するまち」ということが基本。具体的には、1.自然環境、2.資源循環、3.生活環境、4.地球環境、を主な4目標とし、加えて、環境教育を推進しようということのようです。

B君:まあ、自然に恵まれた自治体としては、当然のことながら、こんなところになる。この牧之原市には里山、里海の両方があるし。

C先生:その中で、地球環境に取り組む具体策を練るには、こんな理解をして下さい、という講演を行った訳だ。

A君:地球環境としては、「新エネルギーの導入の推進」「省エネルギー対策の推進」の2点が挙げられていますね。

B君:それも当然で、CO2排出抑制ということになると、自然エネルギー導入、高効率化、CCS、原子力と4つの方法論しかない。後者2つは、自治体としては言えることではない。

C先生:中部電力の浜岡原発がかなり近い。今回のシンポジウムの会場になった相良総合センターから直線距離で7.7kmぐらいのところだ。したがって、原子力反対運動もあるようだ。しかし、この相良総合センターも、駐車場から会場に行く途中に看板があって、電源立地促進対策費で作られた施設だった。

A君:浜岡原発の地元は、御前崎、掛川、菊川、牧之原の各市ですからね。御前崎市68・5%、牧之原市17・2%、菊川、掛川市7・15%という分配になっているようですが。

C先生:シンポジウムだが、西原茂樹市長も参加してパネルディスカッションが行われた。環境対応もなかなか熱心で、エコアクション21を最初に取得した静岡県内の市が牧之原市だ。静岡県は、エコアクション21の取得にも熱心で、取得数では、今のまででトップという実績なのだ。

A君:環境基本計画を決めることは重要ですが、自然保護などということになると、どうしても基盤的。ごみ問題は緊急の問題である可能性は高いですが。

C先生:ごみは、合併してできた牧之原市だけに、もともとの榛原、相良で処理の方法が違う。相良は、恐らく焼却能力が高い清掃工場をもっていると思われる分別法になっている。

A君:榛原地区の分類の仕方で、プラマーク無しプラスチック、プラマーク付きプラスチックという分別をしているのが面白い。

B君:プラマーク無しのプラスチックがどう処理されているのだろうか。

C先生:地球環境という問題になると、交通が大きな問題なのだが、やはりこの地域は車が必須。公共交通はバスが多少という程度だ。もっとも近い東海道線の駅が、市役所からで10km以上先。

A君:このような地域は、通勤がやはり自動車でしょうから、そこを電気自動車にすることがやはり最善。そして、電気自動車の充電を、風力発電などの自然エネルギーで行うというのが、面白いシナリオになると思うのですが。

B君:風が強そうなので、風力発電は可能性がある。

C先生:市長の西原氏は、ブログを公開している。
http://www.nishihara-shigeki.net/
 その1月16日分に、風力発電の話が出てくる。現在、1500kWの発電機1基だが、現在、2000kWの4基を増設中。
http://www.shirakawa-ec.co.jp/wind_dev_intro.html
 風力発電の電力の安定化に電気自動車の電池の充電を活用するということが面白そうなのだが、ここまで大規模と大変なことになるかもしれない。

A君:エコアクション21の対応として、市の職員の車使用自粛などもしようとしているようですね。

C先生:市役所は平坦なところにあるようなので、自転車という手もあるかもしれない。ただ、町の構造が車よりになりすぎているのが問題かもしれない。

A君:新エネルギーとしては、当然、太陽電池もある。

C先生:屋根をいろいろと見渡したが、太陽電池はほとんど見かけなかった。この地域は晴天率が高いと思われるので、太陽エネルギーの利用には向いている。

A君:矢崎グループが居るのだから、太陽熱利用はもっと進めるべきなのでは。

B君:矢崎は、日本の太陽熱利用の大メーカーだ。ゆワイターは有名。

A君:ウェブを見たら、現在、3種類の製品を作っているようですね。まあ、どのメーカーも大体同じなのですが。
(1)ゆ太郎:直接水を加熱する通常の屋根置き型。
(2)あつ太郎:不凍液循環の給水直結型の屋根置き型。
(3)あっちっち:タンク型。C先生の自宅にあるタイプ。

B君:あつ太郎というものが、冬の太陽を角度を考慮した60度といった設置角にできるかどうか。普通は、タンク部を上に設置するのだろうけど、これを逆に下側に設置することも可能になるように設計しなおせば、これが比較的安価かもしれない。

C先生:タンク型の設備は、本来、地上にタンクを置いて、受光部は屋根にという設置法。我が家の場合には、どうせすべて屋上にあるので、あつ太郎式にタンクが受光部に直結していても問題はない。確かに、タンク部が下にないと、不安定な構造になりそうだ。

A君:太陽熱温水器の導入が経済的に見合うかどうかを検討してみると、石油やLPGの価格が高くないと、なかなか見合うものではない。またまた原油価格が安くなってしまったので、普及が難しいのではないですか。

B君:太陽熱の利用形態としては、極めて合理的な方法なのだ。装置としては積分型なので、揺らぎが多少あっても全く問題にならない。太陽電池の発電量を見ていると、晴れていても、ちょっと雲が掛かったりすると、とたんに半分以下になる。お湯なら、多少、雲が掛ろうが、最終的な結果への影響は少ない。

C先生:あと推薦しておいたのが、住宅の断熱の推進。太陽熱利用で冬季のCO2発生事実上ゼロという住宅を作ることが可能なのではないだろうか。

A君:風が強い、日照時間が長い、という特徴がある地域なので、自然エネルギー導入のモデル都市としてなんらかの申請を行うことができれば、若干の補助金も受けられるのでは。

B君:静岡県は環境対策になかなか熱心な県なので、競争が激しいのかもしれない。しかし、エコアクション21にも見られるように、牧之原市は先頭を走る意識があるのかもしれない。

C先生:西原市長は、まだ51歳と若い。現時点での最大の関心事は、榛原病院が無くなってしまうことのようだ。確かに、医師を確保するのが難しい。地域医療のために医師をそうやって確保するのか。こんなことが問題になるのも、自由経済が進みすぎた一つの副作用だろう。

A君:最近の噂では、東京の都心でxxクリニックといったようなものを開業して、重大な病気は見ないという営業のやり方が、訴訟リスクもなく、売上も大きいということのようですからね。

B君:今でも、自治医大はそうだと思うが、地域での医療に従事することを義務化すべきかもしれない。

A君:国立大学、公立大学は、かなりの費用負担を「公」がしているので、その見返りを要求するのも当然なのでは。

C先生:今回、牧之原市でほぼ丸1日を過ごしてみて、やはり地域というものは大変なのだというのを実感できた。
 いろいろと調べてみると、文化的な行事も様々なものがあるようだ。もうひとつ最後にお奨めしたことが、農業にしても、工業にしても、地域の文化的価値を付加することによって、より高い価値をもった産物・製品を作るような方向にすること。
 これまでのような安価な製品を大量生産で供給するやり方は、中国などにかなわない。そして、中国もそのうち、ベトナムにかなわないという状態になるのだ。
 日本としては、デンマークが最近目指しているような、「デザインと匠の技術で高価な製品」を作って、先進国へ供給するといった方向性への転換を地域主導でなんとかできないものだろうか。
 最後に、自分で撮影した写真も1〜2枚。やはり、静岡県の最大のアトラクションは富士山だ。



写真 静岡市の夜景の向こうにかすかに富士山。



 写真 富士山の夜明け。以上、いずれも焼津のホテルより。