| マイナスイオンの終焉 12.03.2006 ![]() |
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未科学としてのマイナスイオンは、やっとのことで終焉に向かいつつあるようだ。いつかまた復活するのではないか、という恐れから、定点観測などをしてきたが、これが最後になることを望みたい。 C先生:マイナスイオンが最盛期だったのが、2002年ごろ。しかし、このHPでは、2000年末に最初の記事を書き、インチキだと決めつけたのが2001年8月のこと。 C先生:本当にその通り。学生あたりに「マイナスイオンとは何か」、と聞いてみると、そういう返事が来る場合が非常に多い。 B君:テレビがマイナスイオンを普及させた。この国は変な国で、テレビに多く出演する人がもっとも偉い。テレビはウソを言わないと思っている。 A君:新聞を読まない人は非常に多数いるようだが、テレビを見ない人は、まだまだ少数派。大多数は、テレビ信仰が強い。しかし、テレビの情報ほど当てにならないものはない。 C先生:まずは、定点観測から行こう。現時点で、マイナスイオンを標榜している製品がどこからどのぐらい出ているか。 A君:実は、昨年は定点観測を実施していません。一昨年は、9月にやっています。 インターネット(Google検索結果) キーワード(複数あり) (1)トルマリン マイナスイオン 434,000 36、400件 (2)マイナスイオン発生器 296,000 26、400件 (2−6)マイナスイオン 放電 71,200 5、790件 (3)除菌イオン 416,000 11、100件 (4)マイナスイオン 静電気 141,000 10、300件
A君:インターネット全体の情報量は増えるばかりですから、何か、標準的なキーワードを用いて、基準を作らないと駄目のようですね。 C先生:ブログが増えたというのが大きな理由かもしれない。トルマリングッズはどうやら衰退傾向が大きいと読めるが、マイナスイオン全体としては、なんとも言いがたい。除菌イオンの加湿器などは本当にこれで正しいのか、といった伸びを示している。いずれにしても、インターネットから傾向を読み取るのは難しい。これは、検討課題だ。何を基準として世の中の情報が増えた減ったを判断すべきなのか。 A君:個人名では駄目。企業名でも難しい。さて。 B君:個人名でも歴史的な人名であればどうだろう。 A君:テレビで大河ドラマが行われれば、情報量は増えるでしょう。 B君:これは自分のためだが、今回、デカルト、ベートーベン、レンブラント、菅原道真などのGoogleでの検索数を記録しておこう。将来役に立つかもしれないから。 デカルト 510、000件 ラヴォアジェ 1、250件 A君:有名度に比較すると、ラヴォアジェ、ベートーベンの件数が少ないような気がしますね。 B君:モーツアルトは、964、000件なんだけどね。 A君:ラヴォアジェは、近代化学の始祖みたいな人なのに少ない。 B君:なるほど。それを上の表に追加しよう。 C先生:それはそれとして、マイナスイオンの検索結果についての話に戻れば、除菌イオンがかなり勢力を増やした。これはシャープとそこから発生器を買っているところ。その他のものだと、解釈が難しいものばかり。 A君:除菌イオンがいつまでもつのか。これはしばらく定点観測を続ける必要があるかもしれませんね。 B君:除菌ということについての現代人の理解は異常。病院以外だと、除菌しても、健康上はなんのメリットも無い。部屋干しでの生乾きの洗濯物の臭いが消えるぐらいなもの。まさに「清潔は病気だ」(藤田紘一郎先生)で、却って健康にはマイナスであることを教育しないと。 C先生:それでは、各社のHPの中で、マイナスイオンあるいは除菌イオンという言葉がどのぐらい使われているのか、その定点観測を行おう。 調査その1: 各社ホームページ内を「マイナスイオン」、「除菌イオン」にて検索したヒット数 2006年 2004年 2003年 A君:こちらは、比較に値する件数のようですね。 B君:もともとヨドバシカメラでの商品取扱量が非常に多かったのだが、ビックカメラがその真似をしたのか、10倍近くに増えている。 A君:ところが、まともな企業は、件数が横ばいか減らしている。 B君:横ばいということは、恐らく、古いHPが残っていると解釈すべきなのだろうから、増えていなければ、情報量としては減っていると考えるべきだろう。 A君:とすると、電機会社やエアコンメーカーでは、 B君:電気製品以外では、まともな企業のHPからはかなり情報量が減ったように見える。例えば東レの激減とか。 C先生:電気製品は、効果があるかどうかは別として、確かに何かをやっている。しかし、布団とかグッズとかいったもの、あるいは、印刷インクとか飲料容器とか、そんなものは、完全なるインチキあるいは放射性の物質の利用だから、減って当然。未だに増やしているのは、その企業が2.5流以下であることを自ら証明しているようなもの。 A君:そろそろ次の話題、東京都からのマイナスイオン商品の表示に関する調査・検証の概要に行きますか。 B君:この報告書は、表紙に説明があるように、「景品表示法の立場から、科学的な視点で検証したもの」。要するに、マイナスイオンそのものを科学したという訳ではない。まあ、当然でもあるのだが。 A君:ただ、その説明に「全てのマイナスイオン商品の効果・性能を否定したりするものではありません」、という表現があるが、これを書かなければならないのが、限界と言えば限界。 C先生:本来、マイナスイオン商品が有効であるという科学的な評価はメーカー側がすべきことであって、こんなことを注釈で書かなければならない理由などはどこにも無いのだが。 A君:取り扱っている商品は、布団2種類、携帯マイナスイオン発生器2種類、空気清浄器、装身具2種類、矯正ベルト。 B君:方法は、メーカー側に、表示の根拠、すなわち、健康に良いといった表示の根拠となる客観的事実について質問。事業者からの回答について、専門家の助言を得ながら、これを科学的な視点から検証・評価するとともに、再質問を行う。といったやり方。 C先生:なんとなく懐かしいが、マイナスイオン発生量は、個数/ccで表示されてようだが、使用実態に即した測定結果ではないものもあったとのこと。 A君:もう少々具体的に述べましょうか。 B君:要するに、最初からデータを真面目に取る気などは全く無いものと思われる。そのくせ、布団Aは、「全身をマイナスイオンで包んで、質の高い眠りを提供します」とし、その根拠として、「マイナスイオンはα波を増加させる」としているが、その根拠とする提出資料によれば、その実験は、「水破砕式のマイナスイオン発生器を備えたスチームサウナ室で得られた結果」だった。 A君:それならスチームサウナ室で、その布団を掛けて寝たら効果抜群でしょうね。 C先生:ここまでインチキなのに、それが見抜けない消費者が情けない。メーカー側に対して、やはり景品表示法ではなくて、詐欺罪を適用するぐらいのお灸が必要だろう。 B君:この報告書も悪くは無いが、本当の効果を考えたら、メーカー名とその代表者、販売企業の名前とその代表者の名称ぐらいは公開すべき。 A君:自治体では、そこまでできないのが現状。やはり、日本全体としてのキッチリした法制度を作る必要がある。 B君:現状、日本という国は、情報公開というものに対する態度があいまいすぎる。 C先生:今回のデータで面白いのが、ゲルマニウムブレスレットだ。ゲルマニウムなどというものは、人体に対してもともと効果の無いものなので、どうやって効果があるという論理を作っているのだろう、と思っていたら、どうやら放射性物質を含ませているらしい。勿論、それが効果を生む訳でもなんでもないのだが。こうなるとゲルマニウムも詐欺のキーワードだと考えて良いだろう。 A君:最後に、マイナスイオン商品に関わる消費生活相談の状況というページがあって、そこにいくつか恐ろしい実態が記述してあります。 B君:会員制のインチキ商売のネタか。この会員制の商売の根は深い。やはり、何をやっても金を儲けたいという社会なのだろう。 A君:さらに行きます。 B君:まるで弱いものイジメだな。学校のイジメも悲惨だが、このようなイジメも罪深い。 C先生:まだまだマイナスイオンへの不思議な信仰をもっている人々が多いようだ。それを詐欺に利用するために、不思議な効果のウソ話をばら撒いている人が居るということだろう。 A君:それでも、最近は、マイナスイオンというとインチキだと言う人も増えてきた。 B君:それは、インターネットの効用でもある。 C先生:その通りで、Googleでマイナスイオンと検索すると、最初の三件がいずれもマイナスイオンの欺瞞を追及する記事。3番目に本HPの記事が出てくる。 A君:Yahooでも似たような状況。 C先生:特に、上位に出てくるWikipediaのマイナスイオンの記述はなかなかの出来。 B君:しかし、gooだと、スポンサーリンクが先にくるので、マイナスイオンの否定的な記事は後回し。 C先生:さらにひどいのがMSNの検索。否定的な記述が最初のページには出てこない。本HPの読者諸氏へ。まだまだ否定的な記事が足らない。是非とも増やして欲しい。 |
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