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    ますます不安になる未来への対応 
       バラバラになる世界
 12.28.2019
               



 今年最後の記事ですが、まず、今年をどう評価するのか。そのあたりから、始めますか。
 今年の様々な事態から推測できる日本という国と日本人の特徴を順不同に考えてみましょう。
(1).日本における15号、19号の台風など、想定外の気候災害が、世界全体で起きた年だった。 → これは事実の記述。
(2).しかし世界が一体となって、気候変動を止めるという機運になっていない。それは、ぞれぞれの国の主張が異なっていることが原因。
 このままだと、来年の日本には、巨大台風が3つ、再来年は巨大台風が5つが来ることを覚悟しなければならない。
(3).COP25も合意できないままだったので、パリ協定は詳細も決められずにスタート
(4).日本という国が、石炭をなぜ止められないのか。その理由が十分に説明されていないままである。政府の公式な説明が不可欠なのに、実施されない。
(5).原子力規制委員会による法外なまでに厳しい基準を満たしているのに、日本国民の多くは、再稼働する原発を、相変わらず福島第一原発と同程度の安全性だと考えている
(5’).これは某有力起業家から聞いたことであるが、日本では、「七転び八起き」は丸でウソで、「一転びアウト」である。確かに、原子力は確実に福島で転んだ。
(5”).別の可能性として、日本人の感覚としては、「一度事故を起こしたら、それら(同類)はすべて穢れている」という解釈もあり得る
(6).前項の続き。真実を言えば、福島第一原発は、東京電力による人災であった。電源車・給水車が各10台ほど準備してあれば、起きなかった事故だろう。すなわち、完全なる人災である。東電は、一体、いくらの投資をケチったのだろう
(7).情報を中心とした科学技術の進歩は確実に進行。特に、AI系の技術は今後ますます進化の速度が速くなるだろう。しかし、副作用が出る可能性が大である。
(8).現在の大学教育では、25年後の未来に対応できる知識と発想をもった学生の養成は、極少数しかできていない
(9).AIが進化することで、企業における一部の作業の効率は格段に向上するだろう。
(10).しかし、AIが進化すれば、「役立たず人間」を多数生み出すことが一部の人々を除いて認識されていない。当然、対策も考えらていない。
(10’).災害による被害の拡大を防止するAIの導入などによって技術開発は、依然として未開発のまま放置されるだろう。
(11).結局、日本経済の超短期的な競争力を高める政策だけが推進される国となった。


C先生:いつも言っていることになるけれど、目前の最良の選択肢を選ぶのではなくて、長期的にみて最良の選択肢を選べるような「未来を読める発想」を身に着けないと。。。

A君:実は、先ほどまで、「未来を読む。。。。」という本を読んで、若干議論していたのですよね。

B君:大野和基という著者が、これからご紹介する人々にインタビューを行ってまとめた本だということ。
  「未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすか」 
  PHP新書 2018年6月29日 初版

A君:大野和基という人ですが、1955年生まれだから、かなりのベテラン。東京外語大学英米学科卒業、そして、1979年から1997年は米国在住。コーネル大学、ニューヨーク医科大学、などで学び、帰国後も取材のために頻繁に渡米。Amazonを探すと、共著も含めて15冊以上の執筆・翻訳をしている。

B君:いずれにしても、彼が、有名な未来学者など8名の自宅などを訪問して、まとめた本だ。第1章は、ジャレド・ダイアモンド氏だけれど、先週の記事になってしまったので、ここは目次のみとするか。

第1章 資源を巡り、文明の崩壊が起きる
*「明日以降の世界」はどうなるのか
*日本は人口減少を喜ぶべき
定年退職を禁止し高齢者の活用
*ニューギニアの老人には「孤独」が存在しない
*ノーベル賞受賞者がアメリカでは圧倒的に多い理由
*格差がもたらす三つの新たな脅威とは
*伝統的社会から学んだこと
*多様な伝統的社会を比較すれば、巨視的な真実が得られる
戦争で死ぬリスクより、風呂場で死ぬリスクに注目せよ
*「グローバルな崩壊」の淵で
*持続可能な経済はつくれるか

A君:一言だけコメントすれば、「日本は人口減少を喜べ」というのは、正しいと思います。

B君:もう一つだけ言えば、「定年制を米国のように法的に禁止する」のは必須だろう。1960年に米国では定年を違法とする年齢差別禁止法ができた

A君:それでは次へ。ユヴァル・ノア・ハラリ氏。1976年生まれ。ヘブライ大学(イスラエルの国立大学)を卒業し、オックスフォード大学へ。世界的ベストセラーになった「サピエンス全史 上・下」の執筆者。現在、ヘブライ大学終身雇用教授。

B君:この本は3人とも読んでいない。これはまずいかもね。なんとかしよう。

C先生:いや、その本なら、ここにある。最後の章が、第20章で、「超ホモ・サピエンスの時代へ」となっている。しかし、これは、自然に起きることではなくて、ヒトが起こすという意思を共有した場合に起きることなのだと思う。例えば、AIにしても、良いことばかりが起きる訳ではない。恐らく、AIによって、ヒトの能力の選別が極めて高度に行われるようになって、ある種の職業は消滅するという可能性がある。それを人類が選択するというシナリオになっているのが、「サピエンス全史」のように思われるのだ。その先の世界として、全く別世界、例えば、過去の世界を望む人が居ないとは決して言えない。現時点では、このような考え方をする人間はメジャーな存在ではないことも事実だし、シンギュラリティーと呼ばれる特異点がやってきて、未来社会の支配者は、現時点でのホモ・サピエンスが共通に持っている常識とは全く違う常識を持っている可能性も無いとは決して言えない。しかし、意外なぐらい人間という存在は保守的な存在であるということが、このハラリ氏の意識から意図的に排除されているような気がする。特異点が、経済的なメリットを本当に生み出すとしても、それが、非常に不公平な形でしか来ないのかもしれないことが、恐らく現実だと思うが。

A君:確かにそのような可能性が高いですが、ハラリ教授による第2章の記述の一部は、事実になってしまうような気もします。それは、これです。ポジティブではありますが、かなり刺激的な変化の提案です。

第2章「近い将来、『役立たず階級』が大量発生する」
*虚構の奴隷になるな、虚構を利用して利益を上げよ
*ストーリーを守るために戦争が生まれる
*人類はパワーを幸福に転換できていない
*テクロジーの進展によって、民主主義は凋落する
*右派も左派も説得力のあるビジョンを示せていない
*テクノロジーが社会を揺るがす
*今後数10年の間に世界で起きる、三つの大きな脅威
*米中でなく、中東で戦争が起きる本当の理由−戦争と宗教とテクノロジー
*どんな大戦よりジャガイモの普及が歴史を変えた
*米中対立が軍事衝突に発展する可能性
*物質経済が終わり、戦争の合理性も消えた
*歴史の教訓−人間の愚かさを警戒し、叡智を信じよ
*テロリストというハエはアメリカ象の耳をくすぐる
*気候変動はテロよりやるかに大きな脅威
*近い将来「役立たず階級」が大量発生する
*AIが代替できない「第三の能力」は存在するか
*ベーシックインカムがはらむ三つの大問題
*人類がまもなく経験する「次の革命」とは−消えない専門家はごく一部
*21世紀の人類は、狩猟民族に学べ
*自然淘汰さえ克服しつつある人類
*準備をするのは今しかない


B君:これも長いな。21項目もあるよ。何がもっとも気になったか、それだけを議論しよう。

A君:その前に、三つぐらいだけちょっと説明しましょう。
*今後数10年の間に世界で起きる、三つの大きな脅威は?
 答えは、核戦争のリスク、地球温暖化、テクノロジーによる破壊
*AIが代替できない「第三の能力」は存在するか?
 「人間には2種類の能力がある。肉体的能力と認知能力。これらは年齢とともに劣化するのが問題」。
 「若者についても問題。それは、彼らが年を取ったときに必要となるスキルが分からないから教育できないこと」。
 「すなわち、第三の能力の存在は疑わしい
*人類がまもなく経験する「次の革命」その影響でも消えない専門家は?
 「ごく一部だけとしか言えない」。
 「若者については大問題。それは、彼らが年を取ったときに必要となるスキルが分からないから、今、そのための教育できないこと」。
*21世紀の人類は、狩猟民族に学べ
 「自分を変えなければ、生きられない。狩猟民族は、自分では環境を変えられない世界に生きていたために、柔軟性と適応力がある。これが現代人のゴールでもある」

B君:C先生のような人生でも、柔軟性と適応力が重要だったのでは。

C先生:「おっ」。個人攻撃が来たな。あえて結論だけ述べよう。まさに、「柔軟性」と「適応力」だけで新しい環境に対応した。しかし、自分で言うのも変だが、「こんな人生、二度とできないぐらい偶然に助けられた」と思う。

A君:そうかもしれませんね。話を戻して、ハラリ教授の最後として、こんな節が書かれていたのは、さすが。「*気候変動はテロよりやるかに大きな脅威」

B君:トランプ大統領に読んでもらいたい。

A君:それでは次のインタービュー。
その相手は、リンダ・グラットン:ロンドン・ビジネススクール教授。人材論・組織論の世界的権威。

B君:題名は「人生100年時代、生き方は、三つのステージからマルチステージへ」

A君:要するに、「教育・仕事・引退」という「三ステージの人生」はもう通用しなくなって、そして、「マルチステージの人生」の時代が到来する。そのためには、年齢を重ねてからの「学び直し」が重要

B君:その際重要になるのは、その人の無形資産の一つであって。それが「変化への対応力」

A君:ハラリ教授だと「柔軟性と適応力」で、同じ主張だ。

B君:さらに言えば、以前なら、お金やモノを貯めることが重要な戦略だったけれど、引退後の人生が長くなると、いくら貯めても消費されて消えてしまう。

A君:だから、「より長く働くための資産」を貯めなければならない。極めて合理的な転換。

B君:それをグラットン教授は、それらを次の3種に分けている。「生産性資産」、「活力資産」、「変身資産」。

A君:グラットン教授は、最後の「変身資産」すなわち、「変化への対応力」がもっとも重要だと考えているようだ。

B君:確かに、ハラリ教授と全く同じだと思う。リクリエーション(再創造)に力を注ぐ必要がある。これは、常に新たな事項についての学習を続けるということとほぼ同義

A君:日本についての評価は芳しくない。例えば、「男性は働きすぎ」、「女性の労働参加率が低い」。これらの状況が、婚姻率や出生率が下がっている原因なのではないか。

B君:そして、グラットン教授の日本へのお奨め事項は、教育の変革、定年退職制度禁止、そして、職業に就く女性の拡大。教育は、社会人教育もっと充実させる。

C先生:この定年退職制の禁止は、必須だと思う。これが、国家財政の危機を救う一つの契機になることは確実だと思う。もっとも、いよいよ来年の6月に現職を離れて無職になると、一体、何をやっているのだろうという疑問が沸いてくるのも事実なのだ。

A君:そして第4章以降の説明になるが、今回は省略。実は、まだ残る5名を紹介していないのですが。

B君:今後、どうにもネタ切れのときにご紹介すればよいような気もする。なぜなら、3章までで残りの5章分と同じ分量の記述になっているし、ざっと読んだ感じでは、中身の濃いのは、第3章までという感触でもあるので。

C先生:このような本の場合、最初にインパクトのある名前を並べるのが鉄則。最初がジャレド・ダイアモンド、次がユヴァル・ノア・ハラリと来ては、3人目は誰でもちょっと霞むぐらいの2名なので、この本もある権威が書いた第3章までのご紹介でよいのでは。まあ、無関係な言い訳だが、本日は28日ですでに年末だということでもあるし、通常は日曜日にアップするのだが、12月29日にアップするのも、ちょっと考えにくいぐらいの年末なので、一日前に、ちょっと短めでアップということで勘弁してもらおう。 ということでした。皆様、良いお年を