| 「世界一」の誤解 10.30.2005 ![]() |
| 最近の日本では、健康志向が非常に高くなっている。それ自身、悪いことだとも言えないが、一方で若い女性の喫煙率が高くなっている、あるいは、夜型の生活をしている若者が増えているなど、健康とは言えない生活をしている人も増えている。 1.誤解「水道水の品質は年々悪化している」、 誤解「ミネラルウォータは水道水よりも安全である」 C先生、「水道水がもっとも安全な水であるということが分かっている人は、最近減ってしまった。なんとも困った話だ」。 C先生、「ミネラルウォータを健康のために飲むこと自体がまず大きな誤解です。ミネラルウォータがどのような製造基準で作られているかご紹介しましょう」。 −−−−−−− (1)一般細菌、(2)大腸菌群、(3)カドミウム(4)水銀、(5)セレン、(6)鉛、(7)バリウム、(8)ヒ素、(9)六価クロム、(10)シアン、(11)硝酸性窒素、(12)フッ素、(13)ホウ素、(14)亜鉛、(15)銅、(16)マンガン、(17)有機物、(18)硫化物 某タレント、「ほら見ろ。ミネラルウォータはこんなにも厳密な基準にしたがって作られているんだ。だから安全に決まっている。水道水など、適当にやっているんじゃないの」。 C先生「それでは、水道水がどのような基準で作られているか、調べてみますか」。 −−−−−−−−−−−−− (1)一般細菌、(2)大腸菌、(3)カドミウム、(4)水銀、(5)セレン、(6)鉛、(7)ヒ素、(8)六価クロム、(9)シアン、(10)硝酸性窒素、(11)フッ素、(12)ホウ素、(13)四塩化炭素、(14)1,4−ジオキサン、(15)1,1−ジクロロエチレン、(16)シス−1,2−ジクロロエチレン、(17)ジクロロメタン、(18)テトラクロロエチレン、(19)トリクロロエチレン、(20)ベンゼン、(21)クロロ酢酸、(22)クロロホルム、(23)ジクロロ酢酸、(24)ジブロモクロロメタン、(25)臭素酸、(26)総トリハロメタン、(27)トリクロロ酢酸、(28)ブロモジクロロメタン、(29)ブロモホルム、(30)ホルムアルデヒド、(31)亜鉛、(32)アルミニウム、(33)鉄、(34)銅、(35)ナトリウム、(36)マンガン、(37)塩化物イオン、(38)カルシウム、マグネシウム、(39)蒸発残留物、(40)陰イオン界面活性剤、(41)ジェオスミン、(42)2−メチルイソボルネオール、(43)非イオン界面活性剤、(44)フェノール類、(45)有機物、(46)pH値、(47)味、(48)臭気、(49)色度、(50)濁度 某タレント、「いくら項目が多くても、基準が緩いのではどうしようもない」。 C先生、「極めてごもっとも。その通りですね。それでは、ちょっと調べてみましょうか。ミネラルウォータと水道水でいくつか共通の項目も在りますので、直接比較が可能ですから」。 −−−−−−−−−−−−− この表の最初の2項目、カドミウムとセレンは、ミネラルウォータも水道水も同じ。しかし、3番目以降は、かなり違う。鉛、ヒ素、亜鉛、ホウ素は5倍も水道水の方が厳しい基準値であり、フッ素、マンガンでも、2.5〜4倍も水道水が厳しい。 某タレント、「これだと、水道水の方が安全だと認めざるを得ない」。 C先生、「水道水の基準がどのように作られているのか、というと、水道水を毎日2L飲んでも、健康を害さないように作られているのです。ミネラルウォータの方が4〜5倍基準が緩いとすれば、1日に500mLのボトル一本は安全に飲めますという規格になっていると考えると良いのでは」。 某タレント、「ミネラルウォータの方が安全でないということになったら、なんでそんなものを売っているのだ。 C先生、「それは味。もともとミネラルウォータは味を楽しむための嗜好品。最近では、硬度の高い水や、泡の出るミネラルウォータも在って、色々と楽しむのは結構だと思いますが」。 某タレント、「炊事にもミネラルウォータを使っている知人が多いんだけど」。 C先生、「それは目的外使用とでも言えそうですね。まあ、即刻、無駄ですからおやめになった方がと、お伝えください」。 某タレント、「それにしてもなんとなく納得できない」。 C先生、「本当はもっと納得できないことがあるのですよ。実は、現時点のミネラルウォータには、硬度の基準もなければ、酸性かアルカリ性かを示すpHの基準も無いのです。しかし、昔は、しっかりと基準があったのです。厚生省時代には、日本人にとっておいしい水とは、という推奨硬度、pHがあって、それは、硬度が50前後でした。ところが、外国製のミネラルウォータでは、ごく普通に売られているエビアンで、硬度が300前後、ビッテルなどだと650前後もある。そして、水道法だと、上限が300なので、ビッテルは水道水としては不合格ということになるんです」。 某タレント、「そんな馬鹿な」。 C先生、「ここでたたみ掛ければ、ヒ素など、本当に有害な元素の含有量は、実は、硬度と比例関係にあって、硬度の高いミネラルウォータほど、危険性は高いものと考えられているのです」。 某タレント、「危険性は」。 C先生、「原料の水が汚れているとトリハロメタンという発がん性があるとされる物質ができます。しかし、その量はかなり厳密に規制されていて、水道水のリスクとしては、トップではない。3番目かもしれないですが」。 某タレント、「1番、2番は何」。 C先生、「まず、2番目から、それは多分ヒ素。発がん性です。そして、1番はやはり雑菌の混入。浄水器にも色々なものがありますが、塩素を取ってしまうような浄水器を通した水を長時間保存していると、これは危ないかもしれない。ミネラルウォータも同様で、飲みかけを長時間保存すると危ない。特に、口を付けて直接飲んだミネラルウォータは、できるだけ、短時間のうちに全部飲むこと。雑菌が繁殖する」。 某タレント、「結構、1日持ち歩いているが、あれは止めるべきか」。 C先生、「最近、子どもが幼稚園などに持っていく水筒の中の水やお茶が危ないとか。やはり雑菌が繁殖するので」。 某タレント、「雑菌が危ないのか。確かに昔からそうかもしれない」。 C先生、「雑談になりますが、1991年にペルーでコレラが発生して、130万人が感染して、1万3千人が死亡した。その原因の一つが、ある都市では、意図的に塩素消毒を控えたからだと言われています。なぜ塩素を控えたのか、その真の理由は不明ながら、トリハロメタンを気にしたという説と、もともとの原水が良いから、塩素は少なくても良いだろうと考えたという説があります。また、コレラの原因が水道水だけか、と言われれば違うのですが、まあ、水道水が充分に殺菌されていれば、こんなにひどいことにはならなかったのでは」。 某タレント、「味だけは、水道水よりもミネラルウォータが勝っている」。 C先生、「最近、水道水中の塩素量は、日本全体の衛生状況が良くなったもので、必要最低限にしようとしているようです。さらに、塩素以外のオゾン殺菌という方法を導入していて、味も相当良くなったと自慢している自治体が多いです」。 某タレント、「しかし、水道水を飲んでいる人は減っている」。 C先生、「それはその通り。まあ、一旦染み付いた誤解から抜け出るのは難しいですからね」。 某タレント、「しかし、自宅はマンションなので、水道管までは大丈夫だとしても、それから先が心配だ」。 C先生、「それが水道法の限界です。建物や受水槽に入ってしまえば、それから先がどうなっているか、それは水道法の範囲内の場合とそうでない場合があります。受水槽の体積が10立米以上であれば、簡易専用水道とみなされて、建物の管理者の責任によって法律に沿った検査が必要になりますが、検査項目はかなり雑になってしまいます。それ以下の小規模なマンションだと、自治体が基準を定めていますが、簡単な検査義務も無い場合もあります。となると、ある程度、自己防衛しないと駄目かもしれませんね」。
この誤解を見たタレントのリアクション。 某タレント、「その誤解は誤解だ。ビタミンCを大量に摂ると風邪に効く」。 某タレント2、「ビタミン・ミネラルをサプリメントで摂ることが健康の秘訣に決まっている」。 C先生、「最近、様々なサプリメントが発売されていますから、ビタミン・ミネラルを簡単に摂ることができるようになりました。昔だったら、それこそビタミンCを摂ろうとすれば、レモンやオレンジ、様々な野菜を摂らなければならず、ミネラルの代表格であるカルシウムは、牛乳から摂るのがもっとも効果的。などなど努力が必要だったのです。しかし、それだけにビタミンは不足する場合があって、過剰に摂取することはほとんど有り得なかったのですが、最近では、状況が変わってしまって、過剰摂取にも注意を払う必要があります」。 某タレント、「ビタミンC、カルシウム、亜鉛と毎日摂っている。多い方がよいと思って多少多めに」。 C先生、「亜鉛ですが、最近、亜鉛不足気味の日本人が増えていると言われています。諸外国だと、亜鉛不足という栄養障害で死亡する乳幼児も多いぐらい必要なミネラルなのです。しかし、亜鉛も実は重金属と呼ばれる金属の一種。共通して、毒性があります。摂りすぎると、脾臓がやられて血液の機能低下が起きる可能性があります。しかも問題なのは、亜鉛の場合、その摂ってもよい上限が比較的低いことなのです」。 某タレント、「無言」 C先生、「厚生労働省が示しているガイドラインというものがありますので、それを見てみましょうか」。 http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail672.html C先生、「このように、日常的に摂るべき量が性別や年齢にもよりますが、7〜10mgまで、超えてはならない摂取量が30mgと、たった3倍しか違わないのです」。 某タレント、「それなら、亜鉛のサプリメントの場合でも、そのような量を含むようになっているのでしょ」 C先生、「栄養機能食品として認定されている場合には、最大でも15mgまでしか含まれて居ないようですが、すべてのサプリメントがそうなっているかどうか、疑問です。日本の有名メーカーの場合には、亜鉛量は4mg程度のようですが、米国産のものですと、1錠で50mgといったものもあります。ご注意ください」。 某タレント、「亜鉛はミネラルだそうだけど、ビタミンは大丈夫なんでしょ」。 C先生、「ビタミンでも油溶性といって、体に溜まるタイプのビタミンは摂り過ぎない方が良いでしょう。これも厚生労働省が決めたのですが、これ以上摂るべきでない上限を決めたものに、以下のようなものがあります」。 −−−−−−−−−−−−−−−−− C先生、「どうもビタミンAが4倍しかないもので、過剰に摂ると危険性が高いと読めます」。 某タレント、「ビタミンEは活性酸素を消すので老化防止に効果的だというから、かなり意識的に飲んでいたし、栄養クリームもビタミンE入りを使っていたのに」。 C先生、「ビタミンEは、許容範囲が比較的広いので、大丈夫でしょう。栄養クリームからそんなに吸収されるとも思えないし」。 某タレント、「ビタミンCはいくらなんでも大丈夫なんでしょ」。 C先生、「厚生労働省の発表による『日本人の食事摂取基準2005』 某タレント、「結局どうすれば良いのでしょうか」 C先生、「ある食品にこだわらないで、できるだけ満遍なく様々な食品を摂ることがお勧め。それができない、ビタミン・ミネラル不足が心配というのなら、信用できる日本のメーカーの総合ビタミン剤を適切にとることでしょうか。ビタミンもミネラルも、最高の対応は、体に必要な最低量だけを摂ることなんで。しかし、毎日、同じ量を摂る必要はなくて、そのうち、平均的にはその必要量が取れれば良いと思って、余り健康健康と考えすぎないこと」。 |
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