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  盛岡での講演後半 
 10.30.2011



 先週は、金曜日に博多で電気化学会の関係者を対象としたセミナーで講演。最初の注文はバイオマスでエネルギーの大量供給可能かどうかについて説明せよとのことだったのですが、日本国内ではダメに決まっている、と主張したところ、エネルギー供給の全体像をということになりました。「エネルギーはニーズに応える供給体制が正しい。それには、柔軟な電力網を適切に整備することが鍵になりそう+バイオマスの現況について」、という話をさせて貰いました。幸いにして、喜んでいただけたように思います。

 夜は、私の研究室の出身者で、現在九大教授をやっている弟子と、久しぶりに一杯。相当な研究費を使っているようですが、実態は自転車操業のようで、どうも大学の本来の構成要素である「楽しさ」が不足しているようで若干心配。

 博多往復の飛行機の中で、畝山智香子さんからお送りいただいた最新の著書、「安全な食べもの」って何だろう? を読みました。放射線リスクへの過度な心配をして、神経症になりそうな人々への情報。それも、実は、安全情報ではなく、すべての食品にはなんらかのリスクがあるという危険情報。いわばリスクのベースラインを示し、放射線のリスクだけをゼロにすることの愚を分かってもらおうというもの。この手の本としては、最良だと思いますので、皆様もどうぞ。

「安全な食べもの」って何だろう? 
放射線と食品のリスクを考える

日本評論社、2011年10月30日初版
¥1600+税


 しかし、現在の日本が二度と起きないような非常事態からの回復期にあることを認識できず、放射線に過敏に反応し、東日本のことは他所事だと考えている多くの西日本在住の日本人は、この手の情報を最初から拒否して、意図的に入手しないのが実態なのでしょう。

 内田樹氏の言う「情報難民」になることを自ら指向しているのですから、はっきり言って対応のしようがないのです。

 関西地域では特に他所事という認識が強いという話がどこまで本当なのでしょうか。関西には、東日本、特に東京圏をライバル(競争相手として認識されていないで、生活文化の違う異人種かも)として見ているため、東京圏の考え方に同調するというマインドがもともと薄い、という点を指摘すべきかもしれません。次に関西で東海・東南海・日向灘の大震災があったときに、関東からの精神的支援がないという事態に直面するまで、現在のような考え方は、自らの我侭であるということが理解できないのではないでしょうか。

 橋下知事、なんとかせよ。もっとも重要な政治課題だと思う。



 さて、本日は、盛岡講演の後半です。

PPTのPDF版は、ここを御覧ください。http://lebenbaum.art.coocan.jp/PPT/1009Web.pdf

23枚目
 これまで、海外の経済状況や、国内の放射線に関する状況をご説明してきました。
 ここからは、地球上の状況について、どのようなリスクがあるのか、ご説明したいと思います。
 まず、そのざっくりとした状況ですが、温室効果ガスGHGの排出量について言えば、当然、個人の排出量×地球総人口で総量が決まります。個人の排出量は、先進国は削減の方向ではありますが、途上国からの排出量は増える方向です。さらに、世界総人口がどこまで増えるかによって、状況が決まります。
 大体のところ、2080〜2100年い最悪の状況、すなわち、温室効果ガスの排出量が最大になるのではないか、と考えられています。
 世界総人口も、一方的に増加するばかりではなく、2100年にはピークから下がっていることが予測されていますが、最善のシナリオでも、2050年頃にピーク。もしも、経済的な状況が上手く行かなければ、2080年にピークがずれこむ可能性があります。
 そのため、気候変動も徐々に厳しい状況になって、まずは、水供給の不安があります。そして、生態系が不安定化することによって、結果的には食糧供給不足になりかねません。天然ガス、石油の供給不足は、本当にモノがないという状況よりも、価格が高騰して、途上国や衰退した国が買えなくなるという状況が予測されます。


24枚目
 このスライドは、気候変動によって平均気温が上昇したとき、どのような被害が生ずるかを示しています。その被害の多くは、途上国において起きるものです。
 1℃の上昇でも、小氷河を水源にしているアンデスやヒマラヤの農業では、氷河の融解の季節がずれるために、水不足になる事態が起きているようです。
 2℃の上昇でもアフリカの農業には被害がでますが、それは農業用水が20〜30%減少するからです。さらに、気温の上昇によってマラリアの被害も増大することが予測されます。
 3℃の上昇は、かなり大きな被害をもたらすと考えられています。ヨーロッパの干ばつ、アマゾンの森林の崩壊などが起きれば、気候変動をさらに加速する可能性が強いと言えます。
 4℃の上昇が起きれば、ツンドラ地帯の生態系の破壊が進み、そこに蓄積されている炭素が二酸化炭素になって大気に放出されるため、気候変動をさらに加速する可能性が出てきます。
 5℃以上の上昇になると、グリーンランドの氷と、南極大陸の周辺の氷た溶けることによって、海面が上昇することを心配しはじめなければなりません。もしも5mといった海面上昇が起きたら、これは大変です。多くの都市が水没し、農地も失われるからです。しかも、実際にはこのようなことは起きていたのです。
 縄文時代、今から6000年ほど前、海面はいまよりも2〜3m高かったと言われています。それは、その当時の気温が高かったことが理由ではなく、最終氷期が終わって、陸上の氷床が溶けて水が海に移動し、軽くなった大陸が隆起するという過程で起きた変化だと考えられています。
 そのため、気温の変動は、3℃以内に抑えることが、莫大な被害を防ぐためには必要だと考えられています。


25枚目
 世界の人口の変化について話を進めます。この図は、比較的古いデータに基づいているものですが、2010年に発表された国連の新しいデータでも、それほど変化していません。
 人口を決める要素は何か。それは、死亡率です。死亡率が高ければ、人口が減ると思うかもしれませんが、実は逆なのです。死亡率が高いと、出生率がそれを上回って高くなるからです。
 世界人口は、そろそろ70億を超す段階になってきました。しかし、もしも世界全体の経済的な状況が良くなれば、死亡率が減り、死亡率が減れば、出生率がさらに減って、世界人口は安定状態になります。
 もしも最善の状況が実現できれば、2050年あたりに82億人程度の世界人口でピークを迎えるという可能性が無い訳ではありません。
 それをどうやって実現するか。すべての人々が考えるべき、もっとも重要な課題です。

26枚目
 出生率が下がるかどうか、それは、教育費に対する意識が決めるとも言えます。インドの農村でも、自分たちの子どもに良い教育を受けさせて、良い大学に入れたいと思う人々が増えてきました。インドの教育費も決して安くはないので、そうなれば、子どもの出生数は減るのです。
 出生率が高止まりをしている国のキーワードは、アフリカとイスラムです。ウガンダのように、この両方が重なっている国の出生率をいかにして下げるか。それは大きな問題です。
 イスラム圏では、科学技術を学んだとしても、良い就職先がないのが現状で、経済的な発展をするシナリオが書きにくい状況です。要するに、現在の世界経済の枠組みでは、科学技術を活用した産業を起こすことができないと、経済的な発展を引き起こすことが難しいのです。
 アジア諸国では、製造業という業態が増加することによって、経済的な状況が良くなっているのですが、イスラム圏、アフリカではこれが難しいのです。


27枚目
 このような状況の中で、日本という国は、どのような将来像を描けば良いのでしょうか。
 それには、まず、日本という国の特徴を見出し、それを活用することが必要不可欠です。
 「和をもって尊しとなす」という言葉が、日本の最大の特徴なのではないでしょうか。この考え方は、個人と公との絶妙のバランスを取ることが必要だということを意味します。しかし、この言葉が威力を発揮するには、今の状況では無理かもしれません。なぜならば、個人が優先され、国が信用されないために公が軽視されるからです。なんらかの国民的な共通の目標が必要なのです。
 しかし、それが失われています。第二次世界大戦後に、米国がもっとも恐れたことは、何か共通の目標に向かって日本人が結束することだったと言われています。その特性を潰すために、様々な政策が取られたと言われています。
 現時点では、この国の弱点を克服することが共通の目標になるのではないかと思います。


28枚目
 勿論、地震が多い、津波が多いなども弱点の一つですが、それを克服することは、後ほど述べたいと思います。
 日本という国が置かれた地理的な状況を考えると、一つは面積と地形でしょうか。これほどの人口を支えるには、いささか面積が少ないです。地勢的に見ても、山地が多く、平地が少ないので、農業を考えれば難しい状況です。そのため、食糧の自給が難しいのも事実です。
 現在人類が使っているエネルギーは、化石燃料が大部分です。日本という国は、大陸の端にあって、しかもその地底では、太平洋のプレートが日本に向かってめり込んでいるという場所です。地下の構造がほとんど壊されてしまったために、僅かな資源しかありません。かつて若干の石炭があった程度です。
 そのため、エネルギー・食糧を輸入しようとすれば、なんらかの輸出産業が必要で、それには、なんらかの科学技術に依存した産業を育成しなければなりませんでした。
 加えて、日本人の大きな弱点は、軍事、エネルギー、食糧の安全保障という考え方が希薄であることかと思います。それも、長い歴史の中で、外国の植民地にされることが無かったということも影響して、なんとなく生きることができる国だという考え方が染み込んでいることか、と考えます。
 しかし、なんとかなるのかもしれません。例えば、シンガポールのように、東京23区程度の大きさの国が、世界の有数の金持ち国になっています。これは、彼らが戦略的に動くということができているからに他なりません。もっともシンガポールのやり方は、日本人に向いているとは思えないのです。なんといっても、「和をもって尊しとなす」国なもので。
 やはり、何か特徴を最大限生かして、生存策を考え、安全保障を確保するという考え方が必要不可欠だと考えます。


29枚目
 それなら日本の特徴とは何でしょうか。このスライドは、各国の特徴に対する個人的偏見を示したものかもしれません。
 英国米国という国は、アングロサクソンが中心になって作られた国です。この国は、様々な発展を経験し、特に、英国は、一時期世界の工業国でしたが、現時点では、工業では国の発展を描けないとはやばやと見捨てて、金融で生きようとしています。金融とは、金で金を得る方法ですので、そこには、様々な仕組を組込む必要があります。目標は富豪になることです。
 フランス・イタリアは、ちょっと違います。自らのセンスを使って、金を得ることを考えていると思います。目標は富豪なのですが、莫大な資産よりも、優雅さを求めているかもしれません。しかし、余り働かないので、今後どうなるのやら。
 ドイツと日本は似ています。顧客が満足するような製品を提供して、金を稼ぎ、豊かになりたいと思っている国です。
 中国は、かなり個人主義の国ですので、最終的には、米国の真似ををする国になるものと思いますが、現状では、日本などの真似をして、金とモノを得て、自らの欲望を満足させたいと考えている国だと思います。
 インドは良く分かりません。様々な考え方の人がいるようです。古くは、数学などを発明し、名誉を得て偉くなる国かと思っていましたが。。。。
 ブータンは大変優れた国です。国民にとって、GDPのような金額の指標は、必ずしも幸福の量と比例関係には無いということを早々と見ぬいたのが先代の国王です。GDPの変わりに、GNH(Gross National Happiness)といったことを指標にしたいと考えているようです。しかし、この国がそのような目標を持つことを可能にしたのが、日本という国なのだということをご存知でしょうか。日本のODAで、流路式の巨大水力発電所を作り、その電力をインドに輸出して外貨を稼いでいます。そのため、余裕のある生活ができているのです。
 最貧国は大変です。食料を得て、なんとか生存し、普通の寿命を得たいと考えているのですが、赤ちゃんの死亡率が高いために、出生率が高くなってしまいます。このような国にどのように発展して貰うのか、これが地球的な課題です。
 さて、日本です。キーワードはおもてなしの心かと思います。現在日本でのサービスというと、ファミレスのマニュアルでの定形サービスになってしまい、これでは最低限の満足感しか得られません。
 このような特性を考慮した上で、日本の未来というものを考えて見ました。


30枚目
 2050年に必要かつ可能だと思われる5種類の社会像というものを、環境省の中長期ロードマップの検討会で作って見ました。
 第一番目は、現在の日本の輸出産業の延長線上にあるもので、国内でモノ作りを行う社会です。どんなモノを作るか。それが問題です。現在のような素材は一つの候補になります。組み立て産業は、コスト競争が激しい上に、ノウハウの秘密を守るのが難しくて、中国に現在でも敵いませんし、その中国も、ベトナム、インドネシア、ミヤンマーなどに負けるのが見えています。
 作るべきものは、なぜ、デジカメのほとんどが日本製になったかを考えてみれば分かるでしょう。カシオが最初に作ったデジカメは完全なオモチャでした。しかし、日本人の要求が激しくて、どんどんと性能が進化したのです。そして、プロ用のデジカメは、依然として、日本製の独壇場です。それは、レンズの質が全く違うからです。
 第二番目は、アップルのような商売です。製品の企画と設計といった知的な作業を日本国内で行い、組立・製造は他の国で行うというやり方です。このような方式での問題点は、それで国内に雇用が確保できるか、という問題です。
 第三番目が、医療やリハビリ、さらに、料理・宿泊などの高度なサービスを国内で提供するという方法です。海外からの客人をもてなすことで、輸出換わりにするという考え方です。
 第四番目が資源的な自立を目指すという戦略で、かなり海洋に依存した形になるものと思います。
 第五番目が地産地消、環境にやさしい生活、そしてゆとりを目指すものですが、この方法だと、$1が300円に戻るかもしれません。


31枚目
 いずれにしても、もっとも重要なことが、未来をしっかりと見据えて、自分で選択することを指向する社会を実現すべきだということです。
 現代社会は、未来を軽視することで、現世の利益を最大化した人が勝つというルールで動いているように思いますが、そのような社会は、人々を必ずしも幸せにはしないようです。
 子どものしつけを経済学で考えるという論説を大垣昌夫慶応大学教授が書いたものを読みましたが、未来の価値を割り引くように教育した子どもは、忍耐力が無い、自制心がない、そして結果的には、人生で満足を得られない傾向が強いとのこと。これに対して、忍耐力が強く、自制心が強くなるように教育することで、経済、学業、対人関係などで成功する傾向があるとのことです。
 どうも、岩手県人の国民性というものは、大垣教授流で言えば、成功する人格なのではないか、と思うのです。


32枚目
 さて、東日本大震災で、東北地方と関東地方北部は甚大な被害を受けました。このような状態から抜け出るには、単に復興するという発想では不可能な部分があるように思います。ある部分は切り捨てて、そして、未来を考えるという思考法が必須なのではないか、と考えています。
 日本人に固有という訳ではなく、仏教思想の一部だと考えられていますが、輪廻転生という考え方があります。一旦、この世を離れても、再度復活するという考え方です。
 現在の日本に必要なのは、ある部分を切り離し、そして転生することなのではないか、と思う訳です。
 何を転生したいのか。このスライドにリストを挙げて見ました。一つは、三陸の津波対応の考え方です。


33枚目
 巨大な津波を恐れることは必要だと思いますが、それに対して、全面的な防衛線を張ることは、ヒトの寿命が100年までであり、巨大津波が次にその地を襲うのが1000年後であることを考えると、賢い選択だとは思えないのです。
 この図は、宮城県が考えている南三陸町伊里前地区の新しい町づくりイメージ図です。宅地エリアは高台に設置し、何があっても、津波が来ない場所を選択することになっています。このような場所を山を削って作る予定のようです。
 この地域の主たる産業である漁業関係者が山の上に住み、毎日、車で港まで出勤するのでしょうか。そのような生活を続けていると、そのうち、多くの人は高台を離れ、海に近いところに住むようになると思います。
 田畑は中間の高さのところに作り、やはり車で通うようです。しかし、現在の農業従事者はすでに高齢者ですので、もしも避難が必要になったら、どうやって避難をするのでしょうか。
 どうも、巨大な津波を恐れる余り、理性的な判断ができていないように思えるのです。
 むしろ、今後50年程度で起きるであろう規模の津波に耐える堤防を築き、万一、それを超えてくるようであれば、それなりの対策を考える。そして、それを遥かに超すような津波であれば、ちゃんと避難が身近なところでできるような体制を確保する。高齢者が主体になることを考えると、職住近接の配置をする方が良いように思うのです。


34枚目
 この図は、3月11日の強烈な映像を見て、これでは津波に全面的に対抗する巨大堤防という考え方では対応不可能なのではないか、という思いから、津波を受け流す町を作ることが良いのではないか、というアイディアを絵にしたものです。
 津波受け流し型の台地を作り、その上に10階建て程度の集合住宅を作る。その上層部が避難場所になる。近くに農地を作り、農家にとって職住近接型にする。漁港にも集合住宅を作り、やはり職住近接型とする。
 高台には、学校や駅などを設置し、壊滅的な被害が公共施設に及ばないようにする。こんな考え方でした。
 しかし、問題は誰がこのような選択をするかです。町を継続的に維持するには、先行きの短い我々世代が余り口出しをすべきではないのです。決定権を若者に譲ることが、我々世代の最良の選択だと思います。


35枚目
 さて、先ほど、日本の2050年の産業を考えましたが、それ以外の日本の状況はどのようなものなのでしょうか。
 まず、日本の人口は3割減になっています。あるいはそれ以上かもしれません。都市の中心部はどこも空洞化しています。道路や橋などの社会インフラは保守もままならないような状況で、何かを諦めることが必要な状況になっているかもしれません。
 しかし、働かない訳には行きません。高齢者率を現在程度に保つことを考えると、すなわち、年金を今のようなシステムで行くことを考えると、年金受給年齢は78歳ぐらいになります。それまで働かなければならない状況なのです。


36枚目
 このような状況であることを早く公開すると同時に、その時代を背負う自覚を求める。そして、決定権も若い人々に譲る。これが日本を明るい社会にする第一歩になるのでは、と思います。
 2050年に78歳までが現役であるとしたら、現在39歳の人々がこの条件に相当します。すなわち、39歳以下に、町の将来図など、未来に関わることは決定権を譲るのです。


37枚目
 ただし、39歳以下では、昔を知らないために、アイディアが偏る可能性があります。そこでベテランの出番です。どのような選択肢があるか、それが実現可能かどうか、どのような夢・希望を持つべきなのか、などのアイディアは、ベテランが考え、豊富な選択肢を39歳以下の人々に提供するのです。


38枚目
 このスライドは、そのようなベテランの希望だと考えて下さい。もしも日本が目指すべき国があるとしたら、このような国なのではないか、というものです。
 まず、知・心・技で世界No.1になる。
 そして、世界No.1の省エネ・省資源国家、自然エネルギー利用法でもNo.1。未来と環境に対する配慮もNo.1。人と人の絆を保った国で文化的な価値を重視した国としてもトップを目指す。


39枚目
 しかし、それには、現在の放射線汚染からの復活が必須条件です。
 現時点での日本政府の対応は、余り信用されていませんが、その内容を検討してみると、充分に、場合によっては過剰までの安全サイドの判断が行われており、このまま順調に推移すれば、30年後、福島県でも放射線の被曝によって健康被害を受けた人はほぼゼロでしょう。
 それには、適切な除染、食品の管理を確実行うと同時に、精神的な悪影響が起き始めている現状を考慮すると、小さなリスクは小さなリスクとして判断できるような情報伝達が必要だと思います。


40枚目
 しかし、小さいリスクを小さいリスクとして判断するのは、実は、科学者でも難しいのです。特に、自分の専門分野と異なった分野は、危険に見えるようです。いわゆる三すくみ状態になってしまうのが現実かもしれません。
 原子力の専門家は、遺伝子組換え食品が怖いという。遺伝子組換え食品の専門家は化学物質の毒性が怖いという。化学物質の毒性の専門家は、原子力が怖いという。
 専門家といってもこの程度のものです。小さなリスクは小さいと言い切るには、知識が相当量ないと無理のようです。

終わりに
 さて、本日の講演は以上ですが、最後に、最近の政治の状況について一言。やはり、未来を見ていない。これが感想です。未来を政治家に語らせるためには、投票を二票制にして、最初の一票はあなたのために、そして、次の一票は20年後の日本を良くする提案をしている人に、という仕組にでもしないとダメなように思います。
 しかし、それには、重要法案国民投票制を作らないとダメでしょう。自らの存立を危うくするような投票制度を現在の政治家は作ることができないでしょうから。

 ご清聴ありがとうございました。


焼走り溶岩流から岩手山を望む