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  新エコワットの性能 05.03.2008
     



 エコワットとは、簡易型の消費電力計である。
 S水さんという方からメールをいただいて、モデルチェンジした新エコワットが常に力率1で測定しているために、測定対象によっては、かなり誤差がでるというブログがあるとのこと。
 もし本当なら重要なので、これを検証することにした。丁度、大型連休ということでなんとか時間もなりそうだし。

 まずは、新エコワットを買わなければ、とJoshin Webから取り寄せた。5月1日に到着したので、準備を開始。ちなみに、これまで旧エコワットを含めて、3種類の消費電力計を持っている。新エコワットを合わせて、これで4種類になった。
1.新エコワット
http://www.enegate.co.jp/prodects/03ene_con/01.html
2.旧エコワット
http://www.setsuden.net/item/htm/itm02.html
3.ワットチェッカー
http://www.sanwa.co.jp/product/syohin.asp?code=TAP-TST5&cate=8
4.ワットアワーメーター
http://www.system-artware.co.jp/products/watt_3a.html
 本HPで過去こんなことを話題にしたのは、2年ほど前である。
http://www.yasuienv.net/ElecConsumption.htm

 何を対象にして、どうやって測定をしたものか考えて、以下のような方法論にて測定をした。

方式は全直列方式
 すべての消費電力計を直列に繋ぐ。ひょっとすると順番によって妙なことになりかねないので、順番も考慮することとする。



写真1 4種類の消費電力計



試験その1 パソコン2台+液晶モニター
 このHPを書いているデスク回りでの測定が効果的なので、負荷は次のようなものとした。

負荷その1
 デスク回りのOA機器一式の消費電力を測ることにした。つながっているのは、
(a)Let’sNoteT5A
(b)Mitsubishi 19インチ液晶モニター
(c)自作のパソコン、すでに6年ものぐらい。2.4GHz。
(d)スピーカー
(e)外部DVD、HDD
(f)デジカメ、ケータイなど用の充電器
合計消費電力は、130〜132Wで揺れている。

ラインアップNo.1 消費電力計のつなぎぐ順番

新エコワット → 旧エコワット → ワットアワーメーター → ワットチェッカー

試験その1の結果
 ほぼすべての電力消費計が同じデータを示す。

表示が0.10kWhになったときのワットアワーメーターの読み。ワットアワーメーターは、他のメーターに比べて1桁精度が高いので、Whで表示する。
新エコワット    93Wh
旧エコワット    97Wh
ワットチェッカー 100Wh

しかし、新エコワットは、やや過大に出る。といっても、約30分間の測定で、新旧エコワットとワットチェッカーが0.10kWhと指示されたが、もっとも信頼できると思われるワットアワーメーターの読みを書いたものが上の表である。ワットチェッカーとワットアワーメーターは実に正確でほぼ同一と考えてよいようだ。



試験その2 パソコン2台+液晶モニター 消費電力計のつなぎ方変更

 可能性として、新エコワットは、先頭に繋がっているので、3台の消費電力計の消費電力も測定している可能性がある。そこで、新エコワットを最後尾に変更して同様の測定を行う。

試験その2測定条件

ライアップその2
 旧エコワット → ワットアワーメーター → ワットチェッカー → 新エコワット

負荷その1を使用。すなわち、パソコンなど複数台である。

試験その2の結果
 まず、接続順は、ほぼ無関係であるとの結論が得られた。
 今回、細かく様子を見ていたので、その結果分かったことは、表示が若干違うということだ。新エコワットは、ワットアワーメーターでの積算消費電力が5Whに到達したときに、0.01kWhを表示し、15Whに到達したときに、0.02kWhを表示した。旧エコワットは、これに対して、10Whに到達すると0.01kWhと表示し、19Whに到達したとき0.02kWと表示した。
 ワットチェッカーは、ワットアワーメーターとほぼ同一の結果を表示するが表示は若干異なる。すなわち、ワットアワーメーターで39Whまでは、ワットチェッカーでは0.03kWhと表示され、40Whになってから0.04kWhになる。
 新旧エコワットの表示の違いは、仕様の違いを考慮する必要があると言えそうだ。



仮結論その1

 対象がOA機器複数台つながったような場合、消費電力130W程度の場合には、4種の電力消費計は、十分以上に実用的な精度で消費電力を測定できる。ワットアワーメーターを除くと、表示精度が0.01kWhまでの機種であるので、0.01kWh程度の精度はもともと期待する方が間違っている。どうしても、それ以下の測定を行いたいのであれば、ワットアワーメーターを買う以外にない。



ラインアップを再度変更した。

 いろいろとつなぎ直しているうちに、重大(?)なことを発見。ワットチェッカー自体が0.5Wぐらいの消費電力である。ワットアワーメーターはもっと大きい可能性があるが自分で自分の消費電力を測定するのは不可能。新旧エコワットの消費電力は、どうやら0.1W程度のようで、ワットアワーメーターを使ってもよく分からない。そこで、つなぎ方は、

ラインアップその3
 ワットアワーメーター → ワットチェッカー → 新エコワット → 旧エコワットという順番に決定。以下は、このまま進める。



試験その3 ノートパソコン+液晶ディスプレイ

負荷その2
(a)Let’sNoteT5A
(b)Mitsubishi 19インチ液晶モニター
(d)スピーカー
(e)外部DVD、HDD
(f)デジカメ、ケータイなど用の充電器
合計消費電力は、63〜64Wで揺れている。
 負荷その1からデスクトップパソコンをOFFにした状態。これがいつもの状況。

試験その3の結果

 試験その2の結果とほとんど変わらない。すでに述べた傾向は維持しながら、きれいに予測された通りの結果を表示した。

表示が0.01kWhになったときのワットアワーメーターの読み
新エコワット    5Wh
旧エコワット    9Wh
ワットチェッカー  9Wh

表示が0.10kWhになったときのワットアワーメーターの読み
新エコワット   88Wh
旧エコワット   91Wh
ワットチェッカー 99Wh

 新旧の両エコワットとも若干の過大表示であった。

 ワットチェッカーとワットアワーメーターはほぼ同じ値を示すと考えてよいようだ。若干ずれる場合があるのは、むしろ両機の性格の違いだ。ワットアワーメーターは、積算値のリセット操作が必要なのだが、ワットチェッカーは、電源がつながると、自動的にリセットして測定を始める。ワットアワーメーターをリセットして、それからワットチェッカーなどを繋ぐのだが、そのときに誤差が多少でる。



試験その4 シュレッダー

負荷その3
 モーターの負荷が主と思われるものとして、シュレッダーを動かしてみた。
 コクヨS&T製 KPS−S18XA
 定格では160Wらしい

試験その4結果
 意外と苦戦。シュレッダーのように、断続的に使う機器は、なかなか消費電力が測定範囲に入ってこない。
 すべての機器が0.01kWを示すところまで実施して終了。数値は、ワットアワーメーターの読み。

新エコワット    5Wh
旧エコワット    9Wh
ワットチェッカー 10Wh

消費電力が少なすぎて、議論に対象にならない。



試験その5 掃除機

負荷その4
 掃除機を持ち出すことにした。強弱の切り替えがあって、弱だと600W以下、強だと1050W程度。1050Wでしばらく使用して、その後、測定時には600Wモードで使用。

測定法は、これまでと同様。記述をしてこなかったが、新旧エコワットは、複数の表示を順番に繰り返すので、測定精度には限界がある。

0.10kWhを示したときのワットアワーメーターの読み
新エコワット    82Wh
旧エコワット    92Wh
ワットチェッカー 100Wh

新エコワットはかなり過大表示。旧エコワットも多少過大表示である。



仮結論その2
 
 シュレッダーの結果は、解析が不可能に近い。
 掃除機の結果からは、新エコワットがやや多めの消費電力を表示する傾向が強いことが分かった。ただし、新エコワットの表示は、どうやら四捨五入方式を採用したようなので、5Wh分を加える必要があるようだ。補正を考慮すると、旧エコワットとの差は少なくなる。
 ここまでの結果では、新エコワットは、モーター負荷に対しては、17〜18%の過大表示をする傾向があるように見える。
 旧エコワットでも8%ぐらいの過大表示である。
 相変わらず、ワットチェッカーとワットアワーメーターはほぼ同一の数値を出す。



試験その6 電気ポット

 ヒーターによる消費電力が主なものだと思われるケースを測定した。
 電気ポットを使用。タイガーのとく子さんのやや古いもの。PVO−A300。いわゆる魔法瓶型の電気ポットである。冷水から沸かして100℃になるまでの消費電力を測定してみた。
 この試験、実は、最初にやったものなので、電力計のつなぎ方は、ラインアップその1を使用。また、試験法もかなりいい加減。なぜなら、ワットアワーメーターの測定をミスったから。理由は、ワットアワーメーターは、リセット操作をしないとゼロに戻らないことを失念していたため。
 ワットアワーメーターで消費電力を見ていると、しばらくは消費電力が数Wしかないが、急激に865Wぐらいまで上昇し、水温が90℃程度まではそのままの電力を維持する。その後95℃程度までは800W程度に消費電力を下げつつ加熱を続け、蒸気が噴き出すと、消費電力がほぼゼロになる。温度も100℃になるが、まだ、湧き上がった電子音は出ない。ほぼ2分後、蒸気の発生が納まってから湧き上がりを知らせる。


試験その6結果
 新エコワット   0.23kWh
 旧エコワット   0.21kWh
 ワットチェッカー 0.22kWh



仮結論その3

 電気ポットのような場合には、まずまずの精度で消費電力が測定できているようだ。やり直そうかと思ったが、まあ精度が出ているようなので止め。



試験その7 大型の電球

 さらに抵抗負荷的だと思われる電球を測ってみた。
 使用機器は、写真用のブルーフラッドランプ500W。実際には494W。
 測定方法は、掃除機の場合と同じ。

試験その7結果

表示が0.10kWhになったときのワットアワーメーターの読み。

0.10kWhを示したときのワットアワーメーターの読み
新エコワット    99Wh
旧エコワット   113Wh
ワットチェッカー 101Wh


 この条件になると、新エコワットの精度がかなり良いことが分かる。ワットチェッカーの値とほぼ同様の値を出している。ところが、旧エコワットが13%ぐらいの過小表示になっている。



仮結論その4

 この試験その7の結果からは、新エコワットがかなり信頼性の高い値を出している。ワットチェッカーとワットアワーメーターは、どんな場合でも1%以内の違いである。それに対して、旧エコワットが13%もの過小表示になっているのが特徴的。



試験その8 ズボンプレッサー

 電球の結果と電気ポットの結果が違うので、もう一種類の測定をやってみることにした。ヒーターが主という製品として、ズボンプレッサーを選択。非常に古いもので、そろそろ劣化が心配なぐらいのもの。制御は音から判断するとリレー式のON−OFF制御のようだ。

 消費電力を見ると、最初330Wぐらいだったものが、287Wぐらいまで低下するとスイッチが切れる。これは、そんな制御をしているというよりも、高温になると抵抗が増加するからだろうか。

 表示が0.10kWになったところでデータを取る予定だったのだが、連続して使用すると意外なぐらい効率が高くて、最終的にズボン5本にプレスを掛けることになった。全部で電気代は2円。1本あたり40銭とは。

試験その8の結果

0.10kWhを示したときのワットアワーメーターの読み
新エコワット   100Wh
旧エコワット   119Wh
ワットチェッカー 100Wh

なかなか興味ある結果だった。500Wの電球の場合よりも、旧エコワットは、相当に過大表示であった。これは、力率の問題なのか、それとも、このケースのように、300Wぐらいと1Wぐらいの電力がON・OFFされて、ONの時間が全体の1/4程度という運転条件が影響したのか。



最終結論

 やはり、負荷の種類によって、新エコワット、旧エコワットは、正しいと思われる消費電力とかなり異なった値を出すようだ。

 純粋な抵抗負荷に近い機器では、新エコワットが正しい数値を出すようだ。そのため、オーブントースターやズボンプレッサーのような機器の消費電力を測定するのであれば、新エコワットを選択するのが良いだろう。

 旧エコワットをこのような機器の測定に用いると、最大16%ぐらいの過小表示になるようだ。

 かなり誘導型の負荷と思われる掃除機では、新エコワットの表示は、相当に過大表示になる。20%程度のように思われるが、これは、色々な機器について検証をする必要があるだろう。旧エコワットでも、9%程度の過大表示になる。

 電気ポットは、ヒーターが負荷ではあるが、その制御には、サイリスタを動作させているようである。新旧エコワットがまずまず妥当な値を示したが、その理由は不明。

 どうやら簡易型の消費電力計は、負荷の種類によって正しい値を表示しないのは事実。これは、新エコワットにも注意書きがある。そこで、インバーターを使ったものは誤差が多いと記述されていし、力率100%と仮定しているとの説明もある。すなわち、過大評価の可能性が高い機器である。

 しかしながら、誤差は最大でも20%程度だと思えば良いのではないだろうか。

 旧エコワットは、電球やズボンプレッサーの結果を見ると、どうも力率を90%ぐらいに仮定して表示するような設計になっていたのではないだろうか。そのため、純粋な白熱電球やズボンプレッサーのような場合には、過小表示になり、モーター類だと過大評価になるものの、多くの機器での誤差がプラスマイナスされて、まずまずの測定をする機器だったようである。

 今回の結論を表の形でまとめてみる。新旧エコワットの特徴が分かるのではないだろうか。

 結論は、新エコワットは、過大評価を恐れずに、力率を1に固定した機器。旧エコワットは、さまざまな機器の消費電力をまずまず再現するような力率を仮定した機器。

測定対象 新エコワット 旧エコワット
パソコン2台+液晶 108 103
ノートパソコン+液晶 114 110
掃除機 122 109
大型電球 101 88
ズボンプレッサー 100 84
平均 109 99

表1 実消費電力が100Wの時に測定されるW数の推定値。


 S水氏から紹介されたブログでは、
http://blog.yunayuna.net/2008/01/
パソコンなどを対象にしたデータが出ているが、今回の実験では、新エコワットの表示がこのブログの例のように大幅に異なるデータは再現できなかった。

 さて、その理由はなんだろう。新エコワットの個体差だろうか、それとも、なんらかの測定条件の違いだろうか。パソコンの電源に様々な方式のものがあるのだろうか。今回、パソコン関係の測定では、壁のコンセントからの総消費電流を対象にしている。様々な機器を繋ぐと、その総合的な力率はどうなるのだろう。それにしても、パソコンの消費電力の表示が新エコワットとワットチェッカーで3倍強という違いになると、もはや力率といったようなものでは説明不可能のようにも思えるのだが。