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  プリウス2週間の報告  10.05.2003 追加10.11追加211.03



 9月20日に納車されたプリウス(5万円の値引きで8月初めに発注したもの)とまだ2週間ほどの付き合い。ここまでで分かったことのご報告。

 結論は、「この車の燃費性能は他の車と次元が違う。トヨタさん、これなら、すべての車をハイブリッドにしても売れる」。

 追加:ガソリンを入れたので、満タン法による燃費が出た。今回は、19.7km/L。詳細は下に。
 追加2:第2回目の満タン法による燃費。今回は、21.8km/L。やはり、燃費メーターは7%ぐらい甘い。
     結論は余り変わらない。遠出25km/L。都内(平坦)20km/L。(ただし、エアコン、ヒーターはOFF)。
     そして、コールドの始動時には、エンジンのウォームアップのために50〜70mlガソリンが余分に消費される。


C先生:初代プリウス(オリジナル版)と5年半。「車などは、この程度で十分」という悟りを開くには、十分以上の性能と説得力をもった車だった。

A君:初代プリウスといっても、本当のオリジナル、マイナーチェンジ1、マイナーチェンジ2、と3世代はあった訳で。

B君:噂では、オリジナルよりもマイナーチェンジ後のプリウスの方が燃費が確実に良かったようだ。

C先生:残念ながら、マイナーチェンジ後のプリウスには乗っていないので分からないが、例のe−燃費のデータを見ても、確かにマイナーチェンジ版の方が、確実に燃費が良い。

A君:オリジナルの欠点は何だったのですか。

C先生:これは、HPなどでも紹介したが、コールドスタートの燃費が悪いのだ。それに、高速燃費も余り誉められたものではなかった

A君:アイドリングストップをするのですよね。

C先生:オリジナルに限っての話かどうか分からないが、アイドリングの回転数が高い。しかも、エンジンを掛けてから5〜10分間はアイドリングしている。

A君:その間、発電はしているのですか。

C先生:発電量は少ないようだ。完全に発電している場合とはエンジンの音が違う。

A君:ということは、ウォーミングアップのためにアイドリングをしている。

C先生:多分そんなことだ。恐らく、排気ガスをクリーンにするために、アイドリングをしていたものと思われる

A君:それに、エアコンというか、暖房を含めてですが、冬だとエンジンの温度を上げる必要がある。

C先生:真夏だと、エアコンを動かすためにエンジンが動作して、渋滞にはまると燃費が非常に悪くなることがあった。

A君:具体的な燃費は。

C先生:短距離の使用を多少避けるといった使い方で、14.5km/Lといったところだった。

A君:そろそろ新プリウスの紹介ですか。詳しくは、トヨタのHPをご覧いただくとして、ポイントは、恐らくこんなもんでしょうか。

(1)大型化:一回り大きな車になった。
(2)重量も多少増えたが、アルミ多用によって、それほどでもない。
(3)インバーターを搭載して、モーターの大幅強化。なんと50kW−500V。
(4)エアコンを世界初の電動に。

C先生:カタログ上はそんなところだろう。しかし、これだけだと、何も分からない。実際、変わっている最大の点は、エンジンの制御が全く違うこと。これまでも、アイドリングストップはしたが、普通ならアイドリングする車のアイドリングを、ある条件が満たされたとき止める、という車だった。ところが、新プリウスは、アイドリングしないことが原則になった。

A君:全くしない訳ではないけど、アイドリングをする状態の方が普通ではない。

C先生:大体、エンジンを掛けてスタート、というのがこれまでの車だが、新プリウスは走り出さないと、エンジンも掛からない。そして、コールド状態だと、30秒程度はアイドリングをするが、それから先は、めったなことではアイドリングをしない。

A君:充電量が下がらない限り、ということでしょうか。

C先生:多分。エアコンも電池で動くから、エアコン(冷房)を掛ければアイドリングするとは限らない。しかし暖房が必要だと、多分アイドリングをするだろう。それとも、エアコンは、ヒートポンプで暖房までやるのか。未知だ。

A君:アイドリングをしないことが燃費に効く。

C先生:そのようだ。コールドの燃費は、初代オリジナルの50%以上良い。これまで、自宅−生研の往復だけだと、8〜10km/Lだったようだが、新プリウスでは、燃費メータによればだが、16km/L以上がでる。ただし、エアコンオフだ。坂道がかなりあるのに、ご立派。

A君:コールドの燃費の改善は著しいということですね。

B君:もう一つの弱点の高速燃費は?

C先生:初代オリジナルの高速燃費は、なかなか20km/Lを超さない。燃費メータを見ていても、過去5分間の平均燃費が20km/Lを確実に越すのは90km以下で走っているか、あるいは、若干下り坂のときのみ。速度は、100〜110kmでまあ20km/L。120km出すと、20km/Lは不可能になる。

A君:今回の新プリウスは、Sグレードで35.5km/L、Gグレードで33km/Lというカタログデータで、初代オリジナルの28km/より多少良い程度ですよね。

B君:初代オリジナルのカタログデータと実データの乖離は大きいとの評判だった。

C先生:確かに。今回購入したのは、Gグレード。クルーズコントロールが欲しかったため。そして、燃費だが、先日中央高速を八王子まで往復したとき、5分平均燃費では、確実に30km/L以上のデータを出して、最終的な燃費計の表示でも、26.5km/Lという値だった。コールドスタートで、しかも、一般路走行を若干含むデータだけに、まさに脅威的。ただし、クルーズコントロールを使った方が、確実に燃費が良いようだった。

A君:足でアクセルよりも、コンピュータ制御の方が肌理が細かい?

C先生:多分その通り。足では、どうも限界があるようだ。

A君:この4〜5日は、白子で研究室合宿だったのでは。

C先生:その通り。行きの駒場から白子までの燃費計の表示は、なんと28.1km/Lだった。経路は、首都高速、東京湾横断道路、木更津北からは一般道。こんな数値は、初代プリウスではお目にかかったことがない。しかも、四名乗車だった。

A君:その理由はどこだと考えられますか。

C先生:良く分からないが、恐らく、回生エネルギーの効率が格段に上がっているのではないだろうか。これが有りそうな原因だと思われる。それ以外にあるとしたら、やはりエンジンの制御に関わることだが、エンジンが動いているときには、かなり電気をためながら動いて、そして、直ぐエンジンを止めるような感じ。

B君:今回の仕様だと、電気モーターの出力が上がっていて、電気自動車的性格が強くなったのでは。

C先生:そうかもしれない。エンジンは効率の良いところだけで運転して、それ以外は、できるだけモーターを主役にして動かす、といった方針にしたのかもしれない。

A君:帰りは?

C先生:実は白子滞在中に平均燃費が26.1km/Lまで低下した。テニスコートが1kmほど先だったもので、車で2往復した。10km/Lぐらいの燃費だったと仮定すると、ちょうどそんな感じ。

A君:2km/Lも燃費が低下したといっても、もともとの燃費が非常によい場合には、僅かな悪条件がしっかり効いているということになります。

B君:それでは、本当の帰りは?

C先生:帰りは、東金まで戻って、そこからは高速道路。行きよりも平均速度が速い。そして、帰りの燃費は、26.5km/L程度であったものと思われる。さらに、太陽が非常に強かったもので、外気温は21度と低かったのだが、電動のエアコンは常時ONであった。そして、最終的には、214km走行して、26.4km/Lだった。ただし、大体80km規制だったので、速くても+10〜15kmで走った。

A君:いずれにしても燃費は気温の関数ですから、これから気温などが変化したとき、どうなるのか。まあ通年テストが必要ですね。

C先生:その通り。ここまでの記述は、ほんの第一印象に過ぎない。

B君:それにしても、その数値が本当ならば、相当なる実力。過去最良のプリウスであることは間違いないのだろう。

A君:燃費が過去最良ということは、今回の新プリウスは、LCA的にみても、過去最善最良の車でしょうか。

B君:それはどうか。当初、トヨタのHPにも新プリウスのLCAデータが出ていたのだが、今は消えてしまった。それを見ると、どうも製造時の環境負荷が高くなっている。

A君:ということは、アルミを多用した軽量化のためでしょうか。

B君:アルミ素材がバージンなのではないか。

A君:ということは、そのうち、アルミのリサイクル素材を使うようになって、改善される可能性がたかい。

C先生:もう一つの可能性は、インバーターだ。50kWもの電力を制御しなければならないのだから、とんでもない量のシリコンが使用されているに違いない。その製造に関わる電力が莫大なのではないか。

A君:このあたりの情報は、トヨタの担当者に聞いてみるしかないでしょうね。

C先生:そう。エコテクノ2003で、プリウスの開発チームの方もパネルディスカッションに参加されるようだから、そこで、質問してみよう。

A君:結論的には、製造時のエネルギーが大きいから、走行距離が非常に少ないケースでは、LCA的に不利な場合も有りうる。勿論、年間1万キロも走れば、最良であることに間違いは無い。

B君:このような車の場合には、部品のリユースを行なうことが前提になるのでは。インバータ用のシリコン素子なども、本来寿命は相当長いはず。だから、リユースを行うことによって、LCA的な不利さが改善できることだろう。

C先生:現時点では、そんな計画があると発表されていないが、部品のリユースは、今後の課題だろう。是非実現の方向で検討して貰いたい。

A君:テレビコマーシャルだと、なにやら速く走るのがプリウスの特徴になっているようですが。

C先生:確かに走りは、加速、足回り共にかなりしっかりした。しかし、この車で加速競争をしたら意味が無いような気がする。

A君:その割には、ツーリングセレクションなるタイヤの太いバージョンがありますね。カタログ燃費は30km/Lと多少低いですが。

B君:トヨタとしては、若者にも買ってもらいたいということで設定したのだろう。

C先生:購買購入層がどんなものか、どの車種がもっとも売れているのか、なども興味がある。

A君:いずれにしても、良く売れているようで、今発注しても、年内が無理かもしれないという状況らしいですね。

C先生:多少大型になって、立派に見えるし、また、車内も広くなった。4人乗車は楽々。トランクはちょっと狭い。ゴルフバッグは宅配に頼むことになるだろうか。

A君:結論としては?

C先生:高級車群、マーク2もクラウンもセルシオもハイブリッド化して良いのでは

A君:そのぐらい洗練されているということですか。

C先生:その通り。さらに言えば、ハイブリッド化したヴィッツに乗ってみたいし、タクシー仕様ハイブリッド車が欲しい。

B君:車種を増やせ、ということ。

C先生:トヨタのことだから、今回のツーリングバージョンを売ることで、車種の拡大は、多分折り込みずみだとは思うが、2008年の第一約束期間が始まるまでに、できるだけ多くの車をハイブリッドにしてしまいたい。特に、タクシーはハイブリッド以外は許可しないといったやり方も石原都知事ならできそうだ。

A君:例の、自動車庫入れ機能は?

C先生:日常、使う気にはならない。第一印象と変わらない。これを目的でプリウスを買ったら後悔するのでは。次に同様の機能が搭載された車種なら、かなり洗練されたものになっているだろう。

注:本来、燃費は、満タン法などで測定すべきである。今回のHPは燃費計のデータに依存していて、正確かどうか、全く分からない。なぜ満タン法が使えないか。新車で満タンにした時にオドメータは34kmで、現在は465km。すでに431km走行しているのに、ガソリンが、メーターではまだ60%も残っている。ガソリンタンクの容量は45リットルだが、この調子だと、ガソリンが空になるまでに、1000km近く走るのではないか。


第一回の満タン法による燃費

 今回、走行総距離 473kmで平均燃費は、19.7km/L
 遠出、八王子65km、 白子210km を行なった。となると近所走行が198km
 どうやら、遠出で25km/L、近所(坂道多し)で15km/Lと考えるのが妥当のようだ。
 やはり、燃費メーターでは、やや良い値が出すぎのようだ。5〜10%ぐらいは内輪に見ないと。
 しかし、オリジナルプリウスであれば、近所(コールドスタートを含む)では10km/L以下しか出ないだろう。やはり燃費の改善は相当なものだと思われる。まあ50%の改善だ言えるだろうか。遠出の燃費は、オリジナルプリウスだと20km/Lが良いところ。となると、25%程度の改善率だろうか。