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  環境研究・技術開発の新戦略   05.08.2010
     



 新成長戦略によれば、グリーン・イノベーション、すなわち、環境エネルギー関連の産業を育成し、2020年目標として、『50 兆円超の環境関連新規市場』、『140 万人の環境分野の新規雇用』、『日本の民間ベースの技術を活かした世界の温室効果ガス削減量を13 億トン以上とすること(日本全体の総排出量に相当)を目標とする』と定められている。

 これを実現するには、この目的に沿った形での戦略を個別に作り、環境研究・技術開発を推進しなければならない。

 環境省の中央環境審議会にこのための専門委員会を設置し、これまで検討を続けてきたが、新推進戦略の案が完成し、パブリックコメントに掛けることになっている。

 環境研究および環境技術開発に関わる研究者などは、是非、この推進戦略をご一読いただき、パブリックコメントにご意見をお出しいただきたい。



基本的な設計方針

C先生:今回、推進戦略を決めたが、これは5年ほど前に決めた推進戦略のリバイズ版とも言えるが、作る際の基本的な考え方をかなり変えた。

A君:前回は、何か具体的な研究テーマを集めて、それを分類したような作り方だった。

B君:しかし、当然のことながら、新しい社会的な要請に基づくテーマは抜けていたという状況になる。

C先生:それはそうなのだが、それ以外にも、こんな方向性の研究をやって欲しいという願望に基づく記述もあったのだが、現実はそれほど生やさしいものではなかった。やはり、研究者は、自らの業績を高めるという動機のためにしか動かないので、新しい、ということは困難で論文の生産性の悪いテーマは、いつまでたっても放置されたままだった。

A君:うーん。例えば、化学物質管理に関わるところにある人文科学的な研究とかでしょうかね。

B君:そんなことだとしても、何も言えないのが普通だ。

C先生:何はともあれ、今回の検討にあたって、状況が大きく変化した。それは、この5年間で、気候変動に関する中長期の目標というものが、曲がりなりにも設定されたことだ。

A君:2020年までに温室効果ガスの255削減。真水が何%かは不明として。そして、2050年までに少なくとも日本国内では80%。これも真水なのかは不明。

B君:しかし、考えてみると、福田首相が洞爺湖G8で主張し、G8全体としてもある程度の合意を見たのは、2050年には、世界全体でも80%という削減というものだった。

A君:世界全体で80%削減は、これは相当に難しい。途上国での削減に対する資金メカニズムとインセンティブ制度を創出しないと。

B君:途上国にも排出目標値を決めて、その実現に協力した先進国に、排出権を売る。そのためには、先進国からの排出量にCAPを決めるが、その上限をゼロにする。こんな仕組みがもしもできれば、なんとかなるかもしれない。

A君:途上国の排出目標値をどうやって決めるか、これは、ほとんど不可能なこと。むしろ、先進国の排出量をゼロにするCAPの方が簡単かもしれない。

C先生:その議論は今回は抜きにして、まあ、状況はその通りなのだ。2020年の中期、2050年の長期の目標が曲がりにも設定された。そのために、それを実現できそうな長期的にあるべき姿というものが、大体描けるようになった。その中間地点として、中期目標を考えると、そんなに選択の自由度が高い訳でもない。

A君:ということで、若干バックキャスト的な考え方、要するに、先に着地点をぼんやりと決めて、その方向に向かうのに必須の条件を考えるという知的アプローチの方法が採用できることになった。

B君:そして、重点課題を定め、そのサブテーマを定め、そして、具体的な研究課題あるいは技術開発課題を決める。まあ、正当的なアプローチになったと言えるだろう。

C先生:重点課題については、恐らく、今後5年間程度は有効であるもの、という観点から選択されている。当然、全く新規のニーズによって、追加されるものが無いということではない。重点サブテーマについては、まず方向性として間違ってはいないというものだ。やはり5年間程度は有効ではあるが、重要性については変動する可能性がある。そして、最後の研究課題あるいは技術開発課題だが、これらは、あくまでも例示とした。現在考えられる例を示したものであって、今後、5年間では大きな変動が予測されるものだ。消えてしまうものあるだろうから、毎年毎年、レビューをして、また新たな例示を行うという性格のものだと考えて貰いたい。

A君:大体のアウトラインは分かりました。それでは、やはりトップダウンから行きますか。

B君:どの資料を見れば良いのか分からない。

C先生:実は、現在これを書いている時点(5月7日夜、8、9日と山陰の予定)では、確認できていないのだが、分かり次第、次の枠内に、具体的に見るべきURLなどを書き込むことにする。

パブコメ用のURL
環境研究・技術開発推進戦略のパブリックコメントについて
ご意見の提出期間は【5/17(月)まで】。
●URL
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=12459


全領域共通、領域横断

A君:まず、「2050年の有るべき姿」という最上位に置かれる目標が3つ。これがピラミッドの頂点で、ここに向かって、2020年という時間軸からの登りの矢印、そして、それぞれの分野からの矢印、この2つの方向からの矢印ができる。

B君:ちょっと待った。その「有るべき姿」に向かうそれぞれの分野からの矢印というもの以外に、全領域共通のとか、領域横断のとか、という枠があるようだが。

C先生:これも、今回の改正点の大きなところなのだ。これまでは、個別分野がそれぞれの目標を考えるということになっていたが、いよいよ環境問題というものは、複合的・複雑系だという理解になっている。
 そのため、ある領域だけを考えるとこれが正解だということになっても、別の領域から見ると、必ずしもそうではない。これをトレードオフ型と呼ぶが、そんなテーマもある。
 それとは逆に、ある領域を中心に考えることなのだが、それが実現すると、同時に別の領域でもベネフィットが生じるというコベネフィット型の技術というものもある。
 さらに、気候変動がその典型なのだが、これまでの公害型の環境問題と違って、ある程度は受容せざるを得ないと考えられる。例えば、気候変動についても、地球平均気温の2℃程度の上昇は避けられないものと考えられている。この温度上昇に伴って、何か環境的な影響が出るとしても、それには上手に適応するしかない。となると、影響を評価し、最適な適応策を考えると研究課題や技術開発課題が出てくる。

A君:これらが領域横断型として定義されたということですか。

B君:しかし、その中味はそれほど充実しているというものではない。今後追加される可能性があるのではないだろうか。

C先生:実際、色々と考えたのだ。現時点で領域横断型というものを設定しなければならなくなった最大の理由が、実は、温暖化という何をやっても影響がでてしまう広範な課題への対応がますます重要になったからだとも言える。さらに、将来の街造りなどのように、高齢者対応と低炭素化というものが、例えば、自動車をどう考えるかなどで、共通のものであるという理解もある。
 また、その他の要素としては、外国からの汚染物の越境移動に関わることがあって、これは、発生源対策が難しいということもあって、適応策を考えるしかないということになった。
 こんなことをかなり広範に考慮して、残ったものがこんなものなのだ。どこかすっぽりと抜け落ちている可能性が全くないとは言えないのだが、まずますではないか、とも思うのだ。


長期的なあるべき姿と全領域共通課題

A君:それでは、2050年をターゲット年とした長期的なあるべき姿とそれに係わる重要課題ですが、これは、次の3項目で、それぞれにサブテーマが付いています。

【重点課題1・我が国の先進高度技術が世界の環境問題の改善に大きく貢献
[サブテーマ]
−長期的視点での、我が国の状況に対応した、社会・国土のあり方
−人間社会の持続に必要な地球全体の資源等の容量の把握、地球空間・資源の戦略的利用と保全

【重点課題2・環境価値の内部化が進展し、環境負荷低減努力が利益に結び付く仕組みが完成
[サブテーマ]
−経済的評価を踏まえた持続可能社会への転換方策にかかる総合的研究
−幸福度、価値観の転換に関する研究
−環境教育・コミュニケーション・合意形成のあり方の研究

【重点課題3・環境の観点からのまちづくり等により、生活の場が豊かに
[サブテーマ]
−低炭素社会移行シナリオ・適応策に関する研究
−気候変動等に関する国際政策のあり方に関する研究


B君:技術貢献、環境の内部経済化、豊かな生活の場の3つ。
 日本国内の状況を考えると、今後、人口は減少していくだろうし、温暖化についても、資金さえ十分ならば、なんとか適応できるものと思われる。この資金が十分か、ということについては、大きな課題があるが、技術貢献といっても無料提供を意味するのではなく、資金の獲得に繋がるようなビジネスが隆盛になれば、まあ、良さそうだ。
 環境の内部経済化は、先進国内では、諸外国に比較して、日本がもっとも遅れているところかもしれない。「最終的には金で解決かよ」、といった反応が強い国が日本だとも言える。環境というと良心の塊みたいな対応以外は認めないとも言える。しかし、このマインドは変える必要がある。
 3番目が豊かな生活の場、ということだが、「豊かさ」とは何かという定義は大きく変わることだろう。それを含めれば、まあ、この3つは妥当な選択かもしれない。

A君:「豊かさ」とは大量消費を伴うものばかりではない。というよりも、大量消費は豊かさを意味しなくなっているのではないでしょうか。むしろ「豊かさ≠大量消費」となっていて、やはり多数のオプションから選択が可能といった自由度の高さでしょうか。多様な価値観を満足させること、とも言えそうですが。すなわち、「豊かさ=満足度」になっているのでは。

C先生:2050年のことだから、まだ40年もある。地球人口も旨く行けば、ちょうどそのころがピークになっている。そして、多くの人々がある程度現状に満足するか、少なくとも、子ども達にはより高い満足度を与えることができる、と考えられるようでないと駄目だろう。


中期的なあるべき姿

A君:2020年の有るべき姿を中期的なあるべき姿と記述しています。

B君:しかし、そこに書くべきものは、新成長戦略そのものでひとまず良いのでは。

A君:これらが3つの項目。
・50兆円超の環境関連新規市場、140万人の環境分野の新規雇用。
・我が国の環境技術がアジアなどの環境問題の改善に貢献
・持続可能な社会経済システムの研究成果が社会に実装

 新成長戦略は大別して2つの具体的な項目に分けることができるのですが、そのうちの、いわゆるグリーンイノベーションと呼ばれるものの中味に、少なくとも、最初の項目は一致しています。
 2番目の項目は、成長戦略が13億トンの温室効果ガスの削減を途上国で実現するとなっているものを、より普遍化したものになっています。
 3番目は多少違っていて、長期的なあるべき姿で記述された、環境の内部経済化に向けた形になっています。

C先生:3番目は、そこまで考えて書かれたものだとも思えない。むしろ、持続可能な社会経済システムとは何か、という検討がもっとしっかりと行われることが重要で、しかも、その研究成果が社会への実装にまで繋がることが重要という主張なのではないか。

A君:それでは、次に、領域横断的課題のリストを示します。


領域横断的課題

 1領域のみならず、複数の領域で検討することにより相乗的な効果が期待できるもの、また、複数の領域で対応しなければ解決に結びつかない課題を設定した。こうした課題の解決は、アジア等諸外国への技術移転による国際貢献のみならず、我が国の経済成長にも寄与するものである。

【重点課題4】 複数領域に同時に寄与するWin-Win型の研究開発
[サブテーマ]
・コベネフィット型技術・システムの展開
・廃棄物等からのエネルギー回収


【重点課題5】 複数領域間のトレードオフを解消する研究開発
[サブテーマ]
・自然環境や安全に配慮した再生可能エネルギー技術の開発
・温暖化対策製品の3R技術の開発

【重点課題6】 環境要因による社会への影響と適応
[サブテーマ]
・気候変動による生態系への影響の解明
・越境汚染の解明・対策


個別領域 T.脱温暖化社会

A君:この領域の記述は、当然のことながら、かなりボリュームがあります。2050年、2020年の有るべき姿は、通常考えられることが記述されていますので、現物を見て貰うことを前提にして、省略したいのですが。

B君:そうだな。ここだけで、1000字近いな。

C先生:まあ、省略するか。

A君:個別領域では、むしろ、重点課題が重要だと思うので、そちらをここでは記述したいと思います。

脱温暖化社会の重点課題は、7、8、9、10の4点。

 温室効果ガスの大幅削減と、気候変動に適応した社会づくりという大きな目標に向け、様々な技術等を組み合わせ、いかに社会に普及させていくかという社会実装の観点を踏まえ、低炭素型社会のシナリオづくり、エネルギーの需要側、供給側双方での低炭素技術、観測・適応策等の課題を設定した。

【重点課題7】低炭素で気候変動に柔軟に対応するシナリオづくり
[サブテーマ]
・低炭素型かつ安全で快適な地域づくりに係る総合的な研究・開発
・農山漁村地域の機能活用
・低炭素型のライフスタイル・ワークスタイルの提案
・気候変動への適応と安全で暮らしやすい地域づくりのコベネフィット


【重点課題8】エネルギー需要分野での低炭素化技術の推進
[サブテーマ]
・日々の生活における省エネを促進する技術・システムの開発
・ものづくりの低炭素化、高付加価値化
・低炭素型都市・地域づくりのための交通及び社会インフラの効率化
・要素技術を社会実装するための最適パッケージ・システム化の評価・検討


【重点課題9】エネルギー供給システムの低炭素化技術の推進
[サブテーマ]
・要素技術(再生可能エネルギー技術及び既存エネルギー高度化技術)の低コスト化・高効率化・システム化
・要素技術を社会実装するための最適パッケージ・システム化の評価・検討


【重点課題10】地球温暖化現象の解明と適応策
[サブテーマ]
・モニタリングの精緻化と利用の促進
・気候変動予測の高度化
・気候変動への適応と安全で暮らしやすい地域づくりのコベネフィット(再掲)


B君:そして、それぞれの重点課題の下に、2〜4個のサブテーマがある。

A君:気候変動の研究テーマは、実際のところ、この4種類ぐらいにまとめることが可能で、今回、もしも何かを特筆せよ、と言われたら、(1)にシナリオ研究が上がっていることでしょう。

B君:この重点課題は、そもそも、誰が取り組むことを想定しているのだっけ。

C先生:対象は日本全体であって、要するに誰でも良い。環境省からの研究費だけを意識したものではない。

A君:しかし、実際には、多少意識されているものと思われます。なぜならば、(3)のエネルギー供給システムの低炭素化は、具体的な対応を考える際に極めて重要で、例えば、石炭による発電を地熱で置き換えることができれば、かなり有利な状況になり得ます。
 しかし、もしも技術開発が必要だとしても、環境省にとっては、それは取組として第一順位にはなり得ない。やはり、環境全体を考えて、一体、どこにリスクが存在し、どのような状況になると、リスクが増大するのか。こんな総合的な見方ができるのは、経産省でも文科省でもないので、シナリオ研究がトップに来るのは環境省的に見えれば、当然なんです。

B君:そうだろう。経産省は技術開発が中心的役割、文科省は観測とシミュレーションが中心。こういった分担になっているから。

A君:しかし、実際に実行するとなると、大学、研究所、企業などが対応することになるのですが、その際の重要度となると、全体観が駄目なら全く駄目、ということなので、この順番で良いのかもしれません。


個別領域U. 循環型社会

C先生:この領域は、文部科学省が予算を出すことは考えられないところだ。大学に結構、研究者がいたりするのだが、まあ、不思議なことだ。

A君:科研費で取るのなら勝手に、というのがスタンスなのでは。

B君:まあ、そうだろう。

A君:以下11、12が重点課題。

 循環型社会の実現に向けて必要な、3R技術、エネルギー回収技術を追求し、いかに効果的・効率的に社会へ普及させ、脱温暖化対策にも資するという観点から課題を設定した。

【重点課題11】3R・適正処理の徹底
[サブテーマ]
・3R配慮製品が普及する社会づくり
・リサイクル、回収技術の強化
・有害廃棄物対策と適正処理
・循環型社会に向けたシステムづくりの研究


【重点課題12】熱回収効率の高度化
[サブテーマ]
・熱回収を推進できる社会づくり


【重点課題13】レアメタル等の回収・リサイクルシステムの構築
[サブテーマ]
・廃棄物からのレアメタル回収技術開発



B君:これらのテーマは、環境行政として重要なことを含んでいる。

A君:レアメタル類は、同時に、産業政策としても重要。

B君:熱回収の高度化は、これも重要で、それには、やはり適正な3Rが必須だ。技術だけで解決できる問題でもない。

C先生:社会システムとしてどうするか、という観点を含む研究、場合によっては、シナリオ型になるかしれないが、そんなものの重要性を述べている。


個別領域V. 自然共生社会

A君:この領域は、予算を獲得できるとしても、現時点では科研費以外は環境省だけなのではないでしょうか。

B君:本来、この研究領域には、大学関係者が多いので、文科省がファンディングをもっとやっても良いのだが。

C先生:農水省との関係が出てくるのだろうか。あるいは、国交省との関係かもしれないが、文科省は、ここに予算を出す気は無かった。しかし、多少の可能性がでてきた。それは、適応策という考え方なのだ。温暖化が進行すれば、ある程度の温度上昇は仕方がない。となると、どうやって被害を避けることができるか、という適応策が重要になる。植物は、気候変動が起きても対応しにくいので、生態系がどのように変わってくるか、こんな研究課題が重要なのだ。

A君:それって、JSTのCRDSからのプロポーザルになっているのでは。

C先生:その通り。もしも、どんなプロポーザルになっているか興味があれば、ご連絡下さい。冊子があるので、対応可能。

A君:重点課題は以下の14、15の2点

 平成22年に我が国で第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)が開催されることを契機とし、生物多様性や生態系の保全・利活用を一層進めていく観点から課題を設定した。

【重点課題14】生物多様性の確保
[サブテーマ]
・生態系の現状・変化状況の解明とポスト2010年目標の実現に向けた地球規模での生物多様性の観測・評価・予測
・絶滅危惧種の保全・増殖に係る統合手法の開発
・外来種等の防除システムの構築
・遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する研究


【重点課題15】国土・水・自然資源の持続的な保全と利用
[サブテーマ]
・生態系サービスの恩恵の解明
・里地・里山・里海等二次的自然の保全
・都市と農山漁村の有機的な連携の構築
・健全な水循環システムの構築
・海岸漂着物等の対策



個別領域W. 安全が確保される社会

A君:この領域の重点課題は16、17の2つ。

 化学物質による環境リスクの管理を一層徹底するとともに、予防的対応を念頭にリスク管理・評価手法の高度化を図るという観点から課題を設定した。

【重点課題16】化学物質等の未解明なリスク・脆弱性を考慮したリスクの評価・管理
[サブテーマ]
・子どもの健康に影響を与える環境要因の解明
・化学物質等に対する感受性の違いを考慮したリスク管理
・化学物質のリスク評価手法の高度化
・ナノ材料等の環境リスクの評価、低減手法の開発


【重点課題17】健全な水・大気の循環
[サブテーマ]
・健全な水循環システムの構築(再掲)
・環境計測・分析・汚染対策技術の強化・最適化
・PM2.5等大気汚染物質のリスクに関する研究


C先生:実は、この領域の取り扱いは、多少、他の領域とは違う。安全が確保される社会とは、社会全体が共有する共通のテーマのようなもので、例えば、いくら生物多様性が確保されたとしても、熊にいつでも襲われる心配をしなければならないような生活ではたまらない。
 そのため、他の3つの個別領域の基盤といった位置づけにした。

A君:もっともそれには、反対意見もあったのですね。

C先生:重要課題をこの領域に割り付けることはもはや必要ないのではないか、という意見もあったが、それは困るということで、位置づけは変えたが、他の取り扱いは従前通りとした。

B君:実際、安全に関わる環境リスクはかなり下がっているとも言える。

A君:しかし、ヒト側が変わっている。先日の報道では、なんらかのアレルギーをもっている子どもが40%近いということになってしまった。

B君:それは、アレルギーに対する基本的な対応が間違っているからだとも言える。まず、感染性の雑菌に対する暴露が余りにも少ない。さらに、ある食物にアレルギーを発症したら、その食物をいかに避けるか、という対応しかしていない。

C先生:そうだな。多少前ならば、大人になるとアレルギーからは解放されることが多かった。それは、その食物に徐々になれることによって、実現されていた。多様な食物を摂取することで、アレルギーの原因物質であるタンパク質も多様なものを食べることになって、いつのまにかアレルギーが解消する。

A君:杉花粉のアレルギーでは、減感療法というものが使われることもあります。杉花粉のタンパクを注射などの方法で、極微量ずつ体内に取り込んで慣れさせる。

B君:アレルギーの原因である食物も、少量ずつ注意深く摂取すれば、そのうちに、慣れる可能性が高い。

C先生:一方、水などに対する環境基準がますます高度になって、対応が不可能になるといった事態になる可能性もある。

A君:現在の環境行政では、ヒトは一定程度以下の量の有害物質であれば、そのうちに対応するという考え方はまだタブーですね。高蓄積性の有害物質でも、なんとかヒトは代謝して対応するのですが。

B君:重金属は分解できないので、なんとか、対応する方法論を持っているのだ。全部が全部体内に蓄積し、未来永劫、保持し続けるというものではない。

A君:そんなことを言うと、デトックス屋が文句を言い出す。商売が上がったりになるので。

B君:健康食品屋も文句を言うかもしれない。代謝を加速すると言いたいだろうから。

C先生:まあ、水道水が飲めると思わなくなった人も多いのだから、しょうがないとも言える。水道水の品質自体は、まずまず良くなってきたのだが。

まとめ

A君:こんな構造になった推進戦略ですが、当然のことながら、本当の意味での推進戦略が書かれた部分があります。これはどうしますか。

C先生:詳しくは、本文を読んでいただきたい。場所などは、以下の枠内に示すことにする。

A君:ということだと、ほぼこれで終わりにして良いということで。

C先生:今後、5年間、このような方向性をもって環境研究と環境技術開発を進めるという宣言みたいなものなので、是非、その内容をチェックして、ご自分の視点で検討をし、もし不満があれば、パブコメで意見を述べていただきたい。

B君:ただし、具体的なテーマをこの文書から探そうといっても無理。なぜならば、優れた研究テーマは、独自の考察と独自のアプローチ法の提案によってのみ、成立するものなので。

C先生:その通りで、具体的に上がっている研究テーマは、繰り返しになるが、単なる例示に過ぎない。現時点では、こんなものだが、これは長期間、その重要性が保たれるというものではない。
 時間の流れというモノは、このところ極めて速いように思える。しかし、前回と違って、今回は、2020年、2050年という2つの達成時点が決まっているので、より未来への見通しは良くなったとも言える。その分、個々の記述についても、確実性が高いと言えるのかもしれない。