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  今年話題になった言葉 その1 09.22.2007
     



 この文章は、フランクフルトに向かう飛行機の中で書いている。エジプトに行くためである。次週のHPには、その報告が書けるだろう。

温暖化対策関係の言葉から

バイオ燃料とその将来

 地球温暖化が深刻になりつつあるという認識、石油価格の高騰によるガソリン価格の上昇、などに対して、農地に余裕のある国では、穀物やサトウキビから作る自動車用の燃料を作ることを考えるようになった。
 自動車燃料は、ガソリン車用とディーゼル車用に分かれているが、バイオ燃料も同様で、ガソリン車に使うバイオエタノールとディーゼル車に使うバイオディーゼル燃料の二種類がある。
 バイオエタノールは、その製造法は、アルコール90%以上の蒸留酒を造る方法と全く同じである。
 バイオディーゼルは、なんらかの植物油を作り、エステル交換反応などの処理を行う。 バイオ燃料を燃やしても当然のことながら二酸化炭素は出る。しかし、植物は生育をするときに大気中の二酸化炭素を吸収しているから、正味ゼロである。これをカーボンニュートラルと呼ぶ。しかし、製造過程で、化石燃料を全く使わないという訳にはいかない。例えば、米国ではトウモロコシを原料に使っているが、米国の農業は完全に機械化されている。水は地下水でくみ上げにもエネルギーが必要である。そのため、かなり多量の化石燃料が使われている。
 次表は、バイオエタノールを製造する際に必要な化石燃料と得られたエタノールのエネルギーの比を示す。

  製造国  原料    エネルギー比
  米国   トウモロコシ  1.3
  ブラジル サトウキビ   7.9

米国のバイオエタノールは、化石燃料をそのまま使うこととほとんどゲインはない。一方、サトウキビからのバイオエタノールは、温暖化対策として有効である。

 さて、今後どうなるのか。問題点が見え始めている。バイオエタノールによって、穀物の価格が上昇したことである。すなわち、農地を人と車が奪い合う状況が起きている。今後、人口の増大とともに、食糧需要が高まるだろう。人と車とどちらが重要なのか。
 最近、バイオエタノールを農業廃棄物や木材などのセルロースから作ることが検討されている。となると、多少、余裕は出るだろうが、量が増えれば、森林を車が食いつぶす事態が起きそうである。
 アフリカでは、ヤトロファという植物が注目されている。バイオディーゼル用の油を生産する植物で、通常の穀物などが育たない荒地でも育ち、かつ、有毒なもので放牧している牛などが食べないという。ヨーロッパのディーゼル車は、この植物に依存する可能性もある。

C先生:2004年のWBCSDの報告などを見ても、自動車の燃料をバイオ起源にすることと、水素にすること、この2種類に大きく依存しているような未来シナリオが書かれているが、水素は、毎度このHPで書いているように、車を走らせるのは簡単だが、水素を経済的に作るのが難しく、まして水素をガソリンスタンドに配るのが不可能に近い。そのため、まあ、2100年ごろまで普及は無いだろう。バイオ燃料は、非食糧を原料とするものに移行しないと、これも普及は難しい。解決策は、どうみても電気自動車の導入なのだが、これが難しい。


電動オート三輪

 昭和30年代に大ヒットした軽三輪自動車をヒントに、電動三輪車の試作車が東海大などによって作られ、公開された。2年後の実用化を目指している。現在の性能は、8時間充電で45キロ走ることができ、まだ、30キロほどの荷物しか積めないが、実用化までには300キロが積み込める性能を目指す。
 一般に、電気自動車にすれば温室効果ガスの発生量が1/3になることが期待できる。
 中国などでは、電動のスクーターが登録不要のために急速に普及しており、大気汚染の削減に効果を見せている。そろそろ日本も電気自動車の時代への移行を急がなければならないだろう。

C先生:先日中国に行って、電動スクーターが普及していることに驚いた。日本も、まずは、この電動スクーターを本格的に普及する企業が必要なのではないだろうか。もちろん、原付での登録が必要だが。中国製の製品を個人輸入して使うのは、メンテナンス面を考えるとかなり勇気が必要。


クールヒートトレンチ/エコスクール

 最近、学校の校舎に太陽電池などを設置してエコ化する試みが増えている。最近、杉並区に採用された方法が、「クールヒートトレンチ」。冬には暖かく、夏は涼しい地下の温度を利用したもので、地下空間を通した空気を校内に流す。
 また、昼間に校舎内にこもった熱を逃がすために、夜間に窓の一部が自然と開いて空気の通り道を作る「ナイトパージ」も実施。
 このほか、屋上や壁面の緑化、直射日光を避けるために大きく張り出したバルコニーを設置したり、雨水をためてトイレに使用するといった試みも併用する。
 それぞれの効果だが、屋上緑化で3度、壁面緑化で1度、校庭の緑化で8度下げ、そして、トレンチで2度下げる効果が期待できるという。
 09年3月完成予定の荻窪小学校の総工費は27億円。このうち、エコ化にかかる費用は2億5千万円程度という。

C先生:地中熱を活用した冷暖房は、なぜか普及しない。日本という国では、井戸を掘るコストが高いからのようだ。
 それにもう一つは、余りにも安い深夜電力が新技術の普及の邪魔をしているように思える。
 東北地方では、深夜電力を用いた蓄熱式の暖房などが普及していることを始めて知った。北欧なみに、10kWを超すような設備だそうだ。深夜電力は、その環境負荷に比較して安すぎる。
 深夜電力高くなるためにも、早くプラグインハイブリッドを普及させたいところだ。
 いずれにしても、深夜電力の価格は、いずれ(10年後)には普通の電力なみになるのは避けがたいことだろう。
 深夜電力料金が昼間と同じになることは、電力会社にとっても有利なことなのに、どうも電力会社はプラグインハイブリッドに積極的ではないらしい。なぜだろう。


高レベル放射線廃棄物最終処分場

 原発の使用済み核燃料には、ウラニウムの核分裂によって生じる様々な核分裂生成物と、燃え残りのウラニウム、さらに、プルトニウムなどを含んでいる。核燃料として使用できるプルトニウムとウランを燃料として再利用するために、様々な核分裂生成物を分離しなければならない。
 分離された様々な核分裂生成物を含む廃棄物を、高レベル放射性廃棄物と呼ぶ。
 放射性物質が拡散しないように、溶けたガラスを混ぜて固め「ガラス固化体」にする。このガラス固化体は、ステンレス製の容器に入っているが、それをさらに鉄製の容器に入れ、これを最終処分地に保存する。
 10万年で隆起量が300m以下の安定した地層を選択し、地下300mより深いトンネルを作って、その中に、容器を保存し、周囲を粘土で固める。
 高レベル廃棄物は、極めて放射能が強く、当初は、人がそばに立つと20秒で死亡するほどであるが、プルトニウムを取り除いてあるため、比較的早く放射能は減少する。それでも、最低1000年間は、人は接触できない。
 しかし、プルトニウムを処理しない使用済み核燃料をそのまま保存すると、10万年程度は人と接触できない強さの放射線を発生するため、一旦、原子力発電を始めてしまった以上、処理をすることは必然である。
 処分場をどこに設置するか、これは極めて重要な問題である。そのため、国は様々な好条件を地元に提示している。まず、立地調査は、「文献調査」、「概要調査」、「精密調査」の三段階で行われるが、文献調査を受け入れると、年間10億円を支給、さらに概要調査に進めば年間20億円を交付する。途中で選定から外れても、返却の必要性はないという好条件である。
 さらに、処分場の操業が始まれば、立地地域には1600億円の固定資産税税収のほか、経済効果も2兆4000億円があるという推定もある。
 高知県東洋町は、財政難を理由に、町長の主導で名乗りを上げたが、町民や高知県知事の反対で辞職。信任を問うため町長選挙になったが、結局反対派の町長が勝利した。

C先生:深夜電力がなぜ安いのか、と言えば、それは原発のお陰。エコキュートを使っている皆さんは、お風呂に入るたびに、「原発のお陰です」ととなえないと、バチが当たる。
 冗談はさておき、最終処分場の目処が立たない。これから原発をどうするという問題ではなくて、すでに溜まっている使用済みの核燃料を処理しないと、そのリスクは高くなるばかり。


給電スタンド

 高速道路を使う長距離トラックは、サービスエリアやパーキングエリアで仮眠や休憩をするとき、車内の冷暖房のためにエンジンを掛けたまま長時間、停車することが多い。
 そのようなトラックには、エンジンに直結したエアコン以外に、運転席の天井に、200Vの外部電源で動作する電動のエアコンを設置することができる。暖房は、100Vの電気蓄熱マットや電気毛布などを使用。
 駐車場にパーキングメーターのような給電スタンドを設け、トラックをケーブルで接続し、電力を有料で供給する仕組み。
 大型トラック1台が1時間エンジンを掛けたまま停車する場合に比べ、CO2排出量を98%低減できる。コスト面でも、従来は156円分の燃料が必要だったのに対し、電力は10円程度ですむ。
 今秋にも、東名高速、名阪高速の数ヶ所で試験導入する。
 ディーゼルエンジンをアイドリングさせエアコンを駆動する効率は、極めて低い。

C先生:第二世代プリウスのエアコンはご存知のように電動。したがって、その効率はかなり高い。車が停止状態で、エアコンを動かすためにエンジンがアイドリングしている、という状況は、効率的には最悪。
 プリウスの暖房は、エンジン冷却水の温度を使う。ところが、停車中にこれで暖房するとなったら、残念ながら、これは極めて効率が悪い方法である。発生した熱の大部分は、排気管を通して外部に出している。新世代プリウスには、せめて、シートヒーターが欲しい。


蓄熱輸送

 神戸製鋼所と神鋼環境ソリューションは、工場やごみ焼却施設からでる廃熱を蓄熱装置に蓄え、トラックで輸送してオフィスや学校、住宅の冷暖房などに再利用するシステムの実用化にメドをつけた。
 これまで利用されていなかった200度以下の中・低温廃熱を利用できるのが特徴。
 蓄熱剤に人工甘味料のエリスリトールを使い、熱回収率を90〜95%に高めた。価格は、輸送用トラックや20トンの蓄熱装置3台などシステム1式で1億5千万程度。
 20トンの蓄熱装置1台には、一般家庭40戸分の1日の暖房に必要なエネルギーを蓄えられる。冷熱転換で冷房もできる。
 試算では、中規模ごみ焼却施設からでる200度程度の廃熱を、20トンの蓄熱装置に蓄えて4時間ごとに、10キロ離れた地点に輸送する場合、延べ床面積7000平方メートル程度の建物の冷房をまかなえる。

C先生:200℃程度の廃熱は、使い道が無いというのが通説。そこに狙いをつけるのは良い発想。蓄熱剤に、エリスリトールを使うのであれば、環境的も問題はなさそう。
 しかし、この熱を買ってくれる顧客は、どんな設備を備える必要があるのだろうか。エネルギー供給業の場合、それが半ば公的企業であるのは、継続性が重要だから。もしも、どこかの企業がそれを採用したとしても、継続的に熱が供給される保証が無いと、非常に困ることになる。


うちエコ

 「家(うち)」の中からできる温暖化対策、名づけて「うちエコ!」。「クールビズ」、「オフィス」を一般家庭に広める標語で、衣食住全般での温暖化対策の推進を目指す。
 具体的には、古い冷蔵庫・エアコンなど効率の悪い製品の買い替え。冷暖房温度の設定からシャワー時間の短縮などに至る細かいもの。これで、一人、一日、1kgの削減を目指している。
 しかしながら、現在の日本では、経済活動への悪影響がある政策は採用しにくい。個人的には、まずは、燃費の悪い自動車を買い替えること、さらには、ごみの出ないような生活を行うことが効果が大きいと考えている。

C先生:経済活動の低下を無視した政策の例。
(1)深夜電力料金の廃止。これでエコキュートは売れなくなるが、他のエネルギー技術が開発される。
(2)自販機設置税の新設。これで、自販機が1/3ぐらいに減る。
(3)コンビニなどの営業時間の制限。これで省エネになる上、恐らく、コンビニの経営者にとっても、まともな条件下の競争になって、体力の消耗は防げるだろう。


カーボンオフセット

 旅行などで発生する二酸化炭素の影響を減らしたいと思ったら、風力発電などにお金を払い、排出した分を埋め合わせること、すなわち、カーボンオフセットがお薦め。
 JTBでも団体旅行を対象に商品開発を行っているが、もともとはブリティッシュ航空やスカンジナビア航空がオリジナル。
 さらに国レベルでオフセットを推進し、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロにしようというノルウェーなどもある。

C先生:ガソリンなどのカーボンオフセットを義務化したものが、環境税だと言える。まあ、環境税導入への布石の一つか。なんとなく欧米的匂いのする方法で、日本では余り普及しないと思うが。



健康商品関係

逆浸透膜利用の浄水器

 工業用であれば海水から純水を作る逆浸透膜。その原理は、浸透圧の逆。水に圧力を掛け、超微細な穴の開いた膜を通して、水のみを取り出すもの。
 家庭用の製品はほとんどなかったが、最近では、米国や韓国、台湾からの輸入品が家庭に入りだした。
 地方自治体も、上水道がなく井戸水を使っている家庭での使用を推奨しているところがある。千葉市は、硝酸性窒素を含んだ井戸水を使っている家庭に購入補助を行っている。
C先生:水道水が直接配水されている家庭では全くの不要な商品である。井戸水中の硝酸性窒素は、有機農業をやると、増える傾向にある。家畜糞尿のコンポスト化は、地下水への大きな負荷になりうる。
 普通の家庭で、逆浸透方式の浄水器を買うのは、まあ、極限の無駄かもしれない。
 しかし、売れるかもしれない。なぜなら、海洋深層水、超硬水(例:コントレックス)、活性水素水(日田天領水)など、全く意味の無い水商品が売れる(売れた)のがこの国なのだ。


経皮毒

 専門用語としては古い言葉であり、皮膚を通して体内に取り入れられる毒性物質を言う。ヒトの場合、粘膜から若干の物質を吸収することはありうるが、通常の皮膚から有害物質が体内に入る量は非常に僅かであり、その危険性を考慮する必要はない。皮膚そのものの反応は、経皮毒の範疇には含めない。むしろ、皮膚からの吸収が徐々にしか起きないことを利用した経皮吸収型の治療剤などが開発され使用されている。
 存在しないリスクを強調し、不安を高めることによって、新しい形の経済活動、特に、経皮毒対応と称する洗剤、シャンプーや、デトックス(これも根拠の無い言葉)用サプリメントなどの売り込みを行うためのキーワードとして使われ始めている、という認識を持つべきである。
 不安を高め、それによって、何かを売り込むという手法は古くから多用されている。例えば、ダイオキシン騒動の際の有機野菜、細菌・ウイルスによる除菌商品、水道水の毒性を強調しての浄水器、などに見られるように、不要な商品を売りつける一部業界の常套的新手法である。

C先生:デトックスに続く言葉か。不思議なのだが、化学物質というと、人体に蓄積するものと思っている人が多いようだ。たしかに、ダイオキシンの代謝は、ヒトは非常に遅い。溜まりやすい代表の重金属ですら、様々な方法で代謝するので、デトックスなどということを考える必要は無い。
 この言葉に騙される人は、何%ぐらい居るのだろうか。いずれにしても、次々と良く考えるものだ。