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  原発なしで2050年まで その2  08.21.2011

    



 前々回の記事が、原発なしで2050年までのエネルギー供給と、付随する二酸化炭素排出量の80%削減を同時に満足する方法はどのようなものがあるかを探る、という記事で、そのパート1であった。
http://www.yasuienv.net/NoNukeTo2050.htm

 今回はその続き、パート2である。

 8月17日、朝日新聞朝刊に面白い記事が出た。「原発どうする」という記事で、7名が意見を述べている。さらに、朝日が判断した、各紙と政党、経済団体が何を考えているかが図に表示されている。

 ちなみに、7名とその意見は以下の通り。
澤 昭裕(国際環境経済研究所長)
 原発は現状維持。どれか一つのエネルギーに頼らない「多様化」がキーワード。
 本命のエネルギーは、天然ガス、石炭

黒木昭弘(エネ研常務理事)
 電力の25%ぐらいは、将来も原発に頼らざるを得ない。
 本命は、天然ガス、将来は新型石炭や地熱などの新エネ。

長谷川閑史(武田製薬社長)
 20〜30年かけて段階的に原発の依存度を引き下げへ)
 本命は再生可能エネルギー

前田匡史(内閣官房参与)
 古い原発の早期停止と新規原発の導入をセットで。
 本命は、天然ガス、クリーンコール

橘川武郎(一橋大教授)
 最大源の安全基準で対策を打ちながら「脱原発依存」を。
 本命は、10年は天然ガス、石炭、将来は再生エネ。

飯田哲也(環境エネ研所長)
 できるだけ早く脱原発を、国民投票で問うべきだ。
 本命は天然ガス、自然エネルギー

鈴木重男(葛巻町長)
 地域にあった再生可能エネルギーで地産地消を進めるべきだ。
 本命はない。可能なものは何でも。

 朝日が最後に、自然エネルギーについて、このようにコメントしている。
 「全員が拡大すべきだという立場だが、太陽光や風力が、電力供給の基礎部分を担うという見方は少ない」。そんな中で飯田哲也所長は、「省エネを進めて20年後の電力消費量が今の3/4になれば、そのうち35%ぐらいを自然エネルギーでまかなえる」と見る。


 さあ、皆様、どう思われますか。本HPの主張の第一番目は、「エネルギー問題には×××すべき」ということはない。

 第二番目は、評価基準も一通りではないが、様々なリスクを考えてどれを選択するのか、それは国民(当然、産業界なども含む概念)が選択することである。

 ここでは、2050年に原発をゼロとし、しかも、地球温暖化のリスクも最小限にするために、CO2の排出量を可能な限り80%削減する。という2つの条件下で、今後の技術進歩を多少考慮した上で、どのようなことになるのかを検討してみたい。

 結果的には、今回の7名の中では、黒木昭宏氏が原発25%ぐらいが絶対に必要だろうと述べているが、それに対する反論になる。

 なぜ黒木氏が、原発25%が最低ラインだと考えているかも、できれば、最後の最後に、考察の対象にしたい。

前回の結論を簡単にまとめと同時に、今回の検討で得られた結論をも追加してみると、以下のようになる。

(1)様々な状況を考慮すると、やはり電力網をどのように整備するかが鍵ではないか。やや不安定な電力ではあるが、停電の可能性が非常に少ない状態で、まずまずの量が提供されるという形が最終形か。

(2)揚水発電を自然エネルギーの不安定さの解消に使える状態になれば、それが電力網としての最終形態であろう。直流幹線網を具備した電力網になることが想像される。

(3)この最終形態では、自然エネルギーの大量導入を行うことになる。しかし、不安定な自然エネルギーである風力、大規模太陽光を大量に導入するには、当初は、不安定な電力専用の送電網を別途整備し、電気自動車・PHVへの充電に使用することが賢い使い方ではないか。不安定な送電網は、2050年頃には、強固な電力網に組み込まれる形になるのではないか。

(4)現在、原子力が果たしているベースロード供給機能は無くなることになる。水力・地熱が、現状の半分量程度を担う。残りの半分のベースロードは、「なし」で済ませるのだろうか。

(5)天然ガスを民生用に供給し、新型燃料電池による電力発生と熱によるエアコンの駆動、特に、地中熱を活用した高効率エアコンの活用が必須の技術になりそうである。このシステムがあれば、ベースロードの半分を「なし」にしても維持可能なのではないか。ただし、都市ガス供給網の地震耐性を格段に強化することが条件だが。

(6)産業用電力は、天然ガスを大規模燃料電池で電力化すると同時に、熱の同時供給を目指すことが良さそう。ただし、地震リスクへの対処が必須。

(7)2050年には、人口が30%程度減少しているので、実質上の省エネ率は約30%で、現在の50%の電力量で足りるような省エネが達成できる。このぐらいの達成度で良いのではないか。

(8)二酸化炭素発生量は、CCSを活用することによって、減らす。エネルギーコストに配慮して、石炭+CCS発電の可能性を生かしておくことが良さそう。

(9)石油化学、製鉄、セメントなどの産業は、やはり人口比で減少することだろう。

(10)交通には、電気以外の動力がどうしても必要。PHVと航空機には、カーボンニュートラルな液体燃料を、そして、現在のディーゼルトラックは、CNGで動かすことが現実的ではないか。

(11)最後に、エネルギーバランスフロー図を用いて、全体像を示してみたい。



C先生:2050年に原発ゼロの電力網を動かすには、という話題の第二回目。当然、相当に辛い形ではあるが、これまでの電力のような絶対に停電しない、非常に安定性が高い、コストが安い、といった難しい条件を緩和することによって、なんとかなるのではないか。もしなんとかなるとしたら、どのようなものになるか、これを解明することが第一回目、二回目を通しての課題だ。

A君:二酸化炭素の削減の方ですが、現在、石炭を用いている部分についてはCCSを付加する。天然ガスをSOFCで発電する部分、については、発生する二酸化炭素をそのまま放出する。しかし、効率が高い分、等価的に発生量が下がる。大型トラック用の動力も天然ガスなので、ここからのCO2もそのまま放出する。一部、ハイブリッド化も進んでいるために、効率が向上しており、やはり等価的には発生量が下がる。

B君:それで20%行けるかどうか、厳密なところは良く分からないが、なんとか近い数字がでそうかどうか、そこまでの判断で良さそうだ。

A君:本日の解析手法は、上述のように、結論としてまとめられていることを考慮しながら、エネルギーバランスフロー図(以下フロー図)を基にして、現在のエネルギー源を、2050年のエネルギー源で置き換えていく。

B君:フロー図は大変分かりにくいので、その説明からやらないとなのだが、これは難問かもしれない。

A君:我々も、専門家という訳ではないので、場合によると説明が間違っているかもしれないことをご容赦いただきたい。

C先生:フロー図は、エネルギー白書などにときどき載るので、ご覧になったかたがあるかもしれないが、読み方の正式な教科書のようなものをご存知の方が居られたら、ご連絡を。
 一応、ここでご紹介するものは、エネルギー白書2010年版の第二部序章の記述。
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010energyhtml/2-0.html

「国内のエネルギーの流れ」
 次に、このようなエネルギーがどのように供給され、どのように消費されているかの大きな流れをみてみましょう。エネルギーは、生産されてから、実際に私たちエネルギー消費者に使用されるまでの間に様々な段階、経路を経ています。大まかにみると原油、石炭、天然ガスなどの各種エネルギーが供給され、電気や石油製品などに形をかえる発電・転換部門(発電所、石油精製工場など)を経て、私たちに最終的に消費されるという流れになっています。この際、発電・転換部門で生じるロスまでを含めた我が国が必要とする全てのエネルギーの量という意味で「一次エネルギー供給」の概念が用いられ、最終的に消費者に使用されるエネルギー量という意味で「最終エネルギー消費」の概念が用いられています。国内に供給されたエネルギーが最終消費者に供給されるまでには、発電ロス、輸送中のロス並びに自家消費が発生し、最終消費者に供給されるエネルギー量は、その分だけ減少することになります。量的には、日本の国内一次エネルギー供給を100とすれば、最終エネルギー消費は68程度(2008年度の総合エネルギー統計による)になっています。
 具体的には、一次エネルギー供給は、石油、天然ガス、LPガス、石炭、原子力、太陽光、風力等といったエネルギーの元々の形態であるのに対し、最終エネルギー消費では、我々が最終的に使用する石油製品(ガソリン、灯油、重油等)、都市ガス、電力、熱といった形態のエネルギーになっています。一次エネルギーの種類別にその流れをみると、原子力、再生可能エネルギー等は、その多くが電力に転換され、消費されています。一方、天然ガスについては、電力への転換のみならず熱量を調整したうえで都市ガスへの転換も大きな割合を占めます。石油については、電力への転換の割合は全体的には小さく、そのほとんどが石油精製の過程を経て、ガソリン、軽油などの輸送用燃料、灯油や重油などの石油製品、石油化学原料用のナフサなどとして消費されています。石炭については、電力への転換及び製鉄に必要なコークス用原料炭への使用が大きな割合を占めています。LPガスについては、そのまま一般家庭等での消費が大きな割合を占めています(第201-1-3)。



図 第201-1-3 大幅に縮小したもの 画面をクリックすれば、フルサイズ(1620×1092)が見られます。

B君:実は、エネルギーバランスフロー図といっても、書き方は一様ではなくて、エネルギー白書に掲載されているものについても、実は、いくつかの形式がある。もっともわかりやすいものが、やはり最新の2008年版。
 立てに5本のカラムがあって、単位は、PJ(ペタジュール=10^15J)。1PJというと大体どのぐらいの燃料が発生する熱量に相当するのか、と言えば、石炭であれば4万トン弱、石油であれば、2万2千トンぐらい。
 もっとも左側に、下から石炭、石油、天然ガスと並んでいる。これは、消費量を熱量に換算したもの。その上に、水力・地熱・新エネ等というものがあるが、それがこれらを使って発電された電力を基本に、効率を40%強(火力発電の実績値)にして、エネルギー使用量に割り戻した値。原子力についても同様。したがって、もっとも左の第一カラムについては、非常に分かりやすい。
 第二カラムは後にして、第三カラムを見ると、上から、事業用発電、自家用発電となっている。発電効率の平均値は、先に述べたように40%強程度なので、そこに発電損失といものが書かれている。そして、それぞれの発電について、どのようなエネルギー源が使われているかが分かるように、第二カラムができている。
 第三カラムの上から3つ目が、都市ガス。都市ガスとしては、現状だと天然ガスが供給されているので、第二カラムで、そこに行く矢印は一本だけ。
 ここから下は結構厄介。次が石油精製・石油化学。石油精製の定義は、石油を他の燃料に分溜すること。すなわち、ガソリンとか、灯油、LPG、軽油、重油などを作ること。石油化学とは、原油から、ナフサ、ベンゼン、トルエンなどを分留し、それをさらに加工して、様々な樹脂などの原料となる物質を作ることである。樹脂などは、エネルギーとしての使用ではなく、物質としての使用になるので、最終的には、形が残ることになる。廃棄されて、焼却時の熱で発電が行われれば、それは第一カラムの新エネ等に入る。
 次が、原料用ナフサ・LPGなどで、石油製品になる。実は、この解釈がよく分からないので、別途後述。
 その次が産業用蒸気である。多くの蒸気は、蒸気を作るためのみの装置で作られている訳ではなく、自家用発電の予熱として蒸気が作られていることが多い。
 次がセメント焼成用石炭、そして、最後が石炭製品製造で、コークスなどを作り、製鉄用に使っている部分である。
 第四カラムは後ほどにして、第五カラムは、最終的な利用の形態を述べている。上から2つが民生家庭・民生業務で、電力、都市ガス、石油製品(灯油など)、その他となっている。
 三番目が運輸旅客で、ガソリン、軽油、ジェット燃料、LPG・電力といった乗用車や航空機の燃料で分類されている。
 四番目が運輸貨物であり、ほぼ同様。重油は船舶用と思われる。
 最後の五番目が産業用で、電力、都市ガス、天然ガスなど、エネルギー別の分類になっている。
 第四カラムが、第三カラムと第五カラムを結ぶ矢印になっている。

A君:2004年バージョンのエネルギーバランスフロー図は、自家発電の取り扱いが分かりにくい。具体的には自家用蒸気の発生が、第一カラムと結合されていない。分かる人は自家発電と結合しているということが分かっているので問題はないが、それが明示的でなかった。それが2008年バージョンでは改良されている。

B君:2004年バージョンでもう一つ分かりにくいのが、産業用石油製品の書き方。それだけを見ていると、産業用石油製品製造の矢印の左側が無い。そのために使われる熱などがどこから供給されるのかが分かりにくい。
 そのため、ムダかもしれないが、ある作業をして確認。それは、産業用石油製品って、一体どのぐらいの量があるのだろうか。
 その推定結果を次の表に示す。かなり怪しいので、専門家のアドバイスを求めたい。


表 石油化学製品の種類と量

B君:この表から分かることは、大体6000万トンの石油化学製品が作られている。しかし、例えば、エチレンとポリエチレンの両方が表に載っているので、ダブルカウントをされていることになる。ダブルカウント率をそれぞれの分類について適当に定め、液体・固体の最終製品として残っている量を推定すると、大体2400万トンぐらいで、これは、1100PJ程度に相当する。
 一方、フロー図によれば、石油化学製品は、2700PJ相当量が生産されているとされているが、これは、最終的に1100PJ分の最終製品が作られる際に、1600PJ程度のエネルギーが使われ、残ったものが1100PJという解釈で良いのか。ここでは全く分からないが、まあ、そのような仮定だということにしておく。余り本質的なことではないので。

A君:ご苦労なことでした。

C先生:やっと準備が整った。このエネルギーフロー図に、2050年でのエネルギーの形態を重ねてみる作業を行う。石油化学製品は、いずれにしても、そのまま残しておく。

A君:その作業を行うのに、2008年バージョンは、発電が事業用と自家用の2ヶ所があって面倒なので、より作業が単純になる2004年バージョンを使います。量的に細かいことは議論しないので、使いやすい方を使うということです。
 動きが無いと分かりにくいので、1枚だけのPPTファイルを作りましたので、ダウンロードしていただき、見ながらフォローしてみてください。

 PPTファイルのダウンロードアドレス アニメーション付きです。

B君:まず、原子力による電力は、2050年には無いので、それは節電と自然エネルギー(小規模な太陽光電池)への転換でカバーするという方針。ちなみに、上下方向の長さが量を示しているはずなのだが、現時点では、まだ定量的な値になっていない。現在のエネルギーを何で代替するかというアイディアだけを示している。

A君:次の水力地熱等は、やはり水力地熱で。しかし、量的には増える。

B君:次の発電用天然ガスと発電用石油は、色々と検討した結果、天然ガスで置き換え、しかも、2050年頃には、現在の熱機関ではなくて、燃料電池ができているものと考え、熱の需要地に近いところに発電所を作って、電・熱同時供給(SOFC熱と表記)とする。それによって、より高い熱効率が期待できるので、省エネかつ低CO2排出量が実現できる。

A君:次の発電用石炭は、そのままとして、排ガスには、CCS装置を付け、CO2を回収する。どこに貯蔵するか、それは今後の要検討事項。

B君:その次の都市ガスと、灯油、LPGなどは、基本的に民生用なので、冷暖房や熱源に使われていると考えられる。やはり次世代燃料電池による発電し、熱を利用した吸収型冷凍機、地中熱を活用したエアコン、給湯などに利用する(SOFC エアコン)。

A君:その次のガソリンと軽油。ガソリンは、基本的に電気が大部分で、長距離ドライブ時のみは、カーボンニュートラルのバイオ燃料(NonC)に置き換える。貨物用も小型は同様。電気は、不安定な風力と不安定なメガソーラーによる電力を専用の不安定直流電力網を新たに設置し、それで供給する(UnStable自然)。

B君:大型の貨物は、天然ガス(CNG)を燃料とするエンジンが駆動する。

A君:その次の石油化学の製品は変わらず。

B君:最後のセメントと鉄鋼用の石炭は、CCS装置を設置して、CO2を回収する。ただし、100%回収というよりは、容易に回収できる部分のみを回収することでも行けそう。

C先生:さて、これを今度は、どのぐらい減量できるかという定量的な話に行く。

A君:この図を見て下さい。



図 2004年のエネルギーバランスフローの第2カラムを2050年のエネルギー種で置き換えたもの。

先ほどのものに0〜100までのスケールが付いている。こ一番左が、エネルギーバランスフロー図の一部、次のカラムが先ほど決めた対処方針。そして、スケール。スケールの右側にある積み上げが、2050年における定量的な表現になっています。

B君:まず、人口減が30%と仮定。そして、その時点で、30%近い省エネ技術が導入されている。となると、大体、50%の省エネが達成できている。

A君:Smallスケールの自然エネルギー、すなわち、家庭用の太陽光発電は、原子力の半分程度のエネルギーを担う。停電のリスクに対応するために、家庭内に太陽電池用の蓄電池が設置されている可能性がある。場合によれば、新たな安定的な自然エネルギーが多少は使えるようになっているかもしれないことを期待している。例えば、海流・潮流発電。

B君:水力・地熱は現在よりはかなり増えている。特に、地熱発電が水力発電と同程度になっている。

A君:石炭発電は現在よりもかなり減っていて、CCS装置が付属している。

B君:次世代燃料電池による天然ガスを使った発電と熱の同時供給、それに、地中熱利用のエアコンなどによって、民生業務・民生家庭のエネルギー効率が格段に向上している。

A君:不安定な自然エネルギーは、かなり大量に導入されている。別の電力網になっている可能性も残るが、直流幹線をもった電力網になっていて、大量の不安定エネルギーが揚水発電によって安定化されている可能性もある。

B君:カーボンニュートラルの液体燃料は、どうしても電気では不都合な長距離用の燃料。

A君:CNGは、大型トラック用の燃料。石油化学原料はかなり減っている。原油価格が高いからかもしれないし、日本国内では、少量高付加価値品しか製造していないからかもしれない。

B君:鉄鋼やセメントに関わる石炭の利用とCCSは、量的にはやはりかなり減っている。

C先生:大体これで終わった。供給形態としては、電力が現在程度の総量になっていて、エネルギー供給全体の7割ぐらいか。ただし、天然ガスが燃料電池で電力に変換されている部分を含む。
 一番右にあるものが、化石燃料。これだけ見ると、石炭CCSに依存してCO2の発生量を削減していることが分かる。石炭ではなく、天然ガスを使うことで、CO2排出量も削減されている。

A君:ということで極めてざっとした検討ですが、なんとかなるかもしれない、という結果ではないでしょうか。

B君:課題は、と言えば、この図をじっくり見れば、不安定型の自然エネルギーで電気自動車を充電するという不安定電力網が実際に構築可能かどうかに掛かっているということが明白。技術的には余り問題はないと思うけど、やはりコスト的に高くなってしまっては不安定な電力であるゆえに問題になる。

C先生:前回とほぼ同じ結論だということになる。しかし、より具体的なイメージを提示できたことは良かったのではないだろうか。 最初に予告したことだが、エネ研常務理事の黒木氏が、原発による電力25%が将来にわたって最低ラインで必須と述べていることをどう考えるか。今回の我々の考察によって分かることは、もしも原発をゼロにすると、技術的に不可能だという要素はないものの、電力網の整備に相当の額の新規投資が必要であるということだ。2050年の総電力供給量は、エネルギー総使用量が50%程度に減少しても、現時点とそれほど変わらない。ということは、電力網を全くいじらないで、2050年の状況に対応できれば、送電業にとってはそれがベストな選択だということになる。もちろん、保守は必要だが。
 しかし、本当にそれがベストなのかは分からない。電力網に相当の追加投資をすれば、当然、送電コストが高くなって、電力料金が高くなるということになる。すなわち、結果的に、投資の回収が可能である。
 どのぐらい高くなるのか、これはむしろユーザ側の問題である。そして、送電コストの上昇分が分からないのが現時点での判断を不可能にしている大問題である。
 むしろ、発電原価の方が分かりやすい。メガソーラーなら発電原価がこのぐらい、地熱ならこのぐらいというように、発電原価は大体推定可能である。
 このような状況を踏まえて推察をする。現在の電力事業者だけが保持する名人芸でしか管理ができない送電網を維持するということが、もしも黒木氏の主張の核だとすると、安定なベースロードが存在し、揚水発電が維持できることが重要だ、ということも同時に意味することになる。
 これ以上書かないが、お読みの方にも、お分かりいただけると思う。