| 電気用品安全法は悪法か 02.24.2006 02.25追加 ![]() |
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暫定アップ。北京から修正予定。ただし、インターネットがアクセスできれば。 アクセスが可能だったので、若干追加しました。 実は、全く知らなかったのだが、平成13年にできた法律だという。それがいまごろになって問題になっているのは、この3月31日で、一部の電気製品について、猶予期間が切れるからだという。その後、PSEマーク(P及びSはProduct Safety、EはElectrical Appliance & Materials の略)が無い中古商品(当然、新古品も含まれる)は、売ることができなくなる。ということは、中古品市場に大きな影響を与え、リユースが阻害される可能性がある。さてさて、この法律は何を狙っているのか。そして、悪法なのか。 C先生:現在、この話がネット上でも話題になっている。リユース阻害については、確かに指摘されている要素もある。ただ、いささか過剰反応ではないか、と思われるし、場合によっては、詐欺の種になりそうな気もするので、研究をしてみたいと思う。 A君:以前は、政府認証のような形式でTマークが付いていたものが、今度は、民間による認証制度に切り替わってPSEマークが付くようになった。 B君:規制緩和の一つの形。その目的がよく分からないのだが、どうも、電源関係の安全性、特に発火や感電などを考えているようだ。 C先生:それが突然とも言うべきなのか、中古品に拡大されたということで(事実関係は未確認)、若干の騒ぎが起きているようだ。 A君:その問題を、高知新聞は次のように伝えています。 高知新聞 2月21日 まだ使える電気製品が4月から売買できない!?――5年前に施行された「電気用品安全法」が、今になって波紋を広げている。同法により、この4月からテレビや冷蔵庫など多くの電気製品で「PSEマーク」が付いていないと事業目的の販売ができなくなるが、同法の内容がほとんど世間に認知されていないのだ。古い電化製品の在庫を持つ県内のリサイクルショップの中には「最近まで知らなかった」と青ざめる所もあり、ちょっとした騒動になっている。 混乱の大きな原因は、同法の存在が消費者をはじめ、関係業界に至るまでほとんど認知されてなかった点だ。同法は13年4月に施行。安全性を確認したPSEマーク付きの製品でなければ事業目的で販売できないことになっている。 ただ、品目によって5年、7年、10年の「猶予期間」があったため、同法施行時にはほとんど話題に上らず、第1弾の猶予期限が切れる今年4月が近づいて初めて騒ぎが広がり始めた。 4月に切れるのは、テレビや冷蔵庫などの家電やコンポ、アンプなどのオーディオ類など約260品目。 県内のあるリサイクルショップは「法律の存在を知ったのは1月下旬。県内のほかの業者も知らない所が多かった」と不満を漏らす。既に規制対象商品の激安販売を開始し、在庫を減らすなど対策に懸命。 また、別の店では、今月中旬からPSEマークのない製品の買い取りを中止するなど、対応に追われている。 四国経済産業局は「ホームページに載せて中身を知ってもらうようにしている。業界団体とか、きちっとしたルートで(情報を)流している」(産業部消費経済課)としているが、周知されていたとは言い難い状況のようだ。 また、同法の波紋は趣味の世界にも。割増価格のつくような、マニア好みの古いオーディオなどが売れなくなるからだ。「それ目当てに来る方も多いのに…」とある経営者は残念がる。 そんな希少商品も含め、4月までに売れ残った商品は処分するしかなく、今後は買い取りもないだけに、「リサイクル推進の時代に逆行している」「不法投棄が増えるのでは」と影響を懸念する意見も。既に施行後5年近くになるとはいえ、どうもしっくりこない同法に対し、批判の声が渦巻いている。 電気用品安全法 電気用品の安全性確保を目的に、電気用品の製造・販売・輸入などを規制。旧電気用品取締法に代わり施行された。検査済みはPSEマークで表し、13年以後の製造分には順次付けられている。同マークの規制対象は電源からコンセントで接続する形のほとんどの家電を含む450品目。乾電池で動作するものや、パソコン、電話機は対象外。取り外し式ACアダプター方式の機器も、アダプターを含まなければほぼ対象外になる。マークなしの対象製品の一部は4月から事業目的の販売が禁止。ただし、ネットオークションなどによる個人売買や譲渡は規制されない。
A君:それが残念ながら正確な記述ではないのです。基本的なところの理解が違っているように思います。要するに、販売する事業者が、自ら認証をすれば良いだけなのです。 B君:2チャンネルのまとめと称するページには、http://www8.atwiki.jp/denkianzen/ 「▼新品ならびに中古の、電化製品問屋および小売店では、PSEマーク無しの(販売できなくなることを知らずに)仕入れた商品が【今年の4月から、ゴミ+処分費の負債に変わります】(現行商品でもマーク無しのものが流通しています)
。他人事ではありません。 この法律によって影響を受けるのはあなたです。これらの文化的損失を許さないためにも、少しでもこの法律のことを知って広めてください。今ならまだなんとかできるかもしれません。法律の猶予が切れてからでは遅いのです。
」 A君:どうみても正しくない。確かに、これまで中古市場で普通に売られていた製品を、事業者が再度認証をしてから売らなければならないことは事実のようです。 B君:事業者が認証をするには、それなりの資格とかスキルとか免許とかが必要なのか?もし、そうだとすると、廃業に追い込まれる中古品販売業者がでそうだ。 A君:結論はNOです。まず、中古品事業者が、何を売ろうとするかで、状況が違いますね。特定電気用品と呼ばれる112品目は、特に、発火などの危険性が高いと考えられる製品で、これらの製品で、PSEマークの無い中古品を売ろうとしたら、専門機関による適合性検査を受ける必要があることになるのでは、と思います。 B君:確かに、費用がかかりそうだ。 A君:しかし、この112品目は、 なもので、本当にこんなものを中古業者が扱っているのかどうか。 B君:坂本龍一氏などが問題にしている、ビンテージ電子楽器とか、真空管式アンプなどは含まれていない。 A君:それは、特定電気用品ではないので、もう一つのリストにあります。 電子楽器 5年 B君:しかし、これらは適合性検査を受ける必要は無いのだな。 A君:ええ。自主検査というもので良いのです。外観、絶縁耐力、通電検査だけを行えばOK。 B君:検査を行う人に資格は必要なのか。 A君:いえ。何も必要としません。誰でもできます。まず、事業者としての届出を行う必要がありますが、その届出も経済産業省あるいは関東経済産業局などに出せばよい。 B君:テスト項目として外観。これは問題ない。通電検査。これも良さそう。だとすると、絶縁耐力だけをテストすれば、問題はない。これはどうやって測定するのだ。 A君:絶縁耐力計なるものがあって、それで試験をすれば良さそうですよ。認定品の例としては、菊水TOS5050Aというものがあって、13.5万円。 B君:検査結果はどうすれば良いのだ。 A君:記述する必要があるのは、電気用品の品目、区分、構造、材質や性能の概要、検査を行った年月日と場所、検査の実施者、検査を行った電気用品の数量、検査の方法、検査結果など。ただし、記録は3年間保存を必要としますね。 B君:なんだ簡単ではないか。 A君:これは正式にやった場合で、経済産業省は、どうも抜け道も指南しているようです。販売しないで、レンタルならば検査は不要らしいですよ。 B君:インターネットオークションの場合でも、個人が販売していると認められる場合にはOKと書いてあった。業者が事業としてやっていてはダメなのだが。 C先生:要するに、この安全法の趣旨は、「誰が責任を持っているか、それを明らかにしたい」、ということのようだ。中古車を売るならやはり販売業が保証をしたり、責任を持つ。これと同様にことを中古家電にも適用したいということだけのようだ。 A君:ただ、安全ということを余りにも全面に出しすぎているということは有りませんかね。 B君:国民のニーズとして「安全・安心」があるというのは、現政権の基本的スタンスだからな。 A君:まあ、今回の法律によって、中古家電の価格が多少高くなる可能性がありますね。一部のウェブなどでは、中古家電はゴミになるという表現がありましたが、売れないものは、もともとゴミです。といっても、家電リサイクル法対象の4品目はリサイクルに回さなければダメですが。価値の高そうな、ビンテージ音響商品や電子楽器などは、検査費が上乗せされて、却って高くなるでしょう。 B君:安全を求めれば、それはコストに跳ね返る。これは常識。安心を求めると、これは、さらにコストが高くなるだろう。 C先生:今回の坂本さんの署名活動などもあったが、もともと文化的な価値の高い商品については、ほとんど悪影響は無いのではないだろうか。むしろ、中古家電は価値がゼロですから、といって詐欺的な商売が何か始まりそうな気がする。 A君:うーーん。PSEマークが無い製品は使ってはいけなくなりました。とか言って、新しい製品を押し売りすると同時に、古い製品はタダで引き取って販売する、といった詐欺はありそう。 B君:ウェブを調べていたら、経済産業省の谷みどりさんがやっていたブログが、余りの反響の大きさで、閉鎖に追い込まれたという事件があったことが判明。谷さんの努力には敬意を表したい。 C先生:安全を追求することによる消費者保護。検査を必要とすることによるコスト上昇。さらには、製品の廃棄を促進する可能性も皆無ではない。いずれにしても、こんな意味でのトレードオフが明確に見える法律だ。実害はそれほどでないと思われるので、まあ、トレードオフというものの存在を認識するには、良い練習問題のように思える。 以下、2月25日に北京から追加。 じゅんたさん: C先生:同感!!!! やはり、安全というものを様々な角度から求めると、このような法律が必要になってくる。塩ビをつかった電源ケーブルであれば、15年やそこいら、まあ劣化は無視できた。しかし、最近の一部の電気製品(例えば、シャープの液晶テレビ)のように、非塩ビのケーブルを使っている。これは劣化が怖い。中古品を買うなら、是非、テストを済ませたものが欲しい。 塩ビケーブルはリサイクルの阻害になるというが、もともと電源ケーブルぐらいは塩ビが安全で、それを変える理由など無いと思っている。リサイクル側は、工夫次第でどうにてもなるが、材料の劣化はどうにもならない。 koumeさん: 法律を調べてみると、電気用品の修理自体が、修理業者に相当の負担を強いるものだと思いました。 私が、センセーショナルな記事に踊らされているというだけなら、これほど嬉しい事はありません。 C先生:このような問題は起きないのではないか、と想像しているところ。 C先生:これも誰かが新たな商売を始めればよいのではないでしょうか。絶縁耐力測定業&PSEマーク提供業。 その他、特許庁が知財権がらみで乗り出してきたらしい。電源のケーブルを取り替えるぐらいのことは、普通の修理であり、これをことさら問題にする方がおかしい。ビンテージ真空管アンプなどであれば、絶縁耐力テストに万一不合格だからといって、電源トランスを変える訳にも行かないだろうから、これは、販売をあきらめて、レンタル商品にでもする方が無難かもしれない。ただ、過去の製品にはよくできたものが多いので、ビンテージ商品ほど新商品よりも合格率が高いような気もする。 |
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