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  ドイツ リターナブルボトル視察 06.22.2008
     



 6月15日に出発、ドイツのボンを拠点にして、リターナブルボトルを推進している国として知られるドイツの実情を視察した。母体は、環境省の研究会であり、委員多数が参加。かなり有効な情報収集と議論が行われた。


C先生:15日に出発して、フランクフルトまで飛んで、そこから、UNUの研究研修センターがあるボンまで、いつもと同じように、ドイツ鉄道のICEに乗って移動。たった40分程度でボン郊外の駅に到着。そして、タクシーでヒルトンへ。

翌16日からかなり強行スケジュールで、視察を行った。

16日:ドイツ環境省+コカコーラ・ヘルテン
 すでに様々な情報は得ているので、なぜそうなのか、という質問を投げてあって、それについての議論を行うことが目的だった。

ドイツのリターナブルボトルの概要について、ここで再度整理しておきたい。

*1991年から2003年
 リターナブルボトルの使用割合が飲料の総量の72%を切ると、ワンウェイ容器に対して、強制デポジットを発動することが法律的に決められていた。それが包装政令1991年である。2000年ぐらいに使用割合が危機ラインである72%を切った。法律には決まっているものの、ワンウェイ容器にデポジットを掛けることが本当に良いのかどうか、極めて重大な判断を迫られた。反対派から多数の訴訟も起こされた。しかし、他に良い対応策もでなかったので、とうとう、2003年1月に、ワンウェイ容器に対する強制デポジットが行われることになった。1本25セント、すなわち、40円ぐらい。しかし、回収システムの整備が遅れた。当初、「買った店でだけデポジットの回収が可能」という方式だった。
 アイランド方式というものも開発された。「アイランド方式」とは他の店で販売された容器の引き取りや返金を回避するため、独自の形状のワンウェイ容器で販売する方式を意味する。実際、そのスーパーなりディスカウンターなりが、独自の形状の容器を開発した。

C先生:この結果、何起きたか。

A君:消費者にとって、こんな回収状況では、1本40円もするデポジット代を回収することが困難で、そのため、消費者はリターナブル容器を買い求めた。

C先生:正解。

B君:リターナブル容器にだって、デポジットは掛かっていたはずだ。

C先生:その通り。実はリターナブル容器にもデポジットが掛かっていたのだが、その額が1本13円程度と安かったためでもある。

A君:アイランド方式は不評だった、ということですね。

B君:それは当然だ。いつでも同じ店で買い物をするとは限らない。どこか、別の店で買ったら、その40円分を取り返すのは難しい。商品価格が上がったのと同じだ。

C先生:それでは、取りまとめを続ける。

*2003年から現在
 しばらく混乱状態が続いた。デポジットの払い戻しを得るべく、消費者が行列を作るといった状態が続いた。ところが、2006年から、ドイツ国内のどの店舗でも容器を返却し、デポジットを受け取ることができるシステムが整備された。アイランド方式は、法律的に禁止された。
 スーパーなどでは、空き容器の自動引き取り機が整備されて、簡単にデポジットを受け取ることができるようになった。そのため、消費者にとっては、デポジットを容易に回収できるため、デポジットが阻害要因ではなくなった。


C先生:これで何が起きたか?

A君:簡単な話。デポジットの効果とは、その容器の回収率が上がるということ。だから、ワンウェイ容器の回収率は高くなった。

B君:反対にデポジットが安いリターナブル容器の回収率は下がっても不思議ではない。

C先生:正解だ。本来、リターナブル容器は回収率が高い必要がある。それが、デポジット金額が低いために、なんとリターナブル容器が散乱ごみになるという事態が発生したようだ。ワンウェイ容器は、1本40円で、落ちていれば、それを拾ってスーパーなどに持ち込めば良いのだから、誰でも拾う。散乱ゴミからワンウェイ容器は消えた。

A君:消費者は、ワンウェイ容器とリターナブル容器というものの意味を十分理解しているのでしょうかね。

B君:それは無理だろう。ドイツ国民は、環境指向が強いと日本では思われているが、実際には、そんなこともない。多くの市民は、環境を良くしたいということで行動をする訳ではない。むしろ、日本人のリサイクル指向の方が強いだろう。

C先生:その通り。ワンウェイ容器であっても、回収をすれば、リターナブル容器と同じ環境負荷抑制効果があるとの誤解が生まれ、現時点では、ワンウェイ化の流れが止まらないのだ。

A君:販売側としては、リターナブル容器だと、それをきちんと集めて、そのままボトラーなどに渡す必要があるけれど、ワンウェイであれば、受け取った瞬間に潰してしまえば良いので、保管場所などの面でも有利。

B君:目先の利益をあげることを考えている販売者としては、ワンウェイ容器を選択することになる。

C先生:その通りで、ディスカウントショップの存在が大きく影響を与えた。有名ブランド以外の飲料を極めて安価に販売する店が何軒もできて、そこでは、リターナブル容器の飲料を扱うことは無い。そのため、ワンウェイ容器の使用量が増大した。

A君:ペットは押しつぶされる。アルミ缶はどうなるのですか。

C先生:やはり押しつぶされるのだが、販売事業者は、単に押しつぶしただけだと、不正が行われるとして、独特の切れ目を入れることを自動回収機に求めている。単につぶされただけの缶だと、それを持ち出して、「自動車につぶされたのだ」と詐称して、デポジットを受け取る輩の出現を防止したいようだ。

B君:やはり組織的な悪行がおきることが前提となっていますね。

A君:実際に回収されたリターナブル容器はどのように使用されているのですか。

C先生:その話に移ろう。16日の午後には、コカコーラのヘルテン工場を訪問して、リターナブルボトルがどのように洗浄されているかを見学してきた。

A君:当然、集荷されたボトルは洗浄されて再使用される。

B君:ただ、ドイツ国民全員が正しく返却するという訳でもないだろう。ガソリンを入れてみたり、あるいは、最悪なのは、農薬を入れてそして返却するといったことをやっている可能性もある。

C先生:それは重要なポイントだ。ドイツのコカコーラ社は、大別して2種類の製品を出している。コカコーラと、スプライト&ファンタだ。容器は、2種類しかない。コカコーラであれば、ライトだろうが、普通のものだろうが、緑茶フレーバー(日本には無い?)のものでも、同じ容器。スプライトとファンタ2種類は同じ容器だ。

A君:フレーバーが異なると、困るという話は無いのでしょうか。

C先生:以前、ブルーベリーフレーバーのファンタがあって、これはかなり強烈なフレーバーだったもので、匂いが移るというトラブルがあって、この飲料そのものは現在作っていないそうだ。

B君:日本で伝えられている噂では、ペットのリターナブルは、フレーバーごとに違った容器を用意しなければならないというのは誤解?

C先生:そうらしい。その例が、一般化して伝達されている。通常は、それほど厳密ではないようだ。実用的な区別をすれば大丈夫のようだ。

A君:日本茶はどうですかね。

B君:ドイツには、そんなものは無い。というか、製品がきわめて限られているのが、ヨーロッパの飲料だ。

C先生:もしもリターナブルペットを導入することになったとして、日本茶とミネラルウォータが同じリターナブルのペットボトルを共有できるかどうか、これは実験が必要だろう。個人的予想としては、実質上何の問題は無いが、販売者側が、日本の消費者のメンタリティーを過大評価して、「共有しない。お茶と水は別容器」という結論を出すような気がする。

B君:社会実験が必要ということか。

A君:衛生上の問題は起きないのですか。ガソリン、農薬などの容器として使われてしまった場合ですが。

C先生:そのための装置としては、スニッファーと称する装置が使われていた。回収されてきたペットボトルに、60℃の苛性ソーダ溶液を投入する。そして、ボトル中の空気を、質量分析装置で分析して、フレーバー以外の有機物が存在しているかどうかを測定。それで判定するようだ。

B君:どのぐらいスニッファーで排除されてしまうような例があるですかね。

C先生:極めて小数のようだ。スニッファーではじかれたボトルというものの臭いは、嗅いだぐらいでは特に分からない程度で、カビ臭などもはじくことが可能とのこと。

A君:ボトリングの不良率は?

C先生:0.2ppmぐらいらしい。この不良は、衛生上どうのこうのというよりも、気密性が保てなくて、炭酸が抜けてしまうということによるクレームの率らしい。その理由は、やはり、ボトルの口付近の細かい傷がチェックしきれないことによるようだ。

B君:水は洩らなくても、炭酸分、すなわち、気体である二酸化炭素は漏れることは十分に考えられる。

A君:ドイツにもクレーマーというのは居るのですか。

C先生:日本の状況と余り変わらないとのこと。世界中どこでもクレーマーは居るらしい。

A君:そして、肝心な市場占拠率はどうなっているのですか。

B君:当然、ワンウェイ化が進んでいる。

C先生:2003年をピークに、リターナブルボトルの市場占拠率は徐々に下がっているのが実態。正確な数値は、別途報告書が出る。

A君:リターナブル容器を買ってくれる客がいると事業者が思うかどうか、これが重要なポイント。

B君:コカコーラのように、伝統的な銘柄であれば、そんなにも安売りされることもなくて、高級品指向の消費者が買い続けることはあるだろう。

C先生:その通りで、ドイツも日本と同様に格差社会化しているのだが、コカコーラを買うのは、経済的に余裕のある層だということだ。そして、富裕層は、環境への貢献の意味も分かっていて、そのような行動もする。そして、リターナブルを買う。一方、ディスカウンターでは、コカコーラなどは売っていない。有名ブランドだと、価格競争ができないからだ。無名のブランドでも、価格優先の消費者には、十分なのだ。それは当然ワンウェイ容器ということになる。

B君:安ければ良い消費者は、ワンウェイを黙って買う。

A君:ただ、飲料によっては、こだわりの消費者が居るでしょう。たとえばビールのように。

C先生:その答えは後にして、その後の報告を続けるか。

17日:ミネラルウォータの大手、ゲロルシュタイナー社の工場を視察

 ボンから100kmぐらい先だっただろうか。標高500mぐらいの山の上に、ゲロルシュタイナーの充填工場があった。そこでは、リターナブルペットボトルに、ミネラルウォータ2種類、炭酸入りと炭酸なし、それに、果汁を加えたミネラルウォータ飲料などを製造していた。

 リターナブルペットボトルでこの企業は市場占有率を高めたと言われている。輸出用は、当然のことながら、ワンウェイのペットで、ゲロルシュタイナーのミネラルウォータは、日本でも買うことができる。

 ここは、見学コースが2階にあって、そこから1階の工場スペースを見るという形だったために、遠方にある洗浄プロセスなどの詳細を見ることは不可能だった。

 それにしてもコカコーラ工場も同様なのだが、日本の企業の見学コースだと、ガラス越しに見学ということになるのだが、驚いたことに、完全にオープン。見学者が何かを落とすと、1階には確実に影響が出そうな配置になっていた。

 工場で使用されているのか、洗剤の臭いのようなものを感じたし、苛性ソーダ特有のなんとなく鼻を刺激するようなミストがあるような気もした。

 こんなやり方で、虫などが混入しないのだろうか。ドイツ風だと、まあ、そんなに大きな問題にはならないのかもしれない。

 この程度の工場で作られたミネラルウォータを日本の消費者は有り難がって買うことになるのだ。これはしっかりと知って欲しい情報だ。某氏に聞いたところでは、エビアンやビッテルなどは、もっと古典的な工場なのだろうということだった。ということは???

 これも本HPの読者諸氏はご存じだとは思うが、欧州のミネラルウォータは、源泉のある場所で、一切加工しないで、そのまま充填しなければならない。加えることができるのは、炭酸(二酸化炭素)のみである。それで問題が起きるような源泉を使うことはできない訳だ。エビアンなどには、当然、雑菌が入っているのだが、歴史的に問題を起こしたことが無いということで、許容されているのだ。

C先生:こんな感じだった。ゲロルシュタイナーは、大手ミネラルウォータのメーカー。独自のボトルを使っている。

A君:ガラス瓶は? 

C先生:ガラス瓶入りのミネラルウォータもある。しかし、これは、18日の朝に訪問したドイツ鉱泉協同組合(GDB)がデザインしたもののようだ。ここは230社が加盟しているという。どちらかと言えば、中小のメーカーが多いようだ。しかし、GDBも、最近では、ペット製の共通リターナブルボトルを開発して、そちらに移行中といった様子だ。

B君:やはりガラス瓶は絶滅しつつある、ということですか。

C先生:まあその通り。しかし、例外がある。それが先ほどスキップしたビールなのだ。
 ビールの中小醸造所連盟の話も聞いた。これも同じ17日の夕刻だった。やはりビールは、ドイツの文明だというのが結論。

A君:ビールはガラス瓶で飲むものだと思われている。

B君:まあ、そうだろう。日本酒だって、日本だと紙パックがあるが、なんとなく侘しい感じがする。ビールはアルミ缶でも良いと思うのは、ビールへの嗜好が強くない日本人とかアメリカ人、あるいは、ハイネッケンのようなインターナショナルブランドにならされたオランダ人。

A君:第3のビールなどというものが存在するのが、この日本という国の特徴ですからね。

B君:泡が出れば何でもよい。これが日本かもしれない。

C先生:今回、通訳をしてくれたのが、ドイツ在住の容器関係の法律研究家である中曽さん。彼が住んでいるのがミュンヘンで、これが当然のことながら、ビールの中心地。バイエルン地方のビールは、ボンやケルンのビールと全く違う、と晩飯に出かけるドイツレストランは、すべてバイエルン風のビールが飲めるところ。

A君:ボン・ケルンのビールはどんな味なんですか。

C先生:ケルンにはKoelschと呼ばれるビールがあって、これが軽い。18日の夕刻に、デュッセルドルフの先までスーパーなどの視察に行って、その帰りに、ケルン大聖堂のところでバスを降りて、それから列車でボンに戻るスケジュールだったのだが、ケルンでこのケルシュを飲んだ。その店のビールのメニューは、ケルシュだけ。酵母を濾していないKoelner Wiessというものもあるはずなのに、それも無かった。

B君:バイエルン地方の人には、こんな軽いビールはダメだと言われている。

C先生:中曽さんは、ボンへ戻って晩飯ということだった。曰く、「ケルシュなど馬のションベン」。

A君:ドイツも地域文化が強いということで。

B君:そのために、ビールはガラス瓶。アルミ缶すら無い。

C先生:無いわけではない。スーパーなどには売っていた。しかし、数銘柄程度だった。今回、きちんと視察していないのだが、ディスカウンターには、ペットボトル入りのビールが並んでいるそうなのだ。しかし、「ビールならどんなものでも良い、という程度の消費者しかペットボトル入りのビールは飲まない」、というのが一般的な評価のようなので、ドイツ人としてはペットボトルビールを飲みにくい雰囲気があるのではないだろうか。

A君:日本酒だって、紙パック入りの大吟醸などが売れる訳もない。ペットボトル入りも同様だろう。

B君:ビールは、リターナブルガラス瓶の最後の砦ということ。

C先生:そんな感じがした。社会のメンタリティーが変われば、少なくともアルミ缶入りのビールは、そのために炭酸の量などを調整できれば、味は変わらないと思うのだが。

A君:昔は、瓶入りのビールが丁度おいしいように炭酸の量が調整されていたと聞いているのですが。

B君:いまや、瓶入りの選択肢のない缶ビールや第2第3のビールが日本でもかなり大量の出回っている。通が旨いというプレミアムモルツだって、瓶は小瓶・中瓶は出ているようだが、大瓶は無い。味の調整にしても、缶ビール主体なのではないか。

A君:もう少々きちんと説明しておきますか。缶ビールは、コップに注がないで飲むことを前提としているらしい。コップに注ぐとき、若干炭酸が抜けて、バランスが良くなるのが、瓶ビールなのだが、缶ビールは直接缶から飲むため、最初から炭酸を若干少なめにすると、丁度良いとされていた。

B君:大瓶が主力かどうか、それで配合が違う可能性はあるな。プレミアムモルツでは缶が主力なのは間違いないだろう。

A君:通の認めるプレミアムビールで大瓶があるのは、エビスですが。これだけでしょうか?

B君:キリン日本プレミアム、アサヒ熟撰プレミアム、いずれも中瓶までだ。

C先生:いい加減にビールの話をやめよう。いずれにしても、ドイツ人にはアルミ缶は受け入れられない。それなら、ますますペットボトル入りのビールは受け入れられないと思うのだが、ドイツだとアルミ缶は、ハイネッケンのようなインターナショナルなビール会社が作っているというイメージがあって、愛国心が許さないということはあるのかもしれない。

A君:ヨーロッパのサッカーを見ていても愛国心は非常に良く分かる。

C先生:丁度、ユーロ2008を開催しているところだった。ドイツが勝ったときの騒ぎは大変なものだった。車1台に、10人ぐらい乗って、窓から上半身は外に乗り出している。そして大きな旗を振っている。夜中だったから、警察も取り締まっていないような様子だった。昼間でも、ドイツ国旗を掲げている車が結構多い状態だった。



写真:Euro2008でドイツが勝った夜。


A君:EUが強化されて、それへの反発もあって、却って愛国心が高まったのでは。

B君:アイルランドが国民投票でEUのリスボン条約否を否決。
 リスボン条約だが、日経によれば、「欧州連合(EU)の首脳会議が、未発効に終わったEU憲法に代わる新たな基本条約を採択した。新条約は「リスボン条約」と名付け、EU大統領の創設や政策決定を迅速化する多数決制度など、さまざまな斬新な工夫を盛り込んだ。新条約が発効すれば、半世紀にわたる欧州統合が新たな進化の段階に入る」、といったようなものだった。

A君:これに対して、国民投票を行ったのは、アイルランドだけだが、1ヶ国でも否決されると、この条約は成立しない。EUのあり方を根本的に再考する必要があるのか。

C先生:EUには様々な問題がある。たとえば、移民問題、失業問題などなど。しかし、対アメリカで大きな影響力を持つという意味では、EUの経済力とその政治的存在意義は大きい。しかし、国民投票となると、好きか嫌いかは分かっても、一般市民に、それが良いことか悪いことか判断するのは、なかなか難しいのではないだろうか。

A君:ビールの話が、超大幅脱線。

18日:スーパーマーケットにおいて、容器の自動回収清算システムを視察

 朝、ドイツ鉱泉協同組合(GDB)を訪問し、中小のミネラルウォータ事業者にとっては、リターナブルを維持することが生命線だという意見を聞いた。
 リユースマークを提案したのだが、ドイツ全国で意見の統一が図れない。多数のマークがあって、混乱を招いているとのこと。






写真:多種類あるリターナブルマーク

 そこから、デュッセルドルフの郊外の街、Tonisvorstの2軒のスーパーを視察した。

 特に、Metroグループが作ったRealという新しいスーパーでは、電話機で買い物ができると自慢していたが、日本なら電話機で電車にも乗れるのに。
 自動回収清算システムは、トムラの説明を受けたが、ドイツ全土で1万8千台の回収清算システムを導入したとのこと。こんなシステムが商売になるのなら、日本でも全容器のデポジットでもやってみれば良いのではないか、自販機の隣にでも設置すれば、大きな問題はない、と思った次第。



写真:スーパーRealの自動容器回収清算機 トムラ製

C先生:そろそろ結論だ。「リターナブルを支援するためにドイツ環境省はワンウェイに対するデポジットを導入した」、ということだと、自動回収清算システムが順調に稼働したことが、ネガティブな効果になってしまった。なんとなく、皮肉。

A君:回収清算が旨くいかないうちのみ、リターナブルが増えた。

B君:結局、ワンウェイが実質的な値上げになったから、がリターナブルが一時的にシェアを取った理由。その後、問題が解消されて、実質的に値段が元に戻った。ディスカウンターなどの影響で、ワンウェイが勢力を回復した。

A君:回収機は良い商売のようですね。トムラは、もともとはノルウェーの企業。すでに、40ヶ国に回収機を設置したとのこと。

B君:ドイツが最大の市場になったのだろう。ドイツとしては、「国産機で」という思いは無かったのだろうか。

C先生:それを聞くことはできなかった。実績ベースで、新規参入は難しいということだろう。
 こんなところで、ドイツ視察は終了。今後、日本でも議論を進めていくことになるが、結論的には、1991年の包装政令がリターナブルを維持することが目的で作られていたとするのなら、ワンウェイに高額なデポジットを課するという今回のドイツ方式は間違いだったのではないか、ということが一つ。デポジットを課すること自体が間違いという訳ではなくて、リターナブルとワンウェイを別々の容器と見なして、別々にデポジットを課するドイツ方式が間違いなのかもしれない。
 (1)LCA的に優位性のある容器への変更、(2)ゴミの減量、(3)散乱ゴミ問題の解消、この3点がドイツ環境省の容器包装に対する基本的な態度だそうだ。これは、日本でも同じことだろう。
 同じ目的に対して、ドイツと日本が同じ答えを出すべきなのか、これは、今後の環境省による研究会の検討に掛かっている。ドイツの先進性は、やはり、「失敗を恐れずに社会実験を試みるところにある」。これが最終的な、かつ、正直な感想だ。
 ビールを飲みながらではあったが、夜中まで様々な議論ができて、極めて有効な一日であった。
 最終日は、帰国の便が夜発だったので、ライン河を船で少々楽しんで無事に帰国した。ボンまでは何回も来ているが、コブレンツから上流のライン河を見たのは実に30年ぶりだった。「ほとんど何も変わっていない」、これが印象だった。相変わらず、コブレンツ−マインツ間に、橋が1本もないようだ(約80km:利根川だと、河口から取手付近までに相当する距離。この間にある利根の橋の本数は??)。
 これからも分かるように、ドイツと日本との違いは、少ないようで(他のヨーロッパ諸国と比べると実際似ているように思うのだが)もともと大きいのだ。お互いに完全な模倣を企ててもまず無理なのだろう。日本として、どのような工夫があり得るのか。これは、後日また議論したい。